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湯煙の向こう側 - (2006/06/15 (木) 23:29:31) の1つ前との変更点

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*前編 真「ふぅ・・・ようやく今日の仕事が終わったのだわ」 軽く伸びをして、体の凝りをほぐす。結構疲れが溜まっている様だ。 ホ「お疲れ様です」 タイミング良く、ハーブのブレンドティを持ってくるホーリエ。 ホ「疲れを癒す効果が有ると聞いて淹れてみました」 真「ありがとう、頂くわ」 カップを手に取り、一口飲む。口の中に広がるハーブの香りが、確かに疲れを癒しそうだ。 真「とっても美味しいわ」 ホ「気に入ってもらって良かったです」 二人して微笑む。なんとも微笑ましい光景だった。 しかし、その雰囲気をぶち壊す者が現れた。 翠「真紅先生は随分疲れてる様ですぅ」 翠星石だった。しかも口調は少し芝居掛かっていて、わざとらしかった。 真「・・・・・・用件は何かしら?」 あきれた口調で質問する。誰かを何かに誘う時は小芝居を始める癖を知っていたからだ。 翠「話が早くて助かるですぅ。・・・じつは昨日、商店街のスーパーでこんな物を貰ったですぅ」 そう言って二人の前に紙切れを差し出す。 真「・・・えーと、『スパ有栖 入浴割引券』?」 紙切れにはそう書いて有った。 真「スパ有栖だなんて聞いた事無いのだわ。ホーリエ、貴女は知っている?」 ホ「そう言えば、私も昨日買い物をした時に貰いました。確か駅前で建設工事をしていた所じゃないでしょうか」 ホーリエに言われて、真紅もようやく思い出す。 真「言われてみれば、確かに工事をしていたわね。何かと思えばそんな物が建てられたのね。・・・それで、これがどうしたの?」 翠「ここまで言って分からないとは鈍い奴ですぅ」 真「物事はちゃんと口にしないと相手には伝わらない物よ。一緒に行きたいのなら、そう言うべきだわ」 翠「・・・・・・あぅ、お見通しだったですか」 真「それで、蒼星石先生は誘わないの?」 翠「部活から戻ってきたら当然誘うです。・・・って、噂をすればなんとやらですぅ」 職員室の外から蒼星石とレンピカの話し声が聞こえてくる。 ガラガラ・・・ レ「最近は1年も腕を上げてきたなぁ。ま、アタシらに勝つには1億万年早いけどね」 蒼「億万って単位は無いよ・・・さてと、汗をかいたしシャワーでも・・・」 翠「ちょっと待ったぁぁぁですぅぅ!!」 翠星石の大声に二人が驚いた。 蒼「ど、どうしたんだい?翠星石先生」 レ「いきなり大声出すから、驚いちまったじゃねーか」 翠「シャワーは後にするです」 レ「どうしてさ?汗臭いままで居ろってのか?」 少々語気が荒くなる。口より先に手が出るタイプなので、まだ冷静な方だ。 翠「落ち着くです。汗かいてるならむしろ好都合ですぅ」 蒼「どういう意味だい?」 蒼星石の問いに翠星石は経緯を説明する。 レ「なんだ、それならそうと早く言ってくれれば良いのに」 翠「言おうとする前に殺る気満々な目で睨みつけられたら、言いたくても言えないですぅ!」 レ「はっはっは、わりぃわりぃ」 蒼星石とレンピカが着替えに行き、暇を持て余してた頃、職員室にシンナーの様な匂いが充満してきた。 翠「な、なんですか?!この匂いは?!」 真「早く窓を開けなさい!」 慌てて窓を開き、匂いは霧散していく。 ホ「恐らく塗料の匂いだと思うのですが・・・」 真「何でそんな物がここに有るの?」 ガラガラ・・・ ドアが開き、雪華綺晶、薔薇水晶、雛苺、ベリーベル、柏葉巴、コリンヌ、オディールの7人が入ってきた。 真「どうしたの、貴女た・・・うっ!」 思わず鼻をつまむ。先程の匂いは彼女達からしたからだ。 薔「・・・やっぱり、匂うかな?・・・作業着は脱いできたんだけど」 翠「そもそも、何して来やがったですか?!」 雛「射撃部と合同でゴム銃作ってたの」 翠「ゴム銃?・・・あぁ、前持ってた奴ですか」 真「もしかして、それにペンキを塗っていたというの?」 巴「木工用の塗料をエアブラシで・・・」 薔「・・・私は買ってきたドム・トローペンの塗装を、彼女達と一緒に」 コ「日本のプラモデルの技術力は素晴らしいわ」 オ「ジオンの魂は私たちが必ず受け継いで・・・」 うっとりとガンダム話に華を咲かせようとする3人を止めて、翠星石が先程と同様に誘う。 薔「・・・それなら、この間・・・商店街でお買い物したときに」 巴「私も持ってます」 雛「ヒナも持ってるの。ベリーベルも一緒に行こう?」 ベ「うん♪」 その後、蒼星石たちも戻ってきて、雪華綺晶達も一緒に行く事になった事を伝える。 ドーン・・・! 遠くから爆発音が聞こえてくる。 翠「今度は何ですか?!」 しばらくしてドアが開き、全身煤まみれの金糸雀とピチカートが入ってきた。 金「ケホケホ・・・また失敗かしら~」 ピ「失敗は成功の父かしら~・・・母だったかな?」 雛「金糸雀先生また爆発させたの?」 金「今度こそ成功すると思ったかしら~・・・顔も服も汚れちゃったかしら」 翠「なんならおめーらも行くですか?」 ピ「どこに?」 再び説明するとすぐに参加すると言って来た。 翠「それじゃあ、早速行くで・・・」 薔「・・・ちょっと待って」 職員室を出ようとした翠星石に待ったをかける薔薇水晶。 翠「どうしたですか?」 薔「・・・水銀燈先生達も誘いませんか?」 いつものメンバーの中で水銀燈達だけ居なかった。仲間はずれはダメだと説得する。 真「でも、今ここに居ない者は仕方ないわ。どこに居るかも分からないし」 真紅が鬼気迫るといった表情で強硬に反対する。 薔薇水晶が直も食い下がろうとした時、突如として職員室のドアが開いた。 水「ちょっとぉ・・・何この匂い」 めぐ「頭がふわぁってして気持ち良い・・・」 メ「それはシンナーの中毒症状です。と言うか、症状が出るのが早すぎます」 水銀燈と柿崎めぐ、メイメイの3人組だった。 真「・・・ちっ」 こっそり舌打ちする真紅だったが、それ聞き逃す水銀燈ではなかったし、この集まりはなんなのか知りたかった。 水「で、一体全体この集まりは何なのぉ?」 薔「・・・実はね」 めぐ「ふわぁ・・・あ、お花畑が見える。きれー」 水「ちょ、ちょっと薔薇水晶、それ以上近づかないで!めぐが、めぐが何かやばいから!!」 薔「・・・・・・」 水「ふぅん、皆でお風呂ねぇ・・・」 メ「悪くありませんね」 めぐ(トリップ中) 思案顔の水銀燈に一緒に行きましょうと賛同するメイメイ、完全に向こうの世界に行っためぐであった。 真「別に無理して来る事は無いのだわ」 真紅の言葉に焦りを感じ取った水銀燈は即座にその理由を察する。 水「私は構わないわよぉ、どうせ今日は暇だったしぃ」 ニヤニヤしながら参加を承諾する水銀燈。その顔で何人かは真紅が嫌がっていた理由に思い至った。 翠「では、改めて・・・」 ?「ふわぁ・・・良く寝たぁ」 全員が声の主の方に振り返った。そこには先程までの騒動を物ともせずに寝続けていたスィドリームが居た。 ス「あれ・・・?みんな、どうしたの~?」 めぐ以外(この状況で寝てたのか・・・) めぐ「あ、おばあちゃんだ・・・あの時はごめんねぇ・・・」 一方、職員室の隣に在る校長室ではローゼンが聞き耳を立てていた。 暇だったので寝ていたのだが、流石にシンナーの匂いに目を覚まし出て行こうかと思ったが、面倒だったので狸寝入りを決めた。 そして一部始終を知る事になる。 ロ(皆でお風呂か・・・行こうかな) また、この事を知ったのはローゼンだけではなかった。たまたま職員室前を通りがかった男子生徒がこれを知り、 瞬く間に全校(男子生徒のみ)に知れ渡った。 A「おい!写真部の奴はまだかよ?!」 B「今、防水用のカメラとフィルムの準備をしてるってさ」 C「桜田、お前だけが頼りだ。何としてでも、俺達は苦難に打ち勝ち秘宝を手に入れなければならん」 ジ「何で僕が居なきゃいけないんだ?!」 ポン・・・ Dがジュンの肩を叩く。 D「決まってるだろ・・・生贄」 ジ「絶対帰るぞ!何で僕がそんな目に遭わなくちゃならないんだ!」 E「なんか柏葉も一緒に行くんだってな」 ジ「え・・・?」 その後、なんだかんだあってジュンも行く事になった。ああ、哀しきは男のサガよ。
*前編 真「ふぅ・・・ようやく今日の仕事が終わったのだわ」 軽く伸びをして、体の凝りをほぐす。結構疲れが溜まっている様だ。 ホ「お疲れ様です」 タイミング良く、ハーブのブレンドティを持ってくるホーリエ。 ホ「疲れを癒す効果が有ると聞いて淹れてみました」 真「ありがとう、頂くわ」 カップを手に取り、一口飲む。口の中に広がるハーブの香りが、確かに疲れを癒しそうだ。 真「とっても美味しいわ」 ホ「気に入ってもらって良かったです」 二人して微笑む。なんとも微笑ましい光景だった。 しかし、その雰囲気をぶち壊す者が現れた。 翠「真紅先生は随分疲れてる様ですぅ」 翠星石だった。しかも口調は少し芝居掛かっていて、わざとらしかった。 真「・・・・・・用件は何かしら?」 あきれた口調で質問する。誰かを何かに誘う時は小芝居を始める癖を知っていたからだ。 翠「話が早くて助かるですぅ。・・・じつは昨日、商店街のスーパーでこんな物を貰ったですぅ」 そう言って二人の前に紙切れを差し出す。 真「・・・えーと、『スパ有栖 入浴割引券』?」 紙切れにはそう書いて有った。 真「スパ有栖だなんて聞いた事無いのだわ。ホーリエ、貴女は知っている?」 ホ「そう言えば、私も昨日買い物をした時に貰いました。確か駅前で建設工事をしていた所じゃないでしょうか」 ホーリエに言われて、真紅もようやく思い出す。 真「言われてみれば、確かに工事をしていたわね。何かと思えばそんな物が建てられたのね。・・・それで、これがどうしたの?」 翠「ここまで言って分からないとは鈍い奴ですぅ」 真「物事はちゃんと口にしないと相手には伝わらない物よ。一緒に行きたいのなら、そう言うべきだわ」 翠「・・・・・・あぅ、お見通しだったですか」 真「それで、蒼星石先生は誘わないの?」 翠「部活から戻ってきたら当然誘うです。・・・って、噂をすればなんとやらですぅ」 職員室の外から蒼星石とレンピカの話し声が聞こえてくる。 ガラガラ・・・ レ「最近は1年も腕を上げてきたなぁ。ま、アタシらに勝つには1億万年早いけどね」 蒼「億万って単位は無いよ・・・さてと、汗をかいたしシャワーでも・・・」 翠「ちょっと待ったぁぁぁですぅぅ!!」 翠星石の大声に二人が驚いた。 蒼「ど、どうしたんだい?翠星石先生」 レ「いきなり大声出すから、驚いちまったじゃねーか」 翠「シャワーは後にするです」 レ「どうしてさ?汗臭いままで居ろってのか?」 少々語気が荒くなる。口より先に手が出るタイプなので、まだ冷静な方だ。 翠「落ち着くです。汗かいてるならむしろ好都合ですぅ」 蒼「どういう意味だい?」 蒼星石の問いに翠星石は経緯を説明する。 レ「なんだ、それならそうと早く言ってくれれば良いのに」 翠「言おうとする前に殺る気満々な目で睨みつけられたら、言いたくても言えないですぅ!」 レ「はっはっは、わりぃわりぃ」 蒼星石とレンピカが着替えに行き、暇を持て余してた頃、職員室にシンナーの様な匂いが充満してきた。 翠「な、なんですか?!この匂いは?!」 真「早く窓を開けなさい!」 慌てて窓を開き、匂いは霧散していく。 ホ「恐らく塗料の匂いだと思うのですが・・・」 真「何でそんな物がここに有るの?」 ガラガラ・・・ ドアが開き、雪華綺晶、薔薇水晶、雛苺、ベリーベル、柏葉巴、コリンヌ、オディールの7人が入ってきた。 真「どうしたの、貴女た・・・うっ!」 思わず鼻をつまむ。先程の匂いは彼女達からしたからだ。 薔「・・・やっぱり、匂うかな?・・・作業着は脱いできたんだけど」 翠「そもそも、何して来やがったですか?!」 雛「射撃部と合同でゴム銃作ってたの」 翠「ゴム銃?・・・あぁ、前持ってた奴ですか」 真「もしかして、それにペンキを塗っていたというの?」 巴「木工用の塗料をエアブラシで・・・」 薔「・・・私は買ってきたドム・トローペンの塗装を、彼女達と一緒に」 コ「日本のプラモデルの技術力は素晴らしいわ」 オ「ジオンの魂は私たちが必ず受け継いで・・・」 うっとりとガンダム話に華を咲かせようとする3人を止めて、翠星石が先程と同様に誘う。 薔「・・・それなら、この間・・・商店街でお買い物したときに」 巴「私も持ってます」 雛「ヒナも持ってるの。ベリーベルも一緒に行こう?」 ベ「うん♪」 その後、蒼星石たちも戻ってきて、雪華綺晶達も一緒に行く事になった事を伝える。 ドーン・・・! 遠くから爆発音が聞こえてくる。 翠「今度は何ですか?!」 しばらくしてドアが開き、全身煤まみれの金糸雀とピチカートが入ってきた。 金「ケホケホ・・・また失敗かしら~」 ピ「失敗は成功の父かしら~・・・母だったかな?」 雛「金糸雀先生また爆発させたの?」 金「今度こそ成功すると思ったかしら~・・・顔も服も汚れちゃったかしら」 翠「なんならおめーらも行くですか?」 ピ「どこに?」 再び説明するとすぐに参加すると言って来た。 翠「それじゃあ、早速行くで・・・」 薔「・・・ちょっと待って」 職員室を出ようとした翠星石に待ったをかける薔薇水晶。 翠「どうしたですか?」 薔「・・・水銀燈先生達も誘いませんか?」 いつものメンバーの中で水銀燈達だけ居なかった。仲間はずれはダメだと説得する。 真「でも、今ここに居ない者は仕方ないわ。どこに居るかも分からないし」 真紅が鬼気迫るといった表情で強硬に反対する。 薔薇水晶が直も食い下がろうとした時、突如として職員室のドアが開いた。 水「ちょっとぉ・・・何この匂い」 めぐ「頭がふわぁってして気持ち良い・・・」 メ「それはシンナーの中毒症状です。と言うか、症状が出るのが早すぎます」 水銀燈と柿崎めぐ、メイメイの3人組だった。 真「・・・ちっ」 こっそり舌打ちする真紅だったが、それ聞き逃す水銀燈ではなかったし、この集まりはなんなのか知りたかった。 水「で、一体全体この集まりは何なのぉ?」 薔「・・・実はね」 めぐ「ふわぁ・・・あ、お花畑が見える。きれー」 水「ちょ、ちょっと薔薇水晶、それ以上近づかないで!めぐが、めぐが何かやばいから!!」 薔「・・・・・・」 水「ふぅん、皆でお風呂ねぇ・・・」 メ「悪くありませんね」 めぐ(トリップ中) 思案顔の水銀燈に一緒に行きましょうと賛同するメイメイ、完全に向こうの世界に行っためぐであった。 真「別に無理して来る事は無いのだわ」 真紅の言葉に焦りを感じ取った水銀燈は即座にその理由を察する。 水「私は構わないわよぉ、どうせ今日は暇だったしぃ」 ニヤニヤしながら参加を承諾する水銀燈。その顔で何人かは真紅が嫌がっていた理由に思い至った。 翠「では、改めて・・・」 ?「ふわぁ・・・良く寝たぁ」 全員が声の主の方に振り返った。そこには先程までの騒動を物ともせずに寝続けていたスィドリームが居た。 ス「あれ・・・?みんな、どうしたの~?」 めぐ以外(この状況で寝てたのか・・・) めぐ「あ、おばあちゃんだ・・・あの時はごめんねぇ・・・」 一方、職員室の隣に在る校長室ではローゼンが聞き耳を立てていた。 暇だったので寝ていたのだが、流石にシンナーの匂いに目を覚まし出て行こうかと思ったが、面倒だったので狸寝入りを決めた。 そして一部始終を知る事になる。 ロ(皆でお風呂か・・・行こうかな) また、この事を知ったのはローゼンだけではなかった。たまたま職員室前を通りがかった男子生徒がこれを知り、 瞬く間に全校(男子生徒のみ)に知れ渡った。 A「おい!写真部の奴はまだかよ?!」 B「今、防水用のカメラとフィルムの準備をしてるってさ」 C「桜田、お前だけが頼りだ。何としてでも、俺達は苦難に打ち勝ち秘宝を手に入れなければならん」 ジ「何で僕が居なきゃいけないんだ?!」 ポン・・・ Dがジュンの肩を叩く。 D「決まってるだろ・・・生贄」 ジ「絶対帰るぞ!何で僕がそんな目に遭わなくちゃならないんだ!」 E「なんか柏葉も一緒に行くんだってな」 ジ「え・・・?」 その後、なんだかんだあってジュンも行く事になった。ああ、哀しきは男のサガよ。 *中編 の『あ、ジュンくん?お姉ちゃん、今日帰るの遅くなりそうなの~。夜ご飯はもう作ってあるから、チンして食べててね~』 ジ「・・・食べれたらね」 の『ジュンくん?どうかしたの?』 ジ「何でもない」 の『そう・・・なら良い子にお留守番しててね~』 携帯の通話が切れる。いつも通り、呑気な姉の声だった。 ジ(生きて帰れるかなぁ・・・何で行くって言っちゃったんだろう) ジュンはほんの20分前の自分を恨めしく思った。 下心が全く無かったと言えばウソだ。柏葉も一緒に行くと聞いた時、柏葉の姿が脳裏に浮かび上がった事も事実だ。 だが、不用意な一言で茨の道を歩む事になるなんて・・・そう思うと、ジュンは気が重くなった。 A「諸君!今、我々に千載一遇の好機が訪れようとしている!諸君らも既に知っていると思うが、我らが教師、そして諸君らが    敬愛する水銀燈先生が・・・」 G「水銀燈先生だけじゃないだろうが、この水銀党!」 真紅派である紅き親衛隊の隊員が野次を飛ばす。それをきっかけに各グループの男子達からの怒号が飛び交う。 U「なあT、蒼星石先生が番台で止められるかどうか賭けないか?」 T「俺を蒼き姫の騎士団の一員と知った上での発言か?」 U「何?!てっきり同じグリーンオブスターだとばかり・・・くっ、お前とは良いライバルになりそうだな」 S「雛苺先生はシャンプーハット絶対持参するだろうな」 I「それも重要事項だが、風呂で遊ぶ玩具を持ってくるかどうかも・・・」 S「アヒルの奴とかか・・・いかん、鼻血が・・・」 C「しかし、射撃部のお前が今回参加するとは思わなかったな」 F「俺の目標は教官ではなく、フォッセー姉妹だ。あの時の借りを返さなくてはな」 C「あの時って・・・射撃部のクーデターの時か?」 F「ああ・・・あの時は不覚を取ったが、今度はそうはいかん」 C(その復讐が覗きってのはどうかと思うってのは、こいつの名誉のために黙っておくか) H「全く、どいつもこいつも先生先生・・・レンピカさんが最強だろうが!」 R「最強なのは腕力と胸だけだろ。究極はピチカートさんに決まってる」 E「あの人が究極とは笑わせる。なら至高はメイメイさんだな」 Y「お前らはスィドリームさんの寝顔を見た事無いからそんな事が言えるんだ」 等など、作戦本部と化した体育館のあちこちで各グループの雑談が行われる。ジュンはその様子を隅の方から溜息を吐く。 ジ「・・・帰りたい」 その時、壇上から携帯の着信音が聞こえる。どうやら壇上に居る男子生徒達(各グループのリーダー)の1人の携帯が鳴った様だ。 B「もしもし・・・何?真紅先生を見失った?・・・うん・・・うん、自宅に向かった?間違いないんだな?」 ここで、また1人の携帯に着信が入る。 D「もしもし?翠星石先生が自宅に到着した?蒼星石先生とスィドリームさんも一緒・・・分かった、引き続き尾行を頼む」 各教師の動向について逐一連絡が入る。報告を纏めた結果、各教師並びに事務員達は一度自宅へ戻って準備した後、 現地集合するという事が推測できた。 A「水銀燈先生が自宅に戻らず、柿崎の家に向かったと言うが、メイメイさんが代わりに水銀燈先生の自宅に向かったか」 再び連絡が入る。今度はスパ有栖前のハンバーガーショップの2階から入り口を監視している生徒からだった。 K「もしもし・・・雛苺先生とベリーベルさんの姿を確認した?所持品分かるか?・・・シャンプーハット、ワニのフロート?    分かった、引き続き頼む」 シャンプーハットの言葉に雛苺見守り隊の歓声が上がる。中には喜びのあまり泣き崩れる者も居て、周りに抱きかかえられていた。 ジ(・・・うわぁ) やがてスパ有栖前に集まる人数が半数に達した頃に男子達は移動を開始する。 直接向かわず、駅を挟んだ向かい側に集結する。そこで、購入部隊が事前に買っておいたタオルなどをグループごとに配布する。 ジュンにも配布されるが、確認すると紅き親衛隊と同じ物だった。 G「桜田は代金払わなくて良いぞ」 ジ「え・・・?どうしてさ?」 G「お前は生贄だからな。悔しいが真紅先生はお前には優しいからな」 ジ「見つかったら、確実に殺されるだろうけどな・・・」 この先の自分の運命を嘆き、うなだれるジュンだった。 その後、教師陣が中に入って行ったのを確認し、それから遅れる事数分で男子達は中へと入っていった。 この建物は4階建てになっていて、1階はレストランと宴会場、2階がプール、3階が大浴場、 4階がフィットネスジムとエステサロンになっていた。 集音マイクを用いて、全員が女湯の方に入った事を確認すると、ぞろぞろと男湯の方へと入っていく。 制服という事もあって脱ぐのは早く、女湯の更衣室とを区切る壁の方に全員で耳を当てていた。 A(く・・・聞こえそうで聞こえない) B(結構分厚い壁だな) C(この際、嗅覚を失っても構わん!全神経を耳に集中させろ!) 必死の形相で耳を澄ませるが、聴診器を持ってきたTが首を振ると一斉に溜息が漏れた。 R「まだか?そろそろ防犯カメラを無力化させるのが厳しいんだけど・・・」 防犯カメラに細工を施し、ダミーの映像を送るRに作戦終了の合図を送る。 ジ(・・・何やってんだか) 男子一同(神は我々を見捨てなかった・・・!) 大浴場へと入ってきた男子達の心の第一声はそれだった。男湯と女湯を仕切る壁が、天井にくっついていなかったのだ。 高さこそあるものの、声が聞こえるのはもちろん、よじ登る事さえ出来れば覗く事も不可能ではない。 が、世の中そんなに甘くは無かった。 元「おや、今日は随分沢山来るじゃないか」 一「騒がしいのは困るがな」 ロ「皆ヤッホー」 湯船の中に入っていたのは、校長のローゼンと用務員の柴崎元治、八百屋結菱の店主結菱一葉だった。 ジ「あ、校長、それに柴崎さん。来てたんですか」 ジュンは内心胸を撫で下ろす。これで馬鹿な真似が出来ないだろうと思ったからだ。 ロ「やっぱり、君たちも覗きに来たんだねぇ。いやぁ青春だなぁ」 さらっと教師、ましてや校長にあるまじき発言をするが、ジュンが引っかかったのはそこではなかった。 ジ「君たちも?まさか3人とも・・・」 一「私がそんな事をする訳がないだろう。今日は定休日だから、柴崎に誘われてここに来ただけだ」 元「私だって、普通にこうして銭湯とサウナを楽しみに来ただけじゃよ」 ロ「そしてそこに僕がやってきたんだ。そこで、3人しか居ないからこうして我慢比べをしていたのさ」 ジ「我慢比べ?」 良く見ると、じじいコンビは全身が軽く赤くなっている事に気付いた。恐る恐る湯船に手を入れてみる。 ジ「熱ッ!」 あまりの熱さに思わず手を引っ込める。その時、温度計を見つけたので見てみると48度だった。 ジ「こんなのに入ってるのかよ・・・」 ロ「いやぁ結構気持ち良いもんだよ」 涼しげな顔をしているローゼンを見て(まぁ、この人は人間辞めてるし)と納得する。 元「ジュン君、これくらいの湯に入れないようじゃまだまだじゃよ」 そう言って笑う元治。その間、男子達は如何にこの3人を追い出すか?の作戦会議を行っていた。 チャンスは意外なところでやってきた。女湯の方に動きがあり、教師達の声が聞こえたのだ。 雛「うわー、とっても広いのー」 ベ「泳げそう♪」 メ「泳いだらいけません」 雛・ベ「ブーブー」 見守り隊(雛苺先生最高!) 真「こんな所で貴女に会うとは思わなかったわ、のり」 の「私もよ~」 ジ(何でお前が居るんだよ?!まさか遅くなるってこれの事だったのか?!) み「カナと一緒にお風呂に入れるなんて、もうサイコーーーー!!」 金「きゃぁ、みっちゃん全身がまさちゅーせっちゅー!!」(ブハッ!:金色の鳳凰隊員たちの鼻血の音) 薔「・・・どうしたのお姉ちゃん?」 雪「何か視線のような物を感じる」 コ「まさか覗き?!」 オ「今のところ、その様な物は見当たりません」 雪「第1種警戒警報発令、周囲の索敵を怠るな」 コ・オ「了解!」 F(来たか、フォッセー姉妹。今日こそお前たちに積年の恨みを・・・) 水「大げさねぇ・・・ま、もしめぐを覗こうとする奴が居たら、地獄を見てもらうけどぉ・・・」 め「あれ?・・・いつの間にか裸になってる・・・」 水「めぐ、ようやく正気に戻った?」 め「あ、水銀燈先生。え?何で裸・・・?やだ・・・私、まだ心の準備が・・・」 水「・・・何勘違いしてるのよぅ」 水銀党員(もう、死んでも良い・・・・・・) ホ「やれやれ、同性ながら目のやり場に困りますねぇ」 巴「・・・その・・・ホーリエさんも・・・」 ホ「フフ・・・」 ピ「皆羨ましいかしら~真紅先生以外」 真「今何か言ったかしら?」 ピ「何も言ってません!」 翠「湯船に入っている途中で寝るんじゃねえですよ」 ス「さすがに寝ないよぅ・・・Zzz」 翠「言ったそばから寝るんじゃねえですぅ!」 バシバシッ! ス「いったぁぁい、冗談なのにぃ」 翠「冗談に見えなかったですぅ」 レ「ふぅ・・・ようやく汗を流せるぜ」 蒼「背中洗ってあげようか?」 レ「お?良いねぇ・・・じゃあ、アタシも洗ってやるよ」 翠「何勝手にうらやましそうな話をしてるですかぁ!?蒼星石の背中を流すのは翠星石の役目ですぅ!」 蒼星石の名前に反応したか、元治がいきなり立ち上がった。 元「か、かずきぃぃぃ・・・」 ぐら・・・ 元「あ・・・」 ロ「よっと」 既にのぼせているような状態で急に立った事で立ちくらみを起こしてしまい、そこをローゼンに支えられる。 元「うぅぅ・・・かずきぃ・・・」 ロ「あーあ、完全にのぼせちゃった。頼めます?」 一「そろそろ私も出る理由が欲しかったところだ。では、これで失礼する」 一葉は元治を連れて浴場を出て行った。 男子達はそれを見送った後、ローゼンの方へと振り返る。 ロ「それじゃあ、良い大人も居なくなった事だし、始めようか。あ、薔薇ちゃんはダメだよ。僕だけが見るんだから」 男子達は後半の言葉を無視して、それぞれ作戦の準備に取り掛かった。 ジ(はぁ・・・誰か止めろよな) 女性陣(何だろう・・・?何か嫌な予感がする) 雪「不審者に対しての発砲を許可する」 コ・オ「了解」 そして、スパ有栖の大浴場にて学園史上最大級の作戦が始まろうとしていた・・・。

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