羽ばたき - 崩壊学園wiki

隊員
第2原子炉が間もなく臨界点に達します！反応指数は既に予測指標を越えています！

イザーリン
構うことないわ！
第3、第4原子炉を緩衝ポイントとして開放して、律者コアの崩壊エネルギーを流し込むのよ！

隊員
ダメです！短時間であまりに膨大なエネルギー量を注入しすぎです！
このままでは動力炉全体が壊れてしまいます！

イザーリン
くっ……保守テストに時間を掛ける暇なんてないのに！そんな数値は無視よ、無視！出力の安定を維持できればいい……！

隊員
分かりました……第3、第4号原子炉開放、コアエネルギー伝送中——

ブゥォォォン——！！

イザーリン
何としてでも、成功してちょうだいよ……。

隊員
3号、4号原子炉の数値が臨界点に達しました！指数はなおも上昇中！
ですが、既に動力炉の起動条件に達しました！

イザーリン
動力炉、起動ッ！

ゴォォオオオン！！！！

イザーリン
ぐっ！この振動は……ど、動力炉は！？

隊員
ゴホッ、ゴホッ！数値記録中……原子炉は正常に作動！やりました！原子炉が稼働し始めました！

「ピピピ——警告！警告！コア動力炉の負荷が許容量を突破！ただちにシャットダウンしてください！」

隊員
——ッ！動力炉の機械構造が限界に達しました！ただちにテストを中止しないと危険です！

イザーリン
は、早く！動力炉のシャットダウンを！

——ゥゥゥゥン……！

隊員
動力炉……シャットダウンしました……。

イザーリン
ふぅ……びっくりした。自分で開発した機械のせいで死んでたら、恥ずかしいったらありゃしないわ……。
今回のテストも成功しなかったけれど、少なくとも動力炉の点火には成功したわ……この実験データは何より貴重な成果よ。これをもとにして、もっと頑張れば……。

テレサ
イザーリン！大丈夫！？さっきの揺れは何事なの！？

イザーリン
うっ……あなたたち、どうしてここに？

ブローニャ
ME社周辺のレール上にあった瓦礫の片付けと、その修復が完了しました。それでこちらの様子を見に来たのです。

イザーリン
そうだったのね……ご苦労様。
ハイペリオンの状況については、場所を変えて話しましょう。ちょうど実験が終わったばかりなの。私たちは結果をまとめなくちゃいけないから、あなたたちも少し休んでいて。

ブローニャ
分かりました。では、ブローニャたちは指令室で待っています。

イザーリン
ええ、そうしてちょうだい。

灰蛾隊員
ブローニャ……ハイペリオン号は本当にまた飛べるの？

ブローニャ
イザーリンならきっとできるはずです。ハイペリオン号は我々の切り札ですから、彼女たちもきっと全力で何とかしてくれるはずです。

テレサ
そうよ……姫子もきっとハイペリオンがまた飛ぶ姿を見たかったでしょうね。彼女が私たちを守ってくれるよう祈りましょう。

灰蛾隊員
はい……。

イザーリン
みんな、お待たせ……動力炉のテスト結果が出たわ。
まず、いい知らせと悪い知らせがあるんだけど、どっちから聞く？

ブローニャ
いきなり、その聞き方ですか。
では、悪い知らせから聞きましょう。どうせ、今の状況がこれ以上悪くなることはありませんからね。

イザーリン
それもそうね、あなたの言う通り……。悪い知らせは確かにそこまでひどいものではないわ。

イザーリン
現在のテストデータによると、資材が限られているせいで動力炉が正常に作動したとしても、せいぜい4時間くらいしか維持できないことがわかったわ……。
ただそれも計算上にすぎない……動力炉の出力は不安定で、実際に稼働させたら時間はもっと短くなるかもしれない。
ましてや……。

テレサ
ましてや崩壊生物とも戦うことを考えると……。

イザーリン
その通り。今のハイペリオン号は飛び立ったが最後、空飛ぶ棺桶になるわ。これは完全なる片道切符なの。もし空中で動力を失えば、私たちが生還できる可能性はゼロに等しい。

ブローニャ
片道切符で十分です……律者を止めることができなければ、それすらも意味がなくなってしまいますから。
子供たちと負傷者は基地に残しましょう。これでブローニャたちが犠牲になったとしても、人類の火種を残すことができます。

イザーリン
うん……。

ブローニャ
悪い知らせはわかりました。では、いい知らせは？

イザーリン
いえ、悪い知らせは1つだけじゃないの……。
ここ数日の死斑の観測状況を見るに、崩壊エネルギーが既に大崩壊のレベルに達していると推測されるわ……。
恐らく、最後の爆発まで12時間もないでしょうね。今すぐ行動しないと間に合わない。

ブローニャ
そうですか……。

イザーリン
でも、いい知らせはね、動力炉を安定させる方法を見つけたから、出撃しても安全は確保できるわよ。
あなたが命令を下せば、ハイペリオン号は今にでも出撃可能よ。

ブローニャ
そうなのですね……！では、何も迷う必要はありません。

隊員
ハイペリオン号システムテスト終了！異常なし！動力炉起動！崩壊エネルギー注入開始！
前方レールの検査完了！通行に支障なし！いつでも出撃できますッ！

イザーリン
ブローニャ、動力炉の出力を安定させるために、従来の滑走方式で離陸しようと思うの。
それと出力を徐々に高めて戦艦を離陸決心速度に持っていくために、長めの助走が必要になるわね。
助走の距離は20キロ必要になると見積もっているわ。
つまり、私たちは長空市の危険エリアのほとんどを突っ切らなくてはいけないってこと。しかも、その途中で主砲は使えないから、あなたたちだけが頼りなの。

ブローニャ
分かりました——総員注目！ハイペリオンが離陸するまで全力で戦艦を保護してください！

灰蛾隊員
了解！死んでも絶対にハイペリオンを守るわ！

ブローニャ
お願いします。

ブローニャ
皆さん！我々は地表であまりにも長い間、這いつくばってきました。今こそ、大空を見上げる時です！
これが最後の戦いです！
火を追う蛾よ！希望の光に向かって高く羽ばたくのです！

ハイペリオン号、出撃——ッ！

ウォォォォォ——ッ！！
ダダダッ……！

灰蛾隊員
報告します！左舷に大量の崩壊生物が接近中！至急、応援を求めます！

九霄
安心するがいいっ！この九霄様が、新しい航路を切り開いてやろう！

ブローニャ
総員、九霄を援護してください！！
全員の火力を集中！崩壊生物を艦に近づけてはいけません！

テレサ
あたくしに任せて！

ドォオオオンッ！！！

イザーリン
みんな！動力炉が臨界点に達したわ！戦艦は間もなく最後の加速段階に入る！離陸の準備をして！

ブローニャ
全員、体勢を低くしてください！艦橋のフェンスにつかまって、慣性で振り落とされないよう気をつけてください！

イザーリン
動力炉のリミットを解除！最大出力！ハイペリオン、離陸開始！

ゴォォォーーーーッ！！！！

九霄
わわ……っ！

イザーリン
飛んだ……ついに飛んだ！

隊員
動力炉出力安定！ハイペリオン号、離陸成功！

イザーリン
よ、よかった……とりあえず何も問題がなくて……。

隊員
現在、高度1200メートル、水平推進器作動、戦艦の仰角戻ります！等速上昇開始！

イザーリン
よし……ブローニャ！あなたたちは大丈夫！？

ブローニャ
ブローニャは大丈夫です！
他の人たちは……どうなったのか分かりません……乱気流がヒドいので、すぐに確認する必要があります！

九霄
うぐ、あぁッ————！

ブローニャ
九霄、どうしたのですか？大丈夫ですかッ！？

九霄
だ、大丈夫……救世主にとって、これしきのこと大したことで——
うぷ……ッ！！！！
——オ˝ロ˝ロ˝ロ˝ロ˝ッ！！！

ブローニャ
どうやら、大丈夫なようですね……他の人は？

テレサ
こんなのただの準備運動よ～！

灰蛾隊員
報告します！灰蛾小隊は全員無事です！私たちの心配は不要です！

ブローニャ
ふぅ……どうやら最初の難関は乗り切ったようですね。

イザーリン
ブローニャ、戦艦は無事に離陸したわ。現在はあの巨塔に向かって航行中。
以前、目視した見積りでは、あの塔の高さは成層圏まで達しているはずだわ。今の上昇速度からして、あと20分ほどで塔の頂上に辿り着けるはずよ。

イザーリン
でも、高度が上昇するにつれて、空中の崩壊エネルギーの密度も高くなっていく。到着する頃には何が起こるか、誰にも予想できないわ……。

ブローニャ
その通りです……ここからが本当の戦いです……。
全員、この場で少し休みましょう。体力を温存して、これからの戦いに備えるのです。

灰蛾隊員
了解しました！