【名前】筆木人鳥(ふでき ひとり)
【性別】女
【所属】科学
【能力】精神感応(テレパス)レベル0
【能力説明】
身体検査で能力は判明したものの、未だ誰とも心の回線で繋がった事がない。
【概要】
唱和園高校二年に在籍する女子生徒。しかし二回もダブっているためクラスメイトより年上の19歳。オカルト研究会終身名誉幽霊部員。
二年の夏頃までは普通に登校していたが夏休み明けから突然不登校になり、『落第防止』による説得も虚しく出席日数の不足により進級出来ず、二回目の二年生となってしまった。ダブった事によりクラスで浮いた存在となった筆木はますます学生寮に引き籠り、結果碌に登校しないまま再び進級を逃す事となる。
不登校になるまでの筆木の交友関係は特に不健全なものではなく、陰湿ないじめのような噂もなかったので、当初は彼女がどうして不登校になったのか様々な憶測が飛び交い都市伝説化するかと思われた。しかし失踪事件という訳でもなくただ学生寮に引き籠っているだけなので、次第に話題にもされなくなり、やがて忘れ去られる筈であった。
それが三回目の二年生の夏休み明けに突然のカムバックを果たした事で、二つ年上の級友の存在にクラスは多少騒ついた。当然噂好きの生徒や目敏く情報を聞きつけた『新聞部』が『空白の二年間』の真相を尋ねたものの、「体調を崩していた」の一言で取りつく島もなく。
クラスで浮いた存在なのは相変わらずだが、自身の所属するオカルト研究会には復帰後欠かさず顔を出している。ちなみにオカ研では幽霊部員を超えて存在を忘却されていた事を評して、終身名誉幽霊部員なるいっそ不名誉なような謎の肩書きを年下の会長より与えられたが、当人の筆木にはどうでもいい事のようだ。
何故か一年生の祓塚巫呼に積極的に話し掛けるなど執着を見せている。というか祓塚に会うために毎日登校しているのではないかと周囲が思うほどの執心ぶりであり、祓塚持ち前の明るさを以てしても若干引いてしまうほどである。ちなみに祓塚はオカ研では檀上暑菜と友達になりたがっているのだが、その性格上筆木を邪険に扱う事はできない様子。それを知ってか知らずか、筆木の祓塚に対するアプローチは日に日に押しが強くなっているのだが、これが後に祓塚と檀上の距離が縮まる一因となる事はまだ誰も知る由もない。


筆木が不登校となったきっかけは高校生活一年目の終わりにまで遡る。
卒業式の日、筆木は見知らぬ三年の先輩に呼び出され、そこでとあるサイトのURLとユーザーアカウントが記されたメモ用紙を受け取った。そのサイトとは筆木も興味本位で度々利用していた唱和園高校の学校裏サイトであり、記されていたのは管理者アカウント。それはつまり、筆木が裏サイト管理人を継承したという事であった。
一般ユーザーの頃は閲覧に制限がかかっていた、裏サイトの中でも更に深層深奥の情報にも自由にアクセス可能となった筆木だったが、意図的に仕組まれた悪意ある噂の書き込みや『表』とは一線を画する濃密な闇を孕んだ都市伝説を目の当たりにしていくうちに純粋な噂好きの少女としての精神は摩耗し、二年の夏に限界を迎えた。『表』の世界の連中が、周囲に合わせて上辺ばかり取り繕おうとするくせに、本心では他人が不幸な目に遭うのを笑い物にしたいだけなのだとしか思えなくなった。
結果的に心を病んだ筆木だったが、その後も管理人という選ばれし者としての優越感を捨てられず裏サイトの運営を続けている内に、「結局自分もどこかで刺激的な噂を欲しており、自分が嫌悪していた輩の同類でしかない」と悟り、あるいは諦観するに至った。
そんな日々が続いていたある日、裏サイト掲示板の隠し機能である秘匿回線で管理人に直接接触を計ってきた七種臥鳶と出会い、彼の思想に興味を抱く。筆木の解釈では「七種は他人を不幸にする噂を流したいのではない。それは究極の都市伝説という目的に至るための手段でしかなく、故に誰が不幸になろうと七種はどうも思わない」であり、下衆が極まったせいでいっそ昇華したのか、やがて彼を自身の(マスター)と崇め、七種の実験をサポートする集団『七草』に『薺』として参画する。
『薺』としての筆木の役割は、裏サイトを巡回して七種の創作する都市伝説の火種となり得る人物をピックアップする事。複数のコテハンを使い分け、標的と七種を自然に引き合わせるなどのサポートもこなす。他人の心の隙間に付け入り思い通りに教唆する、七種の才能を発揮するのに最適な匿名空間を掌握する筆木の役割は非常に重く、七種からもその重要度は『七草』のメンバー内で随一と目されている。
そんな彼女が電脳世界を抜け出して学校に復帰したのは七種にとっても想定外の事態だったが、筆木の心中は今も七種への崇拝で溢れており---というか溢れ過ぎて、新しい標的候補である祓塚巫呼に直に接触するという、かつてない行動に暴走(はし)ってしまった。これが筆木人鳥の『空白の二年間』の真相である。
祓塚に接する態度が行き過ぎているのは、二年間も碌にリアルな人間関係から遠ざかっていたが故のコミュ障と、神同然に崇める七種への献身が手段である祓塚に重なってしまったため。流石の七種もこれ以上のイレギュラーは不測の事態として看過する事も出来ないと思われ、異常が進行するようなら何らかの始末をつけざるを得ないだろう。
ちなみに筆木に裏サイトの管理人を譲った先輩、つまり前任の管理人に筆木を推薦したのは当然七種なのだが、当時中学生で唱和園高校の生徒でもなかった彼が、どうして裏サイトの存在を知っているだけでなく管理人をも特定出来たのか、また何故筆木を見出したのかについては依然として謎に包まれている。
ただ七種自身が裏サイトの管理人にならなかった理由について、『七草』の一人暗馬畝芹は「裏サイトに疑念の矛先が向いた時に真っ先に疑われる立場を避け、いざとなればいつでも切り捨てるつもりで筆木を据えたのではないか」と睨んでいる。
【特徴】
長身だが未発達というアンバランスなスタイル。元は黒髪だが復帰後は銀髪を背中まで無造作に伸ばしている。常にドライアイ気味なので目薬が手放せない。
休日の祓塚をストーキングして彼女と同じ服やアクセサリー、靴を同じ店で購入しているので、私服はまったく似合っていない日が殆ど。
裏サイトでは『管理人』の他、いくつものコテハンを使い分けるが、一般ユーザーの頃から使っていたペンギンのアイコンと『ぺんぺん』というコテハンは今も愛用している。
【台詞】
「ごめんなさい。まだ体調が悪いようだから、保健室で休ませてもらうわ」
「貴女が祓塚さん?噂通り大きいわねぇいやこっちの話よ気にしないで。いややっぱり気にして欲しいかも、だってねぇ聞いたわよ例のキャッチコピー“ふつつか”者でしょ?私も“不出来”な女だから、ね?私たち気が合うと思わなぁい、祓塚巫呼ちゃん?」
「巫ぃぃぃ呼ちゃあぁん。守護霊さんにはもう会えたのぉええまだなんだぁそっかそっかでもだぁぁいじょうぶっだよきっとすぐに会えるからうん。それでねぇ私の方でも独自に調べてみたんだけど聞きたい?聞きたいよねぇでもとっておきの情報だからどこか二人きりになれる場所でじっくりお話したいなー、なんて……あら、檀上さんいたんだ」
「マスター、私は気付いたのです。これまでの私は所詮裏方、マスターを支える『七草』の一人でありながら私のマスターへの献身は余りにも不十分でしたよね。今後は私も表舞台に出て、必ずやマスターの僕として恥ない働きをしてみせましゅから。……失礼しました、リアルで喋るのは久し振りですので」
「ふふふひ、ひひ、うふふふふふ。みーこーちゃーん……ふひひ。うふふ、うふうふうふふ、うっふふふひひひひひ。まーすたぁー……んふ。うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
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最終更新:2015年11月02日 20:27