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人間の天寵

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For though a long span of life had been granted to them,in the beginning thice that of lesser Men, they must remain motal, since the Valar were not permitted to take from them the Gift of Men (or the Doom of Men, as it was afterwards called).

なぜなら、かれらは、はじめのうちは並の人間の3倍もあったほどの長い寿命を授けられていたとはいえ、その命が有限であることには変わりはなく、ヴァラアルといえどもかれらから人間の天寵(あるいは後になって呼ばれたように人間の宿命)を取り上げることは許されていなかったためである。10-14

(略)しかし、イルーヴァタアルは、人間には変わった贈り物を授け給うた。
 ヴァラアルが立ち去ったあとは、静寂があたりを領し、イルーヴァタアルは長い間、一人考えに耽って座っておられたという。やがて、イルーヴァタアルは口を開いて言われた。「見よ、われは地球を愛す。地球をクウェンディとアタニの住まうべき館となさん! クウェンディを地上の全生類のうち最も美しき者となさしめ、すべてのわが子らのうち、最も高き美を所有し、案出し、産み出す者となさん。彼らには、この世にてより大いなる幸いを得さしめん。アタニには、異なる新たな贈り物を授けん」
 それ故、イルーヴァタアルの思し召しにより、人間の心は彼岸を求め、この世では決して安息を見出すことはないのである。しかし人間には、この世の諸力と回り合わせの中にありながらも、人間以外のすべての存在にとって宿命も同然であるアイヌアの音楽を超えて、自分たちの生を形成してゆくという長所が与えられている。この諸力と回り合わせの働きにより、あらゆるものは、形においても行為においても完結し、世界は最後の最小のものに至るまで全うされるのである。
 しかし、イルーヴァタアルは、人間が、この世の互いに入り乱れる諸力の間に置かれれば、しばしば迷って、自分たちの天賦の贈り物を調和させて用いることをしないだろうということを知っておられた。そこで、イルーヴァタアルは言われた。「この者たちも時至れば、かれらの成すことはすべて、わが業の栄光に帰せられるるものたることを見出さん」と。
 しかし、エルフたちは、人間がしばしばマンウェにとって深い悲しみの種であると考えている。マンウェは、イルーヴァタアルの御心を最も良く知る者である。エルフから見れば、人間は、全アイヌアの中で最もメルコオルに似ている。もっとも、メルコオル自身は、人間たちを、自分に仕える者たちをも含めて絶えず恐れ、憎んできたのであるが。
 人間の子らが、生きてこの世に住まうのはほんの短い間で、この世に縛られることなく、すぐに、いずこともエルフたちの与り知らぬところに出で立ってゆくのは、自由というこの贈り物と分かちがたい一つのものである。それに反し、エルフたちは世の終わりまで留まるのであり、それ故にこそ、地球と全世界に懐くかれらの愛はなおさら純一さと痛切さを加え、年月が経つにつれ、さらに悲しみが加わるのである。なぜなら、エルフたちは、殺害されるか、悲嘆にかきくれて命果てる意外は(かれらもこれら二つの外見上の死は蒙るのである)、世の消滅まで死ぬことはないのである。一万世紀を生きてそれに倦むのでない限り、齢もかれらの力を減じることはなく、死にかけると、かれらはヴァリノオルのマンドスの館に集められる。いつかはそこから戻ることもできるのである。
 しかし人間の息子たちは本当に死んで、この世を去る。それ故に、かれらは客人とも、よそびととも呼ばれるのである。死はかれらの宿命であり、イルーヴァタアルからの賜わり物である。時が経てば、力ある神々さえ、これを羨むであろう。しかし、メルコオルがこの賜り物にかれの暗い影を投げ、暗黒と混同させ、善なるものから禍を、望みから恐れを生じさせたのである。しかし昔、ヴァラアルがヴァリノオルのエルフたちに言明したところによると、アイヌアの第2回目の音楽には人間たちも加わるということであるが、一方、イルーヴァタアルは世の終わりのあと、エルフたちをどうなさるおつもりであるか、まだ明かし給うてはおられぬ。メルコオルもまだそれを見出していないという。
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