教師の法制の部分でも述べたように、教師は全体への奉仕者であるが故に、その身分保障が十分になされる必要がある。教師が恵まれていることについての批判があるが、あまりにもバランスを欠いた高い保障がなされているとしたら、それは問題であるが、教師の仕事は時間によって単純に計られるようなものではなく、家でもかなりの仕事をしなければならないという点を考慮すれば、特別の配慮がなされていることも重要であろう。そうでなければ、十分な教育活動は難しいからである。
またそれは身分保障についても言うことができる。教師の仕事は一年や二年単位で可能なわけではなく、やはり長期的な計画の下に実践を行ってこそ成果が期待できるのだから、安易に転勤等が強制されるようでは、十分な教育実践は保障されない。十分な身分保障は教職にとって重要な要素となる。
しかし、他方で教師は生徒や親たちにある程度以上の尊敬の念をもたれるような人間性をもっている必要がある。人間的に軽蔑される教師が大きな教育的成果をあげることは期待できないと考えられる。従って、社会的に批判されるような行為があった場合に、通常の水準よりは厳しい処分を受けることもやむを得ないと考えるべきであろう。近年教師に対する処分は猥褻行為や飲酒運転等を中心として、非常に厳しくなっている。また体罰による処分も多い。
まず法的規定をみて置こう。公立学校の教師の分限処分及び懲戒処分の規定は地方公務員法による。
(分限及び懲戒の基準)
第二十七条 すべて職員の分限及び懲戒については、公正でなければならない。
2 職員は、この法律で定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、若しくは免職されず、この法律又は条例で定める事由による場合でなければ、その意に反して、休職されず、又、条例で定める事由による場合でなければ、その意に反して降給されることがない。
3 職員は、この法律で定める事由による場合でなければ、懲戒処分を受けることがない。
(降任、免職、休職等)
第二十八条 職員が、左の各号の一に該当する場合においては、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。
一 勤務実績が良くない場合
二 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
三 前二号に規定する場合の外、その職に必要な適格性を欠く場合
四 職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合
2 職員が、左の各号の一に該当する場合においては、その意に反してこれを休職することができる。
一 心身の故障のため、長期の休養を要する場合
二 刑事事件に関し起訴された場合
3 職員の意に反する降任、免職、休職及び降給の手続及び効果は、法律に特別の定がある場合を除く外、条例で定めなければならない。
4 職員は、第十六条各号(第三号を除く。)の一に該当するに至つたときは、条例に特別の定がある場合を除く外、その職を失う。
重要なことは公務員の処分はこの法令で定められている事由でのみ行われるという点である。教師の場合にはパターなりズム的なあいまいさは許されていない。
なお公務員の処分には分限処分と懲戒処分があるが、「分限処分とは、公務の能率を維持し、適正な運営を確保することを目的として、職員がその職責を十分に果たすことができない場合に、職員の意に反して行う、不利益な身分上の変動をもたらす処分である。これに対し、懲戒処分は職員の非違の責任を追求することを目的として行われるもので、目的の上で明確な差がある。」84)「教員の適格性と分限処分」羽山健一
http://osaka.cool.ne.jp/kohoken/lib/khk182a1.htm
では実際の教師の懲戒処分について、簡単に見ておこう。
処分数については、文部省の公表では以下のようになっている。
表 平成11年度の懲戒処分等の状況
処分事由 懲戒処分 訓告等・諭旨免職を含めた総数
交通事故 454( 3) 1,433( 92)
争議行為 23( 0) 49( 0)
体罰 114( 2) 387(199)
わいせつ行為等 97(15) 115(103)
公費の不正執行又は手当
の不正受給 6( 8) 54( 38)
国旗掲揚国歌斉唱の
取扱いに係るもの 13( 1) 96( 4)
その他 1,331(14) 2,803(345)
総 計 2,038(43) 4,937(781)
※( )内の数は監督責任によるもので外数。85)http://www.mext.go.jp/b\_menu/kensaku/index.htm}
いくつかの事例を見ておこう。
◆北海道教委が教員の懲戒処分発表(北海道)(7/16)
北海道教委は十三日、酒気帯び運転で交通事故を起こすなどした教諭や職員計五人を減給一か月から停職一か月の懲戒処分にした。
石狩支庁内の中学校男性教諭(54)は昨年十一月十七日深夜、石狩市内で自家用車を酒気帯び運転中に乗用車と衝突、運転者の男性に首などに全治二十五日のけがを負わせたことで、停職一か月とした。
また、網走支庁内の中学校男性教諭(30)は酒気帯び運転で、北見市内の[[小学校]]男性校長(59)は自家用車を運転中、自転車の女性をはね、腰の骨を折るなど全治二か月の重傷を負わせたことで、宗谷教育局の男性職員(44)は無理な追い越しで、対向車と衝突、対向車の男女計三人に全治二週間から二か月半の重軽傷を負わせたことで、それぞれ減給三か月の処分とした。
室蘭市内の中学校男性教諭(32)は、校内の禁煙場所で喫煙し、火の不始末からぼやを起こしたことで、減給一か月の処分とした。86)http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/05/20010716wm07.htm
最終更新:2008年07月25日 21:42