ファイナルファンタジー13


総評 68点

【★★★★☆】
時間 シナリオ 調整 操作 独自 価値 キャラ やり込み グラフィック その他
評価 3 3 4 3 4 1 3 4 5 5
FFシリーズ最新作にして、超映像クオリティのみに特化した作品。
毎戦闘後に全回復かつ、戦闘のやり直し(リスタート)やゲームオーバーがノーペナルティーで何度でも可能な環境の中で効果的な攻略法をプレイヤーに探っていかせるゲームの方針は、パズルゲームの攻略にも似た不思議な感覚になる事が出来なかなかに新鮮で面白い。前半の厳しすぎるプレイヤーへの縛りや一切面白味のないキャラクター育成などツッコミ所は山ほど存在するものの、やり込み要素や稼ぎが非常に手軽にこなせるようにまとまっており「やらせすぎない」仕様にしているのも上手い。
とはいえ、キャラを育てる、アイテムを集める、まだ見ぬ土地を探索する、等々普通のRPGにおける原則の類や自由度といった面には何一つ長けていない作品であるのは確か。それゆえ、RPGの王道として君臨しているFFをプレイするプレイヤーの求めるものと合致せず巷の低評価に繋がっているのもある種当然の結果だろう。制作陣は作っていて楽しかったかもしれないが。
総評は初PS3による感動補正なんかも入っていると思う。正直。


 1:プレイ時間 【★★★☆☆】
寄り道無視でストーリーを進めてクリアまで35時間程。その後Wiki見ながらトロフィーコンプまで80時間あればゆうに足りるだろう。
全編通して「街」「ダンジョン」といった区切りが全く無く、延々と敵の徘徊する道を進んでムービーを見ていく形式が続くために、数時間プレイしているだけで疲れてしまう。それはそうだ、展開こそあろうともプレイヤー自身の行動としてはずっと同じ事を繰り返していることになるのだから。そのせいもあってか、普段以上、プレイ時間以上に管理人も本編の進行速度が亀でした。
ゲーム自体を見ればそれほど面白くないわけではないんだけども、そんなプレイヤーのことを鑑みない構成が評価を更に落としているのだろう。
だが冒頭で書いた通り、プレイ中・クリア後共にプレイ時間は大作RPGシリーズらしくない、コンパクトな内容にまとまっておりバランスは考えられている。長時間は遊べない作品ゆえ、全体は短めに。そんなところが調整できてなぜニーズとの調整は放棄した作品を作るのか謎。それにしても、最近のRPGはわざと稼ぎポイントを作ってくれていて良い。


 2:ストーリー(シナリオ) 【★★★☆☆】
あらすじ:
天空に浮かぶ楽園「コクーン」に生きる人々は、自らの世界を理想郷と信じている。楽園コクーンは、人類の守護者である「ファルシ」たちの祝福を受けて、安らかな日々が続いてくかに思われていた。だが、禁忌の魔境として恐れられる下界「パルス」より到来したファルシが眠りから目覚め、穏やかなる日々は終わりを告げる。ファルシの見つかった地区に存在していた街は、聖府の命令によるコクーンからの排除「パージ」の対象となり、多くの人々が平和の為の死を強いられた。同然のように、反抗が起きる。街は戦火に包まれ、悲鳴と怒号が続けざまに巻き起こる。そこに運び出されるファルシと遺跡。運命と意思によりその場に集う戦士達。それぞれの想い。それぞれの宿命。彼らが遺跡の奥にてファルシと対峙した時新たな宿命がまた一つ、刻み込まれる――――

プレイヤーキャラそれぞれに背景や隠された設定が一揃いは用意してあり、話の要所で起こる各キャラの感情の爆発もしっかりと表現されていて物語としての及第点は一応は守れている。
ただ、その要所を迎えるまでがあまりに冗長で無駄が多く、感情移入が非常にしにくい。出来の悪い洋画状態。感情移入がしにくいが為に先も気になってくれない。専門用語(それも、FF用語ですらないFF13用語)も多すぎる上に、その解説の多くを「自分で読め」と辞書追加で済ましているのもよろしくない。
こうした描き方の問題や配分の難が目立ちすぎるのは非常に惜しいところ。勿体ない。内容自体や節目となるシーン自体の出来は決して悪くないのだが、数々の欠点がそれを素直に見られなくしてしまっている。ただでさえ本作は「戦闘」と「ムービー」が交互に行われすぎていて、プレイヤーがどちらに集中したらよいのか分からなくなりがちな構成であるのに、そこに軸として存在するシナリオが的確に使われていないのは致命的。全体構成にセンスが無かったか。構成担当者の責任だろう。ムービーをぶつ切りにしすぎるのが宜しくないという教訓といえる。

さてストーリーの評価としては、前半と後半で大きく分かれる。
前半は各キャラが背負わされた運命や現実に向き合うまでをじっくりと描いてゆくのだが、これがじっくり描きすぎて非常に緩慢。ただ一言言うだけにもどれだけ焦らすのかと。加えて、この前半はパーティメンバーからそのステータス上限、進行ルートに操作キャラまで縛られていて、ほぼ与えられたもので進めてゆくだけの仕様である。ある意味ゲームパートがムービーパートを見るための作業と化している。そりゃ飽きるしコントローラーを手放したくもなる。その分要所での爆発はなかなかのものだが、それらの溜まった鬱憤を帳消しにするほどには及んでいない。
一方の後半は、ようやく少し行動の自由度が増しシステム的な面白味が出てきたかと思えば、今度は途端にストーリーに面白味がなくなってしまう。メイン/サブキャラ共に行動や決意があまりに突発的になり流れもなにも無い展開が連続し、キャラの苦悩等も殆ど描かれなくなってしまう。まるでシナリオ担当が「自分がやりたかったことはもう一通りやったんで、あとは伏線回収さえやれれば。」といったスタンスでも取ったかのような状態。見せ場山場も特になく、仲間もなまじ団結しているがゆえに何かあっても少しのやりとりですぐ問題解消し、さぁ悪い奴やっつけに行こうという流れが乱れなさすぎる。イベント作るのが面倒になったかのような召還獣の取得ラッシュなども酷い。
ヤーグ・ロッシュだけは終始キャラが一貫しており、その立場や信条も格好良かった。そういえば声優も。

と、このように全体の力のいれ具合がバラバラ、というよりもちぐはぐで美しいCGで描かれる良シーンは少なくないのに、作品として盛り上がったかといえば今一歩な出来になってしまった。
後半のシステムの面白味の増加に合わせて物語が大きく盛り上げていけたら、かなりの良作に仕上がったと思うのだが。


 3:難易度設定・調整 【★★★★☆】
システム上はシンボルランダムエンカウントだが、道が完全に一本道なのでプレイ上はほぼシンボルエンカウントとなっている。出くわす相手をスルーできない場面の方が多いくらいだが、一応一通り倒して進むと丁度良くボスと戦えるだけの経験値になる調整は管理人好みで良。バルトアンデルスなど要所で戦うことになるボスや召還獣の類はみな一苦労するくらいの強さは持っており、かつレベル上げは特別不要な(工夫次第で勝てる)バランスや、時々いる強力な雑魚にもリザーブスモークを使ってゆくなどして難度を調整できる点もポイント高い。RPGという力押しが結局は物を言うジャンルにおいてなんとかテクニカルに戦えないかというスタッフの考えが感じられる独自システムも良い。
ただし、本作は雑魚からボスまで戦闘後に☆5つの評価が出るシステムとなっており、それが敵の強さを抑制する縛りとなっているのが残念か。隠しボスも9割以上がミッションの中に用意されており、☆5つ評価がトロフィーに必須な為に、それができる程度の強さに抑えられている感がある。非インターナショナル版のFFの隠しボスはそう大したことないことが多くはあるが、あっさり倒せすぎる気もする。


 4:操作感(プレイ感覚) 【★★★☆☆】
戦略の幅が無く行動回数も少ない序盤は○ボタンを連打するしかなく平坦な印象が強いが、後半以降の戦闘のサクサク感がかなり心地よい。
全体的にレスポンスも良く、ストレスを感じる部分は一部を除いて無く良い感じだ。その一部は、買い物時の店変更とクリスタリウム進行にタイムラグが多く、無駄な時間が多くかかってしまう部分。セーブ時に必ず新規データにカーソルが合っているのも地味に嫌らしい。ただし、キャラの操作は素直でストレス無く行えるのだがカメラワークが悪い、というよりカメラワークの操作がしにくく非常に足を引っ張っている。
ロード時間に関してはセーブデータからのロード時だけは少々長めのロードが入るものの、プレイ中は気にならない速度が実現できており良評価。


 5:独自システム 【★★★★☆】
今回もFFらしく独自新システムの塊。ついにFFらしさどころかRPGらしさすら無くす方向に進んでいるのには苦笑というか脱帽というか。
まるごと独自すぎることで逆にまとまっており、管理人的には意外と好印象だった。
→戦闘システム(固有名称無し)
簡単に書くと、攻撃によりダメージ倍率が上げながら敵を攻めるシステム。
攻撃が敵に命中すると、チェーンゲージと呼ばれるゲージが上昇する。これが直接敵に与えるダメージの係数となっており、100.0%からスタートしてドンドン上昇してゆき与えるダメージもあっというまに何倍にもなるのがなかなか楽しい。尚、このチェーンゲージには敵ごとに異なるブレイク値という閾値が存在しており、蓄積値がブレイク値を超えると敵が「ブレイク」し、更に大きなダメージを与えられると共に、こちらの攻撃による行動中断が起こるようになる。つまり、ブレイク後は一定時間ほぼフルボッコ状態になるということ。敵によって、ブレイクしやすい敵やそのまま攻めた方が良い敵、特定のロールで攻めなければ行けない敵など様々存在しており、どの行動が効果的かを考えながら戦闘を進めることとなる。
しかし、実際は着想時にイメージしたであろうほどの行動の幅の広さは生まれていなかったのは残念な部分。また、キャラ毎に得意なロールと特徴を設定することで個性を出しているが、使いやすいキャラ・使いにくいキャラがほぼ固定化されておりパーティの組み替えが殆ど生じないのも少し惜しいところだったか。
また、特徴的なのはプレイヤーが操作するキャラはリーダーキャラのみで、残りの二人はCPUが勝手に最善(と判断された)行動を取ること。というのも、今回は全キャラ1ターンに1~5回も行動を実施することができるからだろう。1つ選べば良かった従来のFFとは異なり、全キャラ自分で操作していたら寧ろ時間が足りなくなってしまう。忙しすぎるゲームはプレイしていて辛い。プレイ感覚に配慮した良い判断。
→リスタート
戦闘中の好きなとき、或いはゲームオーバー後に選択することでその戦闘に突入する前まで時間を巻き戻すことができる。つまり、敗北によるペナルティが本当に一切無い仕様。セーブポイントまで戻るとか、使ったアイテムが減ったままだとか、資金等何かが減るだとか、そういったものが本当に無い。戦闘中でも実施できるため、戦況が思わしくない場合なども自由にもう一度やり直すことができる。
普通のRPGであればあまり褒められた仕様ではないのだが、本作の戦闘間に相関が殆ど存在しない独特なシステム構成においては意外とマッチしているというのが正直な感想。ストレス緩衝材として正常に作用している。
→ロールとオプティマ
キャラクターは6種類のロールを使い分けて戦闘を行う。攻撃特化のアタッカー、チャージ値UP特化のブラスター、回復特化のヒーラー、等。パーティ3人のロールの組み合わせをオプティマと呼ぶ。
特化と表記したが、そのロールでいる間は本当にその行動しかできない。アタッカーでいる間は属性魔法は一切使えないし、回復はヒーラーにならないと一切使えない。その為、プレイヤーは戦闘前に事前に組んでおいたオプティマを戦況に合わせて切り替えながら闘うことになる。というか、プレイヤーの主な仕事は行動の選択よりもこのオプティマの変更になる。
タイミング等プレイヤー側で操作できるポイントがしっかりと用意されており、良い流れで進んだときにはテクニカルに闘っていると強く感じさせてくれる。○。
→クリスタリウム
本作にはLVが存在せず、戦闘によって得られたクリスタルポイント(CP)を消費してロールレベルを上げてゆくことでキャラの性能が成長してゆく。
一見プレイヤーの好きなようにステータスやロールを選んで成長させてゆけるように見えるのだが、これも実際には自由度は高くない。まず成長のルートが僅かな脇道がある程度でほぼ一本道である。脇道が少なすぎるが故、全て脇道を通って行けばよいだけになってしまいそもそも選択する場面が殆ど無い。次に、ストーリー進行によってキャラの成長限界が存在する仕様のため、どの順番で育てても中盤までは普通に進むだけで一通りのロールが最後まで育ってしまう。どれからやっても変わらない。最後に、上昇するステータスが攻撃・魔力・HPの3つしか無いということ。ステータスの種類をあえて簡素化させたのは面白い試みであると思うが、これもどれからやっても変わらないことを後押ししてしまっていた。
→召還獣
戦闘中に呼び出すと一定時間プレイヤーの操作キャラと共に闘ってくれる。他の味方二人、いわゆるCPUキャラたちはその間は退散。
時間と共にSPゲージが減少してゆき0になると帰って行くが、それまでに敵に与えたダメージによってまた別のゲージが溜まってゆく。帰ってしまう前にドライビングモードを開始すると、今度は攻撃によって溜めたゲージを使いながら一方的に敵を攻撃することができる。ドライビングモードに入ることができれば最後には斬鉄剣やメガフレアといった定番技を放つこともできる。
本システム自体には特に悪い印象も意見もないのだが、今回は召還獣という存在が中途半端に本編に絡んでしまっている為に、その種類が一人一種類(=計6種類)と限定されてしまっていたのが非常に残念だった。召還獣がFFの一つの特徴となっているのは既に周知の事実であり、そこが魅力でもある。それがCMなどで大分前から公開されていた数体の召還獣で全部です、では肩すかし感が否めない。せめてもう一匹ずつ……。
昔の、魔法の上位置換のような召還獣も使いやすくて好きだったんですけどね。もう無いのかなぁそんなの。


 6:価値 【★☆☆☆☆】
管理人の購入価格:8300円
「それなりに面白い」程度、絶賛はできない内容のゲームながら、原価が高すぎるゆえの低評価。普通の値段だったらこんなには。
ジャンルとしてのRPGらしさすら失いかけているゲームを、FFらしさを求めるユーザーが楽しめる筈がない。
順応に自信がないなら手を出さない方が吉。観るゲーが好きじゃない人はもっと手を出さない方が吉。発売前の予想以上にやるゲーでは全く無い。
始めてすぐやめた、みたいな感想を沢山見かけるが馬鹿かと。途中でやめるなんて初めて、というならわかるけども。
自分がやめる気配(可能性)がある人間ならば人の感想見てから買いなさいよ。と管理人は思うが。今回は特に。
まぁそういう人のおかげでゲーム業界もある意味存続してるのかもね。


 7:キャラクター 【★★★☆☆】
キャラ付け自体は定番からそのまま外せていないが、設定や背景に関してはちゃんと作ってありその爆発まできっちりやる姿勢も良い。ただ、その殆どが前半で終わってしまう、というか各キャラ1イベントずつしか見所が無いのが惜しい。それが終わってしまった後はついてくるだけで目立つ部分も特になし、なキャラも何人か。それゆえキャラの掘り下げが足りず感じる魅力も今ひとつになってしまっている。もうすこしそれぞれの決意がそれぞれにどう作用するのかまでしっかり組んでくれていると良かった。この辺はストーリー項でも触れた後半の手抜きっぷりにも関係。
しかし、おねぇさま(一人~二人)+ショタ(ってほどでもないが)PTとか狙いすぎだろwwあ、いや、管理人が好きなだけですかね^^


 8:やりこみ要素 【★★★★☆】
前述した通り、長時間はダルい作品の構成に合わせてコンパクトにまとまっていたのが好印象。
クリア後はクリスタリウムの最後の制限が解除され最大値までステータスを上げることができるようになる。また、クリア前でも実行可能だが全部で60個ほどのミッションをこなしてゆくのがメインとなる。残念だったのは、同じような敵を倒すミッションが多すぎたこと。ミッション自体は 請け負う→敵を倒してくる の繰り返しであるのに、そこで闘う相手まで変わり映えしないのでは作業でしかなくなってしまう。しかしその難易度は順番にやっていけば終盤の一部のもの以外は丁度クリアしてゆけるような難易度に調整されており、何度もやる必要が無くて良い。
その他、アイテム収集やステータスMAXなどがトロフィー条件となっているが、ネットでも研究されている話題作ゆえあっという間にそれらが行える稼ぎポイントが色々と見つかっていて死ぬほどの時間はかからない。制作側も最近はこういったポイントを故意に作っているのだろう。


 9:グラフィック・アニメ 【★★★★★】
スクエニもここは譲れない場所であっただろう。やはりこの点に関しては期待に十二分に応える出来と言って差し支えない。
ムービーパートに限らず、戦闘中の召還獣召還や決め技なども非常に美しいCGで描画され文句無し。
また、広大な草原を自由に走り回るモンスターの群れや、山の向こうで歩いている山よりも大きな生物の重量感やサイズ感・リアリティなどの表現力も素晴らしい。
非ムービーパートに時々顔や姿勢が怖い部分が残っているのが最後の課題だろうか。あと、ヴァニラのステータス画面の顔アップはもう少し可愛い絵選べなかったのだろうか……^^;


10:その他 【★★★★★】
まだインターナショナルが出るかどうかわからないが、やはり出てほしいところではある。
4倍速モードを搭載した12ほどの革新は無いだろうがまだまだ改善できる部分は多い。
ファルシとの直接対決が殆ど無かったが……インターナショナルでボスを追加するとしたらその辺ではないだろうか。予想ではなく希望です(笑



最終更新:2010年01月25日 01:17
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