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ストーリィ・メモ No.02 - Memos of Stories
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hikarino_youko
Memos of Stories 同じ名前 編: 未咲ちゃんと蕾ちゃん
ある日のこと、未咲と遊ぶ約束をした、秋本くんが、入れ違いになったことがありました。
秋本くんが、早紀子に案内され、一緒に2階へあがってみると、ハートのシールが貼られたドアは、開いたままでした。
そこで、早紀子は、赤やピンクのクッションをベッドの上に手早く並べながら、
「 少し、散らかってますけど、 」
「 いえ、 」
「 まもなく帰ってくるでしょうから、ここでお待ちになってください。 」
そう言って、秋本くんを娘の部屋の丸テーブルの前に座らせました。
それから、倒れているお人形さんを、2体ともおこしてやり、そろそろ部屋から出ようとしました。
娘と同級生の紳士は、室内に視線を一周だけさせてから、本棚の本を見据えたまま、言いました。
「 未咲ちゃんの名前って、どうやって決めたんですか? 」
早紀子は、安らいだ様子で、
「 やっぱりね。学校では、珍しい名前なんですか? 」
とだけ言うと、ドアのほうへ立ちました。
秋本くんは、閃いたようにパッとこちらを向いて、
「 妹さん、蕾ちゃんですよね?
その、‥同じ名前なんですか? 」
「 え? どうしてそれを? 」
妹の名前を知っているのは、不思議ではありませんでした。姉の未咲と同じクラスなのですから。何かの時に、未咲が教えたのでしょう。
「 でも、よく気がつきましたねぇ!
本人にも、言うのうっかりしてたのに‥ 」
「 え? 何の話? 」
本人 が、帰ってきました。