【名前】イロ=コイ
【性別】男/女
【所属】魔術
【能力】蛇神ンデンゲイの伝説に基づく魔術及びフィジー地方の信仰に基づく魔術。他の誰にも明かしていない魔術としてワイアンドット族の伝承黒き蛇(イリアコイ)に基づく魔術。
【能力説明】
ンデンゲイはあの世とこの世の境に棲む始原の蛇神であり、強大な造船技術を持つと同時に地獄の力と土の生命原理を体現しているとされている。
現地信仰では天と地(海)が引き離される境をあの世とこの世の境界線と謳っており、天地両方の二重起源を持つンデンゲイは性別を有する人間の卵を産んだ伝説がある。
これを基にし、イロは蛇の卵を生で食す事で男でも女にでもなれる魔術『両性産卵(ウトロコラ)』を完成させた。
この魔術は自分にも他人にも掛ける事ができる。発動すると体表にヒビが入り、蛇の脱皮の如くパキパキと『皮』が破れ、新たな人体が抜け出てくる。体の構造も声質も完璧に男/女のそれである。老若男女色取り取りである。
他にも地獄の力を灼熱の炎熱や煮え滾るマグマと解釈し、大地の隆起や海原の怒涛と合わせて伝説にある通りの大洪水を引き起こしたと解釈したイロは炎属性・水属性・土属性の魔術行使を大得意とする。
大雨を降らし続けた逸話も再現でき、イロが起こした大雨の粒は弾丸に匹敵する威力と灼熱の水温で以て頭上から降下し続ける。

また、強大な造船技術を持っていたンデンゲイの名に恥じぬ大量の霊装船団『ナンタヴェア』と船団の寄港地であり認識阻害の魔術結界に覆われた常世の海上移動要塞型神殿『ハワイキ』の製造&保有者でもある。
船の主な材質は木や布。楕円形のボートに布でできた帆が掲げられている全長6メートル程の簡素な船だが大量の人間を乗せる事ができる。
動力源は搭乗者の魔力。コアとなる蛇の卵に魔力を注ぐ事で稼動する。船底を海面に『乗せ』、海原では時速1000キロ超の速度を叩き出すにも関わらず旋回性能も抜群。
遠隔&自動操縦・対G性能なども完備し、搭乗者は船酔いする危険性すら無い。しかし、船が海中に入っていく度に性能を落とし、船の高さからして半分以上が海中へ潜ると機能が完全停止する欠点がある。攻撃手段は特攻による自爆攻撃くらい。

朝日が昇る日の出と夕日が沈む日の入りに限定されるが、この二つをあの世とこの世の境界線と見做す事で、常世の寄港地『ハワイキ』から世界各地の海上へ『ナンタヴェア』は距離を無視して出航(=空間移動)する事ができるし、帰港する事ができる。『ハワイキ』も類似の方式で空間移動可能だが手間が掛かる。
『ナンタヴェア』にしろ『ハワイキ』にしろ通常は集団規模による力の結集の下で稼動している。単独で動かす事はできるが魔力消費が大きく、空間移動を伴う出航については集団規模で無ければ発動させる事は不可能である。
『多からなる一』の本部でもある神殿『ハワイキ』の広大さは、ちょっとした港町の規模。石造りの建物が建ち並ぶ中、各地に特徴的な高い屋根を持つ『ブレ・カロウ』と呼ばれる『神を呼ぶ』神社的建物がとある法則に基づいて建設されており、あの世とこの世の境目とも称されるこの内部が『ナンタヴェア』の空間移動における始点・終点となる。
世界各地に同じ構造の『ブレ・カロウ』が偽装を施された後に秘かに建設されており、『ナンタヴェア』だけでは無く結社メンバーの移動手段となっている。
『ハワイキ』特有の性質として死体を『ハワイキ』へ持ち込むとその死体の魂を一定時間呼び戻す事ができる。生き返らせる事は到底不可能だが、魂と交信する事が可能である。

周囲には明かしていないが、イロはワイアンドット族の伝承黒き蛇(イリアコイ)に基づく魔術を他の主力魔術と同レベルで行使する事ができる。
一つは、他の魔術で言うところのゴーレム系魔術。イロが長く滞在する建築物は、まるで生命を宿したかのように動き出すし、その構造を変える。
最低でも一週間以上滞在していなければ発動できない魔術だが、特異なのは建築物だけでは無く建築物内部に備えられた数多の物品も生命が宿ったかのように動き出す点である。
魔術によって使役される非生物が感じる感触は手に取るようにわかり、魔術によって強化された物の物量攻勢は甘く見て良い物では無い。
イロはこの魔術によって神殿『ハワイキ』を秘かに使役下に置いている。核となる虹色の蛇の剥製が入った小さな木箱は『ハワイキ』の中心部に存在する他、自身でも幾つか持ち歩いている。
もう一つはマジックアイテムによる黒き蛇化。例えば蛇の剥製が入った小さな木箱の中に入れていた水を目薬として目に入れると、その瞳はあらゆる先を見通す千里眼と化す。
通称『蛇黒水(ポイズンイリアコイ)』。この水に浸した矢で敵を射れば、当たらなくとも対象となった敵は毒を浴びたかのように悶え苦しみ、『蛇黒水』に浸した指先を人に向けるだけで強力な暗示(例:蛇に睨まれた蛙のようにその場から動けなくする)を掛ける事ができる。
『蛇黒水』を使用した箇所は濃度に応じて蛇の瞳になったり皮膚が鱗になったりする等外見的変化有り。『両性産卵』を掛ければ別段問題にはならない代わりに蛇化効果は削除される。
水を体内に含めば含む程黒き蛇の力を強大にして扱えるがこれは諸刃の剣。含み過ぎると蛇化が進み最終的には唯の蛇になってしまうのだ。
イロはこの欠点を改良中であり、最終的な目標として『神を呼ぶ』神社的建物『ブレ・カロウ』を魔術的記号としンデンゲイの力を降臨させ、蛇化した己に蛇神の魔術的記号を構築し、神殿『ハワイキ』の主人イロ=コイを始原の蛇神ンデンゲイと同一視させ、その力の一端を手に入れようとしている。
蛇の伝承の中には祖の力である蛇の力を取り戻さんと自ら蛇になる伝説が存在する。イロ=コイが目指すのもまた同じ。蛇神化という目指した先に辿り着いたとして、果たして己の自我が保っていられるかは定かでは無いがそれでもイロは目標達成の為に執念深く邁進する。
【概要】
魔法名「mara029(大海原を渡り逝く者)」。魔術結社『多からなる一(イ・プルーリバス・ウナム)』の暫定的主導者。出身は公表していないがアメリカ出身。実際の年齢は100歳を超えている。
イロ=コイという名前は本人曰く本名では無い、コードネーム的な名称との事。かつて旅した日本で響きが気に入った言葉をコードネームに採用したらしい。
イロコイと聞くとアメリカのとある地域を連想する者がいるかもしれないが、これは蛇伝承を扱う魔術師として他の魔術師に自身が扱う魔術を誤認させるブラフでもあるそうだ。
表向きの職業は民族学者であり歴史研究家。世界中の蛇伝承を追い求め、若い頃は日夜問わず世界中を旅していた(ちなみに今も蛇伝承の蒐集は続けている)。
その折に抗争中の魔術師同士のいざこざに巻き込まれた事を切欠にズルズルと魔術の世界に引きずり込まれていった。

魔術師としての才覚としては霊装作成に特に秀でており、当時(半世紀以上前)は仲間と共に様々な霊装を作っては壊し、壊しては作っていた。魔術の腕も年を経るごとに強大さを増していった。
その後紆余曲折ありフリー魔術師になったイロは単身引き篭もり、およそ10年の時をかけて悲願の足掛かりとなる霊装神殿『ハワイキ』や霊装船団『ナンタヴェア』を作り上げた。
自身の悲願でもある蛇神化を心底望む理由は、十字教などの多数派が行う宗教裁判、異端審問、魔女狩りなどの弾圧によって迫害されてきた少数派の苦難を何十年もこの目にしてきたから。
一般人出身のイロからすれば、ずっとずっと疑問しか抱かなかった多数派による少数派への弾圧の構図がどうしても納得できなかった。
そこで自身がマイナー宗教出身ながらも宇宙規模の力を有するとされる蛇神に成る事で、十字教などの多数派と戦い蹴落とすのでは無く多数派の歩みをあっという間に追い抜いてしまう程の威光を世に示す事で現状の打破を試みているのだ。

よって十字教を筆頭に多数派と率先して交戦を起こす気は更々無い。イロが『多からなる一』に所属したのも、少数派の彼らが大きな対抗戦力に無為に踏み潰される可能性を可能な限り排除したいと思ったが為。
魔術師にしては珍しく全体の和・協調を説く変わり者として組織では随一の穏健派という評判を下されている。
開発した霊装『ナンタヴェア』・『ハワイキ』は集団的使用が前提とされており、目立った武装が施されていないのも交戦を殊更望まないイロの信念故。
その為、あくまで潜在的であった組織内の反体制派を扇動し内部抗争を誘発させ、その混乱に乗じて『多からなる一』が厳重に保管していた魔道書原典『カレワラ』を奪取し、十字教相手に直接戦いを挑もうとしたカッレラの行動には度肝を抜かされた。
内密にしている黒き蛇に基づく魔術を使用して発動させた千里眼でカッレラを捕捉し、仲間達に他の反逆者の対処を任せた後に単独で出撃。結社を代表して『カレワラ』の核兵器染みた力を得て暴走する彼女と対峙する。
最初は説得を試みるもカッレラが貫こうとする信念を垣間見たイロは彼女に敬意を表しながら実力行使を決断。
ンデンゲイ魔術や『蛇黒水』などの総動員、複数名の外部の人間の力、『カレワラ』に触れてまだ間もない状態である事を利用し『カレワラ』の著者である19世紀の魔術師エリアス=リョンロートと一世紀以上生きている自分が知己であると騙る事で『カレワラ』使用に疑念を抱かせる等使えるものは何でも使った末に遂にカッレラを打ち負かし、捕獲する事に成功する。
この功績が認められ、また『カレワラ』の所有者状態が続くカッレラを組織の長にするわけにもいかない事もあり、イロ=コイは『多からなる一』の暫定的主導者となった。
イロが『カレワラ』に認められないのは、黒き蛇に基づく魔術を内密にしているなどイロが知識を広めたがらない性質だから。
カッレラにどうしても貫きたい信念があったとはいえ組織を存亡の危機に晒したカッレラ達反逆者への処分については、彼女達の意思に理解できる要素が散見された為今後二度とこのような事態を起こさない旨を記した魔術的誓約書を書かせる事を条件とし(これは処刑を含めた反逆者達の処分を求めた者達を納得させる為止むを得ない措置であった)、特例的に保護観察処分という形に収めた。
思いがけず組織のトップに立ったイロは、慣れない立ち位置に戸惑いながらも一世紀近くに渡る膨大な魔術師経験から得た様々な知識や体験を糧に『多からなる一』運営の舵を切っている。
【特徴】
脱皮できるので定まった姿を持っていない。これは『イルミナティ』リーダー双鴉道化にどことなく通じる部分があるかもしれない。
若くてボインボインな美人にも、髪がサラサラな格好良い美青年にも、肥え太った不細工な中年にも、ハゲたオッサンにも、皺と白髪まみれのお婆さんにもなれる。口調も成った人間に相応しいものとなる。
イロの脱皮に毎度付き合わされる形となっている他の『多からなる一』メンバーは、「見た事無い新顔だな。さては新入りかイロかだな」という風に解釈している。
組織メンバーからの信頼は(『組織全体に率先して敵を責めない臆病風を吹かせている』という批判を除けば)かなり厚い。内部衝突の仲介役は大概イロが務めている(もれなく長時間の正座&説教付き)。
イロの悲願を知っているメンバーは極々僅か。その悲願に自分達が巻き込まれる事を懸念しているのかイロの理念に賛同しているのかを知るのは当人達のみでイロは知らない(自分の悲願を知っている事はわかっている)。
だが、それでイロ自身に危害が及ぶような事があっても仕方無いとイロは納得済み。自分の目標が皆の賛同を完全に得られるような代物では無い事くらい承知している。
それでも見たいのだ。一世紀以上にも渡る長き人生の終着点一歩前で、少数派が多数派に目に物見せられる瞬間をこの目で確と見届けたいのだ。尚、酒癖が非常に悪い事は周知の事実。
【台詞】成った姿に応じてコロコロ変わる。怒髪天を衝いた時だけ口調がオリジナルのものになる。
「あらっ。今日は皆集まり良いわねー。お姉さん意外に思っちゃったウフッ。普段は方針の違いで衝突する事も珍しくないから、顔を合わせたくない相手もいるでしょうに。どういう気の変わりようかしら?」←あなたの説教のせいです。
「最近の日本アニメの進歩は目まぐるしいな。カッレラじゃないけど、俺も日本の秋葉原に行ってみたいなぁ。日本に行けるような流れを作れないかな。ちょっと皆に相談してみよう」
「ハハッ!こっち来て皆酒呑もうぜ~ヒック!ヒック!足らないなぁ。もっともっともっとたらふく酒を呑みてぇ。人生=酒よ~。酒も熟成、人も熟成が肝心肝心。ヒック!」
「カッレラ…この愚か者め!!何と浅慮!!何処までも浅薄な事よ!!無茶は若人の特権よ。だがそれは何をしても良いという理由には決してならぬ!!…言葉で理解できぬのなら残るは実力行使しか無いか。さて、相手は『カレワラ』の知識によって無数の神話体系の魔術を行使する『樫切りの巨人』。逃走時、余程他の追っ手から逃げるのに夢中だったのだろう。利用できる霊装を持ち出せなかったのはまだ救いと言えるか。それでも、まさに聖人に近い核兵器染みた化物よな。…いいぜ。眩い光を放つ若人よ。一世紀以上生き抜くこの老人が…己(おれ)がテメェをブッ飛ばして目を覚まさせてやるよ!!」
【SS使用条件】
特になし
元が男でも女でもどっちでもいいですよー

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最終更新:2016年01月15日 01:46