総評 65点
【★★★★☆】
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時間 |
シナリオ |
調整 |
操作 |
独自 |
価値 |
キャラ |
やり込み |
グラフィック |
その他 |
評価 |
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ガッシガシ動く戦闘ムービーを備えたSRPG作品。
精神コマンド(のようなもの)やゲーム画面などは完全にスーパーロボット大戦ながら、程良く練られたシステムと独特のバランスのつけかたによって、しっかり一本の作品として成り立っている。システム面はキャラゲーとしては十二分の出来。
他方、キャラゲーの本質である原作キャラの魅せ方はといえば、挿入される高クオリティアニメはよいものの、基本的に旅に同行してお決まりのあれこれを見せてくれるのみに留まってしまっており今一歩。参戦すらしないキャラが複数いるのに加えて、シナリオも平坦で盛り上がることもなく、「原作ではありえない共闘が楽しめる」みたいな楽しみも特になし、で残念無念。オリジナルキャラも今一歩の魅力。
遊んでいれば面白いんだが、プレイ前の期待には全く応えない、そんな作品。
1:プレイ時間 【★★★★☆】
一週31話構成でクリアまでは20時間弱。SRPGだけあってそれなりには時間かかるが、シナリオが短い為にあっさり終わる印象。2週目以降の引き継ぎ要素もしっかり準備されており、周回時にはちゃんと容易く進められるようになる仕様も良い。2週目は恐らく半分くらい、3週目からはレベルも持ち越せるので3~4時間で終わるようになるだろう。
問題は後述するモンスター捕獲の高難度のせいで、ゲーム序盤から実行していく場合セーブ&ロードが超絶必須であるということだ。捕獲に関するやり直しを繰り返すだけで数時間経ってしまった。
2:ストーリー(シナリオ) 【★★☆☆☆】
あらすじ:
元気で負けず嫌いでおっちょこちょいな少女・キュートは、ある日突然クイーンズブレイドに参加すると言い出して家を飛び出した。彼女を守りできるなら家に連れ戻すために、彼女の従者であるジャンはそんな彼女に同行している。二人は旅を続ける中で多くの美闘士たちと出会い、そして友情を育んでゆく。しかし、ジャンには一つ怪訝に思う所があった。家を飛び出す前のお嬢様は、美闘士などに興味を持ったことなど一度も無かった筈なのだ。それは長年仕えているゆえよく知っている。それが突然、闘うなどと言い出した。服の趣向も変わった。何かが、変だ。変なのだ。しかし、そんな考えが彼の中に渦巻くのもほんの一時。次々と目の前に現れる美闘士の面々に目移りと興奮を抑えきれないジャンには、それを確かめることなどできはしないのだった――――
ストーリーに関しての感想は二言、非常に、中途半端。
アニメの方でメインキャラに僅かながら死者が出ているのに加え、オリジナルキャラがクイーンズブレイドに参戦している以上、原作と同じ世界の物語としてストーリーを組むのは元々難しかっただろう。必然的にパラレル世界の話になる。であるにも関わらず、話の大筋や各キャラの行動範囲、関係性を原作通り以上に展開しないのは勿体ないにも程がある。
本編中の展開はといえば、アニメ1部で見た覚えのある「沼地の魔女陣の美闘士の妨害」や「レイナを連れ戻そうとする姉妹」そして「オリジナルキャラの妨害」の三つが延々繰り返されるばかりでひたすら繰り返しの感が強い。
序盤~中盤にかけては次々と仲間のキャラが増える為に次は誰かという楽しみもあるものの、半分を超えた辺りからはそれも無くなり退屈としか言えない。仲間になるキャラもアニメでも「いい人」だったキャラばかりで目新しさも薄い。
せめて後半にかけても色々なキャラが参戦・参加する等のサプライズでもあればまだ良かったのだが……。パラレル世界観が全く生きていない。非参戦キャラが多いのは、戦闘ムービーを作成するのを面倒がった結果だろうか。
原作を追うことはしていないのに、原作に縛られた流れしか存在しない。
そんなところがとてもとても中途半端だ。
そしてストーリーの面白味の薄さのもう一つの原因は、オリジナル敵のスケールの小ささ。
練ってもいない設定だけで力押しのように何度「世界の危機」などと連呼したところで、意味が無いのだ。「序盤からずっとこちらに仕掛けては敗走を続けるだけで進歩も工夫もない敵幹部」や「力を見せることもなく終始一番奥で静かにしている親玉」と、プレイヤーが驚異を感じる場面が何一つ無いままただ世界を救いに行ってそのまま救って終わり、では盛り上がりもカタルシスもあったものではない。
せっかくオリジナルでキャラや設定を作るならもう少し力を入れてほしかったところ。
ここがもう少し壮大、というか全キャラを巻き込めるくらいのスケールを持った組織であったら、原作キャラももっと絡ませることもできただろうに。前述の通り用意できるキャラ数の限界であったならまぁどうしようもないが。
とりあえず公式ページで「登場キャラ」として紹介されているのに本編で話にしか出てこないキャラが3人も4人もいるってのは酷い。確かに話には登場してるけどさ……せめて闘いたかった。
かろうじて★2なのは、いわゆるお約束とか、そういう類の展開についてのみ一通り踏襲しておりその手の楽しみだけは味わえるため。
3:難易度設定・調整 【★★★☆☆】
少しでも単機で突入しようものなら即刻倒されてしまう設定はなかなかにシビアで新鮮。ガードを選択しなければ、雑魚敵も味方もステージボスも、大抵は二人に殴られたら撃墜されるのは流石にすこしやりすぎではあるのだが。敵が近づいてくるのを待ってから倒してゆく戦法が有効すぎると同時に、特定の強キャラが頼りになりすぎる。とはいえ、多めの敵に囲まれてスタートするMAPなどはなかなかハラハラできて面白い。
調整面で特筆してバランスがおかしいのが、本作の特徴の一つである「人型モンスターの捕獲」の難易度である。初めて実行できるのが第2話なのだが、その時点で実行しようとして管理人は3時間を費やしてしまった。元々、本作品のシステムではダメージを与える部位及びダメージ量が変動する為、ある意味運に左右される部分が大きい。かつ、回復しか能が無くレベルもおいていかれがちのジャンで最後の一撃を決めないといけない。敵のライフを回復できることを知らない序盤では、ジャンでトドメをさせるくらいに適度に部位HPを減らすのも大変な苦労。
……無駄に細かく書いてしまったがつまりは、ゲームの最大の特徴であるにも関わらずチュートリアルも無く初回から死ぬほど難しいという調整は正直おかしい、ということ。押しのシステムを楽しませない、というのは矛盾している。
レベル差が能力値以上に命中回避率に影響を与えるのもなんともいえない仕様。
4:操作感(プレイ感覚) 【★★★★★】
データインストールは使用したが、どの場面でも待つほどのロード時間無くプレイできるのは得点高い。戦闘ムービーへのINも割合スムーズに進む。本作のように戦闘ムービーを見ることをシステム側から求められる作品では非常に大切な点である。
また、攻撃方法の自動選択や会話パートの加速、ムービーのカットなど快適なプレイを助けるシステムも整っており、プレイ感覚はすこぶる良い。本項目の良さが「シナリオはダメだけど遊んでいると面白い」と思わせてくれる一因を担っているのは間違い無いだろう。
5:独自システム 【★★★☆☆】
システムは全体的に発想や接続は良いのだが、やはり調整面が下手すぎた。
→お母さん回避機能
馬鹿機能素晴らしい^^
いわゆるお色気シーンの多い本作なのだが、なんとStart+Selectを押下することでどんなシーンでも瞬時に画面がドット絵に切り替わるのだ! 勿論再開はドット絵を表示した瞬間から。この機能があれば突然お母さんが部屋に入ってきても誤魔化すことができるのさ!
こういうお遊びがあるのはいいなぁ。遊び心って素晴らしい、
→スキル
いわゆる精神コマンド。使用することでSPを消費して様々な効果を得ることができる。キャラ固有のスキルが二つに加え、宝石装備により所有スキルを様々にカスタマイズすることができるのが面白い。しかし一部のスキルが強力すぎてしまい、バランスを完全に崩してしまっていた。特にラスボスさえ麻痺状態にしてしまうパラライズプラスや、全キャラ基本攻撃射程が2マスであるにも関わらず周囲3マスに存在する敵の攻撃力を半分まで下げてしまうシャウトは凶悪すぎたか。
あと、分岐などで一時離脱をする度に仲間の装備品が全てはずれるのが非常に面倒臭い。×。
→フリートーク
いわゆるサモンナイトでいう夜会話。
1インターミッションにつき1人を選び、イベントを経て好感度を上昇させることができる。
キャラ毎に一定回数のイベントが用意されていて、最終的には大体ちょっとエッチな展開をジャンが楽しんで美闘士との絆が強まるような流れになる。
惜しいのはフリートークの進捗が周回によりリセットされてしまい、制覇が行えなかったこと。
→部位システム、及び鎧破壊システム
部位システムを組み込んだSRPGはゲームの歴史上幾つも存在するが、「部位を破壊したら装備が剥がれて裸に近づいていく」など、本作ほど原作の雰囲気に合致し、同時にシステムとして確立させている作品もそうは無い。
システムとしてはいわゆる本体のHPの他に、頭・胸・腕・腰・脚の5カ所それぞれに部位HPが存在しており、攻撃によるダメージは本体HPといずれかの部位HPの両方に同量が与えられる。戦闘により本体HPが0になるか、部位HPが全て0になるか、のいずれかの条件でキャラは戦闘不能となり離脱する。部位が破壊された瞬間戦闘ムービーをONにしたいた場合、その部位の服が破れるカットインが差し込まれ、同時に部位のみに攻撃を行う「ボーナスアタック」を追加で行うことができる。このボーナスアタックが後述のパーフェクトノックダウンの鍵だ。
破壊された部位は以降も攻撃を受け付け、その部位ではクリティカルが非常に出やすくなる。ただし、部位が1つ破壊される度にキャラは身軽になり回避能力が向上する為必ずしも悪い都は言えない。(大抵はピンチだが)
まるで居酒屋で思いついたようなシステムではあるが、なかなかどうして良く練られている。本体HPと部位HPのバランスさえもう少しなんとかなればもっと良かったのだが。
→パーフェクトノックダウン
上記鎧破壊システムによって全ての装備が破壊された場合をパーフェクトノックダウンと呼び、キャラがほぼ下着姿になるカットインが挿入されると共に取得経験値・取得資金が1.5倍になる。
一見簡単そうに見えるが、本作品では部位HPと本体HPに同量のダメージが与えられるにも関わらず、部位HPの合計が本体HPを大きく上回っている場合が殆ど。つまりは、普通に攻撃しても全部位を破壊する前に本体HPが無くなって離脱されてしまうのだ。
実行するには、ボーナスアタックを積極的に決める、ボーナスアタックの効率を上げる(ボーナスアタックは1度の攻撃による破壊につき一度なので、同時破壊をしない、元々の攻撃力を上げておく、等が考えられる)、敵のHPを回復する(回復能力持ちのみ可能)、などの工夫が必要不可欠。
加えて、攻撃によるダメージの与えられる部位は固定ではなく幾つかの候補からランダムに選ばれる仕様の為、どんなに準備をしても確実にとはいかないのが苦しいところ。後述の捕獲システムのキモでもあるのだから、もう少し難度を下げて然るべきだった。中断セーブ&ロードはSRPGでは馴染みあるものとはいえ、意地でもしない人もいるようなシステムなのだから。
→人型モンスター捕獲システム
捕獲可能モンスターを対象にして、パーフェクトノックダウンの最後の部位の破壊をジャンで行うことで相手モンスターを捕獲することができる。捕獲したモンスターは以降ジャンが召還することで戦闘に参加させることができるようになり、レベルや装備もエディット可能な美闘士とほぼ同じ扱いのキャラとして使う事ができる。フリートークの相手にも選べる。
だが、さんざん書いた通り非常に難度が高く、運も味方につける必要がある為大変。戦力には確かになるのだが、3種のキャラ×色違い3種しかいないのはちとガッカリである。種類の少なさより、仲間になるキャラに色違いってのが流石にない。
1マップで3人までしか呼べない為、お蔵入りしたキャラに使い道が無いのも苦労した割に勿体無く思えてしまう。もう少し何かあれば。惜しい部分の多いシステム。
6:価値 【★★★☆☆】
管理人の購入価格:5800円
定価の価値はちと無いか。
原作ファン、或いはスパロボ等SRPGが大好きな人であればそれなりには楽しめるので、中古で値段の下がった頃に遊ぶのがお勧め。(管理人は後者)
こんなソフトをエロ目的で買う人はいないだろうが、勿論下着水着以上にはなりませんのであしからずw
下着を着ていないあのキャラについては……ルーが鉄壁のディフェンスを見せてくれる(笑
7:キャラクター 【★★☆☆☆】
キュートは割とキャラが立っており、好感の持てる性格付けであることも良。「絶対にあきらめないんだから! 一生懸命は、無敵!」という戦闘台詞は彼女のキャラを一言で表した屈指の良台詞だと思う。
しかしそれ以外、即ちジャンやオリジナル敵キャラの数々があまりに雑で掘り下げも無いのは手抜きにも程がある。見た目で伝わるもの以上の個性が何も用意されていないし、特に好感を持てるポイントも無い。
意中の相手がさらわれて追いかけて、結局言いくるめられてこちらと対峙して、その人を救うのは他の仲間の呼びかけとかホント酷い脚本。
8:やりこみ要素 【★★★☆☆】
1週目→2週目は装備や技、捕獲モンスターのみの持ち越し。3週目からはレベル等持ち越し要素が増加する。
3種類用意されたEDを全て見ると、クリア後に2話の隠し追加シナリオと追加EDを楽しむことができる。
基本的には周回して選ばなかった選択肢を選んでいけば一通り楽しめ、かつサクサクやれるので気楽にやり込み要素まで遊べるという意味では良い。
が、やろうという意欲がそれほどわかないという意味で★の数は伸びなかった。
9:グラフィック・アニメ 【★★★★★】
戦闘ムービーはデフォルメキャラが所狭しと動き回り、決め技では格好良い本気カットインも挿入されてスパロボにも劣らない出来だ。
システムから「見なければいけない」仕様ではあるが、高クオリティアニメで何度見ても飽きない内容で○。早送り機能がちゃんと実装されているのも良い。
本編中に入る長回しのアニメーションも、少し解像度は粗いが作画も含めて出来はかなり良い。
10:その他 【★★★★★】
まぁ、次回作は無いと思うが。
これを機にこういったスパロボ風の人間SRPGゲーを他にも出していって欲しいと思う。
最終更新:2010年01月23日 00:08