【種別】
人名
【初出】
「学園都市統括理事長・アレイスター」としては二巻
「アレイスター=クロウリー」のフルネームは六巻
【CV】
関俊彦(男性体)
水橋かおり(少女体)
川澄綾子(
コロンゾン体)
【概要】
学園都市の創設者にして最高権力者、初代
学園都市統括理事長。
同時に世界最高の科学者としての顔も持つ、名実共に科学サイドのトップに立つ人物である。
容貌は長い銀髪に緑眼の『人間』。
相対した者からは「男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える」と評されており、
こうとしか表現出来ない、「中性的」という言葉を超越した見た目をしている。
窓のないビルと呼ばれる施設に居を構え、
内部に設置されたビーカー型の生命維持装置にて外界を伺い、基本的には表に出ない。
ビーカーには弱アルカリ性培養液が満たされ、その中に逆さまになって浮かんでいる。
この「生命維持装置」により、人間が行う活動の殆どを機械に任せている。
具体的には、目を動かすという僅かな動作ですら特別なアクションとして認識されてしまうほど。
本人曰く「機械にできることを、わざわざ人間が行う必要はない」とのこと。
一見不健康そうに見えるが、その推定寿命は1700年程。
肉体の仮死化と完全な機械の補助により、世界で最も健康的な体を維持しているらしい。
科学サイドのトップであるが、魔術サイドの存在も認知している。
イギリス清教とは協力関係にあり、最大主教である
ローラとは度々連絡や取引を行っている。
アレイスターという名はかつて世界最高を謳われた
魔術師と同名だが、その大魔術師とは科学的・
魔術的に特徴が一致しない為、
関わりを持つ人間のほとんどには「同姓同名の別人、もしくは偽名」と思われていた。
一度、
土御門には察知・指摘されているが、それに対しては肯否も返さなかった。
【正体】
その正体は、かつて世界最高を謳われた大魔術師アレイスター=クロウリー、
本名エドワード=アレクサンダーその人。
そしてこの作品の事実上の裏主人公。
新約にて後述の詳しいパーソナリティが描かれた。
活躍したのは70年以上も前の20世紀初頭だが、
その間で数千年を超える魔術の歴史は塗り替えられてしまったと言っても過言ではないらしい。
19世紀において台頭し、
近代西洋魔術の雛形となった
黄金夜明内部における中心人物の一人だった事も言及されている。
一言で言えば最悪の人間であったと記録されている。
ある魔術実験では守護天使
エイワスと接触する器として共に世界旅行に出かけていた妻の体を使っていたり、
娘の
リリスが死んだ時も顔色一つ変えずに
magickの理論構築を行っていたと言われている。
その上実験では娘と同い年ぐらいの少女達を犠牲にしていたようである。
しかし、それらの功績として
天界や魔界などの層の異なる重なった世界の新定義を見出し、
それまでの魔術様式を一新した。
また、現在の魔術の共通規格とされる
近代西洋魔術も、
『黄金』が雛形とされるものの、最終的にはアレイスターの手で編纂されて世界にリリースされた。
現在の魔術師の二割はアレイスターの亜流、何らかの影響を受けている者は五割にも上ると言われている。
だが、そんな魔術師の頂点に立っていた魔術師が魔術を捨てて科学に走ったため、
「世界で最も魔術を侮辱した魔術師」として世界中の魔術師を敵に回す羽目になった。
魔術師討伐組織に追われ、最終的には追っ手に致命傷を負わされる。
1947年12月1日、イギリスの片田舎で死亡したと公式には記録されているが、
実際は死の直前に
カエル顔の医者に出会い、命を救われていた。
そして第二次世界大戦後のどさくさに紛れて日本に渡り、学園都市を設立した。
その際カエル顔の医者も都市の仕組みを作る手助けをしており、生命維持装置も彼によって提供された物。
因みに日本を再起の地としたのは、戦後で介入しやすかったこと、労働を苦としない国民の性質、
そして初めて鎌倉の大仏を見た時の衝撃が決め手だったらしい。
(学園都市の立地が神奈川に近い一因と思われる。
なお、史実の現実世界でもアレイスターは鎌倉の大仏を訪れている)
イギリス清教は公式の死亡後にもこれまでに蓄積した『アレイスター=クロウリー』の情報を元に追跡を続けているのだが、
その情報は彼自身が意図的に掴ませている誤情報。
さらに前述の生命維持装置に生命活動を任せることで、
魔力生成に必要な生命力を機械的に生み出し、あらゆる探査をかい潜ってきた。
そのため現在の彼は怪しいとは思われつつも、別人だと認識されていた。
しかし、ローラは以前から彼が死亡したと考えてはおらず、
フィアンマとの激突によってサーチ術式が反応した際には、「やはり生き延びていたか」と漏らしている。
因みに作品全体を通してキーワードとなっている「科学と魔術」だが、
実際にはアレイスターの『
原型制御』によって、そこにあるものを分かりやすく切り分けて再配布されたものに過ぎない。
これは実際には無限の色の移り変わりで出来ている虹を、強引に「七色」として自分を納得させているようなものである。
つまるところ、科学と魔術には厳密な境など存在せず、アレイスターがその二者を区切って、世界が勝手にその区切りに乗せられたという表現が正しい。
科学と魔術が地続きである証としては
対魔術式駆動鎧が存在するが、
実際にこれを分析した
琉華からも「世界は統一した理論で説明できてしまう」と言われている。
これ以前にも
レイヴィニアによって、魔術と科学が厳密に分かれていなかった時代がかつてあったことが語られている。
「成功も失敗も問わず、成功すればそれで良し、失敗さえも糧にして前へ進む」人物であり、
彼の『
法(テレマ)』に基づく『計画(プラン)』もそのような思想の元に進められている。
成功、失敗、勝利、敗北、獲得、喪失、栄光、挫折、いかなる結果を得てもアレイスターの作る流れに何ら変化は起こり得ない。
たとえ1から6まで賽の目に何が出たとしても、結果として一つの向きに流れを整えられれば、アレイスターにとっての目的は達成されるのである。
合理の極致を歩む最適解の権化のような人間でありながらも、その実かなりの激情家の顔も持つ。
「
聖人」や「
魔神」のように一見完璧な存在に思えるが、
「成功しようが失敗しようが前に進む」ことが原因で、
デメリットやダメージを一切考慮せずにその場の思い付きで行動を起こすことがあり、意外とボロや黒星が多い。
上条には「危うい」と評されている。
【過去】
新約十八巻で、彼が『プラン』を目指すようになった経緯が明らかにされた。
少年時代、両親も含めた十字教の信者達が「正しさ」を押し付ける様を見て十字教を嫌悪するようになり、
神の支配する不完全な世界を、自らの手によって完全なものにするという夢を持った。
その後、夢を成就させるために魔術を学び、成人後は『黄金』に入って
メイザースらと交流を持った。
ちなみにこの頃、自作の官能小説を場末の出版社に持ち込む、皆の集まる儀式場で自分の精子を持ち込み実験を始める、
仲間の魔術師にセクハラじみた詩を語る…などといった、
下ネタ特化の暴挙と御乱心のバーゲンセールをしまくっていた。
なお、これらの行動の数々はそのほとんどが
実在のアレイスター=クロウリーの行動に基づいたものである。
一方、中性的な美貌によりその破綻した性格をもってしても努力せずともモテたそうで、
その反動で普通の恋愛には興味を抱けない「良い御身分」だったという。
ある時、師と慕う
アラン=ベネットから、『黄金』の魔術が「
位相」の衝突を生み、
それによって発生した『
火花』が世界に「不幸の運命」をもたらし続けていること、
そして、その運命が「将来的に生まれるアレイスターの最愛の娘」にも牙を剥く事を知らされる。
アレイスターは人が世界に跪く仕組みを、つまり世界に蔓延る「運命」を憎悪するようになり、
その原因である『魔術』の絶滅を、そして「呪い」を背負う覚悟をアランの前で誓う。
そして、
「この世界にある全ての位相を絶滅させ、位相に振り回されて不幸になる人を二度と出さない世界にして見せる」
という信念を持って生きるようになった。
つまり、彼が計画している『
プラン』の目的とは、
端的に言えば
世界に存在する『運命』とか『どうしようもない現実』等の世界の理不尽さを弾劾し、
世界から『理不尽な悲劇』を一掃して『誰もが当たり前に泣いて当たり前に笑える世界』にすることである。
「私はな、これから生まれる命がすでに偶発の死に堰き止められてしまっている事、
それ自体でここまで憤っているのではないんだ」
「これほどの悲劇が埋もれてしまう事。
そんなにも世界の日向の部分に悲劇が溢れ返ってしまっている事。
皆が素直に憤って立ち上がれば良いものを、仕方がないよで諦めてしまう事!
それが哀しいと言っているのだ!!」
やがて彼は『黄金』を破滅に導くために反旗を翻した。
師ではあるが『黄金』の魔術師であるアランを殺害した後、「
ブライスロードの戦い」を仕組んで『黄金』を空中分解に追い込み、
当時の黄金に纏わる全てを「呪詛」(何をやっても必ず失敗してしまう呪い)の力で破滅させた。
最終的にその「呪い」はアレイスター自身にも牙を剥き、
現代まで続く後の人生は「失敗」が付き纏ったという。
やがて
ローズ(未編集)という女性と恋に落ち、アランの占術通り
リリスという娘を授かった。
このリリスのフルネームはNuit Ma Ahathoor Hecate Sappho Jezebel Lilith Crowleyという長ったらしいものだが、これは彼女が幸福であれるようアレイスターが考えてつけた名前だった。
その後、リリスを死の運命から救う魔術の研究のため、K2登山に挑戦したものの間に合わず、
アランの言葉通り、リリスは『火花』のもたらす「運命」によって幼くして病死してしまう。
最愛の娘の死に際に駆けつける事すら出来ず、
ただ全てが終わった後に簡素な手紙の形で結果だけを押し付けられることになった。
つまるところ、『人間』アレイスター=クロウリーの原動力はこの時代に隠されていたのである。
以降、彼の人生は転落が続くこととなった。
異常な言動を撒き散らし、世界最高でありながら最低最悪の魔術師とも呼ばれ、
時にマスコミの非難に晒される苛烈な人生を送った。
そしてその人生の最後、劇毒たる呪いを飲み干してなお、リリスを死に追いやった「ありふれた病名」だけは覆らなかった。
オティヌスによれば「宗教に依らない科学の世界(純粋なる物理法則の世界)を直接いじくる」ことを目的としているらしい。
その後、ブライスロードの戦いで失った追儺霊装『幻想殺し』を再び見つけて活躍させるために学園都市を構築した。
【能力・スキル】
世界最高の科学者と評され、
超能力の概念を生み出して科学サイドと魔術サイドを切り分けた張本人。
科学技術という概念の中に含まれるもの全てを頭脳に収めており、最先端科学を自分の手札として自在に行使する。
また世界最高の魔術師とも評されるだけあり、その実力は次元が違う。
その腕前は本物の魔神から、「魔術の道を正しく進んでいれば魔神になっていた」と認められる程。
ただ当人は『人間』に拘っているため『魔神』になる気は全くなく、
それどころか敢えて魔神にならないように自分を制御しているらしい。
それでも魔術を極めた結果高次存在と化しており、存在そのものが曖昧。
シークレットチーフの『窓口』とされる
アンナ=シュプレンゲルと同じように、
彼もまた
エイワスの一学説「シークレットチーフの真なる者」への『窓口』として機能している。
その存在は0と1だけで表現する事が出来ない。
アレイスターは普段生命維持装置の中で暮らしているが、その場にいるアレイスターは一人だけではない。
その魂には、10億8309万2867通りもの「分岐先」、言い換えると
仮にアレイスターが現実と違う選択肢を取っていたらこうなっていた、という「ifのアレイスター=クロウリー」を秘めている。
本人曰く「私の魂は極彩に輝いていた」。
かつてこの「分岐先」を自らの分身として作る実験を思い付きで実行し、その産物として「分岐先」を顕現させることに成功した。
しかし世界に複数のアレイスターが存在したところで、ただいがみ合うだけで協力体制すら取れないと判明し、結果的に実験は失敗。
全てのアレイスターを重ねて一つの座標に留めることを余儀なくされた。
ファックスのように瞬間的にその存在を分化させることで、疑似的な瞬間移動をすることも出来る。
同じ原理で、学園都市に設置されたビーカーに居ながらにして、別の場所に並列して同時に存在することすら可能。
前述の通り現在世界に広まっている近代西洋魔術の理論は、アレイスターが都合よく広めた、
いわば「アレイスター流魔術解釈」である。
つまりアレイスターはその裏口や脆弱性を知り抜いているため、
近代西洋魔術の要素が含まれた術式に対して干渉や無力化、ひいては乗っ取ることすらできる。
(
インデックスの『
強制詠唱』と原理は似ている。)
逆に言えば近代西洋魔術成立以前の術式は通用するのだが、
そうした術式を持ち出しても、現代の魔術師ではどうあがいても近代西洋魔術の視点から術式を解釈してしまう。
つまるところ、人間の魔術でアレイスターを傷つけることは事実上不可能。
彼に魔術攻撃が可能なのは、
1.魔術師の意思が介在しない「近代以前の」無人自立霊装
2.アレイスター以前の、独自の魔術理論を保つ魔術師
3.魔神や天使などと言った、そもそも人の魔術に縛られない存在
の三通り。
とは言えこの条件を満たし、アレイスターを負傷させた(させうる)存在はほんのひと握りしかいない。
以下項目のある能力・術式については各リンクを参照。
【作中での行動】
学園都市の設立後、
一方通行、
幻想殺しなどを利用し、
学園都市に秘められた
虚数学区を制御するための『プラン』を進める。
断片的な情報によれば、エイワスを利用することや、『
神浄』と関わる何かを目指しているらしい。
しかし、予想外の事態が多く重なり、元来の計画から逸れてきており、エイワスには「焦っている」と評される。
第三次世界大戦においては、計画の要となる
上条当麻が自身の監視下から外れたことに対し憤り、
幻想殺しに内包される何かを垣間見たフィアンマを抹消し、計画を逆算される可能性を潰すために自ら出陣。
満身創痍とはいえ
第三の腕を振るうフィアンマを簡単に下した。
だがフィアンマと彼が引き起こした第三次世界大戦により、この時点で『プラン』に許容できない誤差が発生。
修正方法が現状分からず、下手に行動を起こすと『プラン』に影響するためうかつに動けない模様。
北極海に沈んだ上条の回収を行わなかったり、学園都市に帰還した上条の確保に動かなかったのはこれが原因。
学園都市に接近する
ラジオゾンデ要塞への対応が遅かったのもこのためである。
その後、魔神
オティヌス率いる『
グレムリン』の数々の行動を問題視しつつも、
彼は『
隠世』に潜む真のグレムリンである魔神たちに接触する方法の模索を優先。
存在しない数で埋め尽くされた座標を強引に10進法に変換することで隠世に侵入。
これを破壊し、彼らを現実世界に引きずり出す事に成功した。
この際、魔神の一柱『
僧正』の挑発に乗る形で魔神達に無謀な攻撃を仕掛け、
結果として体の3分の1を焼き焦がされ、活動休止を余儀なくされた。
これに対し、
木原脳幹には、
「一見理性的なくせに、実際には感情で片付けてしまおうとするのが君の悪い癖」と失笑された。
しかし実際には、魔神に共通するパラメータを体当たりで入手するために必要な敗北だった。
更に、先行して現実世界に現れていた魔神で、万全の状態だったはずの『
ゾンビ』を木原脳幹が撃破。
ゾンビに適用された『
鏡合わせの分割』を解析・改竄した上で、
ゾンビに成りすまして残る魔神らへ改変した術式を埋め込み、可殺状態に追い込むことに成功する。
そして、木原脳幹によって磔にされたゾンビの亡骸を彼らに投げ寄越し、魔神達へ宣戦布告した。
新約一巻では
レイヴィニア=バードウェイに「お前の焦りは透けて見える」などと煽られている上、
新約十巻では魔神に自分の娘の話をされて激昂した勢いで(元からそのつもりだったとは言え)交戦したりするなど、徐々に人間味を見せ始めた。
ローラの思惑によって
木原脳幹が打ち破られ、コールドスリープを余儀なくされた際には、
彼は初めて自らの『プラン』を呪い、僧正と相対した時などとは比較にならないほどの感情を露わにし、1人号哭を上げていた。
その後、
対魔術式駆動鎧に吹き飛ばされた
木原唯一の前に姿を現し、
「自分を殺したいのなら構わない」と言いつつ、「その前に自らの仕事を果たせ。そうでないと
お前を動かすために散っていった『
彼』があまりにも無残だろう」と、
感情のない瞳で、それでも激情を裏にひた隠しにしながら唯一に告げ、
対魔術式駆動鎧に接触した
美琴を新たな脅威と認定し、上里翔流と同様に排除する事を決定した。
新約十八巻では、自らの本拠地である
窓のないビルに上条を呼び寄せ、
ミナ=メイザースを案内人として自らの過去を見せた後に最上層で対面。
エイワスを召喚するなどして上条を圧倒するも、
『プラン』に向ける信念を「天国という位相にいて幸せに笑っているかもしれないリリスを否定する行為」と上条に断じられ、幻想殺しを叩き込まれた。
世界の改変を願った男は、いつしか娘の魂と尊厳を守る側に立てなくなっていた。
かくして、どこにでもいる平凡な高校生の右手をもって『学園都市統括理事長』アレイスター=クロウリーの物語は幕を下ろすこととなった。
が、『魔術師』アレイスター=クロウリーの物語に関してはこの限りではない。
上条の握り拳に吹き飛ばされて床に伸びていたアレイスターは、
直後に窓のないビルに現れた
ローラ=スチュアートの発言で、
彼女の正体がアレイスターの2人目の娘「ローラ」であること、
そして、その「中身」がローラの体を乗っ取った
コロンゾンであることを知る。
コロンゾン曰く、ローラは日常的に父に対する文句を口にするほど嫌っていたが、
乗っ取られる直前に父に助けを求めていたらしい。
その事を聞いたアレイスターは激昂したが、怒りも虚しく
ダモクレスの剣で殺害された。
しかし、魂に10億8309万2867通りもの「分岐先」を秘めていた彼は、直後にそれらを
群体として解き放ち、イギリス連邦を制圧。
曰く、右方のフィアンマや木原唯一と対峙した際に存在を分化させた事が原因で、分身を同じ座標に留めきれなくなっていたとのこと。
(世界の人口をいきなり10%近く増加させてしまったが、思い付きの行為だったため、
人口増加に伴う食料問題やエネルギー問題については考慮していなかった)
アレイスターと面会した者たちが抱いてきた、
「男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える『人間』」という印象は決して間違いではなく、
それだけの分化先を実際に魂に秘めていた。
英国本土とまではいかないものの、しかしローラの耳に入った時点ではロンドン郊外さえ陥落させていた。
ローラは勝利を収めたわけではなく、あくまでこの分岐の中のたった1つを出し抜いたに過ぎなかった。
その後、分岐先の1つである、「ベイバロン」をベースとした中学生か高校生くらいの少女の姿を取り、上条の前に再び姿を現した。
上条と合流した後は女性の性感を知るべくうぶな彼に性交を依頼したり、
ラブホテルを拠点としてこれまた上条相手に
性魔術で敵味方の探知機を作ろうとしたり、
少女の姿でタオル1枚巻いただけで一緒にサウナに入ったりするなど、
かつてのような超越者然としたミステリアスさは日の目を見なくなった。
なおこれらの行動は「コロンゾンの息がかかっている箇所を探る護符を作る」ためのものであり、
その場のテンションで上条に迫っていたワケではない。
A.O.フランキスカの正体を暴いてカエル顔の医者の病院に辿り着き、
そこで
エイワスによって新たに受肉したリリスと再会を果たす。
リリスと再会した後もしあわせになる事への恐れを抱いていたが、
エイワスからの「しあわせになる事から逃げるな」という言葉を受け、リリスと触れ合ったことで、
「魔術師・アレイスター=クロウリー」としての完全復活を遂げる。
直後、
ミメティックプレデターを
霊的蹴たぐりのビッグバン爆弾で消滅させ、
コロンゾンに乗っ取られた府蘭をガンマナイフにより『
A・O・フランキスカ』だけを切除して救った。
書庫争奪戦に決着がついた後、『学園都市統括理事長・アレイスター=クロウリー』として
浜面仕上に暗部から逃れられる保険を約束し、一方通行とも落とし前をつけることを承諾した。
そして未だコロンゾンに管理権が簒奪されたままの学園都市を機能停止させ、
コロンゾンを学園都市に封印して足止めし、ローラを奪還する手段を確保すべく
英国に向かう。
しかしコロンゾンの肉体はローラではなかったと判明。
激闘の末、一方通行に統括理事長としての全権を委譲した後、死亡した。
遺体は
エリザードによって国葬が決定され、本人としても満足して死んでいくつもりだったが、
コロンゾン本体と分離して残った肉体に宿り、現世に留まることになった。
1909年に行われた召喚実験では、本来ならば「アレイスターの肉体にコロンゾンが宿る」手筈だったが、
この術式の
火花が予想外の形で作用した結果、「コロンゾンの肉体にアレイスターが宿る」形になってしまった。
しばらくは身を隠し、科学でも魔術でもない「第三の領域(バックステージ)」に潜るつもりのようだ。
新約二十二巻以降、コロンゾンとアレイスターが同じ肉体に同居している。
創約三巻ラストで日本に帰還し、学園都市東側の外周部にほど近い新宿の高層ビルの屋上で脳幹と再会。
脳幹に諭され、再び「魔術の撃滅」に向けて動こうとする素振りを見せた。
創約四巻では脳幹を連れてロサンゼルス市の
R&Cオカルティクス本社ビルに姿を現す。
アレルギー物質によるアナフィラキシーショックで相手の身動きを封じつつ殺人ヤドリバエを操り、
アンナ以外のR&C
経営陣を惨殺した。
学園都市暗部が生んだ負の科学技術は一方通行によって放棄されたが、
代わりにアレイスターがそれを「拾い」、行使することを宣言。同時にアンナに宣戦布告を行った。
創約五巻中盤にて、ある目的のため学園都市に帰還し、上条の前に姿を現す。
オペレーション・ハンドカフスの生き残りが起こした事件に右往左往する上条に「私に預けるか?」と問いかけたが、
「もうここはアンタの街じゃない」と断られると、「君と口ゲンカだけはしたくない」と笑って音もなく去った。
その後、窓のないビルの地下基部に隠していた、「
アンナ=キングスフォード(未編集)の遺体が保存されている場所の情報」を取り出した。
【口調】
一人称は「私」で、基本的には冷静な口調。
「まさかとは思うが、お前達は私をただの馬鹿だと侮っていたのかね?」
が、素の口調は激情家のもの。下記は新約十五巻でイギリスから学園都市の様子を観察していたローラへ放った言葉である。
「……何見てんだアバズレ。今すぐここで呪殺でもして欲しいのか」
【余談】
ニンテンドーDSで発売された「電撃学園RPG CROSS of VENUS」にて最後の隠しボスとして登場。
主人公達の前に突如として現れ、異世界での物理法則の検証をプラン短縮の参考とすべく、手合わせを挑んでくる。
これがアレイスターのフィアンマ撃退時に先だった戦闘披露となり、瞬間移動や衝撃波、
上空より無数の光を放つ「衛星光波」といった能力を駆使し、隠しボスに相応しい実力を見せつけてくる。
戦闘終了時には、勝敗に関わらず「良いサンプルがとれた」と言って主人公の前から姿を消すが、
その余裕の様子から察するに、どうやら本気はまるで出していなかったらしい。
ここからも、アレイスターの凄まじい実力の程を垣間見る事が出来る。
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最終更新:2024年06月28日 14:09