総評 63点
【★★★★☆】
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時間 |
シナリオ |
調整 |
操作 |
独自 |
価値 |
キャラ |
やり込み |
グラフィック |
その他 |
評価 |
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流石の話題作、あっという間に300万本売れたDQシリーズ最新作。
システムは8の進化形と呼べるものになっており、主人公や仲間をキャラメイクによって生み出すシステムを採用したことに合わせて職業や装備などがよりパーソナルな役割や意味を持つものに仕上がっている。
ゲーム自体はそれなりに面白く、調整面でもDQらしい「ちょっとずつのLV上げが必要」な環境が再現できているのも良い。主な難点はクリア後に用意されたやり込み要素が全てプレイヤーに嫌と言うほど時間を使わせるようになっている点。
ネット上でちらほら見かける、ガングロ妖精に必要以上の拒絶反応が出ている人には正直苦笑。
1:プレイ時間 【★★★☆☆】
通り道でやれそうなクエストだけこなしつつ進んで本編クリアまで約30時間。クリア後は不思議な地図LV99クリアまでで管理人は約90時間。ただし、用意されたいくつかの要素それぞれに山ほど時間がかかる仕様なので、あまり参考にはならないと思う。
本編の長さは、ボリューミーとは言い難くもDSのRPGとしての及第点は守れている。これでクリア後も順調に遊べる調整がしっかりなされていればもっと良かったのだが。本気で充足しようと思ったら200や300時間では足りないだろうクリア後要素の数々にはうんざりである。詳しくはやりこみ要素項で口述する。長く遊べる要素を準備するのは悪いことではないのだが、製作者はプレイヤーに瞬時に「自分では全部はやりきれない」と感じさせては遊んでもらえないということを理解するべき。
長く遊べる、というよりも長く遊ばされる、ゲームの典型になってしまっていたのが残念。
2:ストーリー(シナリオ) 【★★★☆☆】
あらすじ:
人間界のはるか上空には座する天使の住む国。そこに住む天使たちは、人間たちを影から支え魔物から守ることで、感謝の気持ちの結晶である星のオーラを集め世界樹に捧げ続けていた。世界樹に力が満ちる時女神の果実が実り、神の国への道が開かれる。天使に伝わる言い伝えである。主人公も尊敬する師・イザヤールの元で日々星のオーラを集めていたのだが、そんなある日、ついに女神の果実が実る時が訪れようとしていた――
我ながら公式ページの内容と大差無い酷いあらすじ(笑
本編は世界を回りながら女神の果実を集めて回り、その後イベントを経て最後の敵との対決を迎える。全編通して割合あっさりしたショートストーリーが続き、クライマックス及びその解決においてさえ特にサプライズも何も無いままに進んでしまうのは残念。結果、どうしてもボリューム感の無い印象が強く感じられてしまう。
ゲーム開始直後から多くの伏線を張りながら進むのに、その多くが回収されずにエンディングを迎えてしまうのも惜しい。この点に関しては、今後配信クエストとしてまだ設定に関わる物語も多く存在するようなのでそちらに期待か。
評価できるのは、一つ一つの物語が一応ちゃんと「人間には醜い部分がある。だが、そういう人間ばかりではない」という描き方がなされていたことか。本作の設定では人間自体を天使の守る対象であり、世界樹が実をつけるのに必要不可欠な存在である、即ち世界を良い方向に導く存在として描いている。そのような世界観にありながら、人間を正の方向に描くことができていない物語もたまにあるから困る。今回はそういった食い違いは起こっておらず、好印象ではあった。
3:難易度設定・調整 【★★★★☆】
冒頭に書いたとおり、ダンジョン一つ一つでちょっとずつのレベル上げが必須な難易度調整はいかにもDQらしい。管理人は基本的に本編中は物語を追いたい為難易度は低い方が良いのだが、こういったシリーズの持つ特色を殺さずにおこうという配慮は大切である。シリーズものがSEや定番音楽をそのまま使うことは既に決まり事のようになっているが、こうした見えない部分にも統一感は存在しているのだ。
本作では職業変更に止まって特定の魔法しか唱えることができないようになっており、パーティの職業構成次第ではリレミトが仕様できない旅を強いられることになる。この魔法に関する仕様変更はモンハンのような、複数人数でのプレイを念頭に置いたものとしては間違っていないのだが……例えば高額に設定したリレミトアイテムを道具屋に置くなど、救援策が何一つ用意されていないのは×。これはここに限った話ではなく、特技や装備などの面でも言えること。
クリア後に関してはもう馬鹿かと。「DQでモンハンやってみました」にしか見えない低ドロップ率のアイテムとそれらを用いた武器防具の合成は酷い。あれはモンハンの持つアクション性や仲間との協力があってこそ、それらが一つも追いついていない本作でやろうとしても辛いだけである。
4:操作感(プレイ感覚) 【★★★★☆】
「猛烈にハマったりはしないけど、LV上げでも遊ぼうと思えばのんびりいつまででも遊べそう」という感覚はちゃんと作ることができており、DSで発売されるDQということで不安視されていたが及第点は守れている。といっても、移動・戦闘などの基本的なシステムは従来から大きな変化は無いので当然と言えば当然ではあるのだが。
入力してからのレスポンスも良いし、操作への配慮も多く悪くない。プレイしていてシステム面でストレスが溜まる部分はあまり無いだろう。前述のリレミト等くらいか。
5:独自システム 【★★★★☆】
やり込み要素も含めて色々用意されてはいるが、目新しいものは殆ど無い。
→マルチプレイ
集まったプレイヤーの中から一人ホストを決定し、他の人はその人の世界にお邪魔する形で協力プレイを行うことができる。プレイ中はそれぞれ別々に行動するが、他の人が戦闘している間はこちらからはフィールドでとどまっているように見える。そこに突っ込むことで後追い型で自分もその戦闘に参加することができる。物語の進行度や世界はホスト基準となる為、一緒に冒険、といっても従来の協力プレイのそれとは大きく異なるものとなっている。勿論、本篇を進めることができるのはホストプレイヤーのみ。……正直、いっそモンハンのようにクエストやダンジョンを選んで仲間と協力する形式にしたらよかった、と感じたが。Wi-Fiまで対応すると言っておきながら結局ワイヤレス通信でしか使えなかったことからも分かるように、本通信システムの完成度は高くはない。
→Wi-Fiによる通信
一日一回通信することで毎日違うラインナップの店で買い物ができたり(本来は店に売っていないアイテムが多い)、イベントの配信が行われる。歴代キャラクターを呼び込むこともできる。クリア後のイベントの多くはまだ未配信で今後のお楽しみである。が、改造利用者は解禁できてしまっているらしく、攻略サイトでは全て紹介されている。
→すれちがい通信
お互いの主人公をお客さんとして呼んでこれる。クリアした宝の地図(やり込み要素項で後述)をもらえたり、沢山集めることでイベントが起きたりする。
→キャラメイク
髪型や顔のパーツ、身長や体型などを自分で選んで主人公や仲間を作って冒険を行う。
この辺もモンハンらしいよなぁ、と感じた点の一つだったり。ただ、通信システム自体があまり活用しようというものではない故にそこまでの必要性は感じられないのだが。管理人は、キャラメイクしないタイプの方が好みなんですよね。
→錬金釜
材料を集めて釜に入れると別のアイテムが生み出される、まぁよくあるシステムであり8にもあった。
しかし、本作の錬金釜はどうにも調整が下手で使い勝手が良くない。本編中は材料の手に入るタイミングが少しおかしく、何かが作れる瞬間にはすでにそのアイテムが手に入っていたり店で売られていたりするのだ。錬金を行うメリットが無い。逆にクリア後はと言えば、強装備の殆どがこの錬金で手に入るものとして用意されていて、ボスや敵が落とすアイテムや高LVの宝の地図からしか手に入らないアイテムを延々と集めなければ作成できなかったりする。もう少し上手い設定ができていたらよかったのだが。時間は使わせれば良いというものではない。
→転職
本作は職業ごとにレベルが独立して存在しており、転職を行うことでレベルや能力値が変化する。
同時に使用可能な魔法や装備も変わる。特に本篇中はレベル初期化は大きな足かせとなる為、あまり何度も転職を繰り返すことは得策ではないだろう。前述の通り、システムを変える際のフォローが殆ど無いのが残念。レベル99の職業をレベル1に戻すことができる転生というシステムも存在するが、そこまでプレイしない人も多いだろう。
6:価値 【★★★★☆】
管理人の購入価格:3980円
DQに過度な幻想を抱いておらず、長く遊べるだけRPGが好きな人であれば十二分に基は取れる。
ただし、管理人の周囲にも最後までプレイせずに辞めた人は多く存在しており、どうしても肌に合わないという人も多いようである。冒頭に書いた通り、コギャル妖精に拒絶反応が出る人もいる。
クエスト配信もある為、あまりゲームをやらない人であればこれだけでもOKかもしれない。管理人自信は到底そんな風には思えないが。笑。
7:キャラクター 【★★☆☆☆】
本作では主人公や一緒に旅をする仲間を全てキャラクターメイキングで構成するので、感情移入は将人気あまりできない(これは管理人の感情移入の定義によるもの。他者に自分を重ねるからこその「移入」であると管理人は考える。詳しくは
前書きを参照のこと)。
しかも数少ない一緒に行動するキャラクターというのがコギャル妖精なのだから目も当てられない。管理人はそれほど嫌だという気はしなかったが、それでもファンタジックな世界観にマッチしていると考えられるほどではない。というか、それはないだろう。一体製作陣の会議でどんな流れがあってあのキャラクターが通ったのか、その全容と流れを一度お目にかかりたいものだ。
8:やりこみ要素 【★★★☆☆】
→宝の地図
クリア後にある国の王様から地図が一つ貰える(本編中にも冒険家から一枚貰える)。まずワールドマップの一部を切り出した形のその地図の示す場所を探す。示された場所にはランダムに生成されたダンジョンが用意されている。最奥にはボスがおり、そのボスを倒すと次の地図が貰える。
また、一つ一つの地図にはレベルが設定されており、主人公たちのレベルを上げたりボスを早いターンで倒したりすることで少しずつそのレベルを上げてゆき、LV99の地図にたどりつくとようやく最後の敵との対峙となる。主人公たちのレベルが上がらないと何度潜ってもなかなか地図のレベルも上がらず、イライラさせられる。少なくとも下がることは無いようにするなど、もう少しスムーズに先に進む仕様であればもっと楽しかっただろうに。残念。
→クエストシステム
本編中から存在するが、町の人からクエストを受けてそれをこなしてゆく。クリア後には多くの依頼が解禁されるし、配信クエストにも手を出せるようになる。その報酬が割合どうでもよいものが多く、ここでしか手に入らないものが貰えるのはほんのごく一部。相関関係のあるクエストもあまり無い。この辺りはどれも修正点であろう。
→魔王の地図
特定のイベントで手に入る魔王の地図と呼ばれるものには、過去のドラクエで戦ってきた歴代魔王と戦闘することができる。一番最初に手に入るのはおそらくバラモス。その多くは配信クエストとして用意されており、まだプレイできない。また、この魔王を倒した際には得られる経験値を魔王に与えることができる。一回与えると一回レベルが上昇する。これを繰り返して相手の魔王のレベルを上げてやらないと良いアイテムが入手できない。ひたすらに繰り返しの作業である。
ちなみに、それぞれの魔王に10%未満のドロップアイテムが用意されており、それを複数集めなければいけない錬金アイテムも多く存在している。
9:グラフィック・アニメ 【★★★☆☆】
DSらしいポリゴンだが非常に生き生きと動くモンスターたちが非常に良い。町やダンジョンの広さ・デザインとキャラの移動速度のつりあいも取れており気持ち良くプレイできる。
残念だったのは、せっかくキャラメイクができるのにその選択肢が少なくバリエーションに乏しい点。10種類用意されていようがそのうち5種類が「これは選ばんて」っつーネタ系では意味がないのだ。もう少し他と被らない選択ができるようになっていたら良かった。
10:その他 【★★★★★】
配信クエストで名前のあるキャラを連れて歩けるのはやっぱり良い。
歴代キャラも早くもっとたくさん来てほしいものだ。
やはり有名シリーズということで管理人も考えながらプレイしたせいか、色々と目についてしまい評価が低めになってしまったかもしれない。
最終更新:2009年08月02日 00:55