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古泉一樹の誤算 NG 二章

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hiroki2008

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二章



 そして就業時間を終えた午後六時、長門と喫茶店でお茶をしていると朝比奈さんが現れた。
「あのぉ……今日この時間にここに来るように言われて来たんですけど……」
「朝比奈さんお久しぶりです」
「あの、どうしてわたしのこと知ってるんですかぁ?」
あれれ、朝比奈さん、大きいほうじゃなくて小さいほうじゃないですか。しかも俺が高一のときに会った朝比奈さんより若い(特小)ときている。
「すいません、ええとどう言えばいいんでしょう、呼んだのはあなたではなくて数年後のあなたなんですが……」
「ええっ、そうだったんですかあ」
時系列的に言えば当然この朝比奈さんがやって来るわな。ご指名に年齢指定しとくべきだった。
「すいません石碑に説明が足りなかったようで」
「この石碑、ずっと謎だったんですよ。わたしが生まれる前からあったらしくて」
そうなんですか。古代人から伝わる謎の石碑に自分の名前が刻まれているなんて、ちょっとロマンがありますよね、なんて呑気なことを言ってる場合じゃない。同一人物を呼びつけておいて呼んだのはお前じゃないなんて失敬にもほどがある。
「いいんです、わたしはお呼びじゃなかったんですね……」
朝比奈さんは右手をにぎにぎして消えていった。俺的には大きい朝比奈さんよりあなたのほうに会いたかったんですが。ごめんなさい、拝みます。


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