キングダムハーツ 358 > 2 days


総評 59点

【★★★☆☆】
時間 シナリオ 調整 操作 独自 価値 キャラ やり込み グラフィック その他
評価 3 3 2 4 3 3 3 1 4 5
発表からかなりの時間を置いて発売された、キングダムハーツの外伝的一本。
今回は移動・攻撃方法や操作感はまさしくキングダムハーツになっており、COMのような別システムによるガッカリ感はない。しかし、ゲーム全体に渡って調整が今一つ上手くなくどうしてもストレスが溜まってしまう。加えて、通信による協力プレイを行わなければ全ての要素を充足できない仕様は×。
シナリオ面でも終盤以外の盛り上がりがかなり小さく、その結末への期待だけがプレイを支えてくれた。
期待した出来、とは遠く呼べない作品。作業ゲー色が強い。
過去作をちゃんと遊んでいないとストーリーに完全に置いて行かれるので注意。


 1:プレイ時間 【★★★☆☆】
プラウドモードで殺されながらプレイして、クリアまで25時間程度。
詳しくは後述するが、本作はまずシステムがクエスト請負(依頼遂行)形式であると共に、「日常を描く」ことがテーマの一つになっている作品。ゆえに元々マンネリ感が非常に強くなるのは製作陣も目に見えていただろう。だがプレイしてみるとマンネリに打ち勝つ内容には遠く及ばない出来栄えで、25時間でも少々長く感じてしまう。残念。


 2:ストーリー(シナリオ) 【★★★☆☆】
あらすじ:遠く夕陽を見渡せる駅の時計塔から、二人は夕陽を見つめていた。「夕陽ってどうして赤いか知ってるか?」「どうしてアクセルが得意げなんだよ」 ――他愛のない会話。心を持たない彼らが故、なのだろうか。しかし、答えた少年・ロクサスにとってこの場所で過ごす時間は、何ものにも代え難い大切なもの。
少年は想いを馳せる。一人、足りない。思い浮かべるは黒髪の少女。
そう、物語はあの日突然13機関に入ってきたその少女、14番目の存在【シオン】によって動き出したのだ――


本作の時間軸としてはキングダムハーツ(以下KH)1と2の間で、もう少し詳しく書くと、ゲーム開始時はCOMの前になる。そしてCOMを経て2の直前までの、ロクサスが13機関の中どういった経緯でトワイライトタウンで過ごすことになったか、が語られることになる。
まず、本作のシステムとしてクエスト(ミッション)を一日一つこなしながら毎日を経てゆき、タイトルになっている358日目までのロクサスの生活を追体験することになる。……のだが、前述の通りその毎日に大きなイベントや展開があまりに足りない。勿論物語も進んではいるのだが終始緩慢で、いつ大きく動くのかと進めていたらエンディングを迎えてしまった。全体の流れはプレイヤーが予想していた通りの域を脱せていない。
「退屈になりがちな日常を描きながら物語を紡ぐことが今回のテーマと挑戦」みたいなことをどこかのインタビューで野村氏も言っていたが、挑戦に成功しているとも正直言い難い。

また、ミッション内外に関わらず行動できる範囲・マップが完全に決められており、自由度が全く感じられないのも挙げられる。既に終わったミッションはいつでも再挑戦できるのだが、クリア後などもそれらを埋めていく程度しか用意されていない。管理人はこの自由度という観点ではあまり評価をしないのだが、それでも目につくのだから気になる人には相当気になるだろう。

もう少し「こんな経緯を経てきてたのか!」と唸るような展開が欲しかった。
設定とキャラを眺めて「こんなことが起こるのかな」と予想したら大体それに近い内容だった、という感じ。つまり、詳細な設定が手元にあればこの程度であれば後付けでもなんでもすぐに思いつくレベル。

13機関はKHシリーズではソラやリクの「敵」として描かれており、目的遂行のために全ての行動をとっているように見えていた。その為、様々な指令を遂行しながらとはいえのんびりと毎日夕陽を眺めて過ごしていること自体に違和感もあり、なぜかすっきりしない部分も多い。

一応ラストはそこそこ感情に訴えかけてくれる。涙を流せはしなかったが涙ぐんだ。
その点で見ても、「ラストがどういう形になるかが分かっている」点では近いFF7CCに及んでいないと言えるだろう。


 3:難易度設定・調整 【★★☆☆☆】
辛口評価が続くが、頭で述べたとおり正直上手くない。
管理人の個人的な意見だが、キングダムハーツの良さのうち大事な一つとして敵をバカバカ倒してゆける爽快感が挙げられる。しかし、本作では敵のHP設定が雑魚も含めて総じて高すぎ、結構殴らないと死んでくれない。具体的には後半に入ると、体力バー3,4本が「雑魚で」デフォ。過去作でもそれに近い体力の雑魚はいたが、その分主人公の攻撃力も高く上げることができスピード感の足かせにはなっていなかった。しかし今作では攻撃力はなかなか伸びないのに敵の体力だけが伸び、結果その爽快感の部分がまったくもって生かせていなかった。しかも倒してもその報酬(マニーや経験値)が大きいわけでも無い。せっかく操作感は再現できており良いのに非常に勿体ない。

又、管理人が気になった点として連続被弾に対する対抗手段が用意されていないことが×。
ノックバックが小さく、無敵時間も無い本作は敵の攻撃が集中したり連続Hitする攻撃に捕まると一発でゲームオーバーにされてしまう。書いたとおり敵の体力が無駄に多い為にゲームオーバーでのやり直しが精神的にキツいなど、マイナスシナジーも起きてしまっている。
テストプレイはしたのだろうか? と疑問を投げかけたい。


 4:操作感(プレイ感覚) 【★★★★☆】
今回COMとは異なり操作システムは全て本家KH準拠になっており、操作に関しては全体的にストレス無く行うことができる。マップも下画面に常備されているし、挙動面でも思ったとおりに動いてくれる。○。
ちとアイテム解説欄が不親切(武器の能力上昇がつけてみないと確認できない等)である点と、カメラワークが非常に悪い点が減点対象。特に後者はひどく、身長よりも高い位置にロックオンなどしようものなら常に上向きにカメラが固定され、床や他の敵をチェックすることさえできなくなってしまう。もう少しこだわって欲しかった。


 5:独自システム 【★★★☆☆】
→パネルシステム
本作では操作キャラのステータスや装備、ミッションに持って行くアイテムや魔法の管理などに関する全てをパネルで管理する。つまり、決められた枠の中に自分の必要なものを入れていき、キャラをカスタマイズするシステム。パネルによっては複数枠使うものもあり、それをテトリスのように上手く並べて効果的に配置してゆく、という……まぁ、よくあるシステム。ミッションをクリアしてゆくと少しずつ枠が広がってゆくと共にパネルが充実し、戦闘能力が上昇してゆく。
嫌いなシステムではないのだが、レベルまでもをこのパネルシステムで管理する必要性は感じられない。
一応一度作ったものを保存しておくことができるなど、ケア面はしっかり作ってある。

→ホログラムミッション
一度クリアしたミッションにいつでも再挑戦できるシステム。
ノーマルミッションとトライアルミッションがあり、後者はミッション内で特定のアイテムを取得することで挑める難易度UP&制限増ミッション。クリア後の中心になる。
トライアルも内容は基本的にノーマルと同じで、マンネリ化の一端かもしれない。

→マルチプレイ
通信を使い最大4人でミッションに挑むことができる。
その際に13機関のメンバー+αの中から好きなキャラを選んで参加することができる辺りは、シリーズファンのツボを心得た上手いシステム。参加者の中で最もミッションポイントを集めた人には「ミッションクラウン」が贈られ、これを一定数集めると本編でもアイテムが貰える。
ただし、一人でのプレイができない(正確にはできるが、ミッションクラウンは2人以上でしか手に入らない為メリットがかなり小さい)のは×。Wi-Fiにも対応していないため、近くに仲間のいない人は諦めるしかない。管理人としては「一人でもできるが、複数人集まれば効率よくできる」程度の設定の方が良いと思うのだが。


 6:価値 【★★★☆☆】
管理人の購入価格:4980円くらい
やはり今まで語られなかった部分が明かされる作品である為、シリーズファンならば遊んでおいて損はない。DSのソフトなので普通に買えば高くもない。
が、色々と書いてきた通りゲーム自体はあまり魅力の見当たらない一本になっているし、クリア後の楽しみも薄く、2周目をやろうという気も起きない。そういう意味では、そうお勧めはしない。
しかしクリア後にKH2は非常にやりたくなる(笑


 7:キャラクター 【★★★☆☆】
基本的には旧作に出てたキャラで構成されたゲームなのでシオンに関してだけ。
あれだけ各キャラ個性の強い、否アクの強い面々の揃った13機関だというのに、シオンに関してはなんとも地味というか、個性が無い。勿論その存在ゆえにあんまりはじけたものにできないのは分かるが、それでも目立つ部分・心に残る部分が薄い。
ちなみに本作ではディズニーキャラは殆ど出てこない。ちょっと出てきてほぼ文字で話すだけ。
話すといえば、やはりKHは豪華な声優陣、というのも魅力の一つだとしみじみ感じた。容量の問題があるのは勿論わかるが、やはり字面だけの会話はKHらしくない。


 8:やりこみ要素 【★☆☆☆☆】
本作ではクリア後はクリア直前データに戻って少し追加要素が解禁される、だけだ。
やれることも、システム項で書いたトライアルミッションの中の高難度のものをクリアしたり、アイテムをコレクトしたりするくらいしかやることが無い。×。
全くこれといって取り上げるものが無いのだから、相当なものだと感じてほしい。


 9:グラフィック・アニメ 【★★★★☆】
DSの性質上、これまでのPS2と比べれば多少ポリゴンは粗いものの、それでもCOMの頃はアイコンのような稚拙な2D絵柄だったのに本作ではしっかり3Dポリゴンでがつがつ動くように再現しているのだから素晴らしい。
残念だったのは新規ムービーパートが少ないこと。MAPもムービーもだが、過去作からの使い回しも多い。


10:その他 【★★★★★】
特にその他の減点対象はない。
PSPのKHには期待したい。



最終更新:2009年06月14日 19:22
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。