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蒼星石と翠星石の心遣い

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匿名ユーザー

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蒼星石「な、無い!?」
スーパーのレジの前で、必死になってバックの中や、ポケットの中を探す蒼星石。どうやら、財布をどこかに落としてしまったようだ。
翠星石「なーにやってるですか?ここは翠星石が立て替えといてやるから、おめーはさっさと交番に行きやがれですぅ。」
蒼星石「で、でも…」
翠星石「しっかりしやがれですぅ!カードとか免許証とか、早く申告しないとまずいですよ!」
そううながされて、交番へ走る蒼星石。
その後、何とか警察の元で全ての手続きが終わり、急ぎ蒼星石は翠星石の元へと戻っていった。
蒼星石「ゴメンね、待たせちゃって…。」
翠星石「ホントですぅ。しっかし、あんなに慌てた蒼星石見るのも、久しぶりですぅ♪」
蒼星石「そりゃ慌てるよ…。はぁ…まいったな、給料日までだいぶあるのに…」
翠星石「どれ、1回そのバック貸してみろですぅ。おめー慌ててたから、見逃しただけかもしれないですぅ。」
そういい、半ば強引に蒼星石のバックをひったくると、中をゴソゴソと探し始めた。
翠星石「うーん…ホントに無いですねぇ…。ま、次は気をつけるようにするしかないですぅ。」
蒼星石「そうだね…。あ、ちょっとお手洗いに行ってきていいかい?」
そういうと、蒼星石はその場を離れた。


蒼星石「はぁ…ホント、何やってるんだろう…」
鏡の前で、そうつぶやく蒼星石。
「でも、いつまでもこうして落ち込んでいるわけにはいかない…。さっき翠星石が言っていたように、次は気をつけるしかない」と気持ちを入れ替える。
手を洗い、バックの中からハンカチを出そうとする蒼星石の目に、見慣れぬ銀行の封筒が飛び込んできた。
封筒の中には、現金3万円と、ATMの利用明細書が1枚。日時はほんの数分前で、その残高はほとんどなく、なけなしのお金を引き出してきたようだ。
…そういえば、さっき翠星石は袖に何かを隠していたような…
そのことに気がつくと、慌てて翠星石の元に戻りそれを返そうとする蒼星石。
蒼星石「バックの中にお金が入っていたんだけど、これは君のお金だろう?流石にこれは受け取れないよ…」
翠星石「はぁ?知らねーです。きっと、神様かなんかが、哀れに思って入れてくれたんじゃねーですか?」
蒼星石「…でも…。」
翠星石「うだうだ言ってねーで、とっとと帰るですよ。もうお腹ぺこぺこですぅ。」
その後、どんなに言ってもお金を受け取ろうとしない翠星石。最後には、返そうとすると怒り出す始末だった。


帰りの電車の中、いつの間にか蒼星石にもたれかかって寝てしまう翠星石。
その寝顔は、とても穏やかなものだった。
本当に、翠星石には感謝してもしきれない…。いつも自分の前を歩く翠星石の姿を見て、正直嫉妬したこともあった。でも、こんな事されちゃ敵わないな…。
空を仰ぎながら、蒼星石はそんなことを考えていた。そして、これからも一緒にいられたら…
翠星石「翠星石は…ずーっと…一緒ですよ…。」
突然の発言に、びっくりして翠星石を見る蒼星石。
しかし、そこにあったのは、さっきと同じ穏やかな寝顔…。その寝顔を見て、「もしかして、同じ事考えているのかな…?」などと思い、思わず笑ってしまう蒼星石。
蒼星石「そうだ…。このお金は、君がお嫁に行く時にちゃんと返すからね…。」
電車に揺られながら、蒼星石は小さくそうつぶやいた。


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