It is true that the Took family had long been pre-eminent; for the office of Thain had passed to them (from the Oldbucks) some centuries before, and the chief Took had borne that title ever since. The Thain was the master of the Shire-moot, and captain of the Shire-muster and the Hobbitry-in-arms,but as muster and moot were only held in times of emergency, which no longer occurred, the Thainship had ceased to be more than a nominal dignity. The Took family was still, indeed, accorded a special respect, for it remained both numerous and exceedingly wealthy, and was liable to produce in every generation strong characters of peculiar habits and even adventurous temperament. The latter qualities, however, were now rather tolerated (in the rich) than generally approved. The custom endured, nonetheless, of referring to the head of the family as The Took, and of adding to his name, if required, a number: such as Isengrim the Second, for instance.(9~10)
トゥック一族が長らく他にぬきんでた声望を維持してきたことは事実である。というのは、もう何世紀も前にセインの職務が(オールドバック一族から)この一族の手にゆずられて、以来トゥック家の家長がこの肩書きを帯びることになっていたからである。セインというのはホビット庄の庄議会の長であり、またホビット庄召集兵とホビット庄民兵の司令官でもあった。しかし、庄議会も軍隊も危急の場合にしか招集されないものであり、そのような非常時は絶えて久しくなかったので、セイン職も名目上の権威を示すにとどまった。現にトゥック一族はいまだに特別の敬意を受けていたが、それというのも、一族の数が多く、ずばぬけて富裕であり、代々風変わりな性質と冒険好きな気質さえそなえた強い個性の持ち主を生み出す傾向があったからである。しかしそういう気質は、現在では一般に是認されていると言うより、(富裕な連中の間で)大目に見られているにすぎなかった。それにもかかわらず、この一族の長を指して「トゥック氏」と称し、もし必要なら、アイゼングリム二世のごとく、その名前に数字を付け加える習慣がいまだに続いていた。1-24
ピピンは妙にその井戸にひきつけられました。みんなが毛布を広げたり、できるだけ床の穴から離して部屋の壁にくっつけて寝床を作っている間に、かれはそっと井戸の縁に忍び寄り、中を覗き込みました。冷たい空気が見ることのできない深みから吹きあげてきて、自分の顔を打つように思いました。突然衝動に駆られて、かれは落ちている石を手探りで拾い、井戸の中に落としました。何か音が聞こえてくるまで、かれは自分の心臓が何度もどきどきと打つのを感じました。それからずっと下の方で、まるで洞穴のような場所の深い水に石が落ちたような、ドボーンという音が聞こえました。その音は非常に遠くから、うつろな縦穴の中で大きくなり、くり返されて響きました。
「あれはなんじゃ?」と、ガンダルフが叫びました。ピピンが自分のしたことを白状すると、ガンダルフはほっとしました。しかしかれは怒りました。ピピンにもかれの目がきらりと光るのが見えました。「ばか者トゥックが!」かれはがみがみとかみつきました。「これは命がけの旅じゃ。ホビットの遠足ではない。今度やりたければ、自分を投げ込め。そうすりゃ、厄介払いができるわい。さあ、おとなしくせい!」3-230
「あれはなんじゃ?」と、ガンダルフが叫びました。ピピンが自分のしたことを白状すると、ガンダルフはほっとしました。しかしかれは怒りました。ピピンにもかれの目がきらりと光るのが見えました。「ばか者トゥックが!」かれはがみがみとかみつきました。「これは命がけの旅じゃ。ホビットの遠足ではない。今度やりたければ、自分を投げ込め。そうすりゃ、厄介払いができるわい。さあ、おとなしくせい!」3-230
紐は切れました! ピピンは急いでその紐を手にとると、もう一度二つの輪穴を持ったゆるい手かせに結び直し、両手をその中に滑り込ませました。
5-93
5-93
不意にある考えがピピンの心に閃きました。そしてかれは直ちにそれを実行に移しました。(中略)
「逃げられる望みはない!」と、ピピンは考えました。「だが、濡れた地面にぼくの足跡がそのまま残っている望みはあるな。」かれは縛られた両手で喉元を探り、マントに留めてあったブローチをはずしました。オークどもの長い腕と硬い鉤爪がむんずとかれを掴もうとするちょうどその時、かれはブローチを手から落としました。
5-98
「逃げられる望みはない!」と、ピピンは考えました。「だが、濡れた地面にぼくの足跡がそのまま残っている望みはあるな。」かれは縛られた両手で喉元を探り、マントに留めてあったブローチをはずしました。オークどもの長い腕と硬い鉤爪がむんずとかれを掴もうとするちょうどその時、かれはブローチを手から落としました。
5-98
その時、ずしりと重い光る物が上から投げ落とされました。それはサルマンがちょうど鉄柵から身を離した時、柵を掠めて、ガンダルフの頭をすれすれに過り、かれが立っている石段にぶつかりました。鉄柵は音を立てて折れました。それの落ちた石段はひび割れて、かけらがきらきらと火花を散らしました。しかしその珠は傷一つ受けず、石段を転げ落ちました。水晶のように透明な暗い珠で、中心は火と燃えていました。それは弾みながら水たまりの方へ転がっていきましたので、ピピンが走って後を追い、それを拾い上げました。6-186
「おい、それはわしがもらっとく! お前さんにそれを取ってくれなんて頼まなかったぞ。」かれは急に向き直ると、何かとても重い物を持った人のように、ピピンがゆっくり石段を登ってくるのを見て叫びました。6-188
叫び声はつんざくばかりでした。見張りたちは土手から跳び降りて来ました。やがてだれもかれも起き出して野営地中が大騒ぎとなりました。
「そうか、こいつが泥棒か!」と、ガンダルフがいいました。大急ぎでかれは地面に置かれたままの珠に自分のマントを投げかけました。「だがピピンよ、お前というやつは! おかげで辞退は恐るべき局面を迎えるぞ!」6-208
「ペレグリン・トゥックよ、お前はばかじゃが、正直なばかのまでいることができた。」6-211