検証22:新羅に伝わる伝説の人が厩戸?
山岸版
これは淡水と厩戸が初めて会うシーン。
淡水が「あなたは弥勒仙花(新羅に伝わる伝説の人)か?」と問いかけたところ、厩戸がまさにそのような答えをしたため、ひれ伏した場面。厩戸は「そなた花郎(ファラン)の者だな」と淡水の素性を見抜いて驚かせ、後日、淡水は厩戸に弥勒菩薩の像を渡すのである。
淡水が「あなたは弥勒仙花(新羅に伝わる伝説の人)か?」と問いかけたところ、厩戸がまさにそのような答えをしたため、ひれ伏した場面。厩戸は「そなた花郎(ファラン)の者だな」と淡水の素性を見抜いて驚かせ、後日、淡水は厩戸に弥勒菩薩の像を渡すのである。
ちなみに「花郎」に関して、何故、直接ストーリーに関係ない「花郎」を話の中に組み入れたのか、山岸凉子は氷室冴子との対談(『日出処の天子』白泉社文庫 第2巻収)でこのように発言している。
氷室「あの、花郎っていうのは? 私、あれは先生のを読むまで知らなかった。」
山岸「あれはやっぱり…男色といったらおかしいですが、あの世界じゃない?」
氷室「そうそう。いわゆる、貴族の息子たちが集まった、親睦団体という名の…(笑)」
山岸「それも、不思議なんだけど本屋にいって古代朝鮮の本を捜して、「この本かな」と手に取ってパラッとめくったら、たまたま出ていたの。変な話だけど、これを描いている時、本屋にいくと目に飛び込んでくる本があったんです。不思議ですが。」
池田版
こちらは池田版で調子麻呂と厩戸が初めて会うシーンである。
山岸版と同じく、出会ってすぐに、調子麻呂が「百済に伝わる予言の人が厩戸では?」と問い掛けてみると、厩戸がまさしくそのような答えをしたため、「おお、やはり!」と答えている。(しかし、だからといって、調子麻呂が厩戸に対して特別な思いを抱くわけでもなく、物語上たいした意味はもたない。)
山岸版と同じく、出会ってすぐに、調子麻呂が「百済に伝わる予言の人が厩戸では?」と問い掛けてみると、厩戸がまさしくそのような答えをしたため、「おお、やはり!」と答えている。(しかし、だからといって、調子麻呂が厩戸に対して特別な思いを抱くわけでもなく、物語上たいした意味はもたない。)
池田版は山岸版の「花郎」、「弥勒菩薩」も、ちゃっかり別のシーンで使用している。
語る必要のないところで、何故か河勝が唐突に「花郎」の話と「弥勒菩薩」の話をしている。
「花郎」に関しては、そこまでメジャーではない言葉であり、また物語に入れる必要性も全くない。(もちろん厩戸王子と花郎の関係性は文献には一切なし)。
山岸凉子が超能力的な力で調べた「花郎」も、あっさり使われてしまったようだ。
語る必要のないところで、何故か河勝が唐突に「花郎」の話と「弥勒菩薩」の話をしている。
「花郎」に関しては、そこまでメジャーではない言葉であり、また物語に入れる必要性も全くない。(もちろん厩戸王子と花郎の関係性は文献には一切なし)。
山岸凉子が超能力的な力で調べた「花郎」も、あっさり使われてしまったようだ。
また「弥勒」の話も、山岸版では、淡水が厩戸を神格化し好きになっていくレールとして大事な意味をもっているが、池田版の場合は、弥勒の話は一切物語に影響を与えず、何故この言葉が唐突に出てきたのか理解出来ない。