グリズリーハンターSATEN ◆bVosw4LjS6
「もう!一体どうしろっていうのよ!?」
森の中で二度目の気絶から目を覚ました
佐天涙子はジタバタ暴れながら怒り狂っていた。
そもそも御坂さんならともかく、なんでレベル0のただの一般人の自分がこのような
理不尽な殺し合いに巻き込まれないといけないのか?オマケにヒグマとかいるし。
「まっ、いっか。御坂さんや初春が巻き込まれてなければ、きっと助けに来るはず。
それまで何が何でも生き延びなきゃ!……ん?」
何やら気配を感じた佐天は咄嗟に木陰に隠れて息をひそめる。
「……うわぁ……最悪だ……。」
森の奥から臭い立つような獣臭と共に、巨大なヒグマが四足歩行で徘徊している。
先ほど孫悟空を殺したヒグマとは別個体かもしれないが、体格はさほど変わらない為
戦闘力は同レベルでもおかしくないだろう。
「冗談じゃない!あんなのと戦える訳ないじゃん!ここはなんとかやり過ごして―――。」
そう思った次の瞬間、佐天がもたれかかっていた樹木が激しい衝撃と共に吹き飛ばされた。
「がはぁっ!!」
佐天は地面をゴロゴロと転がって倒れ込む。
何とか顔を上げると鼻息を荒げながらヒグマが立ち上がって見下ろしていた。
「グオオオオオオォォォォオオオオ!!!」
「クソッ!見つかった。」
野生動物の嗅覚は人間の比ではない。多少隠れたぐらいではやり過ごせないのだ。
口を大きく開けて襲い掛かるヒグマに覚悟を決めた佐天はディバッグから金属バットを
取り出してその口目掛けて全力で叩きこむ。
一瞬ヒグマの動きが止まるが、瞬く間に金属バットを噛み砕かれ、衝撃で佐天は再び地面を転がる。
「痛ぁ……あぁもう!こんな武器じゃ駄目だ!もっといい奴はないの!?……え?」
ディバッグのファスナーを開けた佐天は意表を突かれてキョトンとし、
しばらくした後目つきが変化する。ただの少女から狩猟者の眼光に。
「なるほど、四次元ディバッグって訳ね。これも何かの能力なの?―――ま、いっか!」
自分目掛けて振り下ろされたヒグマのクローをディバッグから取り出した巨大な金属の塊が防ぎ、
衝撃で今度はヒグマが吹き飛ばされる。月光を浴びてそこに立っていたのは、鋼鉄の巨人だった。
「久しぶりじゃない相棒!初春はいないけどよろしく!」
変形式大型汎用作業機械「エカテリーナ2世号改」。
婚后航空第二工廠が持てる技術の全てを投入して作り上げた作業用マシンである。
佐天はかつて親友の初春と共にこの機械に乗り込み、「STUDY」の巨大ロボと戦ったことがある。
人間はヒグマには勝てない。そもそも唯の人間が出来ることなどたかが知れている。
人類は自然を克服するために様々な機械を作り上げた。自然に対抗できるのは、人類の英知なのだ。
コックピットに乗り込んだ佐天は立ち上がったヒグマに向かって構えを取る。
「覚悟はいいかぁ!ミスタービースト!!どりゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
ローラーダッシュで突撃したエカテリーナ2世号改はそのまま右の鋼鉄の拳をヒグマに繰り出す。
大きく口を開けてその拳を砕きつぶそうとするヒグマをみて佐天はにやりと笑う。
「…………いっけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!
ヒグマの口目掛けて、右腕に仕込まれたパイルバンカーを打ち出した。
激しい噴出音と共に、ヒグマの顔面に鋼鉄の杭が撃ち込まれる。
金属バットを砕けてもこれはひとたまりもあるまい。
「勝った!……え?」
だが、煙が晴れると、そこには相変わらずヒグマが立っていた。
地面に後をつけながら後方へ吹き飛ばされ、鋼鉄の杭を両腕のクローで挟み込み止まっているヒグマが。
「パイルバンカーを止めた!?でも!まだまだぁ!」
佐天はエカテリーナ2世号改の左腕のワイヤーアンカーをヒグマの側面に向けて
ロケットパンチの様に発射し叩き込もうとする。
今ヒグマは両腕が塞がっている。防ぎようがない筈。
「……なっ!?」
だがヒグマはすぐに両腕をパイルバンカーからは離し、地面から大きく跳躍する。
そして、両腕を大きく廻してアンカーパンチを受け流し、左拳を地面に叩き落とした。
「なにあれ?廻し受け?……空手の技!?」
ヒグマが地面に下り立つと同時にパイルバンカーとアンカーパンチを引き戻し体勢を整えた
佐天はなにか考えた後、ヒグマに向かって喋りかけた。
「今の動き、野生の動きじゃない。ヒグマは空手なんか使わない。
あなた、胴着を着たおじさんを殺したヒグマじゃないでしょ?一体何者なの?」
すると、しばらく沈黙した後、パイルバンカーが掠った部分からピシリとヒビが割れるような
音が聞こえ、やがてヒグマの全身にヒビが広がっていく。
「――――――人間はヒグマにゃ勝てねぇ。空手も使えねぇヒグマにだ。ならどうする?」
激しい爆発音と共にヒグマの全身が砕け散り、中から胴着を着た男が出現した。
「なっちまえばいいじゃん、ヒグマによぉ。」
オーバーボディを破り、北辰会館有段者工藤健介が月光を浴びながら姿を現す。
その男を佐天はコックピットの中から睨み付けた。
「人間を棄ててヒグマになってまで強くなりたいの?冗談じゃない!」
再び、月下の元で二人の参加者が対峙する。その勝負の行方は、今はまだ誰も判らない。
【B-3森/深夜】
【佐天涙子@とある科学の超電磁砲】
状態:健康
装備:エカテリーナ2世号改
道具:基本
支給品、ランダム支給品×0~1
基本思考:対ヒグマ、会場から脱出する
1:工藤健介を倒す
2:仲間を見つける
【工藤健介@餓狼伝】
状態:健康
装備:
道具:
基本思考:優勝する
1:……。
※穴持たず2はオーバーボディでした
最終更新:2014年09月15日 01:23