銀と銀
「うおおおおおおおお!!!!」
彼、
坂田銀時は走っていた。ただただ一心不乱に走っていた。普段の彼からは考えられないほどの全速力で。
ものぐさとも無気力とも言えるほどだらしのない彼がハリウッドの超大作アクション映画も道を譲るぐらいの走力を発揮していた。それは何故か?
答えは単純、生命の危機にひんしているからだ。そりゃ必死で走る。
「ちょっと待てやあぁぁぁ!!銀さん寝起きだし甘い物もとってないし昨日の酒も残ってるんだからそんなに走らせたらリバースしちゃうよ!いいの!?
ゲロイン枠をこんな天パが取っちゃってもいいの?良くないだろお、そう思うよなあ?だったらすこーしばっかり追いかけるのやめてくれませんかねえぇぇ!!」
しかし相手のヒグマはまっっったく意に介さない。唸り声を上げながら銀時の背中をその両腕で捕らえんとばかりに追走する。二足歩行で。
「お前クマならクマらしく両手両足使って四足歩行で走れってんだよ!いや二足歩行の方が遅いならそのままでもいいけどよお!
つーかクマと対決するなら俺じゃなくてもう一人の方だろうがあああぁぁぁ!!!銀さんは銀時なの!金じゃないの!銀なの!
どっかで見てんならとっとと助けに来て相撲とってコイツ投げ飛ばせよ、なぁそうだろ中村ァ!!!」
昨日の酒のためか世迷い言を叫びながら疾走する銀時。しかし体力の限界かはたまた糖分の不足によるガス欠か、遂にその足が止まる。
「あークソ、もう走れねえ。なんか走ってる途中で手に持ってた袋は落とすしよー、ツイてねえ。
あの中にパフェでも入ってりゃ糖分補給してテメエみたいなクマなんぞ指先一つでダウンなんだけどなー、アンタも見たいだろ?
ほらさ、よくいるじゃん強敵を求めて戦いに明け暮れる筋肉バスターみたいな奴。そのクチなんだろ?だからさー、今回は見逃してくれないかなー?」
しかしヒグマは止まらない。動きの止まった銀時へ、その無慈悲な右腕をいざ振り下ろさんとしたその時--
流星が夜を切り裂き、ヒグマの脇腹に突き刺さった。
「そこの人、大丈夫ですか!?」
思わず目を瞑っていた銀時に掛けられた若い男の声。
ああ、取り敢えず助かった、とか末期のパフェを食えずに死ねるか、などと考えていた銀時が目を開けると、
不思議なことに目の前には若い男の姿は無かった。代わりにその場にいたのは、一匹の小型犬。
種類は和犬、いわゆる秋田犬。その中でもマタギ猟に用いられる熊犬。
奥羽軍総大将二代目、銀。通称流れ星・銀。銀時の命を救った犬(おとこ)の名前である。
「え?いや待って、さっきの声って空耳でしょ?あー、そっかまだ夢の中なのかな、そうじゃないとおかしいもんなー」
「何を言っているんですか!今のうちに貴方は逃げて下さい、あのヒグマは僕が抑えておきますから!人間が素手でヒグマに勝てるはずがない!」
「ちょっと待てええぇえ!!なんで犬の言葉が理解できるんだよそんなのおかしいだろうが!!ネコに成ったことはあってもイヌになった覚えはねえぞ!」
「今はそんなことを気にしている場合ではないでしょう!!」
犬に諭される銀時。その時だった。
「ボッフォボッフォ、たかが犬っころだと思っていたが中々のパワーだな!」
そう言いながらヒグマが立ち上がった。その体には先程の銀による突進のダメージが残っているのか、脇腹から体中に放射状にヒビが入っている。……ヒビ?
そしてそのヒビからパキリという音が聞こえたと思った次の瞬間、ヒグマの体毛と思われていたオーバーボディが砕け散り、
中から現れたのはヒグマではなくシロクマの毛皮を被った大男!
「我が名は完璧・無量大数軍(パーフェクト・ラージナンバーズ)が一員、『完力』ポーラマン!!
貴様らのような下等超人以下の虫ケラどもなぞさっさと片付けてネメシスの元へ戻らんとイカンのだ、さぁ死ねえ!」
さぁここに、完璧超人VS万事屋&熊犬の変速タッグマッチの火蓋が切って落とされようとしている!勝つのは一体誰なのだろうか!
【E-3 森/深夜】
【坂田銀時@銀魂】
状態: 健康、空腹、若干の吐き気
装備:無し
道具:無し
基本思考:この場をどうにかする
1:何だこのクマ
2:何だこのイヌ
【銀@流れ星銀】
状態:健康
装備:無し
道具:銀時の
支給品、銀の支給品
基本思考:ポーラマンを倒す
1:ヒグマ殺すべし、慈悲はない
2:銀時を逃がす
【ポーラマン@キン肉マン】
状態: 健康
装備:無し
道具:無し
基本思考:関係者を皆殺しにしてネメシスの元へ戻る
1:ボッフォボッフォ
※穴待たず10はポーラマンでした。
最終更新:2014年10月05日 17:18