【名前】儺取双翼(なとり そうすけ)
【性別】男
【所属】魔術
【能力】両面宿儺、天叢雲剣
【能力説明】
『両面宿儺』
飛騨地方に伝わる異形の鬼神、両面宿儺の伝承を基にした魔術。
両面宿儺は一つの胴体に前後両面の顔、計八本の手足を持ち、剣や弓矢で武装した異形の怪人として描かれる。力強く俊敏で、皇命に従わず人民から略奪を繰り返したため官軍に誅伐されたという。
ただ『日本書紀』において武振熊命に討たれた凶賊とされる一方で、岐阜県の在地伝承では悪鬼や毒龍を退治し寺院の開基となった逸話も残されている。猛々しい鬼神であると同時に、文化英雄や守護神としての側面も併せ持った存在だった。
それら在地伝承を収集し、宿儺の偉業を称えた逸話や美談を強調し、極限まで先鋭化させたのがこの魔術。術式の発動に際しては自身の身体的特徴を両面宿儺に対応させ、自身を核とし龍脈から汲み上げたエネルギーをその身に纏った化身に変貌する。
身の丈は伝承に沿い18丈(約54m)もあり、その巨体には余りに似つかわしくない速度で戦場を駆け巡る。二振りの剣は森の木々を薙ぎ払い、二張りの弓矢は必中の精度こそないものの着弾地点にクレーターを穿つほどの威力を誇る。また旱魃を退け冷害から農民を救った逸話から、自身の周囲に火属性魔術の効力を減衰させる雨を降らしたり、悪霊を駆逐する灼熱の火炎を両方の口から吐いたりも出来る。
この術式は在地伝承における美談としての宿儺を利用しているため、弱点が極端に少ない魔術として練り上げられている。ただし宿儺の美談を強調し過ぎたが故に、美談に縛られ術者が『悪事』と見做した行為でこの魔術を振るう事は出来ない。これを搦め手で攻略する事は極めて困難であり、真正面からの力押しでねじ伏せるより他にない。

『天叢雲剣』
三種の神器の一つであり、素戔嗚尊が八岐大蛇を退治してその尾の中から得た神剣。日本武尊の東征の際には草薙剣の名が生じている。
のち熱田神宮に祀られた神剣だったが、1945年の終戦直後に岐阜県高山市の飛騨一宮水無神社に一時遷座した記録がある。この時の遷座は戦災を逃れるために急遽行われたものであり、熱田神宮から飛騨一宮水無神社へ移送される道中、魔術的なセキュリティは皇居や神宮レベルからはどうしても格落ちする。
儺取の祖父とその一族はその穴を突き、移送中の神体を奪おうと襲いかかるも、乱戦となり神体そのものを奪取する事は叶わなかったが、混乱に乗じて神体を透視する事には成功した。祖父は神体を目にした事で祟られ、まともに魔力を精製出来ない身となったが、一族の繁栄を未来に託し、レプリカの生成に心血を注ぎ孫の代で遂に完成を見た。
オリジナルである神剣を精巧に模した逸品であり、逸話や伝承から魔術師が独自の解釈で組み上げた霊装とは偶像の理論という観点から一線を画する。
天叢雲剣で素戔嗚尊の十拳剣が破損した逸話から、接触した同格以下の武器(神器の精巧なレプリカであるため、大抵の武具・霊装は該当する)を破壊する特性を持つ。しかし特筆するべきは龍脈に流れる莫大な力の収束・制御である。天叢雲剣は八岐大蛇の体内から出現した事から龍の属性を有し、地上の八方へ鎌首をもたげる大蛇は龍脈そのものと解釈出来る。これにより周囲の龍脈から無尽蔵に等しい力の供給を受ける事が可能となり、『両面宿儺』の維持にはこのエネルギーが当てられている。無論儺取の周囲で他の魔術師が龍脈から力を汲み出す事は非常に困難となる。
ちなみに『天叢雲剣』のレプリカは両面宿儺が左右に剣を帯びていた伝承から二振り存在し、術式『両面宿儺』の発動と共に双剣も相応のサイズの光剣に変化する。この時、宿儺の毒龍退治の逸話と龍の属性を持つ神剣にシナジー効果が生まれ、巨大な刀身に猛毒の追加効果が発生する。
【概要】
神道系遠野派の魔術結社『千早振る守護神の目覚め』の首魁にして、遠野派の『梟師』を支える幹部でもある魔術師。
魔術結社『千早振る守護神の目覚め』は遠野派の中でも指折りの武闘派集団であり、儺取を筆頭に血気盛んな荒くれ者が集っている。遠野派が纏まるまでの混迷期では、武を以て他を圧倒する彼らが組織の主導権を握るかと思われた。
しかしそこに現在の『梟師』こと遊留祇咲士が現れ、儺取との三日三晩に及ぶ死闘(遊留祇にとっては『対話』)の末、儺取の方が根負けした事で雌雄は決した。以来二人は盟友となり、再会するたびに取り敢えず勝負してその後で酒を酌み交わす仲となった。結社に所属する配下の魔術師たちも首魁である儺取の決定に異を唱える者はおらず、現在は本拠地である飛騨地方を中心に自警団のような活動を行っている。
口より先に何かと手が出る性分だが、基本的に曲がった事は嫌いで男気溢れる兄貴分。結社の内外を問わず彼を『アニキ』と慕う者は多い(ただし殆ど男衆に限る)。同じ遠野派の結社予備軍『百花繚乱』のリーダー天藤瑞にほの字であり、(彼なりに精一杯)果敢にアタックするも今のところ成果は芳しくない。
そんな儺取にも、周囲の誰にも明かしていない秘密がある。それは彼がシャム双生児として生まれたという過去。過去という表現になるのは、彼と繋がっていた双子の兄はもうこの世にいないからである。幼少期、背中合わせで生まれた彼らは、兄の成長だけがある時から止まり、やがて兄は脳死という形でこの世を去った。双翼の背中には、未だ兄の幼い躰が癒着しており、心臓も鼓動を刻み続けている。
そして儺取のもう一つの秘密が、彼が兄の死を境に自身の内面世界に生み出した亡き兄の人格である。彼の場合はよく知られている二重人格のパターンとは異なり、兄の人格が顕在化する事はない。儺取は自身の進むべき道に迷った時、内面世界で背中合わせの兄に問い掛ける。それが譬え、頼れる存在として慕われるプレッシャーから逃れるためのよすがとして、彼自身が生み出した都合の良い虚像である可能性に気付いていても。
【特徴】
年齢30代半ば。身長2mの偉丈夫。筋骨隆々であり、素の状態でもプロの格闘家をKOするほど戦闘のセンスはずば抜けている。
朱色のざんばら髪を背中まで伸ばしている。金色の瞳と発達した犬歯が特徴的。意外に手先が器用で、趣味は木工。
現代の衣服を組み合わせて唐風の甲冑を纏っているかのような装い。背中に大きなリュックサックを背負い、中には弓矢一式が入っている他、このリュック自体が兄の存在を隠す覆いでもある。左右の腰には二振りの剣を帯びている。
術式『両面宿儺』発動時の姿は光り輝く異形の鬼神。伝承通りの特徴を有し、唐風の甲冑を纏った姿で顕現する。
【台詞】
「てめぇが最近東北で名を売ってる野郎か。あぁ、別に名乗らなくてイイぜ。どうせ覚える気はねぇんだ、これからくたばる奴の名前なんざヨ」
「よぅ咲士!なんだヨすっかりご無沙汰じゃねぇかこの野郎‼てめぇが旅に出てるって事は、また不穏分子どもと『対話(タイマン)』かヨ。ったく、ご苦労なこったな。え、『梟師』さんヨ?なんだったらその座、今すぐオレが変わってやってもイイんだぜ」
「よ、よぅ天藤。奇遇だなこんな所で。いや、オレはたまたま通りかかっただけなんだが……じっ、実はだな。オレの地元で高山祭っつぅそりゃド派手な祭があるんだが、見に来ないか?『百花繚乱』のメンバーと一緒でもイイぜ!好きなもん奢ってやっからヨ‼ま、まぁ考えといてくれや。それじゃ、オレはこれで……」
「なぁ兄貴。オレはこれからどうしたらイイ?皆はオレを『アニキ』だなんて慕ってくれるけどヨ。俺にはアイツ等に指し示してやれるようなビジョンなんざねぇんだ。このままお山の大将を続けてたら、いつかボロが出る。……なぁ、兄貴。兄貴ならどうする?オレじゃなくて兄貴が生き延びていたら、アイツ等を何処へ導いてやるんだ?」
【SS使用条件】
特になし
皇室派との因縁を考えると面白いかも

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最終更新:2016年04月07日 18:43