毒島SSパラレル番外編 真っ赤なガーナは鉄の味

学園都市は科学の街、そして学生の街だ。
未成年者の殆どは学校へ行き、退屈な授業を漫然と聞き、休み時間は友達と談笑したり、廊下をただ走ったり、教室で読書をしたり。放課後は部活に心血を注いだり帰り道に買い食いしたりファミレスで駄弁ったりしながら時間を費やしたりと、能力開発で脳を弄られようとも幾ら人外な能力をその身に宿していようとも、本質的には学園都市の中と外で生徒の質に差異はほぼ無いといえる。
所詮学生は学生なのだ、年齢に不釣り合いな程に大人びた奴もいるといえばいるが、それは外の世界でも同じことだろう。
そう、所詮どこまでいこうと学生、ティーンエイジャーなのだ。青春時代真っ盛りの健全な少年少女達は色恋沙汰にだってしっかり興味はあるし、誰に誰がチョコ渡した、誰かと誰かが付き合ったなんて話でも広まろうものなら周りがお祭り騒ぎになること請け合いだ。
そして敢えてもう一度言おう。ココは学生の街、学園都市。
本日バレンタインデー、人口の殆どを未成年者が占める学園都市はなんだか色めきたったピンク色の雰囲気も一入(ひとしお)なのです。

しかしそれとは対照的に、世界の一大イベントでもあるバレンタインを快く思わない人間も数多く存在しており、無論学園都市にもそんな人間がいる。

――――――悲恋部隊(アンチカカオ)、通称“潰し隊”と呼ばれる人間である。

彼らは恋愛弱者の集合体、悲モテの恨み辛みの権化、十字教文化を都合よく取り入れた結果生み出された悲しい弊害である。日頃憂き目に遭い続けてきた原因を恋愛強者が自分の分を掻っ攫っていく所為だと八つ当たり、もとい定義する。
その苦労と、鬱憤と、悲しみと、あと愛しさとか切なさとかを恋愛の一大行事とも言えるバレンタインやクリスマスイブなどの妨害工作で晴らすという何とも無意味な事この上ない邪魔な連中なのだ。
しかしその行動力は決して侮るなかれ。近年その勢力はネズミ算式に拡大していると言われており、集団心理も相まってか活動は団員に比例して過激化。
最早おふざけでは済まされない域にまでとうに達しており、去年は警備員が配置され潰し隊数十名と乱痴気騒ぎが発生、その内7名が留置所送りになるという悲惨な結果となったという。他にも去年のクリスマスにはカップル二人が潰し隊のメンバーとされる大能力者に襲われたという噂が広まり、一時期軽い騒ぎになった。
そして今年は去年よりもさらに過激化する可能性が高いとされており、風紀委員も警備員も厳戒態勢で監視に臨んでいる訳である。
なので今現在学園都市は桃色の空気の中にどこか張りつめた空気も漂わせており、バレンタインフェアをしている店や華やかな装飾が施された大型ショッピングモールの近くには必ず野暮ったく重装備した警備員や腕章と仏頂面をぶら下げた風紀委員が徘徊しているというなんともミスマッチ極まりない状況が出来上がってしまっている。

しかしそんな厳戒態勢が敷かれた状況下でも穴は存在するものであり、奴らはそんな死角を見つけてはそこを犯罪の温床とするのである。
 学園都市第十学区のとある一画。丁度人々の往来から少し離れた路地裏にて、潰し隊のリア中潰しと言う名の八つ当たりは着々と遂行されているのだ。
 「おらぁ!!こんな屁みたいな罰で済まされると思てんのかテメェ、立てやゴラァ」
 長身の男の足元に崩れるようにして男が蹲っている、身体中は痣だらけで服も所々破られた形跡がある。どうやらこの男に襲われたようだ。
 襲われている男の名前は毒島拳。彼はとある頼まれごとを済ます為に買い物をしていた所急に後ろから鈍器で殴打されたのだ。
 「ち、くしょ…て、テメェ何なんだ。急にぶん殴りやがって、俺が何かしたってのかよ」
 毒島には彼に襲われる理由が全く分からなかった。彼と自分とは元々面識はあったのだ。
 彼を襲った長身の男の名前は家政夫(ヘルプマン)。とある無能力者狩りと強盗稼業を組み合わせた様な犯罪組織霧の盗賊の、二人は創設者である。
 二人はお互いに仲がいいとはとても言えず、寧ろ水面下で腹の内を探り合う様な張り詰めた信頼関係で結ばれている間柄だが、仕事に関しては最近へまはした覚えも無いし向こうがそれに関して不満を持っている事もなさそうであった。
一瞬自分の弱みを握る為にその様な強行に出たのかと思ったが、それにしては大胆すぎるというか失敗を考えていないというか、兎に角権謀術数に長けた彼らしくはないのが腑に落ちない。
 それ故に疑問だった。何故自分が襲われるか、そしてこいつが一体何を企んでいるのかが。
 「なんやねん、そんな事決まっとるやないか」
 一呼吸置く、心臓の鼓動が速くなる――――――

 「毒島ちゃんが途轍もないリア充やからや!!」
 「は?」
 「なんや!?みなまで言わなあかんのかい!?えーかげんにせーやこの朴念仁! まあええ、ならゆーたるわ。毒島ちゃん去年チョコレート何個貰ってん?」
 マスクの裏で歯ぎしりの音が聞こえる、ヤバい。こいつ目がマジだ。
 「何個って、んなもん覚えてねぇよ…てか何熱くなってんだよキモいぞ」
「ほわあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!?覚えて、へん!!?  
 覚えてへんとか言い出しましたよコイツ! ~~~~~ッああもう!!ラチあかへんわ、安田ちゃぁーん!?安田ちゃーん!!」
 『はいはい只今~。』
 暗がりの向こうからてくてくとガスマスクを付けた女が駆け寄ってくる。
 名前は安田、霧の盗賊のお得意さんであり比較的二人と親交の深い人物でハッキングを得意とする。
『毒島君の去年貰ったチョコレートの大体の数を割り出す為、
 国鳥ヶ原の教室に設置された防犯カメラにハッキング仕掛けて、
 その当時のデータを抜き取っておきましたー、拍手』
 「おいお前何してやが――――」
 『大丈夫、跡が残るようなへまはしてない。それじゃあムービー、スタート』
 「そういう意味じゃねぇ!?」
 毒島が安田に噛み付く様に文句を言おうとするや否や、家政夫は毒島の横っ腹に蹴りを入れる。予想外の攻撃に思わず悶絶する。
 「ええから黙って見ろやチ○ポ猿、今ワイは怒ってんねん。そこらへんよー考えてモノ喋れや、な?」
 毒島の返事は余所に、映像は始まる。

 まずは教室の映像の様だ。画面の向こう側には一年前の毒島拳と、机の上には結構な数のチョコレート。
 「まずこの時点でワイの脳内血管はブチブチブチ切れちゃんなんやけどな、百歩譲って我慢したる。問題はこの後や」
 画面の中の毒島は明らかに不機嫌そうな顔をしている、時刻は放課後なのか周りには誰もいない。毒島は机の上にあるチョコレートと一緒に付いているメッセージカードを眺めると、すぐさまそのチョコを作り主の机の中に返していくではないか。
 「…なんやねんコレ」
 「なんやねんてなんだよ。見りゃ分かんだろ丁寧にお返ししてんじゃねーか」
 「なんやねんてなんやねんてなんやねええええええええええええええええん!!お前アホちゃうか!?女の子からのチョコやで? しかもご丁寧にメッセージカードとか十中八九本命やん? なんでなん? 何で捨てるん? せめて全部食うとかしーや勿体ない、そんなんなら俺に分けてーな、愛に飢えとるワイにギブミーチョコレート」
 追い詰められているせいか家政夫の背中から火のような火山のような何かが見える、所謂心象風景と言うヤツだろうか。
 「誰がやるかよ変態、てかこの頃お前と面識ゼロじゃねーかどうやって分けんだよ。
 …というかコレ俺そんな悪いことしてるか? 可能性無いのに変に期待持たせる方が酷ってもんだろ」
 『…正直有り得ないと思う。人として、最低』
 中身が女の子の人に心底軽蔑されたようにそう言われると流石の毒島も心が揺らぐ。そして彼は今の自分の一言が彼の真上で仁王立ちしている潰し隊一号の琴線に触れた事をようやく理解した。
 彼はどうやら怒り心頭の様だ、ギャグとかじゃなくてマジで。目が人殺しの目をしている。
 ココは流れを変えねばまずい、そんな気がする毒島であった。
 「じゃ、じゃあお前は去年何個貰ったんだよ」
 「もろたで、二個」
 「ほ、ほーらやっぱり貰ってんじゃねーか。俺のこと言える立場じゃねえってお前―――」
 「一つはブラック○ンダーで店頭の試供品、も一つはたけの○の里一個やけどな」
 「で、でもた○のこの里は女の子から貰って―――」
 「仕事場の上司やけどな!!しかも憐みでくれた奴やし!?
 “あれwwwwwwやっばwwwwwwお前wwwww一個もwwwwwww貰ってねーとかwwwwwwウププwwwwww。これやるからwwwwwww仕事wwwwwガンバwwwwwウププwwwwwwwww♪”
 とか言いやがりよったであのロリババア!!いらんっちゅーに!!てかたけ○ことか!!お呼びじゃないわ!?ワイは昔っからき○この山一筋で通してんねん! 今更あんな卑猥な造形したわいせつ物食えるかアホォ!!」
 最早言葉も出ない、あまりにも不憫すぎる。隣から見てたら爆笑するくらい不憫だ、事実隣で話を黙って聞いてる安田の肩が震えている。というかた○のこを侮辱するのは何か色々と良くないと毒島は思った。
 「……まぁ? ワイもこんなモテ話程度でいちいち頭に来る様な小っちゃい男ちゃうし? 今更チョコの一個恵んでくれとか矮小な中学生レベルの発言とかようせんわ」
 ついさっき言ってたじゃねえか、と突っ込みたくなったが言えば切り殺されそうな気がしたので止めておいた。
 「けどワイもここまで来て引き下がるわけにもいかんっちゅーか、落とし所はしっかりしましょう的な? 感じで行きたいわけやねん。腐ってもワイ潰し隊の大幹部様やし?」
 彼が最近話題になっているはた迷惑な組織、悲恋部隊(通称潰し隊)の幹部であることは初耳であった、というか毒島的にはそんな無意味な情報知りたくも無かったであろう。
 という事は、その大幹部の横に居る安田も潰し隊の一員なのだろうか。そんな事をボンヤリ考えていると、安田が思考を察知したのか
 『私は、お金が貰えるからって言うから、手伝ってるだけ。一人潰せば二万円』
 「…俺が言うのもなんだが、仕事は選んだ方がいいぞ。仮にも女だろうがお前、好きな男にチョコ渡すとかしないのかよ」
 『がっぽがっぽやで』
 全く聞く耳を持っていない、ガスマスクの丸レンズの向こうには完全に仕事の時の目があった。
 「やし毒島ちゃん、交換条件があんねん」
 さっきよりもやや低めのトーンで家政夫が話を切り出す。
 「…なんだよ」
 もう毒島には家政夫に立ち向かうだけの体力も気力も無い、正直な所身体にダメージはかなり残っており、こうやって余裕があるように見せるのが精一杯なのだ。というか、どうせここで反骨精神むき出しにしても時間が延びるだけだ、そうに決まってる。
 物々しい空気が嫌に寒い風に乗って路地裏を吹き抜ける。血が出過ぎて体温が低くなった彼の身体には流石に堪える。
 真剣なまなざしを毒島に向けた家政夫は、固く一文字に結んだ唇をようやく開き、そして――――――

 「女の子一人紹介してーや♪」
 …正直こういう感じの言葉が来るであろうと予想していた毒島は、安直すぎてモノも言えないでいた。てか女の子ぐらい自分でどーにかしろよと言いたかったがここは堪える。
 「断ったら?」
 「こんな感じになる」
 家政夫が安田の方へ振り返ると、安田はこくりとうなずき手に持っていたノートパソコンからとある動画サイトへアクセスする。
画面を毒島の方に向ける、
 画面には歩道橋からロープで逆さ吊りにされたパンツ一丁の男子が複数名いた。場所は学園都市のようだが具体的にどの辺りなのか分かるのにもう数秒かかった。
 「ここ――――――――――ッ! 学舎の園じゃねーか!!」
 『ご名答』
 動画に移る一般人が女子生徒しかいなかったこと、そして常盤台中学の制服がやたら多かった事から容易に推測が出来た。
 「ちなみにこの元リア充諸君はこの後常盤台中学の女子生徒やら他の生徒達から白い目で見られながらすごすご警備員に連行されましたとさー♪めでたしめでたし」
 『スゴイ再生回数、もう10万回突破。めでたいめでたい』
 「めでたくねーよ!!」
 「さあどっちや毒島ちゃん!!女の子一人生贄に捧げてこれからも過激やが比較的平和な日々を過ごすのがええんか、それともクッソつまらんくて意味全然わからん意地張って歩道橋から裸バンジーしたいんか、どっちやねん!?」
 「~~~~~~ッ!!」
 毒島は物凄く悩んでいた。
 2月はまだ寒い、少なくとも全裸で長時間ぶら下がって無事でいられる時期では無い。
 ただでさえ失血で気絶しそうな状態なのだ、そんなことしようものなら下手したら命が危ない。
 しかし冗談で済ますような連中ではない事も重々承知していた。こいつ等はヤルといったらヤル人種だ、人を歩道橋からパン一でぶら下げておいてその上さらに動画サイトに上げるような人格破綻コンビに手加減という概念は存在しない。
 兎に角この場を切り抜けるにはこの手しかない――――!!
 毒島は腹をくくった。

 「…分かった、アドレスじゃなくて電話番号なら教えてやる」
 「お、珍しく物わかりがええやん。雨でも降るんちゃうかな?まぁ本当はアドレスがよかってんけどこの際贅沢言っとられんしな、勘弁しちゃるわ」
 『…何か、つまんない』
 下手にでてりゃ調子に乗りやがってこの野郎共、と喉まで出かかったが、それを堪えることが出来たのは必要以上に血の気が抜けて冷静になれたからかもしれない。
 「だが彼女は結構規則正しいサイクルで生きてる女の子でな、親も厳しいみたいで決まった時間以外は電源切らなきゃいけねーみたいなんだよ。だからもうこの時間は連絡取っても無駄。するなら明日の昼間が丁度いいな」
 「…? なんやねん変わった子やなぁ、ワイはそんなんよりもっと夜型のキャピキャピしたギャルがエエんやけど」
 「わかってねーなお前、そういう子を自分好みに変えるのが良いんじゃねーの」
 俺には全く理解できないけど、何か友達がそう言ってた。と、心の中で補足する。
 『何か、あやし―――』
 女の勘は嫌な所で鋭くなるものと、毒島は日常の生活で嫌という程教え込まれた。安田に突っ込みを入れさせないように矢継ぎ早に家政夫に話し続ける。
 「それにそんだけ厳しい規則を守ってるって事は―――お前も予想できるだろ? お嬢様だよお嬢様、それもかなり高名な。どうだよ、悪い話じゃねーだろ?」 
 「いやー毒島ちゃんは分かってるなぁ。チョイスが秀逸っちゅーか、ワイの期待してるところをピンポイントで突いてくる! そこに痺れる憧れるゥ!!イヤホンマ男として憧れるし、人としても最高やであんさん! ワイが女やったら絶対惚れとるってマジで」
 権謀術数に長けた策士も女が絡むと途端にダメになるという事を改めて学習した毒島であった。
 その傍らで何か不満そうな目をしている安田であったが、聞くと面倒くさい事になりそうだったので聞くのは辞めにした。
 毒島はフラフラと起き上がり、手慣れた手つきで携帯を操作すると家政夫の携帯に電話番号が送られる。登録された名前は“メグミ”、毒島が名前で登録するのもらしくないなと家政夫は疑問に思ったが、それ程気にはならなかった。
 頭から血をドバドバ流しながらフラフラとその場を後にする毒島に、家政夫は晴れやかな気持ちで手を振った。今の気持ちならアイツと友達になれそうな気がする位、彼は舞い上がっていた。とても犯罪集団の親玉とは思えない清々しい心の持ちようだ。
 「ところで、毒島ちゃんしきりに手に持ってるもん離そうとせんだよな、アレなんやってん? ヤクやったりして」
 『買い物の途中だったみたいだから、買った物じゃないかな。けど、あれだけぼこぼこにされても離さなかった位だし、何か大事な物…?』
 「ま、今現在モテモテ街道まっしぐらのワイにはカンケーないけどねん♪ほな気分もエエし潰し隊の活動も今日はここまでで解散っちゅー事で、おこずかいは後日振り込んどくさかい。ほななー」
 そういうと見るからに軽快な足取りで家政夫は駆けて行った。向かうところ敵なしと言った勢いであった。
 『……ふう、予想外に時間もあいちゃったし。どうしよう、取り敢えず支部にでも寄ってみようかな』
 そう呟きながら、てくてくと支部の方へと歩いていくのであった。


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 毒島がおぼつかない足取りで向かった先は病院であった、しかし別に自分が治療してもらう訳ではなく、彼が元々頼まれていた買い物を届けに行くためであった。
 頭にこびりついた血塗れの髪をペリペリと剥がしながら、カウンターへと向かう。カウンターの看護婦は目を真ん丸にさせていたが、構わず用事だけを済ませる。
 「これを、207号室の四方神茜さんと毒島帆露さんに、渡しておいて下さい。出来れば今日中に、リハビリの一環で使うみたいで」
 そういって手渡したものは、握り締めたせいでしなしなになったココアパウダーの袋だった。というのもリハビリの一環としてクッキーを作るようで(という名目で、実は毒島への感謝の気持ちとして作る)、ちょっとビターな大人のクッキーに挑戦したかったみたいなのだが病院にココアパウダーが無かったので、外出許可を取るのも凄く手間がかかる為に泣く泣く毒島本人に頼んだという経緯があったのだ。
 看護婦は訝しげに毒島の方を見ると、どうやら納得したのかゆっくりとその肥えた手を毒島の方へ伸ばし、

 「了解しました、しかしこの怪我は入院が必要なレベルですね。急いで手当の方に向かいましょう、さぁhurry!hurry!!」
 毒島の腕をぐいと引き、治療室へと強制連行する。いくら血気盛んな青年と言えど血の抜けきってふらふらな状態で、相手が力もありそうな肥満中年女性となれば、力比べで勝つのはどちらか明白だろう。
 成す術も無くずるずると引きずられていく毒島は捉えられた宇宙人の様にも年相応の子供のようにも見えた。


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 次の日の正午、家政夫は携帯を片手に戦慄していた。
 『はい、こちら“恵みの大地”、いっておくけど出前はやってないよ』
 「……はは、いやいやんなアホな」
 向こうの言葉もスルーして一方的に電話を切り、もう一度“メグミ”に電話を掛ける。


『rrrrrr……rrrrrr……、ガチャ、――――オイ、イタズラ電話ならぶち殺すぞ。こちら“恵みの大地”、出前はねぇっつってんだろ』



 終わり

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最終更新:2013年02月16日 01:41