学園都市レイディオ@放送できない
電脳歌姫「学園都市レイディオ未放送回!題して、『学園都市レイディオ@放送できない』!強欲の杯で出演中の
尼乃昂焚とユマちゃんによる濃厚でドロドロな大人のバレンタインをお楽しみくださイ!」
スタッフ「はい!カット~!歌姫ちゃん。お疲れー」
皆さん、初めましテ!みんなのアイドル!電脳歌姫でス。
え~っと、今日は学園都市レイディオの放送日じゃないんですが、スタジオに来ていまス。そんで仕事やってまス。どうしてなのかと言うと事の発端は2月14日でした。
ある人「バレンタインデーなのに壁を殴りたくなる様なSSが出てこない!せっかく呼んだ壁殴り代行が無駄になっちゃうじゃないか!」
壁殴り代行「壁もある!壁を殴る筋肉もある!それなのに壁を殴る意志が無い!」
強欲の杯作者「じゃあ、俺が書くよ。」
とまぁ、こんな感じで調子に乗った強欲の杯の作者が短編SSを書いたわけですが、あまりにもカオスなSSになってしまい、「あ。こりゃ学園都市レイディオじゃないと駄目だな」ということで某這い寄る混沌並みにカオスなSSを学園都市レイディオの一環として扱うことになったのでス。
っざけんじゃねーゾ!
確かにウチはカオスなSSだヨ!イロモノ扱いだヨ!だけど、アイドルなのにバレンタインに仕事が無くて一人寂しく家で乙ゲーをプレイしてた私に大人のドロドロで濃厚なバレンタインSSの司会やらせるとか拷問かヨ!
歌姫「リアル拷問は勘弁して下さイ。ってか、呼んでないので帰って下さイ。」
ってか、サブタイトル何だヨ!「さ○みさん@がんばらない」のパロディだロ!?良いノ!?これって一応、“禁書”オリキャラスレのSSなんだヨ!出版社もアニメ制作会社も違うヨ!
あれ?ってか、さっきの「っざけんじゃねーゾ!」って叫んだ時の私の声って、天草式の女皇教っぽくなかったですか?
スタッフ「いえ、どちらかと言うと巨乳のAIM拡散力場の集合体っぽいです。」(CV.緑色の神の右席)
もうパロネタ引っ張るのやめろヨ!
もうこんな仕事やってられるカ!後は勝手にしロ!私は家に帰って寝ル!
2月14日!それはバレンタインデー!
乙女たちが想い人にチョコレートを贈る習慣のある日本では、数多くの男が女子からのチョコレートを求め血眼になり、既に諦めた者はチョコを貰うリア充を狩る!まさしく血で血を洗う世紀末の日だった!
そんな世界の某ホテル。そこにチョコを求めず、尚且つリア充に嫉妬しない男がいた。
尼乃昂焚
彼は1週間前からこのホテルに引きこもり、座してユマを待ち受けていた。
(ホテルひとつ借り切った完璧な要塞だ。結界24層、大型無人機動兵器3機、猟犬代わりの魔術生命体、付喪神が数十体、無数のトラップ、廊下の一部は対人地雷の絨毯になっている空間もある。)
「この俺の秘術という秘術を尽くした魔術要塞だ。突破したければ、魔術師1個師団は連れて来い」
そう思っていた時期が、俺にもありました。
今、彼はホテルのど真ん中で椅子に縛り付けられていた。鋼鉄の鎖を手足に巻かれ、まるで猛獣でも扱うかのように厳重な拘束ぶりだった。
ホテルの最上階のスイートルーム。キッチンからは昂焚が今日一番会いたくない人間の鼻歌が聞こえていた。
「昂焚ぁ~。チョコレート出来たよ~」
そう言いながら、裸エプロンに大きなボウルを抱えて、ユマが姿を現した。
恋する乙女の目で昂焚を見つめる。しかし、昂焚からすれば獲物を目の前にした肉食獣の目だ。
ユマは魔術師としては1人前だ。しかし、昂焚の魔術要塞を一人で突破することなど不可能だ。しかし、彼女はそもそも突破する必要が無かったのだ。
昂焚の最大の過ち。それは魔術要塞を作る前から彼女がこの部屋に潜んでいることに気付かなかったことだ。ユマは昂焚がこのホテルを貸し切ることを事前に察知し、彼が1週間篭もることになるこの部屋で待ち伏せ、バレンタインデーのその日までずっと息を潜めて虎視眈々と昂焚を狙っていたのだ。
そしてバレンタイン当日。彼女は天井裏から奇襲攻撃をかけて彼を拘束、今に至る。
椅子に拘束された昂焚の前に立つユマ。彼女の豊満なボディを隠すことない裸エプロンと妖艶な目付きがエロティックだが、別の世界線のバレンタイン(
第214回 バレンタインデー特集!~みんなの戦果は?~を参照)で酷い目に遭わされたのを覚えているのか、恐怖心だけが残っていた。
「ユマ…そのボウルの中はまさか…」
「勿論♪チョコレートだよ❤」
ボウルの中にあるドロドロになったホワイトチョコレートが姿を見せる。
「何故、ホワイトなんだ?」
「え?だって、『日本のバレンタインデーは裸エプロンにホワイトチョコレートが正式な礼装だにゃー』って日本の紳士が言ってたから」
(それは、紳士は紳士でも変態という名の紳士ではないだろうか)
ユマはドロドロのホワイトチョコレートが入ったボウルを昂焚の口に近付ける。
「おい。ちょっと待て。まさかそれを俺の口に流し込むつもりじゃないだろうな?」
「大丈夫だよ。温度は低めだから」
「いや、そうじゃなくて白濁液に塗れた29歳の男なんて誰とk---------ムグッ
有無を言わさず、ユマはボウルを昂焚の口に突っ込み、ホワイトチョコを流し込む。
口へ、喉へ、食道を通って胃の中へホワイトチョコが流し込まれる。しかし、それでも耐えきれずに昂焚の口の端から白濁チョコが零れ落ちる。
ユマは一旦昂焚の口からボウルを離し、彼をチョコレート地獄から解放する。
「ぶはっ!」という声と共に昂焚は口から飲み込み切れなかった大量の白濁チョコを吐きだす。彼の口元と胸元から腰のあたりまでホワイトチョコに塗れる。
「あ~あ。こんなにたくさん零しちゃって~」
ユマはボウルを床に置き、昂焚の目の前で膝をつく。そして、昂焚の首に手を廻し、顎や首筋、鎖骨など、チョコにまみれた部分を舐め取っていく。
裸エプロンというギリギリというかもうアウトな格好にペロペロという上級者向けプレイをしているが、昂焚の心はそれどころじゃなかった。
「お前、チョコに何か混ぜただろ?口に違和感が…」
昂焚の問いかけにユマがフフッと笑って答える。
「ねぇ。知ってる?髪の毛って消化されずにずっと胃の中に残るんだよ。私の一部がずっと…」
「残念ながら、それはストレスや精神疾患による大量摂取で胃や腸に絡まってしまった場合であって、少量なら便と一緒に排出される。」
「じゃあ、今度はもっとバッサリ切って…」
「マジで俺が死ぬからやめろ。ってか、食い物に髪の毛と血はデフォなんだな…」
チョコを舐め取ると、ユマは恍惚とした表情で立ち上がった。
「やっぱり、普通にチョコを注ぐだけじゃ零れちゃうかぁ」
そう言うと、ユマはボウルに少し残ったチョコレートを一気に自分の口に流し込み、口の中に溜めこんで昂焚の方に振り向いた。
(これってあれだな…口移しだな…ズギュウウウン!の展開だな。)
ユマは心臓をバクバクさせながら昂焚に徐々に口を近付ける。
「だが、そう簡単に屈する俺ではない。」
昂焚は身を反らして後方に体重をかける。そして、ユマが間合いに入った途端に前方に体重をかける。
彼の頭突きがユマの顔面に直撃する。「ブハッ!」という声と共に口に含んでいた白濁チョコを口から吹き出し、後方に倒れて後頭部を打ちつけて気絶してしまった。
昂焚もそのままユマと一緒に倒れ、彼女の太股にダイブする。褐色の肉感の良いムチムチさを堪能できるうらやまけしからん状況だが、今はそれどころではない。
(都牟刈大刀の制御範囲に入れば…手錠と足錠を外せる。)
昂焚の都牟刈大刀は狭い範囲ながらも遠隔操作が可能である。昂焚は芋虫のように身体を動かし、都牟刈大刀の制御範囲内に入る。
(手錠と足錠を壊せ!)
昂焚が命じると、それに呼応して都牟刈大刀の枝が伸長し、手錠と足錠を破壊して昂焚を解放する。
「助かった。こいつが起きる前に逃げないと…」
昂焚は都牟刈大刀を握るとユマを一瞥する。自分の口から吹き出してしまった白濁チョコ(液体)が全身にかかり、尚且つ裸エプロンという官能的な格好だった。
「Oh…」
この時、彼が性欲を持て余しそうになったのは秘密だ。
(いかんな。こんなことを考えている暇じゃない。)
昂焚は一目散に部屋のドアへと向かい、逃走するために思いきりドアを開けた。
目の前の廊下は対人地雷で埋め尽くされていた。いや、廊下に地雷の絨毯が敷かれていると言った方がいい。1歩たりとも踏み出せない状況だった。
「一体誰なんだ。ホテルの廊下を地雷で埋め尽くした奴は…って俺か。」
アホの極みとでも言うべきか、彼は自分が作り上げた魔術要塞で自分を閉じ込めてしまったのだ。結界や魔術生命体、付喪神は魔術による産物なのでこの部屋からでも解除できる。しかし、それ以外の大型無人機動兵器や地雷はどうしようもなかった。
「ふふふ…昂焚ぁ~。今度は逃がさないよ♪」
目を覚ましたユマが後から抱きつく。後から徐々に彼女の手が昂焚の顔や手にベタベタと張りつく。向けられる感情が愛情だと分かっていても昂焚にとっては何度も拘束されて酷い目に遭わされたトラウマで恐怖しかない。
もはや逃げ場など無い。昂焚が築き上げた拒絶の魔術要塞は、愛と欲望の監獄へと変わった。
「ユマ。抱きついたところ悪いんだが、ひとつ残念なお知らせがある。」
「ん?どうしたの?」
「この物語はな…俺がとある魔術師のセリフをパロってしまったせいで、爆発オチにしなきゃいけないんだ。」
「え?」
何のことだか分からないユマはキョトンとし、昂焚はしたり顔でポケットからあるスイッチを取り出した。
「最後のガラスをぶち破れ~♪見なれた景色をけりだして~♪」
突然歌を歌いながら昂焚は都牟刈大刀を片手に、歌の通りにホテルのガラスをぶち破って100m近い高さからダイブした。そして、空中で待機していたUFO型の無人飛行兵器に飛び乗り、優雅に空へと逃げて行く。
「逃がすかー!!」
ユマが廊下にあった地雷を一つ掴むと、それを円盤投げの容量でUFO型の無人兵器に向けて投げる。
ズガガガガガガガァァァァァン
飛んでいった地雷がUFO型無人兵器に激突し、その衝撃で爆発する。
爆発の衝撃で無人兵器は火花を散らし、煙を上げながら徐々に高度を下げる。
「うぉわ!まずいな。AIがやられて、落下している。」
昂焚が落下しながらも取り出したスイッチのボタンを押す。
「ただ終わるわけにはいかない。貴様も道連れだ。」
そうやられる寸前の悪役らしい言葉を吐き捨てながら昂焚はUFO型無人兵器と共に落下した。
昂焚のスイッチが押されたことを拍子に、下の階から次々と仕掛けた地雷が連鎖爆発を起こし、中で配備していた大型無人機動兵器も全ての弾薬をブチ撒けながら自爆する。
「え!?ちょ――――ホテルが崩れ―――――」
次々をフロアを消し炭にし、下の階から連鎖爆発し続けた地雷たちによってホテルは完全に倒壊してしまった。まるで某魔術師殺しの仕業のように手際が良かった。
それから数十分後
爆発で倒壊したホテルの瓦礫の中から昂焚が愛用していた棺桶トランクが姿を現す。
トランクが勝手に開き、中からユマが姿を現した。全身ススだらけであり、打撲の跡もあった。
「痛たたたた…このトランクが無かったら死んでいた。」
ユマが全身の痛みに耐えながらも棺桶トランクから出る。途端に笑いがこみ上げる。
「まぁ…でも…チョコは渡すだけ渡した(?)んだし、1ヶ月後にはその対価を貰わないとねぇ…」
彼女はまだ諦めていなかった。いや、尼乃昂焚を諦めるということは彼女の半生を否定するのと同義である。
「ホワイトデーにはちゃんと返して貰うよ。昂焚のドロドロとした熱いホワイトチョコレートをね。」
その目は決して獲物を逃がさない、世界で最もタフな肉食系女子の目だった。
最終更新:2013年02月15日 20:17