総評 43点
【★★★☆☆】
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時間 |
シナリオ |
調整 |
操作 |
独自 |
価値 |
キャラ |
やり込み |
グラフィック |
その他 |
評価 |
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カードダス発売20周年を記念して発売された新しいカードゲーム「バトルスピリッツ」をモチーフに作られたアクションゲーム。
しかし、「色による得意戦術の差が殆ど無い」「敵プレイヤーを狙い撃ちするのが勝利への近道」「相手のカードに対応して何かをするといった戦略性が皆無」「戦闘が非常にせわしなく考えて動く時間が殆ど取れない」等々、バトスピはあくまでモチーフにしているだけであり、予想以上に『カードゲームではない』システム構成には正直ガッカリさせられた感が強い。アニメキャラや立体化されたスピリット(MTGでいうクリーチャー)によるビジュアル的に再現した雰囲気に頼りっきりで、ゲーム自体の本質にバトスピの雰囲気を全く感じなかったのが残念。
それをせめてでも取り返すかのように、戦闘外のカード入手シーンについては実物のカードゲーム「らしさ」をできる限り表現しようとしている。
兎に角、完全に別物なのは注意。
1:プレイ時間 【★☆☆☆☆】
ストーリーモードクリアまで7時間ほど。超速。
しかもクリア後にはフリーバトルをこなしてのいわゆるカード収集しかやることが残されておらず、すぐ飽きてしまうだろう。
後述するが、本作にはカードゲームの醍醐味が殆ど搭載されていない為に色々なデッキを組んでみようという気すら起きないから性質が悪い。カード集めにもやる気が出ない。
結局管理人も全部で10時間ほどしかやらなかった。本編クリア分+αのBPを全てカード購入に使用して、カード収集率は75%といったところで終了。100%に自力のみでできるのかどうか……検索してみたが、攻略サイトやWikiが存在すらしていなかった。
2:ストーリー(シナリオ) 【★★☆☆☆】
あらすじ:
アニメ1期の少年少女達の通う中学校・トアル中。霧笛セイヤはそこに通う中学1年生であり、「直球勝負だ!」が口癖の熱血少年である。小学生時代はリトルリーグのエースピッチャーとしてならした彼だが、中学に上がったらやりたいことを心に決めていた。バトスピだ。今世間を騒がせているバトルスピリッツにおいて絶対的な強さを誇るバシンに、彼は憧れの感情を抱いていた。自分もバシン先輩のように、熱い戦いを繰り広げたい。そして自分も、いつしか世界最強のカードバトラーになりたい。そんな思いを胸にバトスピ部に入部した彼は、今日もバトスピに明け暮れる。しかし、そんな彼の持つ輝石のペンダントを発端として、再び戦いが始まろうとしているのだった――――
ストーリー自体はなんの捻りもなく、主人公がアニメの2大主人公や1期のキャラクターたちと共に新たな悪の組織に立ち向かってゆく。極めて普通。
星の数を見れば分かるが、このサイトで星2がついているということは普通評価ではあるが寧ろマイナスということ。淡々と進みすぎる感があるのに加えて、ストーリー進行に際して原作キャラが全く働かず、全て主人公がなんとかしてゆくシナリオ構成は少々強引。敵が4人いて、みんなで一緒に行動しているのに主人公が4人全員と闘って先に進むとか周りは何をやっとるんだと。ストーリー性の欠片も無い。
バシンの「頑張ったのは主人公さ」という台詞が本気すぎてシュールに感じられてしまった。
評価できる点は、ラスボス戦が普通のバトルではなく巨大スピリットとの特殊な戦闘だったこと。
世界観にもシステムにも、そしてそろそろカードバトルがだるくなってきたプレイヤーの心情にも合致した良い選択。○。
3:難易度設定・調整 【★★☆☆☆】
バランスを取りすぎて、プレイヤーがどう行動したら良いのかわからなくなってしまった典型例とでも言おうか。
自分のデッキに組み込んだカードによって様々な行動をとれるはずの本作なのだが、どの行動をとってもそこから生じる結果に大差がないのだ。本編をプレイし進めていっても、どういう相手にはどう闘ったらいいのかだとか、どういうデッキを組んだら戦いやすいのか強いのかだとか、そういったことが殆ど掴めないまま終わってしまう。逆を言えば、掴めないままでもクリア出来てしまう。Aで攻撃してもBで攻撃しても同じではそれを選ぶ楽しみさえ無いのである。
バランスを取るのは難しいことだとは思うのだが、そこを平坦にしすぎてはプレイヤーが戸惑ってしまう。もう少しなんとかしてほしかったところ。
また、そこをはっきりさせることに失敗している為に敵の強さの設定も失敗しており、敵の親玉やJよりもその辺の雑魚やストライカーの方が断然強かったりとちぐはぐになってしまっていた。
カードの出原率に関しては悪くないだろう。
4:操作感(プレイ感覚) 【★★★☆☆】
メニュー系統における操作全般に関してはレスポンスも良く、軽快に進行してくれるので心地よくプレイ出来る。
しかし、やはりオール3DCGで描画される戦闘はネックになっておりロード時間は少々長め。戦闘開始後、主にネクサスが発動する度にちょくちょく一時停止するのもプレイ感覚の阻害になってしまっている。×
また、カード一覧(図鑑的なもの)がない、カードの効果の詳細が分からない(概要しか表示されない)、等々プレイヤーへの配慮の足りない使用が散見されるのも惜しい。
5:独自システム 【★★★☆☆】
→デッキ仕様
カードは40枚で1セット。同じカードは3枚まで。Xレアは1枚まで。ただし、援護スピリット(スピリットを召還して共に闘うカード)、盾スピリット(援護スピリットに近いが、積極的な攻撃を行わない)、武器スピリット(スピリットを召還するが、攻撃後スピリットは消滅する)はXレアを合わせて合計で10種類までしか入れることができない。
結局この縛りの意味が最後まで分からなかった。何のための種類制限だったのだろうか……。これによってデッキ構成が偏りがちになっていたように感じる。
→バトルシステム
プレイヤーは常にデッキの上から5枚を使用することができ、それらを駆使して相手プレイヤーのHPを0にするかデッキのリロードを3回行わせれば勝利となる。戦闘中は自動でコアがチャージされてゆき、このコアを消費してカードを使用する。カード使用時には自動で次のカードが補充され、デッキが切れるとHPの最大値を1/3消費してリロードが行われる。
以上のルールの中で「スピリットの召還」「ネクサス(罠)の設置」「マジックの使用」を行い、敵スピリットや敵プレイヤーを攻撃してゆく。
しかし、冒頭に書いた通りプレイヤーを集中攻撃することが致命的なほどに効果的で、基本的にマジックで直接プレイヤーを焼きながら相手に隣接してネクサスを放つ(CPUは妙に賢く、遠くにネクサスを配置しても滅多に踏まない)ことを繰り返しているだけて大抵の相手には勝ててしまう。また、Xレアの攻撃力なども破格に設定されておりうまく当たれば一撃で勝負が決まってしまうほど。どこを見ても設定が下手。
→カード
カードには赤紫緑白黄青の6色が用意されており、元となっているカードゲームではそれぞれに特色がある。
だが、本作ではマジックもネクサスもどの色にもほぼ同じ効果のカードが一通り用意されてしまっており、色を選ぶ楽しみが全く無くなってしまっている。どのXレアを使うか、くらいだろうか。原作と同名のカードも存在はするが効果はゲーム独自のものになってしまっており非常に残念。制作者はカードゲームをやったことがないのだろうか。
→バトスピセンター
本作唯一にして最大の良心。いわゆるカードショップ。
戦闘後に取得できるBPをここで支払うことでカードを入手することができる。通常は用意されたガチャガチャを一定額で回してカードを増やしてゆく。ここがまず良い。欲を言えばエキスパンションが無いのが残念ではあったが。また、バトスピセンターではカードの一枚売りもしており、品揃えも毎日変わる。これも良い。毎日店を覗いて、良いものが入っていたら少し高めのBPを支払って購入することができる。
と、ここまではカードゲームゲーなら大体はあるのだが、最大の売りは「余ったカードを売却してBPに戻せる」こと。これは多くのカードゲームゲーでも欲しいけれど非搭載、ということが非常によくあるシステムであり、これを積んでいるのはポイント高い。ガチャガチャを回して集めたカードでデッキを作り余ったカードを売って次のカード購入資金にする、という現実のカードの運用サイクルを再現することができる、非常にありがたいシステムである。ここまで整っているのは滅多にない。
これで他の出来がもう少しマシだったら……。
6:価値【★★☆☆☆】
管理人の購入価格:約4000円
カードゲーム好きにもアクションゲーム好きにもお勧めできない。長時間遊べるゲームでもない。
こういったゲーム最大の楽しみである対人対戦をしようにも、プレイヤー人口が少なすぎてまともにできないだろう。
それはそうだ、カードゲームが好きな人はこんな別ゲーではなくカードゲームを遊ぶだろう。
7:キャラクター 【★★★☆☆】
主人公・ヒロイン共にキャラ自体は嫌みもなく正直に描かれていて印象は悪くない。本編が短すぎるので掘り下げ不足であるのはまぁ当然ではある。
敵組織の親玉もアニメ1期をもじった設定になっておりファンサービス的にはそれなりにこなせている。絶賛はできないけどね。
しかし、主人公はアニメ1期の世界に生きる存在なのにキャラの表情や絵柄がどちらかといえば2期に近いのは少々疑問。何かがズレていて×。
8:やりこみ要素 【★★☆☆☆】
カードゲームらしくカード集めしかないのは普通。なのだが、それをするための何かを一切用意していないのは流石に酷いとしか。
9:グラフィック・アニメ 【★★★★☆】
CGは粗いが、アニメやカードに描かれた大小様々なスピリットたちが画面をところせましと暴れ回るのは見ていて楽しい。
システム上の問題で、スピリットが援護・盾・武器と分かれてしまった為に画面に長時間存在していられるスピリットがかなり少数しかいないのが残念なところだ。
10:その他 【★★★★☆】
書いていたら予想以上に低い評価になったなぁ。ここまでの低評価も久々。
次に出るのを遊ぶかどうかは未定。次は中途半端にカードゲームしない、もっとはっちゃけた内容になっているようなので少しは面白そうなのだが。
本作のシステムがカードゲームでないことはCMや公式ページで確認していたが、流石にここまで「カードゲームらしさ」を捨てきってしまった構成には良い感想は抱けない。カードゲームモチーフのゲームではあるのだから。
最終更新:2010年01月26日 01:35