ひょんなことから女の子
造花が笑う3
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hyon
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835 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 投稿日: 2006/08/31(木) 03:09:25.46 ID:WPtGl3G3O
日曜、朝、なんでも実況V
「コイッ!ガタックゼクター!」
俺「カガミンテラモエスwwwさ、そろそろ行くか。」
昨日と違って余裕を持って家を出る。忘れ物もないし、服も髪もばっちり決めてある。
いつもは勤め人でごった返す病院前の通りも人がまばらだ。
俺「今日は何すっかな。長く友のところに居れるし…ん、あれは?」
近づいてから気付いたが病院の門に一人の少女がもたれかかっている。
俺「あれ…友じゃん。なんで?しかもあの格好…」
病室にいる筈の友が漫画でしか見たことの無いようなピンクのフリフリ付きワンピースを着て立っている。
三次の女には似合わないと思っていたそれは友のキュートな顔立ちとやや高めの身長にぴったりマッチしていた。
予想GUYの光景に言葉も出ないまま友に近づく。まだこちらには気付かない。
あと十メートル、という所でやっとこちらに気付く。目が合ったので声を掛けようとしたが様子がおかしい。
――昨日と同じだ。俺ははっきりと友の視線を捕らえているが、友が見ているのは俺の「顔の辺り」だ。
友父さんの言葉を思い出す。「特に『視力』、嗅覚が――
戦慄した。友には、俺が、見えていない?
友はまだ怪訝そうにこちらを見ている。
それでも足は真っすぐ友の方へと向かう。あと五メートルの距離になって突然友の頬が緩む。
友「・・・ぇ、ぁ…ぁの、あ…!もーっ、俺君!声掛けてくれればいーのに。変な人かと思ったんだからぁっ!」
俺「俺は十分変な人だフヒヒ。それより友、目…見えてないのか?」
友「・・・ぅん。この距離にならないと俺君だって分からないぐらいに…ね。」
五メートル。俺と友が繋がっていられるのはたった五メートル。
俺「でも無問題だな。」
友「?なんで?大問題じゃん。」
俺「俺がこの距離より近い距離で傍に居てやるから!」ギュッと抱き寄せる。
友「あまーーーい!!
・・・俺君、あったかーい…。」
俺の胸と腕に包まれた友は気付かなかっただろうが、いくつもの冷たい視線が俺たちを刺していた。
日曜、朝、なんでも実況V
「コイッ!ガタックゼクター!」
俺「カガミンテラモエスwwwさ、そろそろ行くか。」
昨日と違って余裕を持って家を出る。忘れ物もないし、服も髪もばっちり決めてある。
いつもは勤め人でごった返す病院前の通りも人がまばらだ。
俺「今日は何すっかな。長く友のところに居れるし…ん、あれは?」
近づいてから気付いたが病院の門に一人の少女がもたれかかっている。
俺「あれ…友じゃん。なんで?しかもあの格好…」
病室にいる筈の友が漫画でしか見たことの無いようなピンクのフリフリ付きワンピースを着て立っている。
三次の女には似合わないと思っていたそれは友のキュートな顔立ちとやや高めの身長にぴったりマッチしていた。
予想GUYの光景に言葉も出ないまま友に近づく。まだこちらには気付かない。
あと十メートル、という所でやっとこちらに気付く。目が合ったので声を掛けようとしたが様子がおかしい。
――昨日と同じだ。俺ははっきりと友の視線を捕らえているが、友が見ているのは俺の「顔の辺り」だ。
友父さんの言葉を思い出す。「特に『視力』、嗅覚が――
戦慄した。友には、俺が、見えていない?
友はまだ怪訝そうにこちらを見ている。
それでも足は真っすぐ友の方へと向かう。あと五メートルの距離になって突然友の頬が緩む。
友「・・・ぇ、ぁ…ぁの、あ…!もーっ、俺君!声掛けてくれればいーのに。変な人かと思ったんだからぁっ!」
俺「俺は十分変な人だフヒヒ。それより友、目…見えてないのか?」
友「・・・ぅん。この距離にならないと俺君だって分からないぐらいに…ね。」
五メートル。俺と友が繋がっていられるのはたった五メートル。
俺「でも無問題だな。」
友「?なんで?大問題じゃん。」
俺「俺がこの距離より近い距離で傍に居てやるから!」ギュッと抱き寄せる。
友「あまーーーい!!
・・・俺君、あったかーい…。」
俺の胸と腕に包まれた友は気付かなかっただろうが、いくつもの冷たい視線が俺たちを刺していた。
838 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 投稿日: 2006/08/31(木) 03:12:06.97 ID:WPtGl3G3O
デート開始
デート開始
それから質疑応答の時間になった。
何でここにいるんだ?‐デートしたいって言ったら条件付きだけどおkだって。
軽いなぁ…条件?‐五時までに帰ってくる、病状が悪くなったらすぐ帰る、顔と名前が分からないと殺せないetc
その格好は?‐婦さんに貰ったんだ。可愛いでしょ?着せてくれるときハァハァ言ってて少し恐かったけど。
…なるほど、「攻め時」ね。最後に、ほんっとに大丈夫なんだな?‐ほんっっとーに大丈夫っ!!
満面の笑みでそういうと俺の横に立ち手を繋いできた。
友「行こう。」
俺「行こう。」
そういうことになった。
何でここにいるんだ?‐デートしたいって言ったら条件付きだけどおkだって。
軽いなぁ…条件?‐五時までに帰ってくる、病状が悪くなったらすぐ帰る、顔と名前が分からないと殺せないetc
その格好は?‐婦さんに貰ったんだ。可愛いでしょ?着せてくれるときハァハァ言ってて少し恐かったけど。
…なるほど、「攻め時」ね。最後に、ほんっとに大丈夫なんだな?‐ほんっっとーに大丈夫っ!!
満面の笑みでそういうと俺の横に立ち手を繋いできた。
友「行こう。」
俺「行こう。」
そういうことになった。
俺「どこいこっかー。」
友「どこいこっかー、って昨日話し合ったじゃん!」
俺「あ、そういやそっか。でもあんま遠いとアレだし…
都市部にありながら広い敷地を持つ大型ショッピングモールにでも行くか?」
友「そうね。百五十以上の専門店と千台以上駐車可能な立体駐車場を持つあそこにしましょう。」
友「どこいこっかー、って昨日話し合ったじゃん!」
俺「あ、そういやそっか。でもあんま遠いとアレだし…
都市部にありながら広い敷地を持つ大型ショッピングモールにでも行くか?」
友「そうね。百五十以上の専門店と千台以上駐車可能な立体駐車場を持つあそこにしましょう。」
839 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 投稿日: 2006/08/31(木) 03:15:00.13 ID:WPtGl3G3O
友「ふあー!ほんっと広ーいっ!とりあえず見てまわろっ!」
俺が守ってやらなきゃ、と思っていた小さな手に俺が振り回されている。苦笑いがこぼれる。
俺「あんま走りまわると―
友「だいじょぶだいじょデフテクッ!?った~ぃ…」
俺「柱が可哀相になるくらい盛大にぶつかったな。大丈夫か?」
友「うぅ…だいじょぶ…じゃない…」
俺「見えないなら俺より前行くなよ…ほらっ、サイドっ!」
友「犬みたいに扱うなぁっ!うぅ…。あ!あの服可愛いー!」
俺「言ってる傍から!ったく…かぁいいなぁ…。」
振り回されつつも離れる事無くいろんな店を見て回る。
俺「ずいぶん高いの買ったな。そんな贅沢して良かったのか?」
友「うん…いーんだよ・・・。それよりさっ!お腹すいちゃった。何か食べよっ?」
俺「え?あ、うん。そこのイタ飯屋にでも行くか。」
軽い気持ちで入ったが大失敗だった。値段が三桁の料理などほとんど無い店だった。
友「うあ…高いね…。顔、蒼いよ?別のお店に―
俺「いやいや、余裕ッスよ!店員さーん!シーザーサラダと手長海老のパスタとチーズケーキ!友は?」
友「えっと、じゃあこの月食風海鮮リゾット。お願いします。」
俺「友!ここは俺が奢るよ!いや、大丈夫だって!」
そういいながらも頭の中では四つの料理の料金の足し算が行なわれていた。
友「ふあー!ほんっと広ーいっ!とりあえず見てまわろっ!」
俺が守ってやらなきゃ、と思っていた小さな手に俺が振り回されている。苦笑いがこぼれる。
俺「あんま走りまわると―
友「だいじょぶだいじょデフテクッ!?った~ぃ…」
俺「柱が可哀相になるくらい盛大にぶつかったな。大丈夫か?」
友「うぅ…だいじょぶ…じゃない…」
俺「見えないなら俺より前行くなよ…ほらっ、サイドっ!」
友「犬みたいに扱うなぁっ!うぅ…。あ!あの服可愛いー!」
俺「言ってる傍から!ったく…かぁいいなぁ…。」
振り回されつつも離れる事無くいろんな店を見て回る。
俺「ずいぶん高いの買ったな。そんな贅沢して良かったのか?」
友「うん…いーんだよ・・・。それよりさっ!お腹すいちゃった。何か食べよっ?」
俺「え?あ、うん。そこのイタ飯屋にでも行くか。」
軽い気持ちで入ったが大失敗だった。値段が三桁の料理などほとんど無い店だった。
友「うあ…高いね…。顔、蒼いよ?別のお店に―
俺「いやいや、余裕ッスよ!店員さーん!シーザーサラダと手長海老のパスタとチーズケーキ!友は?」
友「えっと、じゃあこの月食風海鮮リゾット。お願いします。」
俺「友!ここは俺が奢るよ!いや、大丈夫だって!」
そういいながらも頭の中では四つの料理の料金の足し算が行なわれていた。
840 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 投稿日: 2006/08/31(木) 03:20:35.36 ID:WPtGl3G3O
俺「ハムッ!ハフハフッ!やっぱ値段張るだけはあるわ。うんめぇw友のも少し頂戴!」
俺とは対照的に黙々と食べていた友の料理に手を出す。友の制止も聞かずリゾットを口に運ぶ。
俺「っっっ!?熱あっっつうぅっ!!友、お前よくこんなん!あ、でも美味い。かなり美味いじゃん、それ。」
友「・・・そう…なんだ。熱くて美味しいんだ、これ。」
俺「え?・・・あっ!そっか…五感が…ゴメン・・・。」
友「だから別の店でいーって言ったじゃん!そしてまた泣こうとしてる!…俺君は悪くないんだから泣かないでよ…。」
俺「でもっ、友の苦しみを分かってやれない自分が腑甲斐なくてっ!」
涙を堪えながら料理を食べ、高い料金を払う。憂欝なお昼時だった。
俺「ハムッ!ハフハフッ!やっぱ値段張るだけはあるわ。うんめぇw友のも少し頂戴!」
俺とは対照的に黙々と食べていた友の料理に手を出す。友の制止も聞かずリゾットを口に運ぶ。
俺「っっっ!?熱あっっつうぅっ!!友、お前よくこんなん!あ、でも美味い。かなり美味いじゃん、それ。」
友「・・・そう…なんだ。熱くて美味しいんだ、これ。」
俺「え?・・・あっ!そっか…五感が…ゴメン・・・。」
友「だから別の店でいーって言ったじゃん!そしてまた泣こうとしてる!…俺君は悪くないんだから泣かないでよ…。」
俺「でもっ、友の苦しみを分かってやれない自分が腑甲斐なくてっ!」
涙を堪えながら料理を食べ、高い料金を払う。憂欝なお昼時だった。
友「てんさょん上げていこー!次はあそこ!」
俺「はぁ…なに?あそこ…って下着屋じゃねーか!しかもえちぃやつ!!」
友「エロエロな下着選んでくれるんでしょ?うわ!これとか紐そのものじゃんwww」
フリフリ、ひらひら、真っ赤、濡れるとスケスケになるやつ、妙に露出の高いショップのねーちゃん。
全てのものが魑魅魍魎の類に見え、精神が削られていくようだった。
俺「はぁ…なに?あそこ…って下着屋じゃねーか!しかもえちぃやつ!!」
友「エロエロな下着選んでくれるんでしょ?うわ!これとか紐そのものじゃんwww」
フリフリ、ひらひら、真っ赤、濡れるとスケスケになるやつ、妙に露出の高いショップのねーちゃん。
全てのものが魑魅魍魎の類に見え、精神が削られていくようだった。
843 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 投稿日: 2006/08/31(木) 03:32:25.39 ID:WPtGl3G3O
このショッピングモールは円形をしていて、中心に小さな公園、その周りにドーナツ状に店舗が配置されていた。
二人はその公園のベンチで休憩をしていた。
友「♪~」
俺「ご満悦だな…。こっちは見知らぬ戦乱の異世界に投げ込まれた気分だってのに…。」
友「あははw疲れ過ぎーwしばらく休もっか。」
コトリ、と友が頭を俺の肩に預ける。至近距離で俺を見上げてえへへーと笑う。反則級の可愛さだ。
俺「ちょ、恥ずかしーから…
友「…いや?」
見上げたままの格好で眉を曇らせ不安そうに訪ねる。どっから出てくるのか瞳はキラキラでいっぱいだ。
一瞬迷うが答える代わりに友の肩に手を掛けこちらからも寄り添う形になる。
想定外の大胆行動に友は驚きを感じたようだったがさっき以上の笑顔で喜びをあらわにする。
しばらくの間互いに頭をナデナデしたりほっぺや鼻を引っ張ったりして戯れていた。
会話はなかったが言葉はいらなかった。
周りの冷たい視線もまるで気にならなかった。
このショッピングモールは円形をしていて、中心に小さな公園、その周りにドーナツ状に店舗が配置されていた。
二人はその公園のベンチで休憩をしていた。
友「♪~」
俺「ご満悦だな…。こっちは見知らぬ戦乱の異世界に投げ込まれた気分だってのに…。」
友「あははw疲れ過ぎーwしばらく休もっか。」
コトリ、と友が頭を俺の肩に預ける。至近距離で俺を見上げてえへへーと笑う。反則級の可愛さだ。
俺「ちょ、恥ずかしーから…
友「…いや?」
見上げたままの格好で眉を曇らせ不安そうに訪ねる。どっから出てくるのか瞳はキラキラでいっぱいだ。
一瞬迷うが答える代わりに友の肩に手を掛けこちらからも寄り添う形になる。
想定外の大胆行動に友は驚きを感じたようだったがさっき以上の笑顔で喜びをあらわにする。
しばらくの間互いに頭をナデナデしたりほっぺや鼻を引っ張ったりして戯れていた。
会話はなかったが言葉はいらなかった。
周りの冷たい視線もまるで気にならなかった。
844 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 投稿日: 2006/08/31(木) 03:36:56.40 ID:WPtGl3G3O
ガクンッ!急に友の頭が俺の肩を滑り落ちる。
俺「!?大丈夫か?…眠いならもう帰るか?まだ時間あるけど…」
友「ぜんっぜんへーきぃ!少し歩き回れば・・・え?あ、れ?」
立ち上がろうとしたのだろう、眠そうな声と目をしながらも体を俺から離し普通に座った状態になる。
手を膝に置き上半身を前屈させ顎を軽く前に突きだし後は腰をベンチから放すだけ――それだけの筈なのに。
友「あっ、あれっ?変だな…おかしいな、何で立てない…?せー、の!よっっとっふあぁぁっ!?」
両手を膝から腿の横に置き、それを支えに立とうとしたのだが中腰のままヨロヨロと倒れそうになってしまった。
その下半身の骨が無くなってしまったかのような体を俺がそっと抱き留める。
支えの無くなった友の全体重がのしかかる。
俺「おい!友、大丈夫か!?体…足動かないのか!?」
友「あれ?私…立とうとしてそれで力入らなくてそんでもっかい立とうとして途中までいってそれで…
・・・あれ?私…足…」
友が不安そうな顔をこちらに向ける。さっきの冗談混じりの顔とは全く別の恐怖にまみれた顔で俺に話し掛ける。
友「私…私立てないよ…ねぇ、足がぁヒック私の、足がぁっ!うっエック動かなくなっちゃったよぉぉぉ!!!」
ガクンッ!急に友の頭が俺の肩を滑り落ちる。
俺「!?大丈夫か?…眠いならもう帰るか?まだ時間あるけど…」
友「ぜんっぜんへーきぃ!少し歩き回れば・・・え?あ、れ?」
立ち上がろうとしたのだろう、眠そうな声と目をしながらも体を俺から離し普通に座った状態になる。
手を膝に置き上半身を前屈させ顎を軽く前に突きだし後は腰をベンチから放すだけ――それだけの筈なのに。
友「あっ、あれっ?変だな…おかしいな、何で立てない…?せー、の!よっっとっふあぁぁっ!?」
両手を膝から腿の横に置き、それを支えに立とうとしたのだが中腰のままヨロヨロと倒れそうになってしまった。
その下半身の骨が無くなってしまったかのような体を俺がそっと抱き留める。
支えの無くなった友の全体重がのしかかる。
俺「おい!友、大丈夫か!?体…足動かないのか!?」
友「あれ?私…立とうとしてそれで力入らなくてそんでもっかい立とうとして途中までいってそれで…
・・・あれ?私…足…」
友が不安そうな顔をこちらに向ける。さっきの冗談混じりの顔とは全く別の恐怖にまみれた顔で俺に話し掛ける。
友「私…私立てないよ…ねぇ、足がぁヒック私の、足がぁっ!うっエック動かなくなっちゃったよぉぉぉ!!!」