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客引きA「ねぇねぇ、お兄さん!さっきから何うろうろしてるの?もし良かったら、うちの店寄ってってよ!」 蒼星石「…え!?僕!?」 突然声をかけられ、しかも男と勘違いされたことに動揺を隠せない蒼星石。 たまたま、このあたりの居酒屋で翠星石と飲んでいたところ、翠星石が酔っ払ったままどこかに行ってしまい、それを探していたのをどうやら勘違いされたようだ。 蒼星石「いや、僕はただ人を…!!」 客引きA「いいからいいから!さ、可愛い女の子そろってますよ!!」 そう言われるがままに蒼星石は店に通され、席に座らされた。 …何でこんなことになってしまったのかと、蒼星石は下を向き自問自答する。 ともかく、早くお会計を済ませてここを出なくては…。 店員B「…じゃあ、最初はあのお客さんのお相手してくれる?」 ?「はぁい、わっかりましたぁ♪」 レジのほうで女の子の声がする。まずい、早く立ち去らなくてはと顔を上げた瞬間、その女の子と目が合った。それは銀髪の整った顔立ちをした…どこかで見たことのある…というか、よく知った顔というか… 水銀燈「はぁい、お待たせ…え゛!?」 蒼星石「あ゛…」 お互いにとって、その場には絶対いないはずの人物が…そこにはいた。 蒼星石「…。」 水銀燈「そ、そんな汚いものを見るような目つきするのやめてくれなぁい?別に、いかがわしい事は何もしてないわよぉ?」 なだめるように、そう言って足をすり寄せる水銀燈。 蒼星石「…どこが…。で、君は何でこんなところで働いてるんだい?」 水銀燈「そ、それはそのぉ…」 蒼星石「副業は禁止されているはずだよね?しかも、こんな店で…!」 水銀燈「そ…そろそろ、別のテーブルに行かないと…」 蒼星石「…じゃあ、指名して延長する。」 水銀燈「う…」 あの真面目な蒼星石が、どこでそんな『ルール』を覚えたのだろうと、頭を抱える水銀燈。 ため息をつき、蒼星石の横に座りなおす。 水銀燈「…だって、こっちのほうが給料が良いんだもぉん…。」 観念したのか、水銀燈はぽつりぽつりとここにいる理由を話し出した。 水銀燈「それに…お酒も沢山飲めるしぃ…まさに天職だと思わない?」 蒼星石「学校はどうするのさ?教師がやりたいから、教職まで取ったんだろ?」 水銀燈「あらぁ?あなた、私が教師を志した理由知らないのぉ?ただ、夏休みが多そうだから選んだだけよぉ?」 その言葉に、もはや言葉も出ない蒼星石。そんな蒼星石を尻目に、水銀燈は続ける。 水銀燈「でもぉ…そんなの幻に過ぎなかったし、部活も持ってるから普段の休みも少ないじゃなぁい?それに…」 蒼星石「…でもさ、その代わり得たものもなかったかい?」 水銀燈「例えば?」 蒼星石「そうだね…生徒からの信頼とか、絆とか…」 それを聞いて、水銀燈は突然笑い出した。 蒼星石「な、何で笑うのさ!?」 水銀燈「ふふふ、あなたのそう無駄に熱いトコ、私好きよぉ♪…ま、確かにイメージとは違ったけど、全部が全部つまらないって訳じゃないわねぇ…。」 蒼星石「でしょ?それに、いつまでも昼と夜の二重生活が続くわけ無いよね?となると、どっちかを辞める選択をしなきゃいけないと思うんだ…。」 水銀燈「ま…のちのちね…。」 蒼星石「…でも、みんな水銀燈とは離れたくないと思うよ?僕としても、誰も欠けてほしくないな…。出来れば、このままずっと…」 黙って蒼星石の話を聞く水銀燈。さらに、蒼星石は続ける。 蒼星石「確かに、お給料は少ないかもしれないけど、人と接する機会ってのは教師が一番多いと思うんだ。量も、質も…。だから…」 水銀燈「分かったわよぉ!後で自分で考えてみるわぁ…。じっくりとね…。」 蒼星石「…そっか、分かった。じゃあ、僕はこの辺で帰るね。じゃあ、また明日学校で…」 水銀燈「…あ、そうだ。…ねぇ、蒼星石ぃ…」 蒼星石「…?なんだい?」 水銀燈「お会計、よろしくねぇ♪」 そういって手渡される伝票。その金額を見て、蒼星石は急に現実に引き戻された。 蒼星石「き、君と話しただけで、1万円!?これ高くない!?」 水銀燈「あらぁ?私とこれだけ長く話せたんだから、安いもんよぉ♪つべこべ言わず、支払いなさぁい♪」 どこか納得のいかない顔の蒼星石を追い出し、水銀燈は自分の持ち場と戻っていった。 次の日、学校ではいつものように元気な声が響き渡っていた。 翠星石「おめーら!今日は待ちに待った給料日ですよ!今日は、トコトン翠星石に付き合いやがれですぅ!!」 蒼星石「翠星石…昨日あれだけ飲んだじゃない…。お酒弱いんだから、ほどほどに…」 翠星石「ケチくせえこと言うなですぅ!水銀燈、おめーも来るですよね!?」 そういうと翠星石は水銀燈の方に視線を向けた。 水銀燈「いいわよぉ…トコトン付き合ってあげるわぁ♪」 蒼星石「水銀燈…いいのかい?」 水銀燈「大丈夫よぉ…。だって夜は暇だもの。」 その言葉を聞いて、真紅が水銀燈にちょっかいをかける。 真紅「そうよね…。あなたなんか相手にしてくれる人なんて、誰もいないものね。」 水銀燈「それはあなたの事でしょう?私、あなたに彼氏がいるトコ、一度も見たこと無いわよぉ?」 真紅「か、隠れて会ってるだけよ!失礼な!」 水銀燈「ふぅん…♪じゃあ、今日のお酒の席での議題は、自分の彼氏の話を…あれ!?何でみんな下向くのよ!?」 …こうして、教師8人は楽しく(?)夜をすごしましたとさ…。 完
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