岩山、見る限り多少の植物の生えた不毛な岩山の地帯。
正直、登山用具が必要かもしれないがそんなものを
熊本潤平が持っている筈も無い。
「足元悪いな、滑落しないようにしないと……」
所々崖のようになっており、足を滑らせたりでもして落ちれば良くて骨折、最悪死亡する恐れもある。
少し平らになっている場所に腰を下ろし、デイパックの中を確認する。
名簿を広げれば、そこには多くの人名。
「なっ……嘘だろ、また……あるじゃねぇか、あいつの……!」
一つの名前を見付けて潤平の顔色が変わった。
飯島遥光、彼の永遠を誓った、永久の朋。盟友。そして恋人。
以前彼が巻き込まれていた殺し合いにも呼ばれそしてまたこの殺し合いにも呼ばれている。
沸々と主催者に対する怒りが湧きおこり、手に力を込め名簿がくしゃくしゃになっていく。
「………ぜってえ、殺す。あの二人を殺す」
煮えたぎって殺してやる。
切り刻んで殺してやる。
見るに堪えなく殺してやる。
どす黒い感情ばかりが潤平の心に浮かんだ。
以前の殺し合いでも同じ台詞を吐いたが、対象は違えど意味はほぼ同じ。
他にも少しの間行動を共にしていた「
勇気凛々」なる少女もいるらしい。
こちらの優先度は、はっきり言って低い。
「……支給品は、何だよ」
怒りを抑え、潤平はランダム支給品は何か確認を始める。
三つ出てきた――――まず一つ目は古めかしい形の自動拳銃。
説明書によると、名前は「ベルグマン・ベアードM1908」。操作方法や装弾方法も詳しく書かれている。
100年以上も前の自動拳銃だが、紛れも無く銃器――武器である。
当たりだ、と潤平は喜んだ。
もう一つは、あの有名ファーストフード店ケンタッキーフライドチキンの箱。
しかし随分軽いので開けてみると、何とフライドチキンの皮がぎっしりと詰まっていた。
後で食べるかと、潤平は思った。
最後の一つは――――こけし。
何の変哲も無いただのこけしだった。
潤平は特にコメントもせずこけしをデイパックの中にしまった。
「まぁ、拳銃ならな…」
ベルグマン・ベアードを装備し、デイパックを携え潤平は立ち上がる。
「遥光を捜さないとな…あと、出来れば女性を仲間にしたい、守りたい、あんな事こんな事…行くか」
自分の欲望を口にしつつ潤平は山道(と思われる)を下り始める。
しばらく歩くと、少し開けた場所に出た。
すると。
「! 女の子…!」
金髪、狐耳に尻尾、眼鏡、セーラー服。
萌え絵を具現化したような美少女がこちらを向いて立っていた。
(あの耳よ尻尾は? 飾り…だよな…本物じゃないよな、そういう趣味なのかあの子は、いや、でも、
可愛い子だ、マジで、眼鏡っ娘も……中々……あれ? 何か……)
少女の手には長い物が握られていた。
良く見ると、それは散弾銃のようだ。
少女は潤平にゆっくり近付き、散弾銃を構え銃口を向けた。
「ちょっ」
「私は
志水セナ……貴方は?」
「お、俺の名前か?」
「他に誰がいるのよ」
「おれは……熊本潤平だ」
てっきり有無を言わさず撃たれるかと思ったが対話を始めたと言う事は、殺されると決まった訳じゃない。
潤平はそう思ったが、次に言ったセナの言葉にその考えが間違いだった事に気付かされる。
「そう、分かった。今から殺す人の名前一応聞いておこうと思ってね」
「はぁぁああああ!? いや待て待て待て!」
余りにも理不尽過ぎる、いくら可愛い女の子でもこれは受け付けられない。
潤平は抗議の声をあげるが、セナに散弾銃の銃口を突き出され黙った。
「暴れると痛いよ?」
セナが散弾銃の銃口を潤平の顔面に突き付ける。
冷たい鉄の筒が自分の鼻先に当たった。
後数分もしない内にこの筒から散弾が放たれ、自分は死ぬ。
自分の頭部はどうなってしまうだろう、きっと原型を留めない無惨な状態になるに違い無い。
ここで死ぬのか、結局、恋人にも会えないまま自分は死ぬのか。
(おい、おい、おい、おい、嘘だろ、マジか、これ、死ぬのかよ、こんな……)
「それじゃあ、痛いのは一瞬だけだからね」
セナがにやりと笑みを浮かべ、引き金に指を掛けた。
(畜生、遥光、畜生―――――――――――!!!)
ダァン!!
銃声が鳴り響いた。
「………………え?」
潤平の目の前の狐耳の少女が倒れた。
胸元に穴が空き血が噴き出し、ドクドクと流れ血溜まりが出来ていく。
志水セナの目はどこも見ていないようで、もう意識は無いようだった。
一体何が起きたのか、と、潤平が周囲を見渡す。
そして、崖の上に人影が。
その手にはライフルらしきもの―――――!
ダァン!!
「くっ!」
間一髪で銃弾を避けた。
お返しとばかりに持っていたベルグマン・ベアードを人影に向けて発砲する。
ダンッ! ダンッ! ダンッ!
しかし距離が遠過ぎる、潤平自身が銃に関して素人だった事、咄嗟の事で狙いを良く定めなかった事で、
銃弾は人影の主に当たる事は無く土煙を出すに留まる。
だが人影は怯んだのか、踵を返して逃げ去ってしまった。
「はぁ、はぁ……」
辺りに静けさが戻る。
兎にも角にも、命の危機は一旦は去った――――潤平は安堵する。
しかし、すぐに我に返る。
(遥光、早めに捜しといた方が良いな……)
一度本当に死に掛け、潤平は自分の置かれている状況を改めて理解した。
この殺し合いの場のどこかにいる自分の恋人を早く見付けたいと言う気持ちが強くなる。
潤平は息絶えたセナの持っていた散弾銃――ウィンチェスターM1897と、
彼女のデイパックに入っていた予備の弾を手に入れる。
他に銃剣らしい物も入っていたのでそれも失敬する。
装備を散弾銃に切り替え、潤平は山を下りる道を進み始めた。
【志水セナ@俺のオリキャラでバトルロワイアル 死亡】
◆
しばらく走り、岩陰で
矢部翼は息を整え始める。
手にしていたGew41(W)自動小銃を岩壁に立て掛けた。
「やっぱり使いにくいな、慣れが必要か…あの狐耳の女の子に当てられたのは幸運だったか…」
先刻、崖の上から二人を狙撃した。
一人は仕留めたがもう一人は仕留め損ね、拳銃で反撃され撤退を余儀なくされる。
支給された自動小銃は第二次世界大戦以前のドイツ製で、威力も射程も申し分無いが、
重く、使いにくい。銃に関しては素人である翼にとっては尚更だった。
支給品は他にもあったが、武器になりそうな物はGew41(W)のみだった。
「……行こう」
休憩を終え、翼は銃とデイパックを持ち再び歩き始める。
まだ立ち止まる訳にはいかない、以前の殺し合いで死んだはずの自分がどうやって生き返ったのかは分からない。
別の殺し合いである以上前の殺し合いの時に拘束されていた自分の妹も、どうなったのか分からない。
もしかしたらもう――そんな嫌な想像を翼は必死で振り払う。
きっと、主催者の二人が何か知っているはずだ、優勝して二人に直接会えばきっと何か分かるはず。
自分はどうなっても良い、せめて妹だけでも生きて幸せになって欲しい。
その思いだけが矢部翼を動かす。
「由美子……」
妹の名前を呟き、翼は修羅の道を辿る。
その先に待つのは破滅か、それとも――――。
【B-4/山岳地帯/一日目/朝】
【熊本潤平@数だけロワ】
[状態]:健康
[服装]:特筆事項無し
[装備]:ウィンチェスターM1897(5/5)
[道具]:基本支給品一式、12ゲージショットシェル(5)、M1917銃剣、ベルグマン・ベアードM1908(2/6)、
装弾クリップ(9mmラルゴ弾6発入り×3)、ケンタッキーフライドチキンの皮入り箱、こけし
[思考]
基本:遥光を捜す。女を守る。
1:凛々ちゃんは……どうするか。
[備考]
※数だけロワ29話「無題――――NoTitle――――」以後からの参戦です。
※矢部翼の外見のみ記憶しました。
【矢部翼@需要なし、むしろ-の自己満足ロワ3rd】
[状態]:健康
[服装]:特筆事項無し
[装備]:Gew41(W)自動小銃(8/10)
[道具]:基本支給品一式、Gew41(W)弾倉(2)、ランダム支給品(1~2、武器になりそうな物は無し)
[思考]
基本:妹の安否を知るために優勝し、主催者に合う。
1:目に付いた参加者を片っ端から殺すつもり。
[備考]
※需要なし、むしろ-の自己満足ロワ3rd本編死亡後からの参戦です。
※熊本潤平の外見のみ記憶しました。
※志水セナの死体、及びデイパック(中身は基本支給品一式のみ)がB-4山岳地帯に放置されています。
また、B-4一帯に銃声が響きました。
≪支給品≫
【ベルグマン・ベアードM1908】
熊本潤平に装弾クリップ3個とセットで支給。
1908年に開発された自動拳銃。構造はドイツの名銃モーゼルM1896(C96)に近い。
モーゼルに比べて装弾数も少なく、デザイン的にも垢抜けないものであったが信頼性は高く、
ベルギーの他デンマークやスイスでも軍用拳銃として制式採用された。
【ケンタッキーフライドチキンの皮入り箱】
熊本潤平に支給。
有名ファーストフード店、ケンタッキーフライドチキンのフライドチキンの皮がぎっしり詰まった同店の箱。
皮が大好きな人には堪らない。と言うか皮が一番美味しいと思う。
【こけし】
熊本潤平に支給。
江戸時代末期(化政文化期)頃から、東北地方の温泉地において湯治客に土産物として売られるようになった、
轆轤(ろくろ)引きの木製の人形玩具。一般的には、球形の頭部と円柱の胴だけのシンプルな形態をしている。
【ウィンチェスターM1897】
志水セナに予備の12ゲージショットシェル5発とセットで支給。
名工ジョン・ブローニング設計によるポンプアクション式散弾銃。
レピーター(3発以上の装弾数を持つ銃の総称)散弾銃の元祖と云われ、民間の他にも軍隊、警察などで使用された。
トリガーを引きっぱなしでフォアエンドを前後させることで、連続射撃が可能。
軍用では無いので着剣装置は無い。
【M1917銃剣】
志水セナに支給。
第一次世界大戦時に米軍が使用していた銃剣。
この銃剣を付けたウィンチェスターM1897の改良型、M1917は「トレンチガン」と呼ばれ恐れられた。
【Gew41(W)自動小銃】
矢部翼に予備弾倉2個とセットで支給。
第二次世界大戦初頭にドイツのワルサー社が軍からの依頼で開発した自動小銃。
ドイツ軍に採用されるも、自動装填ガスシステム等による問題が多かった。
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志水セナ |
GAME OVER |
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熊本潤平 |
043:亡國昏睡カタルシス |
| GAME START |
矢部翼 |
042:怒りの行き先 |
最終更新:2012年04月15日 15:29