勇者30


総評 72点

【★★★★☆】
時間 シナリオ 調整 操作 独自 価値 キャラ やり込み グラフィック その他
評価 3 5 4 5 4 4 4 3 4 5
パパッと遊べるPC用フリーソフト「三十秒勇者」を拡張させて生まれたお手軽RPG。
30秒のRPG「勇者30」、30秒のSLG「魔王30」、30秒のSTG「王女30」、30秒のACT「騎士30」の4種のゲームが詰まった一本。勇者30が大元であったゲームだけあって、その他の3種は今一つ遊んでいてもパッとしない内容になっている。特に後半2つはイマイチ。
しかし、それぞれの物語は相互にリンクしており、ゲームを進めることでその繋がりが新たな物語を生み出すゲーム全体の構成は秀逸。そういった方向性で来ると考えていなかっただけに受けた感銘も大きかった。
サクサク遊べるゲームが好きな人には十二分に楽しい一本。時間に追われながら一気に魔王を倒してゆく爽快感は素晴らしい。ただ、こういったソフトの難点であるプレイ時間の問題はやはり本作でも健在で残念。


 1:プレイ時間 【★★★☆☆】
クリア優先でプレイして4種+追加ゲームクリアまで約8時間。勇者30に用意されているやり込み要素を充足して13時間程度。一応にも「30秒で世界を救う」と謳っているだけに、女神にお金を払って時間を戻すなど実際には30秒以上はかかっているとはいえ、1ステージにかかる時間は数分。長いステージでも10分はかからない。それでボリュームを出せという方が難しくはあるのだが、一応ストーリーの分岐やアイテム収集など楽しみながら長く遊べる要素が用意されている。
……のだが、そういった工夫がなされていたのは勇者30くらいのもので、他のものにはあまり工夫も見られなかったように感じられた。


 2:ストーリー(シナリオ) 【★★★★★】
あらすじ:
時は女神歴100年。世界を気ままに旅していた一人の旅人は、魔王の世界ハメツ宣言に慌てた王様によって突如勇者に仕立て上げられてしまう。とりあえず旅には出てみたものの、魔王の唱えた世界をハメツさせる呪文が発動するまでの猶予はたったの30秒。勇者が魔王の元に辿りつくよりも早く、世界の破滅の瞬間が訪れてしまう。もうダメだと瞼を閉じたその瞬間、勇者に救いの手を差し伸べる者がいた。それこそが時の女神……とは名ばかりの守銭奴だったのである――


あらすじは多少脚色アリ^^
魔王の創造した世界ハメツの呪文を最初のストーリーで辛うじて食い止めるのだが、それを伝える存在が次々と世界各地の魔王にそれを伝え歩いてしまう。そこで勇者と時の女神はそれを追いかけながら世界を救って行く、というのがメインストーリーとなる。ステージは分岐含めて全部で30存在しているが、中には中ボスとでも言うべきランクの高い魔王も存在する。そういった場面では、それまでのステージで様々なイベントを経て力を合わせた仲間たちが結集して魔王に挑む、などのいかにもRPGらしい熱いシナリオが存在するのも良い。一つ一つのステージも、非常に軽いノリ・テンションの魔王や時の女神やキャラたちの織り成すイベントの数々が非常に楽しく仕上がっており○。一つ一つはありがちな展開などが多いが、それをキャラクター達の持つ魅力やノリで補うタイプの物語。管理人はもともと王道好きなので十分なのだが(笑

又、4種類のゲームはそれぞれ物語が繋がっており、上記勇者30が女神歴100年、魔王30が女神歴200年、王女が300年、騎士が500年に起きた出来事として描かれている。そして、これらをクリアした後に現れる最後の物語ではそれまでの彼らの物語に終止符を打つものとなっている。この構成も純粋に面白かった。


 3:難易度設定・調整 【★★★★☆】
難易度は低く設定されており、勇者~騎士に関わらず大抵のステージは1~2回のプレイで攻略できる。
ゲームのテーマが30秒という限られた時間であり、そのスピーディなプレイ感覚こそ大切にするべき部分なのだから、本作の低い難易度はそこにマッチした良い設定。軽快に遊べるゲームの中でもトップクラスである。
調整面の難は、既述の通り主に王女と騎士における「先に進んでも難易度が全く変わらない」状態。レベルの存在しないこの手のゲームではありがちであるのだが。。やはりゲームは先に進むほど難しくなって然るべきである。それが無い為に手応えが一定で、マンネリ化を早々に招いてしまっている。


 4:操作感(プレイ感覚) 【★★★★★】
非常に手軽な操作が可能でレスポンスも良く、プレイ感覚において文句は特にない。
システムも操作自体も直感的でわかりやすく悩む必要が全くないのも管理人好み。
ロード時間も短く、イベント飛ばしも用意されており○。


 5:独自システム 【★★★★☆】
→勇者30
町の中以外の全ての行動(移動・戦闘)中30秒からのカウントダウンがプレイヤーに迫る。基本的には、30秒以内に雑魚を倒してレベル上げ&資金貯めを行い、適度なところで時の女神にお金を支払って時間を戻す。これを繰り返し(必ずしも必要ではない。ステージによっては20秒ほどでクリアできるものもw)、最終的に魔王を倒すのが目的となる。死んでしまった場合もステージの開始地点に戻されるだけである。
この町では回復や装備の購入の他にも様々なイベントが用意されており、物語を盛り上げてくれる。
また、各ステージには2種の称号(特定の条件を満たすと貰える)や様々なアイテムが用意されており、これらを集めてゆくのも一つのやり込み要素になる。
ちと女神の時間引き戻しの値段が安すぎるきらいはある。
→魔王30
モンスターを召喚する能力を持つ魔王が主役。ジャンケンと同様の相性を持つパワー・スピード・ショットの3種の敵が配置されているステージを、それぞれ敵に対して相性の良いモンスターを召喚しながら蹴散らして30秒以内に目的を果たせばステージクリアとなる。
シナリオ中に少しより道をすると四天王と呼ぶ召喚モンスターを入手できたり、魔王が恋い焦がれるミレニアに関するサブイベントを見れたりする。この魔王30も、勇者30と同様に時の女神にお金を支払うことで時間を巻き戻すことが可能。
→王女30
時機は王女を複数の兵士たちが担ぐかたちで構成されており、敵や敵の攻撃に触れることでこの兵士たちが徐々に減少し、攻撃力や移動速度が低下する。この王女30にも各ステージに30秒の制限時間が設定されており、女神のカーペット上を進むことでお金を失いつつ時間を回復することができる。
この「時間」を大切にしすぎた為か、STGと謳っているのに被弾死が存在しない(どんなに被弾しても兵士が「減る」だけで時機が死ぬことは無い)のは残念。
また、ゲームのシステムとして「目的地まで行って戻ってくる」のが1ステージのサイクルになるのだが、全てのステージがその構成になっているのは流石にマンネリがある。出てくる敵もそれほど変わり映えしない。
→騎士30
魔物を一掃する呪文を唱える賢者を、何度死んでもよみがえる騎士を使って守り抜くのが目的のゲーム。
フィールドにはこちらに迫ってくる敵シンボルが複数配置されており、プレイヤーは騎士を操作してそれらへの攻撃を加えたり移動の妨害をしたりして賢者を守る。
一応1ステージクリアするたびに「寝て回復する」か「寝る時間を削ってアイテムを開発する」かを選び、複数存在するアイテムから好きなものを開発して持って行くことができる。……のだが、正直このアイテムの開発を別段行う必要もなくクリアできてしまう。少し勿体ない。これも王女30同様に、全てのステージの行動目的が同じで代わり映えが少なくマンネリ化が激しい。

→勇者通信
アドホック通信を用いて、複数のプレイヤーが一つのステージの魔王に対して誰が早く倒せるかを競う。
……管理人は結局一度もプレイしていないのでなんとも言えません^^;


 6:価値 【★★★★☆】
管理人の購入価格:4000円弱
あっという間に終わってはしまうものの、そこまでの楽しみが多く用意されており十分に楽しめる。非常に携帯機にマッチした内容は素晴らしい。PSPということで値段が張らないのも良い。
基本的には誰でも手軽に楽しく遊べるジャンルのゲーム。


 7:キャラクター 【★★★★☆】
主に時の女神なのだが、登場キャラクターの面々がどれも良いキャラをしていてゲームを楽しく盛り上げてくれる。この薄すぎず濃すぎないキャラ達が非常に良い味を出している。あえての2Dで描かれているのもキャラ達の魅力を引き出しているし、時折差し込まれるリアル絵の味もより引き出している。


 8:やりこみ要素 【★★★☆☆】
各ゲームに用意された既述のやりこみ要素の他に、「女神の部屋」という収集要素のまとめ項目が用意されている。勇者30に出てくる様々な武器防具や、魔王(シナリオの進み方によって会わない魔王も複数いる)の一覧表などを集めると図鑑が埋まり魔王などの設定画像を見ることができる。
正直それほど報酬が嬉しいものでなく、全部埋めてやろうという気をそれほど湧かせてくれないのが惜しい。


 9:グラフィック・アニメ 【★★★★☆】
あえて粗いドット絵で統一表現されたキャラクターの面々が非常にいい味出している。
本作の方向性によくよく合致しており、下手に画像を頑張るよりも○。


10:その他 【★★★★★】
あと一歩何か用意されていたら素晴らしかったなぁ、という内容。いや十分面白いのだが。
手軽なゲームがその壁を超えてくれると、非常に良いものになる。次回作を期待できない作品(複数出しても新しさを出すのが難しい)だけに、本作をもっと作り込んでほしかった。




最終更新:2009年08月16日 22:51
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