デビルサマナー 葛葉ライドウ対超力兵団


総評 69点

【★★★★☆】
時間 シナリオ 調整 操作 独自 価値 キャラ やり込み グラフィック その他
評価 5 3 4 3 3 3 4 2 5 4
ソウルハッカーズ以来のデビルサマナーシリーズ。
まだまだシステムが完成されているとは言い難く、目につく部分は多いものの非常にデビルサマナーシリーズらしい、あるいはATLUSらしい雰囲気を全体に纏ったつくりになっており楽しくプレイできる。ファンサービスもやり過ぎな程用意されており、特に真Ⅰ・Ⅱをプレイ済みの人は遊ぶべき。
又、本作品は早期からシリーズ化がほのめかされており、しばらくの後に続編である「対アバドン王」も発売されている。こちらは本作品よりもかなり評判がよく管理人も今から楽しみである。


 1:プレイ時間 【★★★★★】
サブイベント完全無視のシナリオ優先プレイでクリアまで20時間強ほど。ただし、これをするとレベルが足りず、クリアはできるもののラスダンで新たに出現する上位悪魔の殆どが仲間にできない、という悔しい思いをすることになる。リリスにトールにベリアルにサンダルフォンに……どれも実際に仲魔にするとそれほど強いわけではないが、やはり目移りするライナップの殆どに手が出せないのは泣けた。
クリア後そのまま隠し要素充足&隠しボス撃破で約35時間。プレイ感覚と照らし合わせても絶妙な量だと感じた。◎。進行も「話数形式」を採用しており、区切りが分かりやすく次話への楽しみもプレイ意欲を増進してくれる。これはやはりシステムとのマッチングが起きているからこそ。○。


 2:ストーリー(シナリオ) 【★★★☆☆】
あらすじ:
大正二十年。日本の中心・帝都にて探偵業を営む鳴海とライドウの元に、一人の少女が奇妙な依頼を持ち込んだ。「私を殺してください……」絞り出すような声でそういう彼女に狼狽する二人。だが次の瞬間、少女は依頼の真意を告げぬままに何者かに連れ去られてしまう。二人は少女を追おうとするも真紅の兵隊に阻まれ、彼女を見失ってしまった。この誘拐事件が、国家を揺るがす大事件へと発展することを、二人はまだ想像もしていないだろう――


主人公・十四代目葛葉ライドウの襲名から、タイトルになっている超力兵団計画を防ぎその元凶を打ち倒すまでが本編にて語られる。序盤は探偵として一つ一つの小さな事件を追って行くかたちを取るが、それらが次第に大きな陰謀へと繋がってゆく話の盛り上げ方は○。話をスムーズに繋げられないシナリオライターに見習ってほしい出来。しかし、終盤に語られる物語全体の原因、つまり今回のストーリーの根源に当たる部分は少々プレイヤーに不親切な内容。どういうことかといえば、旧作品(特に真・メガテン)との繋がりを強くしすぎてそれらをプレイしていない人には疑問符の残る結末になってしまっているのだ。一応その存在に関するフォローは入るが、その行動理由の背景が今一つ明瞭にならない。
過去作との繋がりを作品内に盛り込むことに関しては大いに賛成なのだが、メインシナリオのそれも核心部分に絡ませるのは流石にやりすぎ。もしそれをやるのならば、少なくとももっとフォローを入れるべき。ファンサービスは結構だが、一本の作品としてしっかりと完結しないのでは本末転倒だろう。×。

まぁ、管理人はプレイ後ネットでどういう繋がりなのかを調べて「おーそうだったのか」と理解してゆく工程が嫌いではないゆえ、減点はこのくらい。


 3:難易度設定・調整 【★★★★☆】
中盤あたり以降のボスが妙に堅く(HPが多く)多少ダルくは感じるものの、全編通してワザワザボスの前に仲魔合成をしたり、レベル上げをしたりする必要がある場面はなく攻略することができる。管理人好み。良。次に進むべき場所・話しかけるべき人に関してもお目付け役のゴウトが逐一教えてくれるので、○連打していて見逃したりすることがなければ迷うこともなくサクサク進めるだろう。この教えっぷりが甘すぎる・面白味を消しているという評価も見るが、これは管理人からすれば寧ろ良い。行ける場所が指定され自由度が無くなってしまうのであれば考えものだが、そういうわけでも無いし逆に、次に話す相手・進む場所を自力で探して回るのは徒労でしかない。


 4:操作感(プレイ感覚) 【★★★☆☆】
レスポンスは良いしロード時間も長くない為ストレスは溜まらないが、戦闘時・非戦闘時に関わらず主人公の移動速度が緩慢でダッシュも無い為、移動が非常に面倒。加えて高めに設定されているエンカウント率も手伝って、軽いマイナスシナジーが生じている。
又、仲魔たちはその系統によって「相手の心を読む~読心術~」「相手の心に火をつける~発火~」「現場の痕跡・怪しい場所を洗い出す~現場検証~」などの、ゲームの進行に必要な捜査スキルをいずれか1つか2つのみ所持している。ゆえに必要な時に必要なスキルを持った仲魔がいない時には調達に行く必要があるのだが、それが近くにいない場合が多い。これも移動の遅さと共にプレイ感覚を悪くしている。×。
音楽や雰囲気が世界観にマッチしていることが、それらを和らげてくれているか。


 5:独自システム 【★★★☆☆】
→戦闘システム
本作品は基本的に戦闘によりレベルが上昇してゆくRPGなのだが、戦闘はアクションである。いわゆるテイルズ方式。管理人が勝手に命名した。手元の仲魔から一体を召喚し、ライドウは刀と拳銃で攻撃をしながら戦闘を進めてゆく。本作品では特定の属性の攻撃を当てなければ破壊できない壁(シキミの壁)もそこかしこに存在しており、操作感項で触れたシステムもある為様々な種族の仲魔を万遍無く所持するように心掛けることがスムーズな攻略のカギとも言える。
又、本作もATLUSさんの通例に則っており弱点属性での攻撃を狙うことが非常に効果的。弱点属性の攻撃が命中すると数秒間動きが止まり、その間にHitした攻撃は全て会心の一撃となる。こちらの視点でも、多種族の所持が重要だということが分かる。
問題は戦闘中に行える操作が数種類しかなく、戦闘のマンネリ化が起こりやすい点。仲魔を一体のみしか呼び出せないのもなんだか寂しい。AIもあまり頭が良くない。
→単独捜査
仲魔は戦闘中のみならず、フィールドマップ移動中も呼び出すことができる。(捜査スキルはこうして呼び出したときに使用する)フィールドには人間の入れない場所や、人間では触れても意味を成さないものなども存在しており、そういったものに対してはこの単独捜査を指示し、仲魔を操作することで進行させることが必要になる。
単独捜査中は戦闘も仲魔のみで行うことになるが、ちゃんと敵も1体か2体になる仕様は良い。


 6:価値 【★★★☆☆】
管理人の購入価格:2280円
ATLUSファン、特にメガテンファンならばプレイしてみてほしい一本。
そうでなければ、ゲーム自体の出来は今一歩感の強いものであり、あまり勧めない。
馬鹿安くもなく値段相応、といったところだろうか。


 7:キャラクター 【★★★★☆】
本作のキャラクター陣は金子一馬氏の独特なデザインに基づいて、忠実に3D化している。その為か、声が(恐らくは故意に)ついていないのも手伝って、ドラマを見ているというよりは人形劇を見ているような感覚に浸ることができる。しかし、各キャラの挙動は必要以上に人間らしいからまた深味を感じてしまい製作陣の思うつぼである。普段は無言キャラであるのに、周りの人に見つめられたりする度に帽子を深くしたり目をそらしてしまう主人公も愛らしい。
減点対象は登場悪魔の少なさ。今回はそもそも種族の数が少ないことが影響してか、進むたびに少し合成してやればすぐに全種類集まってしまう。……といっても、これ以上種族の数を増やすと捜査パートで必要な種族の悪魔を用意する工程がさらに面倒なものになってしまう為、妥協点を探した結果なのかもしれない。


 8:やりこみ要素 【★★☆☆☆】
クリア後の引き継ぎも一応あるがちと内容が乏しいものであるし、隠しダンジョンの類も存在しない(サブイベントとして攻略したい人だけが攻略するダンジョンのようなものはあるが……)。隠しボスは全部で5体程度存在しており、クリア後にやるとすればそのボスたちを撃破するために鍛えたり、アイテムや仲魔を収集するくらいだろうか。
一応2週目限定のボス(であり仲魔。倒すことで従えることが可能になる)も存在するが一体だけ。
2週目からは鬼難易度モードが解禁されるが……これをプレイするのは相当なツワモノだなぁ。


 9:グラフィック・アニメ 【★★★★★】
キャラクター項で書いたとおり、金子氏の作画を忠実に3D化している。ポリゴンのつなぎ目も押えてあり滑らかな質感がよく出ている。○。加えて、3Dとはいっても従来のメガテンなどでは動き回る悪魔・仲魔はあまり見ることができなかった(RPGゆえに)。その点本作は生き生きと動きまわる姿を見ることができるし、悪魔によって攻撃や移動の速度・性能が異なるなど、また一つ魅力を出すことに成功している。良。


10:その他 【★★★★☆】
今回、仲魔の持つスキルの総数が全部で4つと少ない。その為、普段の悪魔合体の醍醐味である特技の継承があまり自在にできないのが残念であった。次回作はちょこっと覗いたら戦闘も捜査も何もかもが改善されているようなので、早くプレイしたいものだ。



最終更新:2009年06月30日 00:40
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