【種別】
異世界・魔術理論

【初出】
「異世界」としては四巻
「位相」としては二十二巻

【概要】

とあるシリーズの世界観では、科学的な物理法則が成り立つ「世界そのもの」の上に、宗教・神話の法則に基づく「オカルト的な異世界」が投影され、互いに重なり合って存在しているとされている。
作中の表現では、前者のことを『基底世界』『真なる科学の世界』『純粋な物理法則の世界』などと呼び、後者の異世界・宗教概念のことを『位相』と呼んでいる。
『位相』はとあるシリーズにおける魔術の源であり、魔術以外にもいろいろな形で作中世界に大きな影響を与えている。

【解説】

具体的には、十字教・イスラム教・仏教・カバラ・日本神話・北欧神話・ケルト神話・ギリシャ神話・エジプト神話・アステカ神話・インカ神話などの宗教・神話に語られる、
「天国」「地獄」「六道」「四界」「黄泉」「ユグドラシル」「アヴァロン」「オリンポス」「冥界」「ミクトラン」「ティティカカ」といった、神・天使や悪魔などの超越存在が住まう異世界を指す。

上記の宗教・神話由来のもの以外では隠世が該当する。
学園都市製の超能力から生まれた虚数学区・五行機関も、限定的なものであることを除くとこれに当てはまる。
なお、新たな天地に関しては確かに異世界ではあるものの、「同一時間軸上の余剰領域」であるため該当しない。

とあるシリーズの作中において、これらの「異世界」は単なる空虚な妄想というわけではなく、現実とは波長・位相がズレた世界として確かに実在している。
こうした異世界のことを「位相の異なる世界」という意味で、作中では単に『位相』と呼ぶ。
魔術は、これらの『位相』における法則(≒神話の世界の出来事)を、強引に現実世界へ適用することで超自然現象を引き起こす技術である。

『位相』は魔術の源というだけでなく、魔術師以外の一般人にも影響を与えている。
とあるシリーズ作中の人物が見ている「世界」とは、『基底世界』そのものを見ているわけではなく、こうした数々の『位相』という色眼鏡を介して歪められた景色を見ているものとされている。
したがって、その色眼鏡が変化すれば「世界の見え方」はがらりと変わってしまうことになる。
このため、世界の見え方を変えるものという意味で、作中では位相のことを「フィルター」とも呼ぶ。

これらの重なったフィルター(位相)を全て破壊すると、何も存在しない『黒一色の世界』になる。
新約8巻〜9巻で上条がたびたび見ていた黒い空間はこれのこと。

【魔神と位相の関係】

魔術を極めた結果、神格へ達した人間を魔神と呼ぶ。
魔神は世界にフィルター(位相)を新しく追加・削除することができ、世界に新しい位相を差し込むことで「世界の見え方」を変え、世界改変を行うことができる。
厳密には『基底世界』そのものを直接操作しているわけではないが、普通の人間から見れば、世界そのものが作り替えられているのと全く変わらない。
改変された世界は魔神の思い通りとなり、天国のように幸福な世界も、地獄のように不幸な世界も自由自在に作れる。

魔神が『位相』を操作する際、細かい事象まで完全に掌握して改変しているわけではないらしく、
オティヌス曰く「計算された中心核から無限に広がる雪の結晶を眺めるようなもの」らしい。

魔神ではない人間には、いかなる手段を用いても『位相』を観測することは出来ないし、もちろん侵入することも不可能に近い。
ただし「不可能に近い」だけであって例外も存在し、
作中ではアレイスターが「存在しない数で埋め尽くされた座標を十進法に変換する」ことで無理やり隠世に侵入している。
その後隠世は崩壊し、「世界」としての体を成さなくなった。

なお魔神ほどではないにせよ、通常の魔術師たちも魔術を使う度に『位相』に干渉している。
結果、位相と位相の間に力が生じて衝突し、大小様々な「火花」が生まれる。
この「火花」こそが人々の運命・不幸と呼ばれるものの正体である。

【備考】

四巻での土御門の例えによると、
天界や地獄と呼ばれる世界は『波長』が異なり、高い波長が天界、低い波長が地獄というようになっているらしい。
例えば天使と悪魔が隣同士に居たとしても、天界と地獄の中間地点である波長の『地上』に干渉しなければ波長の違いから気づく事はない。
人間の目で赤外線を見る事はできないし、人間の耳で高周波を聞き取る事はできないようなもの。
しかし、赤外線を浴びせれば物体は熱を持つし、高周波をガラスに浴びせればビリビリ震えるのが分かる。
俗に言う天罰や奇跡はこれに当てはまるとのこと。

【関連】


最終更新:2025年07月15日 00:02