総評 81点
【★★★★★】
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時間 |
シナリオ |
調整 |
操作 |
独自 |
価値 |
キャラ |
やり込み |
グラフィック |
その他 |
評価 |
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ついに語られるキングダムハーツの物語の原点。別々に行動する3人の主人公が紡ぎ合う物語を中心に、本編は文句無しに良い出来。
システムはキッチリとキングダムハーツで、主人公の頭身が上がっていながらも軽快な動きはそのままに敵をボコスカ殴りながら戦えて非常に楽しい。
バランス調整もなかなかに絶妙で、プラウドモードだとボスに雑魚によく殺されるのだがほんの少しレベル上げを行うとサクッとクリアできるようにまとめられていた。
まだまだ語られていない点や、わざと残したらしい謎があるが、次辺りで語ってくれることを切に願う。
プレイ後は3人の描く大団円が見たくてたまらなくなる仕様がまた憎い。
最大の失敗点は、3キャラ分の別々のセーブデータ作成が必須のゲームであるにも関わらず、セーブ時にデフォルトでセットされる位置が「直近のロードデータ」ではなく「直近のセーブデータ」になっている点。つまり、1週クリアして2週目入って最初のセーブが危険なのは勿論、二つ以上セーブを作成した後、別のセーブデータをロードして遊びセーブを行おうとすると、ロードしたそのデータではなく前回遊んだデータにカーソルが合ってしまい更に危険。管理人はこのトラップに一度引っかかってテラ編やり直しの実質4週遊んだ。
こういった細かい部分にしっかり配慮を効かせられないのは、制作側の能力を疑う重要な点。
1:プレイ時間 【★★☆☆☆】
プラウドモードにて、本編一週10時間ちょっと。が、それは死にまくった&レベル上げせず足掻いていた一週目のタイムであり、スムーズに行けば5時間程でいける。
3人の主人公がおり、全員分クリアすることでラストエピソードを遊べる仕様=全員分クリアが前提なシステムであるとはいえ、流石にボリューム不足。ラストエピソードも量的には殆ど無い。本編の次が気になり次々先に進められるのは本来良いことなのだが、本作はあまりに物語が短い為に、それが一層の物足りなさを強調してしまっている。移動後の星々にイベントが少なすぎる。
やり込み要素も熱を上げられる内容とはいえず、凄く楽しい時間があっという間に終わって苦行タイムが長く続くような印象に仕上がってしまっている。
余分なほど用意された時間のかかるミニゲームをすれば時間だけは長く感じられるだろう。
2:ストーリー(シナリオ) 【★★★★☆】
あらすじ:
ソラが選ばれ者としてキーブレードを手にするより以前、ミッキーがまだイェン・シッドの元でキーブレードの扱いを学ぶ頃。世界にはキーブレードマスターが存在した。キーブレードマスターは世界を見渡し世に生じた不穏を取り払う役目を果たしながら、各々弟子を取りながら腕を磨く日々を送っていた。そんなマスターの一人、マスター・エラクゥスの元で修行に励む3人の若者、テラ、アクア、そしてヴェントゥス。互いに高め合い、信じ合い、そして支え合う3人に訪れる転機とマスター・ゼアノート。それぞれが知らされる異変と真実、それが彼らを旅へと誘う。二人の青年と一人の少年の物語が今、始まりを告げる――――
それぞれ別々に行動する3人が幾つもの世界を異なる順番で周り、それぞれの直面する問題を解決してゆく。
ある世界で一人の起こした行動が、原作展開と次にその世界を訪れる者の物語に影響を与えてゆき、最終的にその世界が原作通りのグッドエンドへと向かってゆく構成が素晴らしい。従来のキングダムハーツは一緒に物語を追うばかりで最後の敵だけ一緒に倒す、のような扱いが多かった部分が大きく改善されている。◎。3人の回る世界が完全に同じ(全ての世界を3人全員が全て回る)仕様が多少のマンネリと予定調和感を生み出してしまっているが、それを補うだけの魅力も感じられた。それぞれの巡る世界にももう少し違いがあるとベストだったか。とはいえ、3人が揃って敵と戦うシーンの盛り上がりはやはり高く熱い。
また、13機関のメンバーたち(オリジナルメンバー~アクセルまで)の生身の頃の姿が見られるのも面白い。
彼らがノーバディにその身を堕とす瞬間までは語られなかったが、続編で語られるかも知れない。そういう終わり方だった。
評価が星4なのは、ラストの纏め方の問題。
設定と展開的にそこに行き着くのは仕方がないとしても、もう少し希望のある(希望感の強い)描き方もできたはず。
あと、やはり3人揃う場面がちと少なすぎた。本編の短さのせいでもかも。
3:難易度設定・調整 【★★★★★】
総評で取り上げたが、素晴らしい設定と調整。
キングダムハーツシリーズの定番、プラウドモードによる隠しムービー条件の難度緩和は今回も健在。そして、今回は今までのようにプラウドでも普通にクリアできちゃう調整をやめて「レベル上げが必要」な難易度となっている。そのまま進むとボスの攻撃が一撃死だらけ。ワンパン怖い。しかし、本作の調整の上手い所はそこからほんの少しのレベル上げで倒せるようになっている所。しかもボスに突入しちゃった後でも、負けた後に「戦闘前に戻る」という選択肢が用意してありボス戦突入の直前状態(自由行動可能)に戻すこともできる。非常に良い配慮。どちらも片方だけではプレイヤーを助けるには足りない要素だが、二つが揃ったことで相乗的に遊びやすさが増している。
手に入るコマンドの種類と数も絶妙で、過剰には手に入らないが欲しい所には欲しいものをひっそりと用意してくれている。○。
隠しボスの一撃死祭りやメガフレアの強すぎっぷりなど目につく所はあるが、それらがどうでも良くなるほど上記がそれぞれ際立って良かったと思える。
4:操作感(プレイ感覚) 【★★★★☆】
最早語ることも無いレベルの「キングダムハーツ感」。
PSPゆえ最初から心配はしていなかったが、動きも操作感も全く据え置き機と遜色無い。
加えて既に完成していた戦闘の楽しさが、本作で搭載された「コマンドの育成」要素によって更に楽しくて仕方が無い。敵を倒す爽快感に手持ちのコマンドのレベルもポンポン上がっていく快感が加わり、レベル上げを実施することが全く苦に感じられないのは凄い。
前述の通り、事故ゲームオーバーも全くストレスにならない仕様も○。これは人によるかもしれないが。
操作感としてひっかかったのは、コマンド合成の説明の少なさと序盤のヒントの少なさによる戸惑いと、少し長めのロード時間。データインストールを使えばそれほど気にはならないが、無しだと少々辛い。
5:独自システム 【★★★★☆】
→コマンドスタイル
KH2で言うドライブ。敵へのコンボを繋げることでゲージが溜まり、一杯になると一定時間攻撃力や魔力の高い様々なスタイルに変化する。変化する先はゲージをどのような行動によって溜めたかによって変化する。打撃で溜めたなら打撃特化に、ブリザド中心に溜めたなら氷特化に、etc。と、ここまでだとドライブとそれほど大差ないのだが、本作最大の魅力はこの変化が何段階も用意されている点。変化後にさらに溜めると更に強力なスタイルへと変化できる。強制的に変わってしまうのが時に煩わしかったりもするが、瀬戸際には非常に心強い。色々なスタイルを試してみるのも楽しくて良い。
→シュートロック
新たに搭載された、特殊射撃攻撃。ゲージを消費して発動すると、一定時間無敵となり敵への射撃(一部打撃もあり)攻撃を加える、ボス戦で非常に頼りになるシステム。
技毎に様々なアクションを求められなかなか面白いシステムなのだが、この「無敵になる」というのが少々行き過ぎた設定だったようで、アリーナのボスと闘う際には「逃げる→シュートロック」の繰り返しが一番効果的というキングダムハーツらしさを失わせる原因になってしまっている。
→ディメンションリンク
D-Linkゲージを消費して、様々なディズニーキャラやオリジナルキャラ、FFキャラ(一人だけ)と心を通じ合わせ、特殊攻撃から通常技までがそれらしい内容に変化する。面白かったのは、マレフィセントなどの敵キャラをリンク相手として用意していた点。とはいえ、技を固定されるためある程度自分自身の技が強くなってしまうと使い勝手の無いものになってしまったのが残念か。特に終盤加入のヤツは殆ど使わなくて、図鑑埋める為に使うという可愛そうなことをしてしまった。
→コマンドシステム(レベルアップ~チャージ)
本作は通常攻撃以外の行動は全てコマンドというアイテムを装備する形で身につける。(ハイジャンプやドッヂロールでさえ)それらは宝箱や買い物、敵のドロップで入手することで増えると共に、FF7CCのマテリアのように、ある程度成長させると合成を行うことができる。これによってコマンドを育ててゆく楽しみも加わると共に、合成時にアイテムを追加することで様々なアビリティも覚えてゆくことができる。
既述だが、もう少し説明や合成内容を親切にしてやるともっと遊びやすくなるところ惜しい。
→ミニゲーム(コマンドボード)
ゲーム中、或いはミラージュアリーナにて擬似「いただきストリート」を本作に登場するキャラ達と遊ぶことができる。アリーナであれば対人対戦も可能。ミニゲーム内で入手したコマンドは本編で使うことができ、ここでしか手に入らないコマンドも存在する。少々それぞれの移動やターンチェンジが遅く時間がかかりすぎて、だるいゲームになってしまっている。×。もう少しスピーディーに遊べるミニゲームになっててくれると良かったのだが。また、
その他にもミニゲームは幾つか用意されているがどれも魅力は薄い。作業になりがち。
→ミラージュアリーナ
いわゆる「多人数プレイモード」。協力して敵やボスと闘うモード、ミニゲームで対戦するモード、など色々と用意されている。が、同時に一人でもクリアできる程度に調整されており、用意されているやりこみ達成にはこのモードでのプレイも必須なのだが、ちゃんとやれるようになっている。個人的には褒めたいところだが、集団プレイするには少し微妙な難易度かもしれない。最後のボスは攻撃チャンスが殆ど無くて何人いても同じ気がするし、それはまた別の意味で多人数プレイの楽しみは薄まっている。
6:価値 【★★★★☆】
管理人の購入価格:4645円
キングダムハーツファンならば文句無しに楽しめる。
ディズニーが好き、という入りでも楽しめるだろう。今回は少々参加ラインナップが渋いが。
ただし、シナリオを全部楽しむにはやはりキングダムハーツの過去作を遊んでいることが不可欠。同様に、358/2daysとは異なり本作の内容も次回作以降でまた扱われること必至の内容の為、1・2を遊んでいる人は必ず遊んでおいた方が良いだろう。
楽しめる時間があまりに瞬く間に進むため、値段比あっという間に終わってしまうので星-1。
7:キャラクター 【★★★★★】
孤独の道を一人進みながら自らの中の悪と闘い続けるテラ、師の正義と対峙しながら自らの正義を探すアクア、自らの存在/運命に翻弄されながら友を想い走り続けるヴェントゥス、いずれもそれぞれの信念と行動がはっきりとしていて、非常に格好良い。デザインも良い。全員修行中の身という設定のせいで「強い!」と思わせてくれるシーンが多くないながら、ここまでプレイヤーに魅力を伝えられるのは素晴らしい。
集合して闘うシーンや想いが交錯する場面がもっとあってくれると良かったのだが。あっさりのシナリオで終わらせてしまうのが非常に勿体無い。すごく、勿体無い。(二回ry
8:やりこみ要素 【★★★☆☆】
一応用意されているが、正直センスの悪いものばかり。
シリーズ恒例のジミニーメモ的なモノを埋めていくものと、
PS3のような一定条件を満たすと手に入るトロフィー集めがある。
前者は相変わらずの内容なのだが、今回アリーナのメダル溜めをひたすらしないと集まらないアイテムが沢山あったりと作業的な面が少し強め。一方、後者は完全に馬鹿設定。歩数とかアイスひたすら食べろとかお金貯めろとか作業の塊。そういうものを用意する発想はよいのだが……あまりに酷い。
星3つも楽しすぎる戦闘によって作業が苦になりにくいことに助けられた結果。こんだけの助け船があるんだからもっと良いもの作っとけよ、と思わずにはいられない。
9:グラフィック・アニメ 【★★★★☆】
基本的には普段はいかにもキングダムハーツらしい、あえてのポリゴン感の中で生き生きとキャラを動かす手法に則った出来。
加えて、要所で差し込まれる本気CGは非常に美麗でPSPの中でもこれもかなり良い。
特に文句の無い内容。
10:その他 【★★★★★】
さて、これで発表済みのシリーズ作品が消化されてしまった訳だが……最後は大団円、になるのかなぁ。なってほしいなぁ。
今回FFからの登場キャラが少なすぎて少し寂しかったなぁ。
最終更新:2010年04月02日 07:18