【名前】医王野潮(いおの うしお)
【性別】男
【所属】魔術/陰陽局
【能力】牛頭天王の術式
【能力説明】
『牛頭天王』
もとインドの祇園精舎の守護神とされる牛頭天王に纏わる伝承を元にした式神を使役する魔術。術式を発動すると、鎧を纏い斧を携えた牛頭の巨神が顕現する。
牛頭天王は神仏習合でスサノオの本地とされた事から、その虚像であっても大蛇退治の英雄神の名に恥じない怪力を発揮する。その膂力はトラックを持ち上げ、振り下ろした斧の一撃は大地を割り砕く。

牛頭天王はかつて世に疫病をもたらす行疫神として畏れられ、やがて御霊信仰との習合によって厚く祀られた事で、疫病を駆逐する除疫神として崇められた歴史を持つ。
これらの伝承により、術者は『病』の原因となる細菌類、ウイルス、真菌類、寄生虫などの病原体や、毒素、電離放射線などの有害物質から身を守る事が出来る。
疫病を司る神格の権能は伊達ではなく、医王野にとって未知の細菌や新種のウイルス、果ては魔術的な毒素、魔術生命体が生み出す有害物質でさえ、『病』の原因となり得る要素はことごとく無力化され消滅する。
さらに一度無力化した病原体・有害物質は記憶され、『牛頭天王』の虚像から溢れ出す『瘴気』として再現可能。
医王野はこれまで世界中で数多の病原体・毒素等を記憶しており、その中には長い時間を掛けて患者をじわじわと苦しめる病や、逆に一瞬でショック死を引き起こすケースなど多彩なラインナップを誇る。

『蘇民将来』
術者以外が『牛頭天王』の瘴気から逃れるために必要な霊装。牛頭天王の護符である。護符と言っても見た目は八角柱の木片に「蘇民将来之子孫也」と書かれた物で、大きさは携帯のストラップ並み。
医王野は陰陽局で共に戦う魔術師一人一人にお手製の『蘇民将来』を配備しており、木片の空洞内に各々が自らの髪の毛を入れる事で、専用の護符として完成する。中に他人の毛髪が入った『蘇民将来』を身に付けていても瘴気除けの加護は得られない。

『八王子』
牛頭天王の眷属神にして八人の子らである八王子の伝承を基にした式神。式札に魔力を通す事で、牛頭の面を付け、太刀や槍、鉾、棍棒や弓でそれぞれ武装した式神を最大八体召喚可能。
父の牛頭天王と同様、疫病神とされる八王子もまた瘴気の塊であり、その身体及び武具に触れた生物に重篤な健康被害をもたらす。弱点は直接式神に触れず、内部の核である式札を破壊する事であるが、医王野は予備の式札をいくつも携帯しているので倒した側から再生する。
医王野が『八王子』を使うのは『牛頭天王』だけでは対処し切れない状況に陥った時のみだが、八体もの式神を同時に使役(召喚中は全式神と五感を共有)する事は当然甚大な負荷を強いる諸刃の剣であり、その最大展開時間は持って15分。
八王子は本来陰陽道において暦の吉凶を司る八将神と同一視されるのだが、医王野は方位神としての権能を敢えてオミットする事で純粋な兵隊として運用している。これは『八王子』の展開時間を少しでも伸ばすための苦肉の策である。

他にも高度な回復魔術の使い手でもあり、治癒系統の術式については古今東西あらゆる文化圏のそれに造詣が深い。

【概要】
魔術機関『陰陽局』に所属する魔術師。魔法名は『毒を以って毒を制す(Virus801)』。
京都・祇園の出身で、使用する術式『牛頭天王』は地元にある八坂神社に所縁のもの。そのため代々魔術師の一族の者と思われがちだが、実は元医者であり独学で魔術師となった異色の経歴を持つ。そのため同僚からは専ら「先生」と呼ばれている。

彼は元々祇園で開業医を営む父親の跡を継ぐべく医大に進み、医者となってからは一人でも多くの患者を救いたいと、『国境なき医師団』の一員となって世界中を飛び回り活動した。しかし貧困や紛争によって奪われていく数多の命を目の当たりにする内に、現代医学では、自分の技術では救える命に限りがある事を思い知らされ、苦悩する。
そんな時に、アフリカの難民キャンプで現地の呪術師が心霊医療を施す瞬間に偶然立ち会い、彼は人の命を救う手段として『魔術』という存在があるのだと知る事になる。日本へ帰国してからもあの時見た奇跡が頭から離れず、遂に独学で魔術を学び、修めてしまった。

その後はフリーの魔術師として世界各地を放浪し、訪れた地方に伝わる『癒し』に纏わる伝承を学んだり、風土病の根絶に協力したりしていたが、旅先で父の訃報に接し、帰国した。父親の遺体に残された呪詛の痕跡を彼は見逃さず、父を衰弱死に追いやった魔術師の行方を執念深く辿り、復讐を果たす。彼はこの時初めて、『牛頭天王』の瘴気を用いた『殺人』を行った。
その事件以降、彼は自身の活動内容に『人々を苦しめる魔術師の駆逐』を加え、やがてその風貌と行動から『黒衣の臨床医(ドクターブラック)』の異名で呼ばれるようになった。それから暫くは海外を中心にフリーでの活動を続けたものの、四十半ばにして活動の拠点を日本に定めたらしく陰陽局に加わった。

陰陽局では局長の藤原隆幸に医療術式の練度を高く評価され、局内の医療部門におけるエースと目されている。しかし彼自身は長年世界各地を飛び回って活動していた名残からある種の放浪癖があり、本部の医務室に留まっているより日本各地の霊災現場へ『出張』したり、全国指名手配の違法魔術師の捜索に赴いたりと、本部がある東京を離れている事が多々ある。
本人も自身が陰陽局内で外様な存在である自覚はあるようだが、自分がどう思われているかよりも自身のなすべき事を優先しているため、彼を取り巻く人間関係は上手くいっているとは言い難い。
しかし最近どういう訳か、自分を『師匠』と呼び慕う同僚の少女と行動を共にする事が多い。というか出張先に何故か居たりする。
元は一般人だったので最新の科学技術や電化製品(学園都市『外部』の技術)には一切抵抗なく、自在に使いこなす。

【特徴】
長身痩躯のアラフィフ男。白に近い灰色の短髪、肌は日焼けして浅黒い。
薄緑の着流しの上に丈の長い白の着物を羽織っており、手術着と白衣を和装にしたような出立ち。度の強い眼鏡を掛け、モダンなデザインの杖をついている。魔術師となった今でも、簡易的な処置が可能な医療キットを携帯している。
出張に使う愛車は年季のいったハーレーダビッドソン。出張先でメイプルが用意したサイドカーと渋々カスタムするのが毎度のお約束である。
牛頭天王の虚像は一丈六尺の巨体から漆黒の瘴気を溢れ出させており、この時医王野の白い着物は真っ黒に染まる。彼が黒衣を纏うのは、相手にとって死の宣告と同義である。
朝倉俊介に付けられたコードネームは『ペイルライダー』。『黒衣の臨床医』よりはマシとの評。

【台詞】
「大丈夫だ。あんたは助かる。俺は助かる見込みのないやつに気休めの言葉を掛けてやるほど、お人好しじゃない」
「学園都市の医療技術は、そりゃあ進んでるんだろうさ。でもその恩恵に浴する事が出来るのは、あの街の住人だけだろ。二十年、三十年なんて、今世界のどこかで苦しんでいる人達にとっては気が遠くなるような先の話だ。病は彼らを待ってはくれない」
「ペスト、天然痘、黄熱、エボラ出血熱……数え上げれば切りがないほど、人類史は疫病との闘いの歴史でもあった訳だ。これからお前が挑むのは、かつてこの星で猛威を振るった死に至る病の数々。そのどれもが極大の絶望をお前に与えるだろうが、さて、麻酔は必要かな」
「嬢ちゃん、何故あんたがここにいるんだ?今度の『出張』は俺単独の任務だった筈だが。……何、急遽増援として派遣された?局長に許可も取ってある……?ハァ、って事はまたあんたと二人旅か。こないだのような珍道中はもう御免だぞ、まったく……」
【SS使用条件】
特になし

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最終更新:2016年03月05日 19:14