怪鳥以津真天の爪の魔術的記号を抽出し作製された霊装。剣の如き鋭さを有する銀色のネイルチップのような形をしており、爪内部には九字護身法で使用される呪文が記されている。両手の指10本に付け爪として装着する。
この霊装は略式版の『早九字護身法』使用時に効果を発揮する。『早九字護身法』は自身の指を剣に見立てた上で横5本・縦4本、合計9本の線を決められた順番を遵守しながら空中などに描く事で本式の『切紙九字護身法』より簡潔に素早く魔術を発動できる。
しかし、それでも9本の線を描く隙は存在する。そこで利用したのが、爪が剣の如き鋭さを持っていたとされる怪鳥以津真天の逸話。
その逸話から『剣』と『反復』の魔術的記号を抽出した『怨爪』は、一度描いた魔術的軌跡を次からは該当する所作が開始した瞬間から自動的に発現させる特性を持つ。
黒獅子は『怨爪』を装着した右手の指5本を横線に、同じく『怨爪』を装着したもう左手の指4本(親指を除いている)を縦線に適応させ、魔力を通しながら順番通りにそれぞれの指をほんの少し動かすだけで自動的に線が描かれる。
詠唱不要の為の爪内部に記されている呪文と『怨爪』の特性を活かし一瞬で『早九字護身法』を発動する事に成功している。
左手の親指に装着している『怨爪』には十字法の一字を爪内部に刻んでいるが、容量の都合上1つの呪文しか刻めないので『切紙九字護身法』より自由度は格段に下がる。
体全体の『反復』が魔術的記号になっている『切紙九字護身法』に比べて強度自体は下がるも、『反復』の魔術的記号を抽出する『怨爪』使用版『早九字護身法』も霊装未装着版『早九字護身法』に比べればその力はしっかり底上げされている。
また、以津真天の逸話から死者の存在を感知し、死体や死体現場に残る残留思念を掬い取る特質がある。銀色の光が不規則に点滅するのがその兆候である。
【概要】
陰陽局に所属する局員の一人。年齢は20代前半。魔法名『あらゆる災厄から人々を守る守護人と成らん(praesidium453)』。
5歳の時に事故で両親を失い、紆余曲折を経てとある陰陽師一家の養子となった経緯がある。
養子となった陰陽師一家は厳しくも温かな人達ばかりで、黒獅子も第二の家族として独り立ちした今でも定期的に連絡を取り合う良好な関係を築いている。
幼少の頃より遊戯として何度も繰り返していた『九字護身法』が、今の黒獅子が扱う魔術の元型となった。
養子として育てられながらも陰陽師としての誇りをきちんと持ち、日本に住まう者として魔術が絡む事件から一般人を守る事を魔術師としての行動理念に据えている。
普段は陰陽局から多少離れた場所に建っているマンションの一室で生活している。高速道路でも走行可能なビッグスクーターを駆って毎日局へ出勤している。
局長
藤原隆幸から任される仕事は戦闘任務や殺人事件の現場に残る残留思念の分析に要人の護衛など種類豊富である。
同僚に
朝倉俊介や
寄城魅憑など個性的なメンバーがいる中で至って真面目な常識派を自称する。言い換えれば苦労人属性持ち。個性的なメンバーと組んで仕事に臨む時は胃薬が欠かせないらしい。
【特徴】
160センチ体重50キロ前後。平凡なスタイルなのが少々悩み。艶やかな紫色の長髪をハーフアップにしている。赤の蝶ネクタイを模したリボンでアップにした後ろ髪を纏めている。
社会人らしくビシッとしたグレーのスーツ・パンツスーツを着こなしている。インナー用としてストライプが入ったブラウスを着用する事が多い。色は主に白系統。
普段から『怪鳥の怨爪』を装着している。一般人相手にはファッションの一つとして説明している。胃薬を常用するようになってから健康アイテムに詳しくなり、気に入ったアイテムを局長や同僚に紹介している。
【台詞】
「またお腹が痛くなってきた。はぁ、どうしてここのメンバーは一癖二癖あるタイプが多いのかなぁ?もう」
「じゃじゃ~ん!今日あたしが紹介するのは大手健康食品メーカーが新開発したサプリメントよ!食生活が乱れがちな現代社会を生きるあたし達に欠かせない一品になる事間違い無し!」
「現場に残った残留思念から、やはり今回の事件に魔術師が絡んでいるのは間違い無さそうです。下手人である魔術師の正体及びどのような魔術が用いられたのか、現在解析を進めている最中です」
「局長!ここはあたしが死守します。その間に敵の本丸潰しを優先して下さい!あたしなら大丈夫です。どうとでもしてみせます!」
【SS使用条件】
特になし