教育も一種のサービス産業であるが、正規の学校体系の外にある民間の教育産業について、考えてみる。
日本は「塾」という言葉が世界に通用していることでわかるように、受験産業が著しく発達した国である。欧米では、塾のようなものは、非常に限られた生徒しか利用していない。公立の学校では、下級学校の成績が選抜資料になるので、学校の成績が重視され、しかも、学校の成績は、単純な学力テストではなく、自己の課題に即した学習達成が重視されるので、塾で補習するような余地もほとんどない。
また、一般に経済力のあるアジア諸国は、受験競争が激しいが、韓国での家庭教師、塾禁止政策のように、受験産業を政策的に抑止する国もある。従って、韓国などは、日本のように受験産業は発達していない。近年解禁され、日本以上に加熱しているとも言われているが。
Q 塾は、教育的に何か益があるだろうか。
塾はある面では、日本の管理的な学校システムに対する「自由な教育」の場として機能している側面もある。不登校の生徒の受け皿としての塾も、今では文部省が認知している。
また、資源のない日本のような国は、他国との技術競争に勝たなければならず、受験競争はむしろ必要だという認識もある。
主に中学から始まった学校と塾という二重の教育機関への所属は、受験とは無関係になったはずの大学においても、かなり普及するようになった。
文部省の白書を見てみよう。
【コラム】 ダブルスクールの状況
平成7年度に,大学の学部学生(1年生,3年生),及び短期大学の学生等を対象に行った文部省委託調査「大学改革の今後の課題についての調査研究報告書」によると,大学の学習以外で専修学校,各種学校や通信教育などで学習するいわゆる「ダブルスクール」を経験したことのある学生は,学部学生について見ると,現在「ダブルスクール」を行っているもの,及び過去に「ダブルスクール」を経験したことがあるものを合わせ21.7%となっている。また,短期大学生について見ると,経験したことのある学生は19.5%となっている。
学習の内容としては,学部学生では「外国語」,「資格取得」,「趣味」,「就職試験対策(公務員試験を含む)」などが多い。短期大学の学生の場合は,これに「コンピュータ」が加わる。
学部学生について学年別に見ると,1年生よりも3年生の方が経験のある学生の比率は大きくなっており,4年生時の就職活動や試験を念頭に置いて学習活動に取り組んでいることがうかがわれる。*26)教育白書96年
平成7年の時点で、既に20%の学生は、大学以外の教育機関で学んでいる。就職がますます厳しくなっている現在では、更に増加している可能性がある。
更に、大学自体が、自らダブルスクールの場を提供するものまで現れている。
名古屋商科大学の例である。
本学の学生は同キャンパス内の光陵女子短期大学と情報文化専門学校の一部の講座が履修でき、30単位まで認定可能です(短大は女子学生のみ)。
また、専門学校で開講される簿記・情報処理・ワープロなどの資格取得講座も受講することができます。これにより大学の枠を超えた新たな学習チャンスが身近に存在することになり、就職に有利な資格取得へのチャレンジも、このキャンパス内で可能となりました。(名古屋商科大学)
専門学校側は当然の傾向といえよう。
名古屋ビジネス専門学校のダブルスクールプログラム
ダブルスクールとは専門学校と大学(または短大)が教育交流を行い、専門学校へ入学と同時に大学(短大)通信教育部にも入学。必要な単位を取得することにより、専門学校と大学(短大)通信教育部を同時に卒業するシステムです。専門学校で平常の授業を受け、大学(短大)の行うスクーリングを受講することにより、"大学(短大)卒業に必要な単位"が、専門学校在学中にスムーズに取得できます。卒業式には、専門学校の卒業証書と専門士の称号に合わせて、大学(短大)の卒業証書[学士(準学士)の学位]が授与されます。さらに、希望者は、教員免許や図書館司書等の資格も取得することができます。同校は佛教大学、東海産業短期大学、産能短期大学のそれぞれの通信教育部との教育交流校です。
Q ダブルスクールは、大学の貧困の現れなのだろうか、あるいは、教育選択の幅の拡大であって、好ましい現象なのだろうか。
最終更新:2008年08月04日 21:27