テイルズ オブ イノセンス


総評 56点

【★★★☆☆】
時間 シナリオ 調整 操作 独自 価値 キャラ やり込み グラフィック その他
評価 3 4 3 2 4 3 5 3 3 5
衝撃の不出来作・テンペストに続くDSテイルズ2作目。
そこそこいい評判を聞いていたのだが、それはやはりテンペストの反動が大きく働いた結果のようで。
RPGとして観てもボロボロだった前作から、RPGとしての及第点は守れた本作、といった印象。
しかし各所に配慮が足りずストレスの溜まるつくりになっており、テイルズシリーズとしての期待に添える
レベルの出来ではなかった。
面白いシステムは多いのだが。全体的に不親切なつくりであるのが評価を落としている。

事前にテンペストのレビューも書こうかとも思ったがプレイしたのが何年も前なので中止。
もし書いていればTには20点前後の点数がつくだろう。



 1:プレイ時間 【★★★☆☆】
クリアまで25時間前後、隠しダンジョンクリアまで50時間ちょっと。
本編のボリュームはあるのだが、後述するダンジョンの不親切と飽きやすさによりそれがあまりプラスに働いていないのは勿体ない点である。又、本編にしても隠しダンジョンにしてもレベル上げに取られる時間が多く、単調作業が嫌いな人には向かないゲームかもしれない。


 2:ストーリー(シナリオ) 【★★★★☆】
あらすじ:
王都に暮らすとある商家の一人息子、ルカ・ミルダは、昔から気弱で内向的な人間だった。心を許せる友人もいなかった。
跡取りとして期待を寄せる両親さえ重荷に感じていた。そして、そんな自分が大嫌いだった。
彼はいつも夢を見る。自分が歴戦の勇士となり、戦争を勝利に導く夢を。夢の中で、彼は自身をアスラと呼ぶ。
そんな日常の中のある日、夢の中の世界でアスラと恋仲だったイナンナを名乗る少女が、彼の前に現れた。
それが、彼の物語の始まりだったのである――


前世の力と記憶の一部を受け継いだことで、そこから生まれる繋がりから始まった物語。
しかし主人公たちは世界を旅し冒険を経ることで、前世に囚われることをやめ各々が自らの物語を紡いでゆく。
そんな設定と話の流れはなかなか燃えるもので格好良く、面白い。多少ありがちだが上手く表現されておりそれも良い。

だが一つ一つのイベントに目を向けると、そこは粗い印象を受けるものが殆どで非常に残念。
冒頭のイベントにしても、過去の力に目覚めたというだけで性格になんら作用があったわけでもないにも関わらず、それまで内向的で自分の意思を表現すること自体苦手だった少年が、突然家を飛び出して旅に出るのはあまりに不自然。
このようにしてその他のイベントにも、違和感を感じるものがちょくちょくありスムーズに楽しめない場面も。
もう少し感情移入できる場面を用意してもらえると、非常に管理人好みの作品になったと思われる。
前世関連の設定についてはとても良い。その使い方が上手くなかったか。

又、本作の特徴としてイベントシーンが短めにまとまっており、説明が必要ながら不足している部分を全てスキットで補おうという手法もあまり良いとは思えない。スキットに求めるのはキャラ同士の他愛ない会話やキャラの掘り下げであって、そこの多くを歴史説明や状況説明で消費されてはせっかくの楽しみが薄れてしまう。
……前作にはフェイスチャットさえなかったゆえ、搭載されただけでも喜びを感じてしまうのだが。


 3:難易度設定・調整 【★★★☆☆】
難易度としてはそこそこ高めで、レベル上げを適度に行わないとボスではちょくちょく殺される。
管理人も終盤ダンジョン攻略で手を抜いていたら、ラスダン前に5時間程レベル上げに励むことになった(笑
この程度の手応えであれば「他の部分のストレス」さえ無ければ特に問題無いのだが、本作においてはそのストレスがかなり多い為に高めの難易度が邪魔臭くなってしまった。
特に中盤辺りから雑魚も含めたHPの量がかなり高くなるのがよろしくない。
雑魚のHPが多い→攻撃回数の増加→消費TPの増加→ダンジョンが長いほどストレスUP という流れを作りだす大元になってしまっている。どうにもバランスのとり方が下手である。

逆に、自キャラ陣は総じてHPが伸びない。ラスダンに及ぶ頃になっても1000ちょっとにしかならないのは違和感と共に何故そうしたのか謎。


 4:操作感(プレイ感覚) 【★★☆☆☆】
戦闘系に関してはジアビス+Reデスティニーといったシステムで、爽快かつストレスなくプレイできる。◎。
だが移動系、特にダンジョン内におけるストレスの酷さといったら、戦闘系の良さを忘れてしまう程である。
難点を列挙すると
1:触れると戦闘に入る敵オブジェクトが至近距離に出現しすぎる。操作キャラに重なるように出現されては回避のしようもない。接触エンカウントの良いところは、ダンジョン内での戦闘回数をある程度自分で制御できるところにある。だというのに、避けるどころか反応のしようも無い位置に出現させる設定は×。
  一応レベルを上げることで遠くの位置に出現するようになっている点はよいのに。
2:特定のダンジョンでカメラが寄り過ぎている&&カメラ位置変更不可であることが1に拍車をかけている。
3:一つのダンジョンの造形が数種類のパーツの使いまわしで全て作られており、総じてつまらないし飽きる。
  加えてマップも一切参照できない仕様もあり迷う迷う。
  久々に右手の法則をダンジョンに入るたびに利用したゲームだった。
4:マップの接続性が悪い。右下から出たのに次のマップが右下から始まることがままにある。
  この場合次は左上から始まらなければ接続性が良いとは言えない。
とこのように、どこを見ても良い部分が見つからない非常に不親切な作りである。
ゆえにRPGの中核を成すダンジョン攻略に楽しみが殆ど見出せず、評価が大幅に下がる結果となった。


 5:独自システム 【★★★★☆】
→スタイルシステム
攻撃重視、防御重視、魔法重視、等のスタイルをキャラ毎に選択し、能力値をその特性に修正する。
スタイルレベルが上昇することでそのスタイルに合ったスキルを覚え修正値も大きくなってゆく。
又、スタイルによって技の熟練度の入り方にも差が生じる。
面白いシステムなのだが、ゲームバランスの取り方としてキャラのHPがなかなか上昇しない本作においては防御重視の有用性が高すぎるのが少し困りものではある。

→テンションゲージ・インフィニティージャム
攻撃や防御に成功するたびにテンションゲージが上昇し、MAXになると「覚醒」状態になり様々な恩恵が得られる。
さらに、覚醒状態にはインフィニティージャムや秘奥義を発動することができる。
インフィニティージャムとは、一定時間敵の動きを完全に止めて攻撃を加えることができるというもの。
本作においては、頼りになることは頼りになるのだが特別楽しいわけでもなく、何か一味足りない印象を受けるシステムである。もう少し何か面白味を加えることができると化けるかもしれない。
又、秘奥義を2週目以降しか覚えることができない仕様は残念な感じ。いいんだけどさ……。

→ギルドクエスト
クエストを請け負い、近隣の専用ダンジョンに行き依頼内容をこなすことでお金やGradeを得ることができる。
このクエストにはレベルがあり、依頼達成時に得られるポイントを一定量溜める必要がある。
又、ギルドではGradeを支払って武器や次週への持ち越しアイテムを購入することもできる。
依頼自体は種類も少なく、何度も何度も自動生成ダンジョンに潜っては最奥でボスを倒して戻ってくるという単調作業で、明らかに練りが足りないシステム。
だが、このような効率的にGradeが稼げるものは他のテイルズには無い、嬉しいシステム。
もう少し内容などに工夫とアイデアを盛り込めば良いシステムになりそうである。

→武器カスタムシステム
武器に合成用アイテムを合成することで、様々な効果を付加することができる。
本作においては武器の性能そのものよりも、この効果が大きな力を発揮する仕様になっている。
ただしこの合成用アイテムはギルドクエスト専用ダンジョンにひたすら潜って探す必要があり、手間と時間がかなりかかる。もう少し集めやすくいろいろな効果を試せると面白かったのでは。
普通にプレイしていると状態異常付加・属性付加しかできない。

→通信プレイ
上記ギルドクエストや本編を他の人と協力しながらプレイできる。
しかしカートリッジは人数分必要であるし、あるスタイルを入手するのにこの通信プレイを行うことが必要不可欠な仕様はあまり親切でなく残念。


 6:価値 【★★★☆☆】
管理人の購入価格:1980円
冒頭で述べたように、出来は悪くはないが決して良くはない。
テイルズシリーズは網羅したいシリーズファン、テンペストからどれだけ改善されたか確かめたい人、とにかくRPGに飢えている人、特定の声優が好きな人(今回も豪華)、などはプレイすると良い。
それ以外であれば特別お勧めはしない。


 7:キャラクター 【★★★★★】
キャラクターの設定や魅力は存分に描かれており、テイルズシリーズからは切っても切れない関係にある、「戦闘参加キャラすげぇ迷う」現象がしっかりと起こってくれるのは良い。全員使いたくなる。
ヒロインの言動など気に食わない人もいるようだが……あれをヒスと呼ぶのは同意しかねる。
又、敵方になかなか面白いぶっこわれキャラがおり、最期までよく描かれていた。


 8:やりこみ要素 【★★★☆☆】
隠しダンジョンも用意されているし、シリーズ恒例のアイテム・モンスター図鑑も存在する。
加えて本作では特定のイベントを観ると埋まる「覚醒リスト」というものもあり、やれることは多い。
ただ、隠しダンジョンがなんだか非常にテキトーに用意されており、自動生成ダンジョンを100階層、途中にボスがいるわけでもなくイベントも一切無く、ただただ淡々と潜っていき最奥で一体ボスを倒すという構造だったのは非常に残念。まぁよくある仕様、というヤツだ。
100階層という深さとある程度の難易度だけ用意して、製作側だけで満足してしまった典型例。

覚醒リストもせっかくリストになっているのだから、見たものからおさらいできる仕様が望ましい。


 9:グラフィック・アニメ 【★★★☆☆】
OPはしっかりと高クオリティのフルアニメーションになっており、ホッとさせてくれる。○。
(テンペストではCGが途中に混ざった非常に中途半端なOPで、ファンから怒りを買っていた)
だが、本篇にはアニメの挿入が一切ない。DSとはいえラストくらいアニメが欲しかった。
キャラや町、敵キャラなどのCGの造形レベルはテンペストからはっきりとした進化は感じられない。
いっそ2Dにしてはどうかと考えてしまう。それでは3D戦闘が再現できないが。


10:その他 【★★★★★】
うえだゆうじと名塚佳織のペアは一瞬ギャグ漫画日和が思い出された。携帯機でも声優は非常に豪華w
真殿光昭氏のぶっこわれキャラも一見の価値あり。
ハーツはさらに評判が良いのでこのまま上方修正を続けることができるだろうか、楽しみである。




最終更新:2009年01月21日 08:57
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