大神


総評 94点

【★★★★★】
時間 シナリオ 調整 操作 独自 価値 キャラ やり込み グラフィック その他
評価 5 5 4 4 5 5 4 3 5 5
クローバースタジオの名を世に轟かせた名作。(もう解散したが)
「和」を意識して絶妙に統一されたゲームメイクが素晴らしく、世界観にどっぷり浸かることができる。
アクションゲームながら難易度は抑えられており、かつストーリーや設定にも「分かる人は分かる」的なもの(いわゆるオタク向け要素)を故意に排除しており、普段あまりゲームをしない人でも十二分に楽しめるゲームに仕上がっている。
どちらかといえばやるゲー。しかし物語も良い。


 1:プレイ時間 【★★★★★】
プレイ時間はサブイベントにもちょこっと手を出しつつで一週35時間弱。全部やって50時間強。
数字にするとなかなかのボリュームに見えるが、ゲーム全体の音楽や景色の美しさに加え、狼となって野山を走りまわるただそれだけでも楽しいのだから体感時間は数字よりも大分小さくなる。
プレイヤーへの配慮がしっかりなされており迷って無駄に時間を経過させることも無い。○。
自由に動けるゲームでありやれることが非常に多いこういったジャンルのゲームでは大切なこと。


 2:ストーリー(シナリオ) 【★★★★★】
あらすじ:
英雄イザナギと白狼・白野威(しらぬい)によって封印された怪物ヤマタノオロチ。
しかしそれから百年が経ち、オロチを封じていた宝剣月呼が何者かに引き抜かれオロチの復活が成ってしまう。
アマテラスはヤマタノオロチを倒すために、またナカツクニの安寧を取り戻す為に、旅に出るのであった……

全編通し一貫して日本の昔話や神話、歴史をモチーフに組み立てられており、妖怪によって穢された日本を片っぱしから浄化してゆく物語になる。12(+1)支に分かたれた神の持つ筆しらべの力を集めながら進む流れやいわゆる四天王に位置する妖怪たちの組織図など、管理人のツボに入りすぎる設定に感動した。
全編通して一般に王道と呼ばれる「良くつかわれる手法・話の流れ」を基調に各イベントが用意されているが、それら一つ一つに笑え、泣け、感動できる、即ち「魅せる」ことに成功してるのは非常に大切な点。◎。
終盤も王道一直線の「かかわった人たちの想いを力にする」流れなのだが、それもただ良くある展開をなぞるだけではない為展開に退屈することもない。文句無く泣ける。

普段はボケ担当ながら決めるところはしっかり決めるスサノオ大好き(笑


 3:難易度設定・調整 【★★★★☆】
ゼルダタイプとよく言われる、いくつかの行動・攻撃手段から最適なものを探し選択することで謎解きやボス攻略をしてゆくタイプのアクションゲームだが、随時与えられるヒントが過剰なほどに用意されておりそこに悩む必要が殆ど無い。
普通のゲーマー向けゲームであれば謎解きの楽しみを自ら奪ってしまう仕様でもあり褒められた設定ではないのだが、本作においてはそのターゲット・対象として万人向けに作られている為、寧ろ加点対象。
つくづくゲームメイクに斑が無い。


 4:操作感(プレイ感覚) 【★★★★☆】
凝ったエフェクト一般や野山をかける疾走感、美しく浄化されてゆく日本の原風景に主人公・大神自身の細かな動作の可愛らしさも加わり、ゲームをプレイすることそのものに楽しさを感じられる調整がなされているゲームはこの作品をおいて他にはあまり観たことが無い。素晴らしい。
自由に筆を動かせる筆しらべも、よく誤認識を減らしてありストレス無く使用できて良い。

唯一の難点はロード時間がそこそこに長い点か。
一応ロード中に遊ぶ要素も用意されているので暇にはならないが。


 5:独自システム 【★★★★★】
→筆しらべ
主人公・天照の持つ特殊な能力で、世界を絵のように切り取りその絵に筆で線や記号を書き込むことで様々な能力や効果を現すことができるシステム。本作の中心となるシステムであり、謎解きやボス攻略には全てこの力を使うことになる。筆の操作にはアナログスティックを使用する。
「書いたのに書いたことになってねぇ」ということになりやすいシステムだろうがよくつくられており、既述の通り誤作動・誤認識が殆ど無いのは開発陣GJである。
攻撃や防御を行うだけであればそこらに転がるアクションゲームと大差無いのだが、この筆しらべで行えるのは戦闘行動に限らず、花を咲かせる、木を生やす、月を描きだすなど彩りと趣きに満ちており、主人公の行動目的である美しき自然の再生ということからいささかも外れていない。
ただし、時の進みを遅らせる技が強力すぎるのは、いつの世もどの作品でも同じようである(笑

→幸玉システム
神である主人公は経験値ではなく、人々の信仰心、神への感謝の気持ちを得ることで能力を強化する。
つまりは困っている人を助けたり、枯れ木に花を咲かせたり、お腹を空かせた動物たちに餌をあげたりすることで相手が幸せを感じれば、幸玉を得られることになる。
結果的にはそれを消費して能力が上がるのでイコール経験値であるとはいえ、そこをそのまま経験値としないところでゲーム全体の統一感や雰囲気の尊重さに大きな差異が生まれてくるのだろう。素晴らしい。

→三種の神器
いわゆる武器システムで、性質の異なる鏡・勾玉・剣から好きに2つを選んで戦闘を行う。
基本的には大差無いが、個人的には勾玉がボタン連打という簡単操作の割に高性能で楽で良い。


 6:価値 【★★★★★】
管理人の購入価格:2980円
ベスト版も出ており、廉価で非常に楽しめる良作。しかもプレイヤーを選ばない、誰にでもお勧めできる
一本である。足止めを食う場面も殆ど無い為、ゲームが苦手な人でも全く問題ない。
選ぶとすれば、逆に高い難易度を求めるコアユーザーに属するプレイヤーになる。


 7:キャラクター 【★★★★☆】
各キャラクターは概ね神話や昔話にそのモチーフが存在するが、その原型に囚われずにうまく世界観にマッチするようにキャラクターデザインがなされている。良。
加えて、全キャラクターが筆絵基調で描かれているのも非常に評価高い。
天照及び12+1支神の、隈取りをした動物たちのデザインも好きだなぁ。
又、敵の一般に関しても妖怪をベースに、見た目の特徴が攻撃方法・弱点に繋がるよう形成されている。○。


 8:やりこみ要素 【★★★☆☆】
収集要素は多く、2週目へのそれらの持ち越しも完備している。それぞれに図鑑も用意されており、
プレイヤーへの配慮も欠いていない。
……のだが、達成時の報酬に魅力のあるものが殆ど無く、かつ探して回るにはマップが広大で、なかなか集めてやろうというモチベーションにもっていけないのは残念なところ。
図鑑もその表記内容に関しては一歩足りず、並びが一覧並び(区分け小分けが無い)であったり、どの場所での達成が成されているのかがわからなかったりしていて、達成の足止めになってしまった。


 9:グラフィック・アニメ 【★★★★★】
ポリゴンを感じさせない「絵」としての3Dの利用が成されており、それがゲーム全体を包み込む雰囲気とも合致しており心地良い感覚を得られる効果を生み出している。
昨今は3D作品でもジャンプ系に代表される線を強調したアニメ3D(勝手に命名)を利用した者も多いが、当時3Dで本作のようなを表現しようとしたものは非常に少なくその先駆け的な役割にもなっただろう。
又、各キャラの動作は細かなところまで作られており、愛らしい仕草は観ているだけでも楽しい。
浄化によって穢れが落ち花々が咲きほこり、大地が緑に包まれてゆく光景もなんとも美しい。


10:その他 【★★★★★】
キャラや背景のデザインから挙動、言葉を載せない音声に至るまで非常に独特なゲームであるにも関わらず、それらが全く嫌に感じない。それはゲームの全体に渡ってコンセプトに基づいた構成が行き届いているからであり、プレイしていて大神の世界に深く浸ることができるつくりとなっているからだろう。
こういったゲームメイクのできる人には憧れる。

全体的に文句のつけどころを探す方が苦労する一本であった。




最終更新:2009年01月21日 02:47
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