ピアスと長門
ジュエリケースにはダイヤの指輪とセットで同じデザインのイヤリングが入っていた。俺はそれを思い出して取り出した。
「長門、機関がイヤリングをプレゼントしてくれてるんだが。あれれ、これイヤリングじゃなくてピアスだぞ」
「……ピアスは、したことがない」
「だよな。これって確か専門の店で穴を開けてもらったほうがいいよな」
「……問題ない」
長門はピアスの針の部分をいきなりプスっと耳に刺し、にこっと笑って「……どう」と俺を見た。おい痛くないのか長門、かわいいんだが耳たぶから血がドクドク出てるぞ。た、頼むからやめてくれ、いつぞやの串刺しシーンを思い出してしまう。
「長門、機関がイヤリングをプレゼントしてくれてるんだが。あれれ、これイヤリングじゃなくてピアスだぞ」
「……ピアスは、したことがない」
「だよな。これって確か専門の店で穴を開けてもらったほうがいいよな」
「……問題ない」
長門はピアスの針の部分をいきなりプスっと耳に刺し、にこっと笑って「……どう」と俺を見た。おい痛くないのか長門、かわいいんだが耳たぶから血がドクドク出てるぞ。た、頼むからやめてくれ、いつぞやの串刺しシーンを思い出してしまう。
彼も長門さんの大ファンです
お察しの通り、新川でございやす。
こんなときにこんなことを言うのもなんでございやすが、長門さん、あっしはずっとあんたに惚れていました。あんたがあの集団と孤島に来る前から、ずっと影で見ておりやした。お気づきじゃありませんか、北高正門の前にじっと止まっていた黒塗りハイヤーを。女子生徒にまじって帰宅するあんたの後姿をじっと眺めて参りやした。
だがそれは叶わぬ定め、あっしの歳じゃあ親と子も同然。二人はけして結ばれちゃあいけないんでさあ。それにあんたにはもっと似合いの連れ合いがいなさる。これはあっしだけの心に秘めておくこと、忘れなくちゃなりません。それが男といふものでありやす。今月今夜のこの月も、きっと忘れてみせましょうや。
長門さん、後生です。幸せになってくだせえ。
-完-