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みくるとの再会

最終更新:

hiroki2008

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みくるとの再会



当初みくるは未来に帰ってしまった設定にしていたのだが
時系列が合わないので没にした

(後日、涼宮ハルヒの経営Ⅰで使われた)



長門が消えて3日が過ぎた。
ハルヒには、おおかた実家にでも不幸があって帰ったんだろうとごまかしておいたが、信じたかどうかは定かではない。
3日ということはタイムトラベルで別時代に行ったわけではないということだ。
なぜなら、戻ってくる可能性があるなら即現れるからだ。
それが1分後でも2分後たいした違いはない。ところがそれが3日間ということは、少なくとも長門の自時間で3日間、
戻って来れない事情にあると考えるべきだろう。



朝比奈さんがかけつけた。つまり未来から戻ってきた。
「涼宮さん、おひさしぶり」
「あら、みくるちゃんじゃないの。帰ってたんだ」
「お元気そうでなによりです」
「どう?スイスの大学は。いい男捕まえた?」
「やだ涼宮さん、そんなことしませんよぅ」
「赤くなってるところを見るといい獲物がいたようね」
「ちがいますってばぁ」
未来に帰っても朝比奈さんは朝比奈さんだ。スイスの土産ですと小さな箱をくれた。
俺が、開けてもいいですか、といい終わらないうちにハルヒが早々と中身を検めている。
「キョン!金塊よ金塊!スイスゴールドよ!」
「ほんとかオイ」
「やだ、それチョコレートですよ」
なるほど、スイスといえば金塊チョコか。
にしても、わざわざアリバイ作りのためにこんな高価なものまで、と苦笑めいた俺の表情を見てか、
「あら、ほんとにスイスにいるんですよ今」と俺だけに聞こえるように言った。
「えっそうなんですか」
「スイスのある研究所で働いてるの」
「へー。やっぱ時間関係ですか」
「スイスだけにね、ってちがうちがう」ナイス乗りツッコミ。
「あとでちょっと話せます?」と腕時計をさして尋ねた。
「ええ、少しなら時間あります」
涼宮がチョコを食い終えて満足顔で帰ってから、俺と朝比奈さんは駅前の喫茶店に入った。



「長門が消えてからもう3日になります」
「だいたいのことは小泉くんに聞きました。その本ってのは……」
「今、古泉が機関で調べてもらってるみたいです。涼宮の自伝みたいな本で。
 俺が一人称で書いてることになってるらしいんですが」
「今回のことは私の知る限り、私たちの未来には関わってる事件ではないみたいなんです」
「つまり、長門が無事戻ってくるかどうかは分からない?」
「それは禁則事項なんですが、長門さんそのものが時間的制約を受けない人ですから。
 未来に存在してもそれが今回消えた長門さんなのかどうかは分かりませんし、
 情報統合思念体が用意したバックアップコピーかもしれません」
「つまり同位体ってやつですか」
「ええ。私たちから見れば異時間同位体です。長門さん達から見れば、情報をリンクしているものを同位体と呼ぶみたいですが」
つまり長門は未来に存在するわけだ。朝比奈さんは遠まわしにそう言っている。
「以前長門が暴走したとき、俺がハルヒ一同SOS団が存在しない世界に行ったときのことですが」
「ええ」
「未来からの干渉で修復しましたよね」
「ええ。それが規定事項でした」
「あのときと同じようにいかないんですか。つまり、長門が消えてしまう前に止めに入るとか」
「それが、今回のは規定ではないんです。
 つまり、そのとき私がいなかったということは止めに入ることは規定ではないということです。
 それに長門さんの組織には干渉しない暗黙のルールみたいなものがあって、簡単に手は出せません」
「なるほど」
「それに私たちが干渉するのは時空震が起るような場合だけですから」
「つまり今回は長門個人に降りかかった災難と」
「そういうことになります。今のところは静観するしか」
「そうですね」
「でも、私がこうして来ているのは可能な限り支援するためなので。できることはなんでもします」
「ありがとうございます。でも、古泉もあいつの機関もですけど、なにひとつ情報がないんでどうしようもなくて」
「これは重要なことなんですが、私のいる時代では今回の件は歴史として残ってないんです。
 抹消されたのか、元々なかったのかは分かりませんが」
とすると、今回の件は朝比奈さんのいる時代では存在しない歴史ということか。どうなってるんだ。
「そうですか……」
ふたりともしばらく無言のままお茶をすすっていた。たぶん、長門やハルヒたちと遊んだ日々を思い出しているのだろう。
「未来からも今回の件を観測しています。未来でも情報統合思念体とは接触できますから」


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