崎野「用事を思い出したの。少し付き合いなさい」
闇城「なんだ? また豊胸ブラでも買い漁りに行く気か?」
崎野「冗談はもう終わり。ここからは真面目な話だからよく聞いて」キッ
闇城(ヒナミン語も使わないし、顔つきが神妙だ・・・次はなんだってんだ?)
崎野「丁度貴方と話したかったの。あの場では他の客にも聞かれる可能性があるし、第一無関係な対馬さんを巻き込みたくなかったから」
闇城「そんな改まってどうした? 聞かれたらまずいことなのか?」
崎野「まあね。少なくとも堂々と喋れるようなことではない」
闇城「なんなんだ一体・・・そこまでひた隠しにする内容ってのは」ゴクリ
崎野「あの日、貴方は服を切り裂く輩が出没するから気をつけろと私にいったよね?」
闇城「ああ」
崎野「その後、少し気がかりになって自分なりに調べてみたのよ。その事件について」
崎野「ネットサーフィンにネットサーフィンを重ね、奥の奥の奥のサイトまで潜り込んでいった。もちろん普段生活してるんじゃ絶対にアクセスしないような場所までね」
闇城「そこに・・・何かがあったのか?」
443 :■■■■
崎野「結論から言わせてもらうと、最初に貴方が言っていた事件の真相にはたどり着くことができなかった」
闇城「だったら・・・何が」
崎野「と、言ってもわからないよね。簡単にいえばAVとかを販売しているサイト」
闇城「お、お前もよくそんなサイトにまで足を運んだな・・・」ハハ
闇城「けど、その何が問題なんだ? 別にそれ自体は珍しくも」
崎野「――ない。確かにそれがただのAVだったらね」
崎野「けど、そこには裏映像っていう明らかに犯罪の映像まで売り物にしている」
闇城「それってまさか・・・!」
崎野「その通りだよ。痴漢、盗撮、強姦。演技ではなく、本物を売っているの。と言ってもネット上では裏映像までは販売してなくて、直接会って現物手渡しらしいけどね」
崎野「その対象になっているのはこの学園都市の生徒ばかり。私と歳もそう違わない女の子が・・・どこかで犠牲になっている」
闇城「・・・まじ・・・かよ」ギリッ
崎野「だから私は、今その販売者を追っている。この手で、そんな下衆を懲らしめるためにね」
崎野「私が伝えたかったのはこれだけ。正直、誰かと共有したかったの。こんな重い話題は私一人じゃ抱えきれないから」
崎野「そういう意味だと、貴方に重みを押し付けちゃったことになるね。それについては謝る」
崎野「でも・・・頼れそうな人が他にいなかったから・・・ごめん」ボソ
444 :■■■■
闇城「もうそういう裏事情には慣れっこだよ。だからそれについては構わねえさ」
崎野「・・・」
闇城「けどさ、お前本気でそいつを捕まえようとしてるのか? そんなの警備員に任せれば・・・」
崎野「おそらく警備員は動いてくれない。どうせイタズラサイトだろうってことで片付けられちゃうから・・・」
闇城「でも、お前だって、女の子だろ? もしかしたら逆に・・・!」
崎野「ううん。女だからだよ。・・・だからこそ、そんなことをする奴が許せない。私は完全武装少女ヒナミンだからじゃなくて、一人の女として自分の正義を貫きたいんだ」
闇城「・・・けど、だけど。あてはあるのか。そいつを見つけることなんて出来るのかよ!?」
崎野「コンタクトはまだとれていない。会うには“会員登録“が必要だから」
闇城「会員登録・・・?」
崎野「指定された場所に言って、あちらにこっちの情報を渡すの。そうして安全とわかった場合にだけ販売者とコンタクトを取れる。もし風紀委員や警備員の回し者だとされたら・・・どうなっちゃうんだろうね」
闇城「おいおいさすがにそれは危険だろ! そんなことをやる気か・・・!?」
崎野「最悪の場合はね。今はこうして学園都市の人目につかなさそうな場所を探ってる。それでも手がかりがつけめないというのなら、仕方ないけど」
闇城「・・・、・・・、」
闇城(はぁ・・・なんでこうも面倒ごとを抱えてくる奴に出会ってしまうのだろうか)
闇城「――それで、俺にできることはなんだ?」
崎野「え? ・・・別に手伝ってもらおうって言う訳じゃ・・・ただ話題を共有したかっただけであって」オロオロ
闇城「強がってんじゃねえよ。その事実だけでフラフラなお前が、一人だけで解決できんのか? いいや無理だね。俺だって一人じゃ無理さ」
445 :■■■■
闇城「だから手伝わせろ」
闇城「そもそも、それを知ってほっとくわけにはいかねえだろ」
闇城「この
闇城降魔。ナメてもらっちゃ困るぜ?」ニヤ
崎野「何よ・・・このカッコつけ」フン
崎野「・・・・・・後悔しても知らないからね」
闇城「3秒前に後悔は済ませた。だから後は突き進むだけだ」
崎野「・・・!」
崎野「・・・」ハァ
崎野「わかった。じゃあ手伝って欲しい時になったら連絡する」
闇城「んじゃ。連絡先を交換しとかないとな」ピッ
崎野「・・・」ピッ
崎野「助けたなんて思い上がらないでよね」
崎野「貴方がかってに首をつっこんできたんだから・・・ね」
闇城「わかってるわかってる。後々恩着せがましいこと言って見返りを求めるわけでもないから安心しろ」
闇城「ただ俺は自分のために手伝うんだ」
闇城「残りの夏休み、嫌な気持ちでは過ごしたくないからな」ハハ
446 :■■■■
崎野「・・・ふん」
崎野「・・・」
崎野「・・・・・・・・ありがと」ボソッ
☆
闇城「崎野は、もう行ったか・・・」
闇城「・・・」
闇城「はぁ・・・この性格何とかしねえとな」
闇城「めんどくさがり屋のくせに、ついつい面倒ごとに首をつっこんじまう」
闇城「けどまあ・・・やることがたくさんあるってのはいいことだ」
闇城「それだけ充実しているってことだからな!」ウンウン
闇城「そうポジティブに考えなきゃやってらねえよ・・・な?」
闇城「よし! 切り替え切り替え! たかがAVショップのエロオヤジをぶっ飛ばすことなんて大したことじゃねえよ」
闇城「夏休みの課題の片手間でちゃちゃっと片付けてやるぜ!」
八日目B 完
最終更新:2016年01月20日 19:46