あまりにも多くの人に参戦作品を知られていないので、解説ページを設けました。
調べたところ、妄想ロワ含めてパロロワ既出作品はたった5作のみ。ってなんだその自閉すぎるロワは。
ほぼ全作品、ステマ棚から取ってるので「○○ なんj」で検索すればある程度把握できます。

全く必要性がない雑感想も表記してありますが、これは別に読まなくても大丈夫です。





めしぬま。

掲載誌 月刊コミックゼノン
作者 あみだむく
連載 2016年~
どこか冴えないサラリーマン・飯沼(いいぬま)が、自らの食欲のおもむくままに飯を食う!! 
そして、その飯を食う姿をただただ眺める、食欲増進グルメ漫画!!
「BLx飯漫画」。コミティアやpixivコミックで話題沸騰のグルメ漫画。

かつて平成末期の飯漫画ブーム時、食べたとき汗や唾液を垂らしたり、ヘブン状態みたいになって「美味い~」って叫んだり、そのリアクションを見て周囲の人が「美味しそうに食べるな…」みたいな反応をした漫画は『気持ち悪い』ってボロクソに晒し上げられたけど、
その全てを毎話やったのがこの漫画。もはや飯漫画のレジェンド。
喰うリアクションがエグいことには同感だが、個人的にはamazonで星1ばっかつくほど読む価値ないとは思えないんだよな。
私自身もこの主人公同様、リフレッシュしたいときは贅沢な物を食べてしまう傾向があって、共感できる方ではあるからね。
あと作者は女性で、全体的にBLウホウホな雰囲気が醸し出してるけども、女キャラは割とかわいいんだよね。
あみだむく先生が描いた『あそびあそばせ』のイラストとか、めしぬまの悪い印象のまま見てみたらビックリするかもなあ。それぐらい意外な可愛さはあるのよ。
妙に鬼滅の絵柄に似てる部分は気になるとこだが。



かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜

掲載誌 週刊ヤングジャンプ
作者 赤坂アカ
連載 2015年~2022年・全28巻
将来を期待された秀才達の集う名門校・秀知院学園。
その生徒会のメンバーである副会長・四宮かぐやと生徒会長・白銀御行はお互いに惹かれ合っているものの、高すぎるプライドが邪魔をして半年が経っても告白することが出来ない。
素直になれない二人は、いつしか自分から告白することを「負け」と捉え、「どう相手に告らせるか」ばかりを考えるようになる。
一風変わったコンゲームが繰り広げられる生徒会室にて、天才たちの頭脳戦はどう展開していくのか。
推しの子作者による斬新なラブコメディ。

説明不要の大ヒットラブコメディ。
私は平野主演の実写版かぐや様で本作を認知したが、それ以前からネットでは(良くも悪くも)話題の人気作品だったらしい。
天才過ぎて一周回ってバカになってるという作風が新鮮味あるギャグマンガ。
登場人物の中でも、特に頭の出来がよろしくない藤原書記というキャラが、中々の塩梅となっている。
普段こそは白銀もかぐやもアホ丸出しだが、たまにあるシリアス回では(例えば花火大会回や運動会)、タイトル通り『天才たちの恋愛頭脳戦』が発揮されてて楽しかった。
甘酸っぱい青春を豊富な語彙力と心理戦でコーティングし、圧倒的勢いで進んでいく名作漫画。
恋のコンゲームは果たしてどう決着がつくものか。時間泥棒必須な本作だ、天才たちによるバカげた恋愛劇を是非とも堪能してもらいたい。
(…と言いたいところなんだけどもさ、初めて読む人は大人買いよした方がいい漫画なんだよね。買うとしても14巻まで。何でかっていうと氷かぐや編以降確実に人を選ぶ展開になるから)



干物妹!うまるちゃん

掲載誌 週刊ヤングジャンプ
作者 サンカクヘッド
連載 2013年~2018年・全13巻
干物妹(ひもうと)
家の中では様々な事を面倒くさがり、適当に済ませてしまう妹。
「家でのうまるは――だ」
《類義語》干物女

集英社「妹辞典」より

東京都八王子市近郊を舞台に、外では才色兼備で完璧だが家ではグータラに過ごす女子高生「うまる」と、その兄「タイヘイ」の日常を綴ったギャグ漫画。
有名作品やサブカルなどのパロディが小ネタとして随所に散りばめられているのも特徴。

アニメ版のオープニングがとにかく有名。UMAじゃないよっ!!う・ま・る!!
ふたばで自演したとかで粘着されてたのにアニメ成功したら無かったことにされた記憶。

絵柄、話のスタイル共に(良くも悪くも)ヤングジャンプらしからぬ作品。
かつて、『うまる虐待bot』などというヘイト創作がネットを騒然させたが、正直うま虐作者の気持ちは分かるくらいに、主人公のうまる(特に干物妹モード)は問題ある性格をしている。
さすがにうまるの性格は編集からも問題視されたのか、中盤以降はほのぼの日常漫画へと路線変更した。
いわゆる『きらら系』にジャンル分けされる感じかな。
美少女動物園作品なのだけれども、人気ランキングでは意外にも兄であるタイヘイが上位。
『妹と兄の絆』を描いた作品なだけあって、二人の抱擁シーンは読んでいてグっとさせられたな。

ちなみに本作は、初期と後期で絵柄が変わった漫画としても有名。
普通そういう系って画力が向上したりするものだけど、うまるちゃんに関しては超例外。
巻末コメントから推察するに、育児に気を取られて漫画どころではない様子のサンカクヘッド先生であるが、ヒカリちゃん登場以降の作風は正直なんとも言えないよ。



らーめん才遊記

掲載誌 ビッグコミックSP
作者 原作:久部緑郎、作画:河合単
連載 2009年~2014年・全14巻
「らあめん清流房」のオーナーでラーメン界のカリスマである芹沢達也は、ラーメン向けフード・コンサルティング会社「清流企画」を設立していた。
また、実験的ラーメン発表の場としてセカンドブランドの「麺屋せりざわ」も開業していた。
皆が絶賛する芹沢の月替わりラーメンだったが、「今イチ」だと述べる若い女性客が現れた。
その女性客はタマネギのみじん切り炒めを乗せるという手法で月替わりラーメンの味を向上させた。
その女性客の名は、汐見ゆとり。清流企画の入社試験のために面接に来たところだった。
ラーメンを題材とした料理・グルメ漫画。

グルメ漫画というかビジネス漫画。
芹沢達也こと『ラーメンハゲ』が、冷静な観点で売れないラーメン店の問題点を主人公の新入KY女社員と共に解決していく。ってのがざっとしたストーリー。
ラーメンハゲは本当にハっとさせられる理論・真理を突いてきて、「奴らはラーメンを食ってるのではなく情報を食っているんだ」「金の関わらない仕事に責任は発生しない」など受け売りしたいくらいの名言をたくさん発している。

ちなみに本作は『ラーメン発見伝』という大昔の漫画のスピンオフ。
別にそれを読まずとも本作を楽しむことはできるが、その前作主人公が意外な形で『登場する』シーンはなんだか凄い感慨深かった。

「ここなら昔一度来たことがある…」「いい店だ。本物の、ラーメン屋だ…」(ラストのセリフ)



からかい上手の高木さん

掲載誌 ゲッサン
作者 山本崇一朗
連載 2013年~2023年・全20巻
中学校の同級生同士である「西片」と「高木さん」のやりとりを描くラブコメディ。
高木さんが西片をからかい、西片は高木さんに仕返しをしようとするが、高木さんに見破られてしまうという2人の関係性を軸に、西片の視点から描かれている。
各話を繋ぐ明確なストーリーはなく、西片と高木さんの間のひとつの出来事が一話に収められている

「○○な○○さん」系の漫画のエポックメイキング。本作がなければ、僕ヤバも宇崎ちゃんも長瀞さんもなかった。
同ジャンルの先駆け作品なだけあって、連載当初、なんjですっげぇスレ立ちまくった記憶がある。今振り返れば、平成末期のなんJステマ漫画ブームは本作が突破口を開いたものであろう。
正直、初見じゃただただ高木さんにイライラするだけだが、なんとか我慢して読んでいってほしいな。
そういう作風の漫画なんだな、って受け止めることができたら微笑ましく楽しめるから。高木さんの余裕たっぷりな強キャラ感の、なんて良いことといったら…。
余談だが、作者の山本先生。
デコフェチなのか知らんが、後述のキョーコちゃんを初め女キャラはほとんど額を出している傾向がある。



ふだつきのキョーコちゃん

掲載誌 ゲッサン
作者 山本崇一朗
連載 2013年~2016年・全7巻
高校では不良と恐れられている兄・札月ケンジは、同じ高校に通う妹キョーコへの異常な執着から、シスコンであると有名であった。
しかしそれは、キョーコがキョンシーであるため、問題事が起きないように心配した結果であった。
吸血鬼の妹とそれに振り回される兄の兄妹愛を描いたドタバタコメディ漫画だ。

『札付きのキョンシー』だからふだつきのキョーコ。ケンジが『札付きの悪だから』ってのとも掛かっている。
こちらも高木さんとセットみたいな感じで、よくなんjで貼られていた記憶。
主人公であり妹のキョンちゃん。どうやらお札(リボン)をはがすと本性むき出しでいろんな人を血祭にあげてしまうらしく、優しい兄はそれを危惧して対策にかかる。
だが、「俺の妹に手を出すな」とか「おいキョーコ昼飯一緒にいいよな?」などと、傍からは妹過保護にしか見えない行動をとるので、みんなから『シスコン』と勘違いされるのだった…トホホ。ってあらすじ。
普段はツンツンのキョンちゃんも、リボンを外せばたちまちデレッデレになるという、ジキルハイドな面も特徴。
当然だが、パロロワには一回も出たことがない。というか知ってる人自体物凄く少ないんじゃないのかな。
当ステマ漫画ロワが最初で最後の参戦になるであろうマイナー漫画。
それが、高木さん作者のデビュー作である今作だ。



くーねるまるた

掲載誌 ビッグコミックスピリッツ
作者 高尾じんぐ
連載 2012年~2018年・全14巻
主人公のまるたは、ポルトガル出身の留学生。
本来は修士論文を提出し、帰国できる状況だが「この街と離れがたい」と感じ滞在を延長。
文京区にある築70年の2階建てアパート「笑明館」の2階(1K、風呂無し、家賃30,000円)に住み、日雇いのアルバイトなどをして「他人から見れば無為な生活」を過ごす。
作中、彼女が披露する蘊蓄や雑学、芸術の知識が非常に為になる。のんびりとした日常漫画。

 外国人・マルタがスローライフする日常漫画。
マルタ曰くしての文学教養シーンは結構必見。本作を読むだけでヨーロッパや古典の知識が身についていく。
これが流行り始めた当初、主人公のマルタがfateのサーヴァントに似ているという事で「セイバー」と呼ばれていたが、今見るとそんな似てはいない。
ネットでよく見かける有名な回は、どう見ても伊勢海老にしか見えないザリガニを調理する話とか、隣人眼鏡の食い残しポップコーンで遊ぶ話とかかな。
えっ。有名なエロ同人の『くーねるす〇た』の紹介はするのか、って?
いや、まあ、それは、ほら、ね。



中間管理録トネガワ

掲載誌 ヤングマガジン
作者 原作:萩原天晴・漫画:橋本智広、三好智樹・協力:福本伸行
連載 2015年~2018年・全10巻
福本伸行の作品『賭博黙示録カイジ』の登場人物の1人・利根川幸雄を主人公としたスピンオフ作品。
消費者金融を主体とする日本最大級のコンツェルン、帝愛グループの兵藤会長の退屈を紛らわす余興を企画するため、最高幹部の利根川は部下の11人の黒服を集め「チーム利根川」を結成。
会長の横やり、部下からの信用失墜の危機、病気、部下の失態、計算外のアクシデントに悩みながらも、プロジェクト遂行へ向け奮闘してゆく。

北斗の拳イチゴ味のアニメ大ヒットを受けて、連載開始した本人公認スピンオフ。
カイジ原作のネタやガバな部分をふんだんに使って、時代考証関係なく好き放題やってる作風が圧倒的大草原。
焼き土下座の鉄板持ってきてBBQするシーンとか、よく思い付いたなって圧巻物。
原作では人間をゴミのように扱い、外道を往く利根川だったけど、ここでは善人の超理想的な上司として描かれている。
一介のサラリーマン、中間管理職として部下をまとめながら、会長の理不尽な要望を解決するため奔走する様は、社会人なら共感すること間違いなし。最終回はかなり秀逸。
ただ、「うーん」ってなるとこがあって、本作には海老谷っていう熱意はあるがズレまくってる社員がいるんだけど、
アニメ版は「ソイツに監督やらせたのか?」ってくらい酷い演出してんだよね。
…ぐっ………いらんだろ…っ……!! 花澤香奈が『ざわっ…』を読み上げるなどという無粋………圧倒的無粋演出は………っ!!



大東京ビンボー生活マニュアル

掲載誌 モーニング
作者 前川つかさ
連載 1986年~1989年・全4巻
東京都杉並区のとある住宅街に建つボロアパート「平和荘」に住む青年・コースケは貧乏人。
晩飯でパンの耳を買うかどうかさえ迷うほどの貧困な彼は、この東京という街で生活していくため知恵や工夫を絞っていくのであった。
カノジョや隣の学生さんの協力も頼りに、のんびりと日がな一日を過ごしていく。
ストーリーはないに等しい。が、描き込みの多い背景が生んだノスタルジック感や、スローライフの穏やかさが読んでいて心を安らかにしていく。そんな作品。

主人公が牛丼の肉で一杯やった後、残ったご飯にお茶を入れて掻き込み、テイクアウトした牛丼で焼きめしを作る回がたった4ページながらメチャクチャ有名。

連載はバブル時期だけど、物語はそれのちょっと前の世界観。
ダラダラ働きもせず、のんびり暮らす貧乏人・コースケが主人公の漫画だが、バブル前にはこういう20代が結構いたらしく、高度経済成長に背を向けて奇人変人を気取ってその日暮らしを続ける若者が、俗世間を離れた世捨て人みたいなのもまた流行りだった。
今では考えられないが「低賃金の生活を送る正社員より、たまに働いて金をためるフリーターの方がかっこいい」という考えが若者の間で流行していたそうなのだ。
2015年、グルメ漫画ブームと共に再評価(というより再認識)された本作だが、昭和末期を知らぬ現代人にとってはコースケがゴミ●ズにしか見えなかったのだろう。
『牛丼ガ●ジ』と蔑称を与えられた上に、重箱の隅ほじくるように細かいシーンまでボロクソ叩かれまくった漫画というイメージしかない。

ただ、Alwaysみたいな下町の人情ものが好きな人は、結構ハマる作品といえるかな。
描き込みの濃い背景に、ページをめくるたびに吹き寄せる昭和の風。
私は00年代のアフターヌーン連載漫画やチェンソーマン、Vaporwave曲でよく醸し出される『芸術的虚無感』が好みだから、ビンマニュは中々に味わい深く読むことができた。



クロエの流儀

掲載誌 漫画ゴラク
作者 今井大輔
連載 2015年~2018年・全3巻
碧眼美少女JK、日出ずる国を一刀両断!
日本の高校に通うフランス出身女子、クロエ
可憐なビジュアルを裏切る殿様口調でリスペクトするは、潔き日本文化なり…!
日常の何気なくも引っ掛かる瞬間を、遠慮無用で斬る!

何か悪いことをしてる人がいて、4ページほど進んだあたりでクロエが長々説教してスカっと終わり。
作者が伝えたい主張・鬱憤を、クロエというJKに代弁させるストーリー。
何故だか路上喫煙者回(通称:ニコチンパンジー)はめっちゃくちゃ激甘。
クロエの掛け合いとか言葉遊びは思いのほか秀逸だから、読む価値がない漫画ってわけでもない。

……これにて感想以上。
この漫画の素直な感想書いたら説教通り魔さんに怒られちゃうから、これでご愛敬というわけで。
はい声出して次イこッ!



弟の夫

掲載誌 月刊アクション
作者 田亀源五郎
連載 2014年~2017年・全4巻
弥一は小学生の娘・夏菜を男手一つで育てるシングルファーザー。
そんな彼のもとに弥一の双子の弟・涼二の結婚相手だったカナダ人男性・マイクが訪れる。
「父に双子の弟(夏菜にとっては叔父)がいたこと」「叔父が外国人男性と結婚していたこと」を知った夏菜は驚きと共に突如現れた義理の叔父であるマイクに興味津々。
こうして不思議な同居生活が始まった。

その破壊力あるタイトルだけは有名な漫画。
成人向け作品を主戦場にしてる作者なだけあって、敬遠しちゃう漫画だろうけど、エロ描写は全くない。
毛むくじゃらで『異色』な親戚と、外国人に興味津々な娘の日常を描いた、んまぁ『汚いよつばと』的な漫画なので家族に読ませても安心な内容ではある。
「性対象が特殊なだけで、あとは何もかも普通な親戚とはどう付き合えばいいのだろう」、「自分の血縁者が将来LGBTになったとき、俺はどう考えればいいんだろう」、「──いや、そもそも『普通』ってなんなんだろう」。
マイクの滞在期間は僅か二週間。
その間、主人公・弥一は今まで考えてこなかった、いや考えることを『タブー』にしてきた同性愛についての認識を、改めて自答するという。
LGBT漫画の大御所・田亀先生が我々ノーマルの読者に向けて、丁寧にLGBTの在り方を問いただした、意欲作かつ異色作である。
(あと、当たり前だが父親やマイクの裸体の描き込みっぷりに比べて、娘の入浴シーンのやる気のなさはほんとに顕著だな)




野原ひろし 昼飯の流儀

掲載誌 月刊まんがタウン
作者 塚原洋一
連載 2015年~
野原ひろし、35歳、妻子あり。
秋田県出身埼玉県在住。商社で営業職をしており、「良い仕事は良い昼メシから」をモットーに、海外の料理や日本の郷土料理、B級グルメまで様々な昼メシを求めて歩く。
クレヨンしんちゃんのお父さんを主人公にしたスピンオフ漫画。

「自分をひろしだと思い込んでる一般人」とか「テーマパークに来たみたいだぜ~」で有名な漫画。まず、野原ひろしに似ていない。
ひろしが終始目が死んでいて、そのシュールっぷりからネットじゃコラとして遊ばれまくっている本作だが、読んでみると意外に悪くない。というか、結構な過小評価漫画じゃないのか。

本作の熱心な読者である私だからこそ言うが、まずこの漫画はクレしん特有のお下劣やブラックジョーク、ひろしの臭い靴下ネタ等は全くない。あと、原作へのリスペクトもかなり薄い。
クレしんである必要は全くないのよ。
何せ、仕方ないだろう。作者60を超えたお爺さんで、雇われ仕事で描かされてるのだからそらやる気なんてあるわけない。
だからこそ、私は言いたい。「確かに、クレしんらしさは皆無ですね。だから何?」と。
この作品はもはや『野原ひろし 昼飯の流儀』という一つの独立した作品だ。
クレしんに死んだ魚の目をしたコピペ手抜きケバブ屋は出てくるだろうか。
別に原作に限らずともアニメ版、映画版でもいい。クレヨンしんちゃんには劇中のセリフの中に紛れる、海外サッカー選手5人の名前を見つける回(しかもそのサッカー選手、本筋とは全く関係ない)があるだろうか。
否、そんなものはクレしんに無い。
そう、この作品はクレしんと比べること自体がはなから間違いなのだ。むしろ、比較するという行為こそが昼飯の流儀への『冒涜』といえよう。

シュールと狂気が入り混じり、ネタとして馬鹿にしながら読んでたら、たまに心に刺さる。
漫画家歴40年の大ベテランが成す、この世界観に目を開け。そして笑え。





目玉焼きの黄身 いつつぶす?

掲載誌 月刊コミックビーム
作者 おおひなたごう
連載 2012年~2019年・全12巻
日常において自分が当たり前だったと思っていた食べ方が実はマイナーだったかもしれない…。
田宮丸二郎はみふゆの作った目玉焼きをいつものように黄身をつぶして醤油を垂らし、白身と絡めて美味しく食べていた。
しかし、みふゆを見てみると黄身はつぶさずに白身だけを食べ、最後に残った黄身だけを口に入れていたのだ。

二郎の口から出た言葉は「お前…バカか?」。

独り自宅に残された二郎は悩む。自分の食べ方が間違っていたのか? 自分の食べ方は「あたりまえ」ではなかったのか?
悩む二郎は友人や同僚に相談するが、さらに異なった食べ方を教えられ驚愕するのだった。
そして、みふゆの食べ方を真似してみた二郎は黄身を潰さずに白身だけを食べることの難しさを知る。

『ステーキを食べる時、フォークはどう持ってライスをすくうか』とか、『ショートケーキのいちごはどのタイミングで食べるか』とか、『焼き肉でごはんは食べていいのか、否か』、とか。
色んな料理の食べ方について改めて考えて、主人公が自分のスタイルを掴んでいく、という飯漫画の中でも頭一つ抜けた作品。
美味しんぼの『目玉焼き会議』が明らかな元ネタだが、とにかく主人公の二郎がメチャクチャイカれているので爆笑は約束されている。
実はこの田宮丸二郎という男、隠れロワ向けキャラなのかもしれない。それくらいやべーやつ。
牛丼ガ●ジが晒上げられた頃、この漫画の牛丼回もピックアップされたが、あの食い方はやはり美味いんだろうか。
牛丼に埋め尽くすほど紅しょうがをかけ、ガッツガツガツと掻き込む…。
その食べ方は、明日が仕事のド深夜にて就寝中、おまけに大雨降りの中でもわざわざ店に行っちゃうほど『癖になる』らしいが、試す勇気はあまりない。



ヒナまつり

掲載誌 ハルタコミックス
作者 大武政夫
連載 2009年~2020年・全19巻
芦川組を支える若きインテリヤクザ・新田義史は大好きな壺に囲まれ、悠々自適な独身生活を送っていた。
そんなある日、謎の物体に入ったサイキック少女・ヒナが現れる。
新田は彼女の念動力に脅され同居を余儀なくされ、ヒナの面倒を見る羽目になる。

厄介ごとを抱えるキャラクターたちの喜怒哀楽が交錯し、放たれる名ゼリフに爆笑。

あの猿先生のアシが描いたギャグマンガ。なにっ。
一部除いて全キャラクターが屑なところが特徴。
人が努力しているところを心の中で嘲笑したり、見当外れな行動をしだしたキャラを冷たい眼差しで見たり。登場人物のあまりにリアルで生々しいカスっぷりを笑う新感覚なギャグ漫画である。
そこまで書いたら「クズばっかの漫画って不愉快そう」と思うかもしれないけど、騙されたと思って読んでほしい。本当に笑えるから。
正直、私が今まで読んだ漫画の中で五本指に入るくらいのセンス。それくらい個人的にはお気に入りだわ、ヒナまつりは。
アニメになってない高校生編以降は特に毎回神回状態で、中でもアンズメイン回は登場人物の心の醜さが炸裂してて凄い笑った。
サブっていう新田さんのバカな舎弟がいるんだけども、そいつのアンズちゃんに対する偏見とか、カスすぎる心象描写がもう思い出し笑いするくらいなんだよね。

やっぱ、この作風だからサブとか詩子みたいなカスを参戦させるべきだったかと今になって悩む。
ほんとこいつらクソッすね。



ダンジョン飯

掲載誌 ハルタコミックス
作者 九井諒子
連載 2014年~2023年・全14巻
6人パーティを組む冒険者ライオス一行は、ダンジョン探索中に食料を失い、空腹のままレッドドラゴンに挑むことになる。
その結果、パーティは実力を十分に発揮できず壊滅状態となるが、ライオスの妹ファリンがドラゴンに食われながら使った脱出魔法により、他のメンバーはかろうじて地上へと逃れた。
ただ、結果2人の仲間の離脱をされたうえに、所持金も尽きてしまう。
妹を救うためなんとかしてダンジョンに潜り込みたいが、食料問題に直面して手も足も出なかった。
ならば、もはや自給自足だ。と、ダンジョン内の魔物を食べながら進むことをライオスは提案。仲間のマルシル、チルチャックは彼に振り回されながら最深部へと進むのであった。

記憶に新しい(当社比)漫画作品。九井先生は天才です。
グルメ漫画xファンタジーというジャンルなだけあって、飯漫画ブームのなんjでも無条件で注目受けたけど、本作で最も存在感を出してるのは主人公・ライオス。
「魔物以外なんにも興味ない」と人評のライオスは、サイコパス全開でイカれきった発言を連発。
仲間のエルフが食人植物に絞めつけられた時「全身縛られたけど…気持ちよかった?」とか、ケンタウロスを見て「俺も牧場牛になりたい!」とかKYとかそういうレベルを超えたヤバい思考をバンバンしまくってくる。
私はそういう変人を見るのが大好物だからめっちゃ笑えたけど、人によってはゾっとするんじゃないかな。良くも悪くも、このライオスが八割方ダン飯のエナジーとなっている。

まぁそんなサイコ主人公は抜きに総評するとして、本作は個人的に『メイドインアビス』を彷彿とさせられたかな。
理由としては、異種な食材を丁寧な調理過程と共に描写して、嫌々ながらもマルシルたちはその味を堪能していくっていう面と、
濃密で作り込まれたファンタジー世界観が、メイドインアビスに似ていると思った。
アニメ放送当初、「レッドドラゴン討伐以降、シリアス路線に切り替わっておもんなくなった」って感想を目にしたけど、いやいや違いますからと。
本作は本質的にメイドインアビス同様のシリアスな作品なんですよと。



ハイスコアガール

掲載誌 月刊ビッグガンガン
作者 押切蓮介
連載 2010年~2018年・全10巻
1991年。
雲仙普賢岳の噴火、湾岸戦争の勃発など、様々な事件が世間を騒がせていた当時、そんなことは我関せずと日々ゲーセン通いに明け暮れる小学6年生の矢口春雄は、ある日行きつけのゲーセンでクラスメイトの[[大野晶]]に出会う。
下町のゲーセンには不似合いな成績優秀で金持ちのお嬢様である晶は、実は凄腕のゲーマーだった。
自身が最も得意とする『ストII』で惨敗を喫したハルオは、ゲームしか取り柄の無い自分にとって最も輝ける場を脅かす晶を追い出すため、禁じ手とされるハメ技を使ってまで勝とうとする…。
1990年代の対戦型格闘ゲームブームを背景とした、マニアックな作風のラブコメディ。

元ネタは恐らく、『ゲームセンターで出会った不思議な子のお話』。
色々な苦難困難があった漫画であるが、連載終了のご褒美として禁断のアニメ化が決定された時、我々ファンはそりゃ喜んだものだった。
話が本格的に動き出すのは中学生編から。
日高(新キャラかつ最人気キャラ)と、大野お嬢様、そしてハルオの三角関係が繰り広げられ、格闘ゲームの勝敗で恋を決めるというバトルが、王道ながら熱い展開を繰り広げた。
『でろでろ』、『ゆうやみ』、『ミスミソウ』と、これまでスプラッター/ホラー漫画ばかりの押切先生だけあって、本作は異質な作風とも評せるが、それでいて、これまでの漫画経験を生かした集大成とも言えよう。
ゲーセンで青春を過ごし、ゲーセンに100円玉を食われ続けた押切先生だからこそ描けるマニアック知識満載の恋愛漫画。
今すぐにでもブックオフで『ワンコイン』投入し、その世界観をPLAYしてもらいたい。



私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!

掲載誌 ガンガンONLINE
作者 谷川ニコ
連載 2011年~
主人公、黒木智子はいわゆる喪女でぼっちの高校1年生である。
高校に入学しても彼氏ができるどころかクラスメイトともろくに会話もできない。
そもそもまともに会話ができる相手と言えば、弟の智貴や、中学時代の友人・成瀬優、3学年下の従妹・きーちゃんなど、学校外の極少数しかなかった。
自分がぼっちになっている状況に焦り出した彼女は行動を開始するも、痛々しい失敗ばかりが続く。
そんな彼女も2年生に進級した秋頃。修学旅行を機に、徐々に会話できるクラスメイトが増えていって…。

※『私がモテてどうすんだ』とは異なります。

初期の共感性羞恥がヤバいとこ(アニメ化した範囲)も面白かったけど、個人的には百合漫画に路線変更した中期以降が好み。
ネットの皆様も、その路線の方に大きく支持されたようで、アニメ終了で下火になったわたモテはこれで再ブームとなった。
人気ダントツキャラはゆりちゃん。
修学旅行でもこっちと同じ班になったことを機に友達になっていって、常識人ポジションとして陰キャもこっちの介護をしていくとこが実に尊い。
ゆりちゃん、回を経るにつれて暴力性の高い不思議ちゃんキャラになっちゃうんだけど、やっぱ私は初期の頃のキャラの方が好きだなあ。
スクールカースト下の中ポジションで、そこそこ悩みや不器用さを抱えつつも、吉田さんやもこっちのツッコミ役として翻弄する。そんなゆりちゃんがタイプだったよ。
故に、彼女のファンになりたいなら、全盛期である『十二巻』を特におすすめしたいね。

ちなみに、作者の谷川ニコ先生。
どうやらロッテファンのようで、『千葉ロッテ』というまぁ小物な球団カラーもあって作中では好き勝手いじりまくっている。
野球ファンなら笑うこと間違いないイジりっぷりである。



ラーメン大好き小泉さん

掲載誌 月刊少年チャンピオン
作者 鳴見なる
連載 2011年~
女子高生・大澤悠のクラスに、小泉さんが転校して来る。
無口でミステリアスな小泉さんだが、実は彼女は日ごと美味しいラーメンを求める、ラーメンマニアだった。
あぁ、もうそうズルズルと~!
ラーメンに関する知識とこだわりは他の追随を赦さず、実在のラーメン店を舞台に美味しそうに食べる美少女系グルメ漫画。

私はひねくれた性格なので、小泉さんに関しては別の角度から雑感を書く。
本作で断トツに存在感を出してるのは、ラーメンよりも主人公よりも、『大澤悠』って女の子。
表面上は純粋無垢で明るい性格だけども、悠は超ストーカー気質の『クレイジーサイコレズ』な裏面を持ち合わせており、ラーメンそっちのけで彼女の異常行動をフューチャーした回が異質なオーラを放っている。
死んだ目をしながらブツブツ『空想上の』小泉さんと会話したりさ、もうとにかくイっちゃってて。ラーメンだけに主役を食っちゃっているわけだ。
もはや、『コイズミ大好き大澤さん』みたいな漫画になっちゃってるので、どうにかして悠をロワにねじ込まねばと現在模索中。
余談だが、アニメでの大澤cvはあやねる。
同時に、メインキャラの美沙役を演じた声優が、後に『竈門禰豆子役』としてブレイクすることはまた別の話。


善悪の屑/外道の歌

掲載誌 ヤングキング
作者 渡邊ダイスケ
連載 2014年~2023年・全20巻
犯罪に手を染めながらも十分な裁きを受けず反省もしない犯罪者たちは、世の中には虫ケラのごとくたくさんいる。
そんなクズ共を被害者に代わって復讐を行う「復讐屋」という職業が一つ。
幼児惨殺に、いじめ、そして凄惨な拷問を経ての強姦殺人…。やりたい放題の屑共へを、今日も鴨ノ目と相棒のトラが制裁を加えていく。
凶悪犯罪の被害者やその遺族の無念を晴らし、依頼人の心に安らぎが戻るのか。

かつてネット広告でめちゃくちゃ張り巡らされた漫画。
syamu似の男が「もう二度とうんこできないねぇ」と発言するアレと言えば、分かる人が多いのではないだろうか。(このシーンはわたモテ作者のライト姉妹でもネタにされた)
主人公が大物youtuberに似まくってるのは『たまたま』らしいが、あまりに例のアレの風評被害が酷かった為、五巻以降はタイトル変更までに至った。

で、読んだ感想としては、『劣化ウシジマ』って感じ。
それくらいセリフも背景もストーリーもすっごいウシジマに影響されているんだよね。最終回で主人公がポッと出に刺殺されるのもまんまだし。
ただ、『ウシジマ』自体が歴史的超傑作漫画なので、本作もかなり楽しめる漫画になっている。
いわばヤクルト青木が『劣化イチロー』って呼ばれてるのと同じだね。

一応、直接描写は避けられてるけどめちゃくちゃグロい作品だから用心を。



悪魔のメムメムちゃん

掲載誌 ジャンプ+
作者 四谷啓太郎
連載 2016年~2021年・全12巻
高校生・ひょう太のもとに現れた淫魔・メムメムちゃんの日常を描くギャグ漫画。
魂を奪うのが仕事だけどやる気も能力も無いメムメムちゃんと、メムメムちゃんのせいでロリコンと誤解されがちなひょう太、やたらセクシーなアパート管理人母娘が中心となる一話完結方式。
2018年、Vtuberブームに先駆けて、メムメムちゃんもバーチャルYouTuberデビューを果たす。
いわばアニメキャラ系Vtuberの始祖となった。

淫魔とは書いたけど、メムメムの見た目はまったくエロくないです。
二頭身だし。てかむしろメムメム以外のキャラ全員がエロいって感じ。

『ポンコツクズ』という斬新な主人公キャラ設定が特徴的。
なにもかもダメダメで役立たずだけど、自分にはチョー甘いメムメムちゃんが主人公で、彼女の土壇場で発せられる『開き直り発言』は中々笑えるものとなっている。
正直、中盤以降は魔人さんやオルル、モモーラに存在感を食われちゃあいるメムちゃんだけど、『メムメム語』という人を舐め切った語録の数々は、普段日常生活でも受け売りしたくなるくらいチャーミングさがあった。
(例→『よろしゃっす!(よろしくお願いします)』とか『ちゃっす(こんにちは)』みたいな)

ジャンプラ連載なだけあって、作者曰くコメ欄がめちゃくちゃ炎上した回があったとか。
内容としては、ジジイの先生が主人公(男子生徒)をいやらしい目で見てくる話しなんだけども、…いや確かにやべーな。
つかこんな前からジャンプラあったんすねー。



古見さんは、コミュ症です。

掲載誌 週刊少年サンデー
作者 オダトモヒト
連載 2016年~2025年・全37巻
私立伊旦高校1年生の古見硝子は登校初日で学校のマドンナの地位を築く「容姿端麗」「成績優秀」「スポーツ万能」な人気者だが、人と話すことを極度に苦手としている。
入学初日、同級生の只野仁人は彼女の秘密を知ってしまうが、筆談をかわすうちに彼女の「友達を100人作る」という夢に協力することになる。
一方、伊旦高校は県下有数の進学校という触れ込みだがアクの強い生徒ばかりが集まる学校であり、古見と只野が目標を達成するためには前途多難な日々が続くのだった。
コミュ症の美人と、ただの学生・只野くん。そして周囲の変わったキャラ達がちょっとヘンな青春を綴っていくギャグマンガ。

コナンと並んでサンデーの看板作品となった青春漫画。
これもかつてはステマ棚に並ぶほどセコセコなんjでスレが立った漫画だったのよ…。
コミュ症だから→『古見硝子』。幼馴染だから→『長名なじみ』といった具合で、キャラのネーミングがとてつもなく安直なとこが特徴。
あっ、今気づいたけど『中々さん』って中二病キャラだから中^2ってことなのか。
初期のわたモテ同様、共感性的な意味でキッツい部分はあるが、まさにサンデーって感じの作風と個性的なキャラたちがそれを笑いに昇化してくれる。
2021年に念願のアニメ化が決定。
作画が丁寧、おまけに演出もキッレキレで、2021年冬アニメマイベストに入るくらいだったんだけども、それにしても一言も発せない主人公にCV・プロ萌え声の古賀葵さんって贅沢な配役だなあ。



だがしかし

掲載誌 週刊少年サンデー
作者 コトヤマ
連載 2014年~2018年・全11巻

とある半島の海沿いにある田舎町に住む鹿田ココノツは父・鹿田ヨウから実家の駄菓子屋・シカダ駄菓子を継ぐように求められるが、漫画家になるという夢があったことから拒絶していた。
しかしある夏の日、ココノツの前に枝垂ほたるが現れる。
ココノツは都会的な雰囲気の美少女であるほたるに惹かれるが、お菓子メーカー・枝垂カンパニーの社長令嬢であるほたるは、枝垂カンパニーが作る駄菓子屋の店長としてヨウを迎えることが目的であった。

駄菓子を題材にしたギャグマンガ。タイトルが上手すぎ。
本作にめっちゃくちゃ似てる漫画といえば『手品先輩』と言われている。
手品先輩同様、マニアなほたるさんがお菓子に興味ないココノツに蘊蓄を交えながら説得し、ちょっぴりスケベを挟みつつも基本ギャグで進んでいく。
覚●剤ネタが好きなのか、結構な頻度でそういうアブないギャグを出してくる印象。
読んでいて、「仮にも駄菓子宣伝漫画がそういう企業に悪影響与えるネタやって大丈夫なの?」と時々思う。(まぁでもお●つカンパニーさんはほたるさんのことお気に入りらしいから、セーフではある…のか?)

後期からハジメさんというアルバイトの女性が出てきて、それの登場以降、ほたる←ココノツ→サヤの恋愛三角関係みたいになってくんだけど、ずっと菓子一直線でやってほしかったかな。個人的にはね。
そうそう。このハジメというキャラ。
分かりやすく作者から優遇されてるけど、やっぱコトヤマ先生はOLな人が好みなのかね。



闇金ウシジマくん

掲載誌 ビッグコミックスピリッツ
作者 真鍋昌平
連載 2004年~2018年・全46巻
10日5割(トゴ)の超暴利闇金融『カウカウファイナンス』の経営者である丑嶋馨とその従業員の日常と、カウカウファイナンスに訪れる客、およびその関係者の様々な人間模様と社会の闇を描いたストーリー。
物語は各エピソードの中心となる人物の視点で進み、丑嶋はそれらの人物に接触する狂言回し的存在である。
そのため丑嶋が全く登場しない回も多い。
無職、冴えないリーマン、風俗嬢、若いプッシャーなど、カードがパンクし底辺まで落ちぶれ切った債務者達が金を借りに来る。
彼らは金を借りてどう動き、そしてどんな末路を迎えるのか。人間ドラマの傑作漫画、ここに登場。

ステマ棚にはないけど、マーダーが超不足した都合に伴い参戦決定。飯漫画とラブコメばっかじゃ殺し合いなんてできねーよ!!
山田孝之主演でドラマ、映画化し2100万部以上売り上げた傑作漫画。
綿密な取材により、徹底したリアルな描写を実現。会社員から詐欺師、ホストから立ちんぼに至るまでいろんな職業の人間ドラマを描いた濃密なオムニバス漫画となっている。
読んだ印象として、チャラ男とかDQNは凄まじい末路を遂げるけど、普通のサラリーマンとか無職のおっさんとか、(まぁ読者層に近い)キャラは救われた終わり方をしてるって感じかな。
後味悪い漫画ではあるけど、終始ソレって訳ではないので、純粋に楽しむこともできる。

一方で、売上ほど一般受けする作品とは到底言えない作品でもある。
何故って、これもう半端なくグロいから。ミスミソウとかと比じゃないくらいグロい。陰湿なグロさ。
事実、北九州の事件をモチーフにした『洗脳くん編』は一週間落ち込むぐらいトラウマになったわ。
映画の『凶悪』もそうだけど、やっぱ弱ってる人を心身共に限界まで苦しませて、最期は冷たく絶命させる展開って、心に来ちゃうんだよねぇ。



ミスミソウ

掲載誌 ホラーM
作者 押切蓮介
連載 2007年~2009年・全6巻
東京から田舎に転校してきた野咲春花は壮絶ないじめを受けていた。
唯一の味方である同じ転校生・相場晄を心の支えにして必死に耐える彼女だが、いじめはさらに過激さを増す。
そしてある日、彼女の家が燃やされて妹は大火傷し、両親は命を落としてしまう。
火災が同級生の仕業と知った時、彼女は復讐の鬼と化した…。
雪降る町に広がる赤と白のコントラストに息をのむ。

ハイスコアガール作者の連載作。実はこの作者、グッログロで心霊な漫画ばかり。
いじめとか家族の死とか重たい描写故に勘違いされやすいが、これはB級映画的漫画。
いわば、ジェイソンとかフレディみたいなもんで、バカたちが次々スプラッターに死んできますよ。というそれだけの漫画。
個人的には映画が凄い傑作級だった。
原作を忠実に再現したうえで原作の粗や矛盾を潰し、加藤みたいなすぐ死ぬモブにさえ美少女を配役して、百合調のB級スプラッターに仕立て上げた。100点満点の出来である。
原作では薄かった妙子と野咲の関係性をより濃く追加したのも加点要素。

しつこいが、本質的にはパーティ感覚で楽しむべき映画(漫画)なので、決してマジになってみないように。
つか、マジになって読んだら気分悪くするだけだから。まじ。
(クッソどうでもいいがミスミソウファンなら『映画大好きぽんぽさん』の鑑賞もオススメ。どういう因果か、相場くんとタエちゃんが声出演してますゾ)




空が灰色だから

掲載誌 週刊少年チャンピオン
作者 阿部共実
連載 2011年~2013年・全5巻
クセのある様々な人間(主に思春期の男女)の上手くいかない日常を、一話完結型のオムニバス形式で描く。
甘酸っぱい青春コメディー物がある一方で、本格的なホラー物や、主人公が報われないなど非常に後味の悪い終わり方をする話も多く、単行本カバーなどで「“心がざわつく”思春期コミック」と紹介されている。
どういう結末になるかは予測不可能な話の数々は、読んでいて思わずドキドキするかも。

私と同じ世代の人なら、『ちーちゃんはちょっと足りない』とか『大好きタダシくん』の人って紹介すれば伝わるだろう。
世にも奇妙な物語の漫画版って評するのが的確かな。一話完結短編。
一番有名な回は、本ロワの来生と佐野が出てくる『ただ仲間がほしいだけだった』の奴かな。あとは、野球回とかトランシーバー効果の話もよく話題に出る。

『空が灰色だから』は基本、『主人公の自責心』というテーゼで物語られていく。
とはいえ、その自責(あるいは罪悪感)とは、決して大罪や凶行に直結するものではない。
語りべが抱えるのは、友人との喧嘩別れや学校内の些細なトラブルといった、日常に潜む小さな亀裂だ。
つまり、ほんの一歩踏み出せば和平で終わる問題に、主人公は結局立ち尽くし、鬱屈のまま物語は閉じてしまうのだ。

小さなモヤモヤを解消するのに必要なのは、ただ一歩だけ。
けれどもその一歩は、彼女たちにとってはあまりにも巨大で、
大きな足元の、アリンコにも満たないはずの小さなモヤモヤを踏み潰すことができない。
スクールカーストや同級生の視線、『クラスの中心か隅か』という見えない境界線。そうしたものが彼女たちを絡め取り、辛うじて流れる涙だけが保身してくれるのだ。

そんな自分にもし、誰かが背中を押してくれて、あと一歩を踏み出せたのなら。
いや、その誰かしらの善意が来ることを祈らずとも。
棒立ちの自分に、何気ない通行人と肩がぶつかるといった偶然の拍子で、一歩前に出れれば。
あれほど圧し潰されそうだった一本道が、実は『コメディ』という名であったことに気付くだろう。


コメディか、ホラーか、背徳か純真か、バッドエンドなのか。結末は予測不能。
本作は、思春期生徒達の『うまくいかない』をオムニバス形式で描いた、平成末期の傑作コミックである。
最終更新:2025年09月17日 21:01