What a wonderful worms ◆.ji0E9MT9g
「――ねぇ、どうして黙ったままなの?やっぱりお前、麗奈じゃないの?」
E-2エリアの、辺り一面何一つない焦土の中で、紫色をした龍の怪人が一人の女性に対して明らかな敵意を向けている。
しかし、それも無理はあるまい。
先ほどまで彼女を一番慕っていたのも彼、
リュウタロスであり、そしてそれに対し答えていた女性、間宮麗奈と、今彼らの前にいる“間宮麗奈”は別人にしか思えなかったのだから。
そして、リュウタロスほどでないにしろ困惑を向けてくる男二人、
城戸真司と
三原修二を合わせた計三人を前にして、間宮麗奈――正確にはそれに擬態したウカワーム――はゆっくりと言葉を選びながら口を開いた。
「確かに、私はお前たちの知る間宮麗奈ではない。
そして恐らく、お前たちのよく知る間宮麗奈が再び現れることは……もう二度とない」
「な……ッ?」
思いがけないその言葉に、思わず三原は言葉を失う。
こうして襲いかかってこないことなどを踏まえ考えれば或いは彼女に敵意はなくなったのかもしれない。
だが、彼女と対峙している怪人に、そんなことを考える理由と意味は、存在しない。
「は?じゃあお前を倒せば麗奈は戻ってくるの?ならお前倒すけどいいよね?答えは――」
「リュウタ、待てって!」
先ほどまで人間の“間宮麗奈”が向けられていたそれとは明白に違う、その殺意を込めた言葉と共に彼は懐から銃を取り出そうとする。
それを見て、真司が慌てて彼の前に割って入るのを見て、思わず麗奈は眉を潜めた。
覚悟はしていたつもりだが、やはり反発は大きい。
一応、記憶は全て存在するのだ、人間の間宮麗奈を装いこの場をやり過ごすことなどは難しくない。
どころかワームとしては朝飯前に可能なことだが……今はそうして彼らを欺く気にはなれなかったし、それをするのは嫌だと心が訴えかけていた。
「人間の間宮麗奈、いや、“私”そのものはもう返ってこないが……彼女は、“この私”に全てを託したのだ。
私は、その想いも抱いて、私のしたいように生きたい。
守りたいとそう心が命ずるものを、私は守りたい。
私の、彼女に貰ったこの心の中の音楽に……従って」
「てことはアンタ……敵じゃないって考えて、いいんだよな?
もう総司のことも襲わないってことなんだよな?」
「あぁ、ネイティブとは言え、話を聞く限り奴は私たちが嫌悪するネイティブという群には属していない。
それなら、私が手を出す理由もない」
全て正直に、麗奈は答えていく。
もちろん総司に関することも、あの時は総司に関する事情の一切を知らなかったのだから、その感情に嘘偽りはなかった。
どころか、世界から拒まれたと思い孤立していた彼は、今となってはワームという群に属しながらもそれに背こうとしている自分と似たもの同士なようにも思えた。
「何だ、間宮さん、別にワームに乗っ取られたわけじゃないんだな」
「何……?」
そんな彼女の様子を見て、心底安心したという様子で頭を掻くのは真司だ。
彼の言葉に対し、他の二人だけではなく麗奈本人でさえ怪訝な目を向ける。
こうして長々と話をしていても、自分でさえ『ウカワームが人間である間宮麗奈を乗っ取った』という図式に反論することは難しいと感じていたからだ。
その視線に気付いても、真司はなお尻込みせずに続ける。
「だって、間宮さんは自分の中のワームが人を襲わないように戦おうとしてたんだろ?
で、こうしてワームの間宮さんが人を襲おうとしてないなら、それは人間の間宮さんが頑張ったからじゃないか」
三原とリュウタ、そして麗奈を見回しながら述べたその言葉は、あまりにも楽観的にも感じられる。
それこそ、もしも麗奈が制限を気にして戦うのを避け、自分たちを騙そうとしていたらどうするというのか。
しかし、そうした一瞬の心配も、今の麗奈にとっては真司という人物を蔑むのではなく守りたいと感じる、所謂“愛すべき点”として捉えられてしまうのだから、彼の言うことも間違いではないのだろうと麗奈は思った。
「……でも、僕はあの麗奈がいい~」
「リュウタ、そうは言ってもこの間宮さんを殺しちゃったらさっきまでの間宮さんの思いを踏みにじることになるんだぞ?
ちゃんと間宮さんがワームの間宮さんに勝った結果なんだから、仲良くしなきゃ怒られちゃうぞ?」
「う~……」
先ほど浅倉との戦いでリュウタに褒められ気が大きくなっているのか、彼を窘める三原の言葉に、リュウタは小さくなる。
その姿に、人間の麗奈が抱いていたようなリュウタへの親愛にも似た感情を今またその身を以て再実感して、麗奈は小さく笑った。
「……わかった、僕、今の麗奈とも仲良くする。そうしたらきっとお姉ちゃんも良太郎も褒めてくれるもん」
「ありがとう、リュウタロス。それに、城戸真司と三原修二も」
「そんなお礼言われるようなことは何もしてないって」
言いながら明らかに照れた様子で後ろ頭を掻く真司を見て、麗奈は自分が自然に笑顔を浮かべているのを感じる。
それはきっとワームとしての自分が人間の自分と真の意味で一つになったからこそ可能になったことなのだろうと思って、今の麗奈にはそれが嬉しくてたまらなかった。
「……で、これからどうするんだ?
間宮さんの事を報告したりする必要もあるだろうし一旦戻るべきかな?」
「いや、このまま東側の病院に向かうべきだろう」
浅倉との戦いを終えた今疲労が溜まっているのも事実だし、仲間の元へ戻るべきではと主張する三原に対し、麗奈は冷静に反対する。
しかし、それだけを聞いて「はいそうですか」と納得できるほど、三原はまだ出来た人間ではなかった。
「なんでだよ!?別にD-1の病院に戻ったっていいじゃないか!
わざわざ危ない長距離移動なんてする必要ないだろ!?」
「あぁ、かもな……。だが、向こう側の参加者も同じことを考えていたらどうする?」
「え……?」
自分の身の可愛さ故――とは言えそれを完全に否定する訳にもいかないが――安全だろう自分たちのテリトリーへ戻ることを提言する三原。
しかし麗奈はあくまで言い宥めるように言葉を続ける。
「『この病院を出たら敵がいるかもしれない』、『もしかしたら近辺の友好的な参加者が傷を治す為にここに来るかもしれない』。
――そんな受け身な姿勢を続けていては、大ショッカーに従い殺し合いに乗った参加者達に良いようにやられるだけだ。
このまままたD-1の病院に戻れば当面の安全は確保されるかもしれないが、刻一刻と進んでいる殺し合いに反逆する為には、我々が東と西の病院を繋ぐ架け橋になることが必要だろう」
「ま、待ってくれよ!
浅倉みたいな奴がまだいるかもしれないんだし、津上さんだって今の間宮さんの事聞いたら安心するに決まってる!
それに今は制限かかってるんだし、さっきみたいに襲われたら元も子も――」
「――かもしれん。確かに先ほどまでの“私”であれば確かに無謀な試みだったかもしれないな。
だが、少なくとも
浅倉威……最も警戒すべき危険人物として認識されていた男はもういない。
他に危険だと考えられているダグバ、紅渡と遭遇する可能性もない今、我々が安心のためだけに手ぶらで帰るのは長期的に見ればあまりにも無駄が多すぎる」
麗奈の言葉は、極めて論理的だった。
確かに東側のE-4病院はヒビキと翔一の集合場所として設定されていたものだ。
E-4自体は既に禁止エリアになったとは言え、隣接するE-5にも同じ病院は存在する。
それを踏まえればヒビキの遺志を継いだ仲間達が未だにE-5エリアで翔一や真司を待っている可能性は低くはなかったし、同時そこから動けない理由も納得できる。
そして最も懸念すべき危険人物の話だが、ダグバ、渡はそれぞれ仲間達が引きつけてくれている。
そして一切の詳細が不明な
志村純一を除けば、警戒しなければならない人物は精々、
相川始と村上峡児程度。
始は又聞きではあるものの殺し合いに乗るかどうかすら五分のようだし、村上も下手を打たない限り無益な戦いを好むタイプではないらしい。
つまりは結局のところ――動くなら、今を置いて他にはないということだ。
「えぇっと……、つまり東側の病院にいる殺し合いに反対してる人たちを探しに行くってことでいいんだよな?」
「じゃあ俺は、皆にこれを伝える為に病院に戻ろうかな……」
「修二、格好悪い~~……」
浅倉を倒した時の頼もしさはどこへやら、明らかに落ち着かない様子で目を泳がせ続ける三原を見て、リュウタは落胆したように肩を落とす。
正直麗奈も同じように溜息をつきたかったが、それを堪えて代わりに小さく息を吸い込んだ。
「残念だが、駄目だ。お前がいなくては制限が解けるまでリュウタロスが変身できない。
それに一人で病院に戻るという方が、今の状況ではよっぽど危険だと思うぞ?」
「そ、それは……」
「あーもう!ほら修二、言い訳しないで早く行くよ!」
麗奈の言葉を聞いて、三原は一層慌ただしく目を泳がせた。
大方何か危険から逃げられる理由でも考えているのだろうが、上手い言葉も浮かばないようで、沈黙が流れるだけだった。
その後、痺れを切らしたらしいリュウタが無理矢理に彼の背中を押していき、三原は碌な抵抗も出来ないままD-1とは逆の方向へその足を進めていくのだった。
◆
――こうしてバイクを駆って、一体どれだけの時間が過ぎただろう。
そんなことを考えてしまうのは、疲労故ではない。
こうして人の皮を被ってこそいるが、生身であれど怪人の範疇である彼、乃木怜治にとって、この程度の距離を連続で走行するのは一切苦でも何でもなかった。
そんなことを思ってしまうのは、ただ……そう、こうしてバイクという移動手段を持っているというのに長い時間誰とも出会わないという状況を彼はこの場で既に経験していたからだろう。
オートバジンを駆り東京タワーで目星をつけた参加者、
霧島美穂と鳴海亜樹子――状況証拠からして先の自分の命を奪ったのは鳴海亜樹子だろうが、別にどうでもいい――と出会うまでの孤独と、今が重なる気がした。
ただその時と異なる差異は一つ。
もちろん、乗っているバイクも違うがそれ以上に……。
「どうした」
「いや、何取り留めもない考えでも巡らせていれば時間潰しにはなると思っていただけさ」
そう、今は“俺”が二人いる。
思考経路も何も一緒なので雑談のようでも独り言と変わらないし、実に下らないお飯事染みた会話だが、まぁないよりはマシだ。
そんなことを考えた瞬間に、彼らのバイクであるブラックファングはG-2、G-3に掛かる橋を通過する。
「おい、止めろ」
その橋を渡りきり、このまま直進すれば目的のG-1エリアに難なく着くというその瞬間、しかしアクセルを握る乃木に対し、後部座席の片割れは突然に低く声をかけた。
「……どうした、禁止エリアはこの先だろう」
「そうなのだが……別に、我々が二人で一つのエリアを同時に探索する必要もない。
そうは思わないかね?」
二人乗りの姿勢で後部座席に乗っていた乃木の述べる疑問に対し、グリップを握っていた乃木は目を細める。
つまりは、ここで二手に別れたいということだ。
そしてその主張の先にある本当の主張も、彼には瞬時に理解出来ていた。
「……バイクが欲しいのか」
「自分自身に隠し事は出来ない、か。
そうだ、長時間の運転に疲れただろう?
俺がA-4に向かうからお前はG-1を探索してきてくれたまえ」
自分自身に対しても傲慢な態度を崩さないもう一人の自分に対し、これまでバイクを駆っていた乃木は溜息を漏らす。
あぁ本当に、全く以てこいつは自分だ。
どんな状況であっても、少しでも自分の利になる可能性を探している。
勿論反論も思いつかないわけではないが、ここで反論して無駄に水掛け論を繰り返すような無駄を“乃木怜治”が好まないことは、分かりきっているはずだ。
或いはこうして自分が呆れ半分に会話を中断することすら把握した上で彼はこの提案をしたのだろうと、乃木は思った。
「……分かった。取りあえず君にバイクは渡そう。
これでA-4エリアを見てきてくれたまえ」
「集合は……そうだな、
第四回放送の時にD-1でどうだ?
金居の時と同じく君と戦うことにならなければいいが」
「それはこっちの台詞だ。
それに、出し抜こうなどとしても意味がないことはお互い理解しているだろう」
互いに皮肉を吐きながら、その会話を最後に彼らは別れる。
後部座席に座っていた乃木がブラックファングを受け取りA-4へと向かい、遠ざかっていくエンジン音を耳にしながら、もう一人の乃木はいよいよ目前にまで迫ったG-1エリア……つまり禁止エリアへと、足を踏み入れようとしていた。
◆
「……何やかんや、結局二時間誰とも会わなかったなー」
時計を見ながらぼやく真司。
これで浅倉との戦いで制限のかかっていた龍騎も使用出来るようになっているし、三原に憑依する予定だったリュウタも自力で変身出来るようになっている。
これなら三原、リュウタの二人が後方支援を務め、自分と麗奈が相手に処理すれば、危険人物に出会った場合でも、少なくとも犠牲を出さずに撤退をすることは十分可能だろう。
とは言えそれに喜んでばかりもいられない。
これだけの距離を移動しても誰にも出会わなかったというのは、運という以上に既にこの会場の面積に対して生存している参加者の数がそれだけ減ってしまったということになる。
せめてダグバとの戦いに向かった三人と、彼の弟子とは言え殺し合いに乗った可能性もある渡と一対一で話し合いをしに行った名護は無事でいてほしいものである。
「とは言え油断は禁物だ。常に最悪の状況を考えておくべき――ん?」
「間宮さん、どうかしたのか?」
「しっ、静かに。こちらに向けてバイクが向かってくる。
スピードからして別段急いでいる訳でもないようだが……」
会話を中断し耳を澄ませた麗奈が口にしたのは、接近してくる新たな存在のことだった。
それに対し今までの緩い空気はどこへやら、彼らの緊張感は一気に高まる。
同時、彼らがそれぞれ自身の変身道具を取り出しているのを見て、麗奈もまたどこからの奇襲でも対応出来るように自身の真の姿をいつでも解放できるように構えた。
村上峡児か、相川始か、或いは別の第三者か。
そのどれであっても対応は変わらないだろうと、そう麗奈は考えていた。
だから、だろうか。
数瞬の緊張の後その場に現れた黒いバイクを駆る黒衣を纏った男の姿に、らしくなく狼狽してしまったのは。
「お前、乃木怜治……なのか?」
「……久しぶりだな。間宮麗奈」
互いに偽りの名を呼び合って、放送でその名を呼ばれ既に死んだはずの、麗奈が最も会いたくなかった男は余裕を崩さずニヤリと笑った。
◆
もう一人の自分からバイクを奪いA-4エリアを目指して走り出してから早30分ほど。
先ほどまでの退屈な時間はどこへやら、乃木は既に目新しい参加者たちと合流していた。
目新しいと言っても、彼にとってのそれは動いている実物を見るのは初めてだという程度の意味でしかないのだが。
(城戸真司、三原修二、リュウタロスか。
秋山蓮や乾巧、そして
海東大樹の話から判断すれば殺し合いに乗っている可能性は限りなく低いだろうな)
出会い頭、彼は品定めするように相手チームの面子を自身の持っていた詳細名簿の情報、そして病院で得た実地的な情報と照らし合わせる。
最終的に自分が話して判断することに変わりはないが、取りあえず今のところは戦いもなく話し合いで場を収められるだろう。
――最もそれは、このメンバーに彼女がいなければ、の話だったが。
「お前、乃木怜治……なのか?」
冷静を装っているとは言え、どこか驚きを隠せない様子で麗奈が問う。
それに含まれた感情は掴めない。
死んだはずの存在が現れたことに対する困惑なのか、或いは考えている通りに自分に特別出会いたくない理由でもあったのか……。
まぁそれは、話ながら判断していけば良いことだ。
今必要なのは何より信頼の為の会話だろうと、乃木は思考を中断し声をあげた。
「……久しぶりだな。間宮麗奈」
乃木怜治、間宮麗奈、共に偽りの名だ。
だが今更それ以外の名前で呼ぶ必要もない。
生まれてからずっとその名前で呼ばれてきた人間の記憶を持っているのだから、その名前を自分の名前として認識することに、何の疑問も抱かなかった。
「お前は、死んだとばかり思っていたがな。
大ショッカーが放送で誤りを放送するとは、あまりに杜撰な主催だと呆れたくなる」
「いいや、そうでもないさ。事実俺は既にこの場で死んでいる。
お前も知っているだろう?俺の命は複数存在すると言うことを。
そしてその証拠に……」
どことなく苛立ちと共に吐き捨てた麗奈に対し、乃木は笑みを絶やすことなく答える。
同時彼が見えやすいように傾げ指さしたその首元には、あるはずの首輪が存在していなかった。
「……なるほどな。自分の命さえ一勘定に入れて消費することも厭わんとは、流石、我ら全体を取り仕切るだけのことはある」
「な、なぁ、間宮さん、悪いんだけどあの人一体誰なんだよ?」
冷たげな口調を隠さず話した麗奈に対し、ずっと話に置いてかれている自覚があったのか、後ろに立っていた真司が問う。
それに対しどう答えるべきか数瞬迷いが生じたか彼女の目が泳いだのを、乃木は見逃さなかったが。
「……あの男は、乃木怜治。
私の元の世界で、私と同じワームの幹部だった男だ」
「え、じゃあこの人がワームの首領で警戒すべきだって天道さんが言ってたっていう……」
改めて成された乃木の紹介に、真司やリュウタロスよりも一歩退いた位置で隠れるように立っている三原が狼狽えた。
……別に必要ないというのが正直なところだが、詳細名簿について変に探られても困る。
ここいらで彼らの名前を聞いておいた方が、話の流れとしては自然だろうか。
「すまない、勝手に知っている者同士で話を始めて君たちを置き去りにしてしまった俺が言うのは何だが、まだ名前を聞いてなかったな。
よければそれぞれ名前を教えてくれないか?」
「あぁ、そうだよな。俺の名前は――」
「彼らの名前はこちら側からリュウタロス、三原修二、そして……
津上翔一だ」
「え、ちょっ!?」
率先して自己紹介を始めようとした真司に対し、麗奈はそれを遮り名前を紹介する。
――真司本人の様子から見れば誰でも分かるような、偽名を用いて。
詳細名簿について気付いたわけではあるまい。
だが何かこちらの情報アドバンテージに勘づいた可能性がある。
試すような真似をされるのは少々癪だが、まぁいいだろう。
そういう態度を取るというなら、ここは敢えて彼女の策に乗り話してやろうではないか、こちらの豊かな情報網を。
「三原修二くん、君の話は乾巧から聞いているよ。
デルタギアを用いて戦う流星塾の一員だそうだね。幼馴染みの
園田真理に関しては残念だった。言葉だけでは薄っぺらいかもしれないが、同情するよ」
「え……乾さんと会ったのか!?」
そして乃木は語り出す。
書面上だけの情報だけでなく、乾巧から聞いた血の通った情報を。
これらの情報に関しては本人に話して不利になるようなことは一切ない。
詳細名簿を持っていようがいまいが名前を聞いた時点でこの程度の話を矛盾なく出来るだけの情報は、仲間から得ているということだ。
「そして津上翔一くん。君の話は
日高仁志からよく聞いているよ。
記憶がなく、本当の名前は沢木哲也というそうじゃないか。
E-4エリアの合流が大ショッカーに潰されてしまったのは苦しいところだが、こうして会えたのだから協力し合おうじゃないか――?」
「――もういい」
海東大樹、
門矢士からの一方的なリュウタロスへの面識についてはただ事態が紛らわしくなるだけと省きつつ、これでもかと言うほど長々と話していた乃木に対し、麗奈は小さく呟くように制止を呼びかけた。
それに対し知らず笑みを深めながら、乃木はわざとらしく首を傾げた。
「もういい、とはどういうことだい間宮麗奈。
俺は新しく出会えた仲間たちに対して、俺の知りうる情報を述べているだけなのだが」
「……貴様を相手にこの程度の浅はかな手を使ってしまったことを恥じるべき、だろうな。とはいえ謝罪をするつもりはない。
別世界の参加者による集団で行動している我々と違い、単独で行動しているお前が殺し合いに乗っている可能性について、警戒をするのは当然だ」
「ふっ、まぁ警戒は尤もだ。
こちらとしてもそうして警戒してくれた方が、素性も知れない相手のことまで信じてしまうような輩より余程付き合いやすい」
麗奈の変わらぬ冷たい口調に同じように返す乃木。
どうやら自分の知っている彼女のようだと一旦麗奈から目を離し、そのまま彼は彼らの舌戦に翻弄されているのか、ずっと困惑している真司に目をやった。
「さて、それはそれとして……君の本当の名前はなんだい?“津上翔一くん”。
彼女の咄嗟の判断に振り回されて災難だったろうが、偽名を使ったのがバレバレの良い反応だったぞ」
「……城戸真司だ」
「城戸真司か、秋山蓮から話を聞いている。
なんでも13人のライダーの戦いに巻き込まれたというのにそれを止めようと奮闘しているそうじゃないか。
ご立派なことだ、この場でも共に殺し合いを止め、大ショッカーを倒そう」
止めとばかりに真司の情報を吐きながら、乃木はしかし今度は真司ではなく麗奈を睨み付ける。
よくも俺を試すような真似をしてくれたな、と言わんばかりのその瞳は声音とは逆にとても冷たいものだったが、麗奈は特別それに動じることもなかった。
まぁとは言えそれはそれ。
先ほども言ったように少し位誰しもに疑心を持っている位でなくては使い物にならない。
間宮麗奈という存在の有能さとそれを幹部の座においた自分の手腕を改めて実感しながら、乃木は再び口を開いた。
「さて、誤解は解けたようだし大ショッカー打倒を掲げるもの同士が出会ったんだ。
彼らを倒す為情報の交換と行こうじゃないか?」
「……いつ私がお前を信用すると言ったんだ、乃木怜治?」
しかし努めて友好的に紡がれたはずの自身の言葉を、麗奈は相も変わらず冷たい口調で返す。
流石に比較的ビジネスライクなドライなものとはいえ、元の世界で交友があった存在に対する接し方にしては警戒しすぎではないかと乃木は眉を潜める。
だがそれに対し反論を申し立てたのは、乃木ではなく彼女の仲間である真司だった。
「ちょっと間宮さん!あの乃木って人と会ってからちょっと様子おかしいぞ!
ヒビキさんや蓮と話したって言ってたし、別にそこまで警戒してなくても……」
「いや、これは必要なプロセスだ。
もしかするとこの男は、大ショッカーからの刺客である可能性がある」
「……へ?」
その麗奈の言葉に対し、今度こそ乃木は疑問を抱く。
この俺が大ショッカーの刺客だと?一体どういうつもりなのだこの女は。
「考えても見ろ。この男が今直面している状況は、明らかに出来すぎている。
まず第一に首輪がないことだ。命がもう一つあった?
そんな反則染みた能力を、変身にあそこまで精巧に制限をかける大ショッカーが見逃すと思うか?」
「確かに……」
真司を振り返りつつ述べたその言葉に、ハッとしたような表情で真司は答える。
だがそれで彼女の言葉が収まるわけではなく、そのまま続けた。
「それに参加者の情報を実際に他の参加者から聞いたという保証がない。
この首輪にでも設置された盗聴器で得た情報を、あたかも自分が経験したかのように話している可能性も否みきれないだろう?」
「……」
今度は乃木を見据えて述べられた推論に、乃木はただ無言で、笑みを携え余裕の表情で返す。
まるで必死に捲し立てる彼女を必死だと嘲笑うかのように。
「放送の件もそうだ。もしかすればこの場には存在しない参加者であったのに、我々に取り入る為に放送で名前を呼んだ可能性だってある。
……純粋に浮かぶだけでこれだけの疑問があるというのにただ信じて我々の情報を与え仲間として迎え入れることは、私には出来ない」
それを聞いて、乃木は思う。
どうやら彼女には、最初から自分を仲間として迎え入れるつもりなどなかったのだろうと。
思い返せば、城戸真司を津上翔一として紹介した時に気付くべきだったかもしれない。
あの時は殺し合いに乗っておらず友好的な参加者から得られた血の通った情報を語ることで彼女の疑心を解けるだろうとだけ思っていたが、見当違いだった。
こうして自分の知りうる情報を全駆動して殺し合いに乗っていることを否定した場合は主催との関与の可能性を指摘する。
逆に、もし城戸真司を津上翔一という見知らぬ参加者として扱い話をしていれば、偽名に気付かなかったことから繋げ情報の少なさから自分が殺し合いに乗っている可能性を指摘するつもりだったのだろう。
そうつまりは……彼女は元々自分を欠片も信用してはいなかったということだ。
だが同時に引っかかる。
ここまで警戒心の強い彼女が共に行動している男共は、麗奈の気迫に押され自分が大ショッカーに関係しているのではないかと容易く考えを変えるような輩だということが。
故に彼は疑うべき一つの事象について考えを巡らせ……しかし今それを口にしても埒が明かないだろうと密かに胸に秘めた。
「そう、か……残念だ。確かに言われてみれば君の言うことにも理があるな。
そこまで言うのなら仕方ない、同行は諦めよう」
その言葉を聞いて、どこか安堵したように緊張をほぐす麗奈に対し、乃木はしかし彼女から目を離さず言い放つ。
「だが、俺は生憎少し前まで死んでいたために放送を聞いていなくてね。
行動は共に出来ずとも、せめてその内容だけは聞いておきたいのだが」
「……いいだろう」
乃木の最大限の譲歩に対し、それすらも渋々といった様子で、しかしそれで済むなら安いものだと考えたのか、麗奈は
第二回放送の内容を彼に伝える。
自分たちが先ほど倒した浅倉を含めた死者の情報に、彼には必要ないかもしれないが禁止エリアの情報、そして主催陣営に存在する三島正人とラ・バルバ・デ、そして三体のアンノウンのことも。
それらを伝える極めて事務的な会話の後、乃木はそれらの情報を紙に纏めながら頷いた。
「……なるほど。思っていたよりも死者が多いな。
まさか
五代雄介や日高仁志まで死んでしまったとは」
「御託はいい。情報は与えた。ここで貴様とはお別れだ」
想定外の死者数に思わずぼやいた乃木に対し、極めて冷酷に麗奈は返す。
まぁ確かにこれで最低限の情報は得たと言えるしこのまま別れても損はないのだが……。
しかしその実、乃木は彼女をこのまま無条件で逃がすつもりはなかった。
「それにしても全く、安心したよ。君がワームの心を失っていなかったようで」
互いに踵を返しあと数秒でもう声さえ届かなくなるというその状況で、乃木は極めて別れ際の捨台詞に過ぎないという風を装って4人に声をかける。
そして同時、それに麗奈の足がびくりと反応し止まったのを、勿論乃木が見逃すはずもなかった。
「……何の話だ、乃木怜治」
「いや、何、ただ安心したというだけだよ。
部下から聞いていたのでね。君が人間の記憶を思い出し、ワームとしての自分を忘れ我々の掟に背く存在になったと。
もしそうであればと懸念していたが、君とこうして会話だけで事を済ませられてよかったという話さ」
彼方へと去りゆこうとした麗奈はしかし、乃木の言葉を無視することは出来ない。
同時事なきを得たと思われていた状況が再び緊張感を帯びてきたことを、彼らは察していた。
「ワームの掟を忘れたわけじゃないだろう?間宮麗奈。
我々の本来の目的を忘れ人間の記憶に溺れた愚かな同胞。
そんな恥知らずは処刑あるのみだという鉄の掟をな」
「……当然だ。私は私の心で動いている。
人間の心など……既に持ち合わせてはいない」
どことなく震えた麗奈の声を聞いて、真司はようやく彼女の様子がおかしかった理由を理解する。
つまり、人の心を得て“間宮麗奈”として生きる決意をした彼女は、ワームにとって排除すべき存在なのだ。
それを察せられないために、こうして徹底的なまでの拒絶を彼に見せ同行を拒否したということか。
頭の悪さを自覚している真司でさえ気付いたのだ。
当然三原にもそれは理解出来ている。
だが……ある意味で言えば真司以上に考えを巡らせることの出来ない“彼”にとっては、その麗奈の発言は許容出来るものではなかった。
「――嘘、ついたの?
人間じゃないってことは、やっぱりお前、麗奈じゃないってこと?」
今の今までずっと話が難しくついてこられなかったリュウタロスだ。
誰よりも人間の麗奈に懐いていた彼は、同時にこういった建前と本音の使い分けを理解するには、あまりにも幼かった。
そして何より厄介なのは……彼はその精神的な幼さと反比例するかのような、高い実力を持っているということだ。
瞬間、彼は懐から取り出したリュウリボルバーを片手で気怠げに構え、しかしその銃口だけはしっかりと麗奈に向けたまま続けた。
「なら悪いワームは倒すけどいいよね?答えは――」
「ちょ、ちょっと待てリュウタ!
言っただろ、今の間宮さんは倒さなきゃいけないような奴じゃないんだ!
一旦落ち着いてくれ!」
「えー、でもこいつ自分で人間じゃないって感じのこと言ってたよ?
それともそっちが嘘でさっき言ってたことがホントなの?
よくわかんない~」
「えぇっとだから、それはそういうことじゃなくて……あぁもうっ!」
いまいち察しの悪いリュウタに頭を掻いて悶絶する三原。
だが状況は、そんな彼らを待ってはくれない。
「君……確かリュウタロス、だったか。
その話、詳しく聞かせてくれるかな?
今の彼女が間宮麗奈ではないとは、一体どういうことだ?」
「えー、何か麗奈の中には二人の麗奈がいるとかどうとからしいけど、僕にもよくわかんない。
でも今の麗奈より前の麗奈の方がいい~」
「ほう……」
何の悪気もなくリュウタは致命的な情報を吐く。
彼にとっては、麗奈がワームとしての記憶を取り戻しながら人間の心を得たことを言ってはいけない、などと一度も言われた覚えもない。
総司の名前のように約束したことなら彼は守ることも出来るが、状況で判断して自分の知っていることを言わないなどという複雑なことは、彼には出来なかった。
俯き続ける麗奈の額から、大粒の汗が落ちる。
もちろん彼女とて元の世界でこうした展開になることは予想していたが……しかし、まさかこの場で死亡したはずの乃木が現れることは予想していなかった。
故に真司たちにワームの掟について話すことがなく、結果としてこうして面倒に巻き込んでしまったということだ。
そして一方で、乃木もまた先ほどよりも一層冷酷な瞳を麗奈に向ける。
大方予想していた通りだったが……なんとここまで人間の心に飲みこれているとは。
ワームの人格を忘れただけならともかく、人間の心に統合され小賢しい嘘までつくなど極めて優秀で、そして腹立たしい進化を遂げたものである。
「全くこの俺をここまで騙すとは、君はやはり優秀だな、間宮麗奈?」
だからこれは、彼女に向けた最後の言葉だ。
我が種族の繁栄を支えた素晴らしい幹部に対する自分からの労いとそして――。
「だが……、仲間選びを間違ったな」
――死刑宣告。
刹那、両者の姿は一瞬にして変貌する。
乃木の身体は紫の異形、カブトガニのような怪人、カッシスワームクリペウスに。
そして麗奈の身体は、白の異形であるシオマネキのような怪人、ウカワームへと。
同時にクロックアップを発動した彼らは、瞬きの間に距離を詰める。
カッシスの振るう大剣と化した左腕を、ウカはその右腕の鋏で防ぐ。
だがそんなものはとうに予想済み、カッシスが間合いから無理矢理凪いだ右腕の盾に吹き飛ばされ、ウカはそのまま間合いから引き剥がされた。
だがそんなもので怯む彼女ではない。
すぐさまもう一度距離を詰めその右腕を勢いに任せ思い切り振り下ろせば、盾で凌いだというのに空気を振るわせカッシスの動きを硬直させた。
それによりビリビリと腕に痺れが伝わり、カッシスは力勝負では分が悪いことを悟る。
生まれたこの一瞬の隙を好機とみたか、反撃の時間さえ与えずそのままウカはカッシスを打ち据えようとする。
今のウカワームの攻撃がただの一度でも直撃すれば、パワーで劣る現状そのまま押し切られてもおかしくあるまい。
「――うおおぉぉッ!ライダースラッシュ!」
だがしかし、カッシスもただでやられるわけにはいかない。
一撃必殺のつもりで攻撃を放とうとしたウカに対し、逆に勢いよく叫び振り上げたタキオン粒子漲る左腕の大剣で彼女を切り崩そうとする。
さしものウカもその直撃を食らえば再起不能になってしまうと考えたか、攻撃を中断しその左腕を盾に変化させ何とか凌ぎきった。
「……ぐっ」
「間宮さんッ!?」
防いだはずの攻撃の、しかしその高い威力故、立ったまま地を滑ったウカの喉から、掠れた呻き声が漏れる。
それを見て、流石の堅さだとカッシスは彼女を再評価する。
マスクドライダーシステムによる必殺技の直撃を受けて行動にさほど支障がない程度には、やはり彼女も自分が認めた実力者だということだろう。
かつての同胞に対し再評価を下すと同時、何が起こったのかをさっぱり理解していない様子で彼女の仲間が叫んだ声を聞いて、カッシスはクロックアップの終了を悟った。
だがまぁ、特別心配することもあるまい。
ウカワーム自体の実力は、どうやら金居と同等程度らしい。
今の実力が分散した自分では、先の戦いでのダメージも含めて考えれば、病院での戦いと同じように圧倒するという展開にはなりえないだろう。
だが、それを踏まえた上でなお、手数はこちらの方が多いのだ。
気を抜かなければあの間宮麗奈相手とは言え敗北はあり得ないだろう。
故に今の自分が警戒すべきは、その手数の優位を覆されること。
つまり……彼女の仲間が戦力になることだ。
「変し……うわッ!?」
その瞬間、間宮麗奈を敵として認識した自分に対し、戦いの必要があると感じたかデッキやベルト、各々の変身アイテムを構えた面々の間を、紫の風が通り過ぎる。
そう、カッシスが再びクロックアップを使用したのだ。
首輪もなくなり制限も存在しなくなった今、体力が許す限り彼は好きなタイミングでクロックアップを行使できる。
勿論そこまで多様が出来る能力でもないが……まぁこの程度の短時間なら問題ない。
何故なら、このクロックアップでの狙いは彼らの殺害、つまりその命ではない。
目的はただ変身アイテムとデイパックを没収すること、それだけなのだから。
「……悪いが君たちが間に入って話がややこしくなるのはごめんなのでね。
そこで黙って見ていてくれると助かるのだが」
言いながら、カッシスは手にぶら下げた三つのデイパックをこれ見よがしに左右に揺らす。
もし気になったものでもあれば別だが、基本的には麗奈を殺した後に彼らにそのまま返すつもりだし、特に問題もないだろう。
流石の勇ましい仮面ライダー諸君と言えど、変身が出来なければ抵抗も出来ないのか、ただその拳を握るだけだった。
「さて……それでは、間宮麗奈。
始めようか、掟に背いた愚か者の処刑を、ね」
再び告げられた処刑宣告に対して、ウカワームはもう一度、自身に向けて大きく構えて見せた。
【二日目 早朝】
【F-2 平原】
【間宮麗奈@仮面ライダーカブト】
【時間軸】第40話終了後
【状態】意識統合、疲労(大)、ダメージ(中)、ウカワームに変身中
【装備】ドレイクグリップ@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式、ゼクトバックル(パンチホッパー)@仮面ライダーカブト、
【思考・状況】
基本行動方針:自分の中に流れる心の音楽に耳を傾ける。
1:まずは乃木に対処する。
2:皆は、私が守る。
3:この戦いが終わったら東側の病院へ向かいたい。
【備考】
※『仮面ライダー』の定義が世界ごとによって異なると、推測しています。
※人間としての人格とワームとしての人格が統合されました。表面的な性格はワーム時が濃厚ですが、内面には人間時の麗奈の一面もちゃんと存在しています。
※意識の統合によって、ワームとしての記憶と人間としての記憶、その両方をすべて保有しています。
※現状、人間時の私服+ワーム時のストレートヘアです。
【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】劇場版、美穂とお好み焼を食べた後
【状態】強い決意、翔一への信頼、疲労(中)
【装備】なし
【道具】なし
【思考・状況】
基本行動方針:仮面ライダーとして、みんなの命を守る為に戦う。
1:間宮さん、大丈夫かよ……。
2:翔一たちが心配。
3:東側の病院へ向かい友好的な参加者と合流したい。
4:間宮さんはちゃんとワームの自分と和解出来たんだな……。
5:この近くで起こったらしい戦闘について詳しく知りたい。
6:黒い龍騎、それってもしかして……。
【備考】
※支給品のトランプを使えるライダーが居る事に気付きました。
※アビスこそが「現われていないライダー」だと誤解していますが、翔太郎からリュウガの話を聞き混乱しています。
※アギトの世界についての基本的な情報を知りました。
※強化形態は変身時間が短縮される事に気付きました。
※再変身までの時間制限を二時間と把握しました。
※
天道総司の提案したE-5エリアでの再合流案を名護から伝えられました。
※美穂の形見として、ファムのブランクデッキを手に入れました。中に烈火のサバイブが入っていますが、真司はまだ気付いていません。
【三原修二@仮面ライダー555】
【時間軸】初めてデルタに変身する以前
【状態】強い恐怖心、疲労(中)
【装備】なし
【道具】なし
0:俺でも、戦っていけるのかもしれない……。
1:できることをやる。草加の分まで生きたい。
2:間宮さん……、大丈夫か?
3:巨大な火柱、閃光と轟音を目撃し強い恐怖。逃げ出したい。
4:巧、良太郎と合流したい。村上を警戒。
5:東側の病院へ向かい友好的な参加者と合流したい。
6:オルフェノク等の中にも信用出来る者はいるのか?
7:戦いたくないが、とにかくやれるだけのことはやりたい。
8:リュウタロスの信頼を裏切ったままは嫌だ。
【備考】
※リュウタロスに憑依されていても変身カウントは三原自身のものです。
※同一世界の仲間達であっても異なる時間軸から連れて来られている可能性に気付きました。同時に後の時間軸において自分がデルタギアを使っている可能性に気付きました。
※巧がオルフェノクであると知ったもののある程度信用しています。
※三原修二は体質的に、デルタギアやテラーフィールドといった精神干渉に対する耐性を持っています。今抱いている恐怖心はテラーなど関係なく、ただの「普通の恐怖心」です。
【リュウタロス@仮面ライダー電王】
【時間軸】本編終了後
【状態】疲労(大)、ダメージ(中)
【装備】なし
【道具】なし
0:修二、強くなった……のかな?よくわかんない。
1:今の麗奈は人間なの?ワームなの?どっちでもないの?
2:良太郎に会いたい
3:大ショッカーは倒す。
4:
モモタロスの分まで頑張る。
5:東側の病院へ向かい友好的な参加者と合流したい。
【備考】
※人間への憑依は可能ですが対象に拒否されると強制的に追い出されます。
※自身のイマジンとしての全力発揮も同様に制限されていることに何となく気づきました。
※麗奈が乃木との会話の中でついた嘘について理解出来ていません。
そのため、今の麗奈がどういった存在なのか一層混乱しています。
【乃木怜治@仮面ライダーカブト】
【時間軸】第44話 エリアZ進撃直前
【状態】ダメージ(中)、疲労(中)、カッシスワームクリペウス(角なし)に変身中
【装備】カードデッキ(龍騎)@仮面ライダー龍騎、デルタギア(ドライバー+フォン+ムーバー)@仮面ライダー555、ランスバックル@劇場版仮面ライダー剣 MISSING ACE、デンオウベルト+ライダーパス@仮面ライダー電王、リュウボルバー@仮面ライダー電王
【道具】ブラックファング@仮面ライダー剣、支給品一式×2(真司、リュウタロス)、優衣のてるてる坊主@仮面ライダー龍騎、カードデッキ(ファム・ブランク)@仮面ライダー龍騎、サバイブ「烈火」@仮面ライダー龍騎、
草加雅人の描いた絵@仮面ライダー555、ファイズブラスター@仮面ライダー555、デンカメンソード@仮面ライダー電王、 ケータロス@仮面ライダー電王
【思考・状況】
0:取りあえず最初に指定された禁止エリア(A-4)を目指す。
1:人間の心に溺れた愚かなワーム(間宮麗奈)を処刑する。
2:大ショッカーを潰すために戦力を集める。使えない奴は、餌にする。
3:状況次第では、ZECTのマスクドライダー資格者も利用する。
4:最終的には大ショッカーの技術を奪い、自分の世界を支配する。
5:志村純一を警戒。まったく信用していないため、証拠を掴めばすぐに始末したい。
6:乾は使い捨ての駒。
7:もう一人の乃木にこれ以上無様な真似を見せないようにしなくては。
【備考】
※カッシスワーム・クリペウス(角なし)になりました。
※現在覚えている技は、ライダーキック(ガタック)、ライダースラッシュ、暗黒掌波動の三つです。 なお新しくはもう覚えられないようです。
※東京タワーから発せられた、亜樹子の放送を聞きました。
※村上と野上ではなく、志村があきらと冴子を殺したのではと疑っています。
※クロックアップに制限が架せられていること、フリーズ、必殺技吸収能力が使用できないことを把握しました。 なお、現在クロックアップに関しては連続使用に制限はないようです。
※ブラックファング@仮面ライダー剣は近くに放置されています。
※第二回放送を聞いていませんでしたが、間宮麗奈より情報を得たので内容について知りました。
今のところは内容について別に気にしていません。
※現在、城戸真司、三原修二、リュウタロスそれぞれのデイパックを全て持っています。
◆
がさり、と音を立てて乃木怜治――もちろん間宮麗奈たちと戦っていた彼ではなくもう一人の方――はG-1エリアに存在する廃工場へと足を踏み入れていた。
どことなく自分が先ほど一つの命を落としたあの工場を連想してしまうが、あちらよりも余程大きく、住宅地の中にあったあちらに比べこちらは周囲に建物も存在しない為、余程大規模な生産ラインが敷かれていたのだろうと乃木は思考していた。
とはいえまぁ、所詮は大ショッカーが作り出した形だけの存在。
ここで何を生産していたとして、それに対して特別感慨を抱くこともないのだが。
「……ん?」
そんな取り留めのない思考をやめ、何か大ショッカーにまつわるものでも存在しないかと改めて周囲を見渡した乃木は、見た。
その視線の先、夜の闇の中でも十分にその存在感を誇示する、廃工場の中心に立つ背広の男を。
「やはりお前が最初にここに来ることになったか。
……思った通り、あのガキは仕事をしなかったようだな」
忌々しげに吐き捨てながら、男は眼鏡越しに乃木を睨み付けた。
しかし一切その場を動こうとしない彼に対し、乃木もまた少しずつ歩を進めながら口を開く。
「悪いが、名前を聞いてもいいかな?
俺の持っていた名簿には、君の顔はなかったはずだが」
詳細名簿のことさえ口に出しながら、乃木は問う。
とは言え、それも問題あるまい。
禁止エリアであるこの場所に何の問題もなく存在し、詳細名簿にも載っていない者の正体など、大体見当がつくというものだ。
「言い忘れていたな。私は三島正人。
お前は知らないだろうが、大ショッカーの幹部だ」
「ほう。その名前は聞いたことがあるな。
ZECTの幹部だと聞いていたが、いつ鞍替えしたんだ?」
「……お前が知る必要はない」
案の定、というべきか、目の前の男は大ショッカーの手の者であった。
そして同時乃木の頬は自然と吊り上がる。
大ショッカーの幹部が直々に守っている場所だ、ここに何か重要な秘密があるとみて、ほぼ間違いない。
「まぁいい。
それで、その大ショッカー幹部殿が一体何故ここにいる?」
「お前の思っている通りのことだ。
今、このエリアにはそう易々と立ち入られたくない理由がある。
私はその為だけにこの会場に派遣されこのエリアの安全を任されたということだ。
……お前のようなゴキブリに隅から隅まで這いずり回られては堪ったものじゃない」
「貴様も似たようなものだろう、このダニが。
元々は人間でありながらネイティブに魂を明け渡し、挙げ句の果てに大ショッカーにすら忠誠を誓うその浅ましい根性、全く以て救いがたい」
その乃木の言葉に、今度こそ三島の顔は醜く歪んだ。
今の彼がネイティブであることなど、臭いで分かる。
ワームである自分を嫌悪しているその感情自体はZECT時代より存在するのだろうが、それはどうでもいい。
ZECT、ネイティブ、そのどちらであれ乃木にとって忌むべき相手であることは変わらないのだから。
それに、自分の種族にさえ一貫性を持てないような男とまともな交渉をするつもりもなかった。
「……最終通告だ。
このまま踵を翻しこのエリアから出て二度と近づかないと誓え。
そうすれば再び首輪をつけ、偉大なる大ショッカーの管理下においてやろう」
「減らず口はそれくらいか?
貴様もこの俺の答えくらい分かっているだろうに」
ニヒルに笑った乃木に対し、三島はかけていた眼鏡をゆっくりと外し着用しているスーツの胸ポケットへと収めた。
「……ならば仕方ない。
ワーム最強のお前と、ネイティブ最強の私。
どちらが上か、今ここで思い知らせてやる」
「ネイティブの歴史には疎いようだな?
我々に敗北し星を追われた哀れな種が、思い上がりも甚だしいぞ」
お互いに挑発を交わし、その距離は次第に縮まっていく。
そして既に、両者の距離は20mを切った。
「お前こそ思い上がるなよ。
数で押すことしか知らん虫けらに、私が戦い方を教えてやる」
「それは光栄だね。
……やれるものなら、やってみるがいい!」
彼らの距離はは既に両者の間合い。
これ以上は掛け合いなど不要と言わんばかりに向き合った両者の間に、一瞬の沈黙が流れ……。
次の瞬間、廃工場の中を緑と紫の光が照らし……、そして交差した。
【二日目 早朝】
【G-1 廃工場】
【乃木怜治@仮面ライダーカブト】
【時間軸】第44話 エリアZ進撃直前
【状態】健康、カッシスワームクリペウス(角あり)に変身中
【装備】なし
【道具】なし
【思考・状況】
0:取りあえず目の前の男(三島)を倒しこのエリアを探索する。
1:大ショッカーを潰すために戦力を集める。使えない奴は、餌にする。
2:状況次第では、ZECTのマスクドライダー資格者も利用する。
3:最終的には大ショッカーの技術を奪い、自分の世界を支配する。
4:志村純一を警戒。まったく信用していないため、証拠を掴めばすぐに始末したい。
5:鳴海亜樹子がまた裏切るのなら、容赦はしない。
6:乾と秋山は使い捨ての駒。海東は面倒だが、今後も使えるか?
【備考】
※カッシスワーム・クリペウス(角あり)になりました。
※現在覚えている技は、ライダーキック(ガタック)、ライダースラッシュ、暗黒掌波動の三つです。 なお新しくはもう覚えられないようです。
※東京タワーから発せられた、亜樹子の放送を聞きました。
※村上と野上ではなく、志村があきらと冴子を殺したのではと疑っています。
※クロックアップに制限が架せられていること、フリーズ、必殺技吸収能力が使用できないことを把握しました。
※第二回放送を聞いていませんが、問題ないと考えています。
【三島正人@仮面ライダーカブト】
【時間軸】死亡後
【状態】健康、グリラスワームに変身中
【装備】なし
【道具】なし
【思考・状況】
0:このG-1エリアをなんとしても死守する。
1:目の前の男(乃木)に対処する。
【備考】
※大ショッカーより送り込まれた刺客の一人です。
キング@仮面ライダー剣とは違い明確にこの場所を守る為だけに派遣されました。余程のことがない限りこの場所を動くつもりはありません。
【全体備考】
※G-1エリアで三島が守っているという秘密が何なのかは不明です。
もしかすると、G-1に秘密があるというそれ自体が三島の嘘である可能性もあります。
最終更新:2018年12月28日 01:40