ねぇキミ ちょっと聞いて オレ松野家長男 松野おそ松でーす

リーダーシップにあふれたアイドル

夢はビッグなカリスマレジェンド

オレたち六つ子なんだぜ すごくね?

おんなじ顔が六つあったていいよな?



さっき会ったよね?

嘘だろ 絶対キミだったって

一回二回じゃないって

そう!これで六度目だよ

クゥー! 今夜は最高!

さぁ 踊ろうぜ キミって笑顔がかわいいよね~

ああ 心配しないで

オレたちも六人だし

オレがあいつで オレたちがオレ

そう オレたち六つ子なんだ!

キミたちもそうだろう?


◇   ◇   ◇


「ヘヘ……」

 ある休日の事だった。
 車屋の前で、展示されている赤いスーパーカーを硝子越しに見つめ、松野家六つ子の長男・おそ松がほくそ笑んでいる。
 値段の欄には特価と書かれているにも関わらず、それでも値段は七桁後半だ。
 とてもじゃないが、絶賛ニート生活中のおそ松に買えるような代物ではない。
 そうしていると、向こうから彼と瓜二つの顔が歩いてきて――うげっ、と露骨に顔を顰めた。
 周囲の目を気にするようにしながら駆け寄ってくる彼は三男。松野チョロ松である。

「……おそ松兄さん。こんなところで何ニヤついてるのさ」
「あれ、俺ニヤついてた? ニヤついてたか~そっか~。俺ってば隠し事下手だなァ~~」
「うわ、うっざ! ……で、なんだっていきなりスーパーカーなんて見てるの?
 言っておくけど、ニートの兄さんがあれを買おうと思ったら寿命二回分くらいのローンになるよ?」

 辛辣な物言いだったが、その通りだ。
 もっともそれは眼前の彼も同じなのだが、それはひとまず置いておくとして。

「それに、今まで車に興味持ったことなんてあったっけ? なんかのテレビにでも影響された?」
「いやあ、実はさ――」

 と。
 言いかけた所でおそ松は慌てて口を抑える。
 チョロ松の目が、見る間にジト目に変わっていくのが分かった。
 彼は六つ子の中でも良識派の方だが、それでも儲け話に関してはがめつい。
 パチンコで大勝ちなどしようものならば、それこそ帰り道に迎撃に打って出るくらいにはだ。
 そんな相手に、自分の元へ転がり込んできた「チャンス」のことを話しでもしたらまず間違いなく大変なことになる。

「実は?」
「い、いや、実はそうなんだよ。この前の金曜ロードショーでこの車が出ててさ! ははは」
「…………」

 それに、理由はそれだけじゃない。
 おそ松は、自分が関わっているあるイベントについて他言無用との助言を貰っていたのだ。
 命令なんて大層なものではなく、まさに助言と言うべき謙虚さで。
 もしもイベントの存在が公になろうものなら、下手をするとペナルティをもらう恐れがあると彼女は言っていた。
 だから彼には、どうにかしてでも誤魔化されてもらわないといけない。
 これが一松やトド松といった弟達だったなら、難易度は数段跳ね上がったろう。
 チョロ松はしばし疑わしそうにしていたが、最後にはすごすごと引き下がっていった。
 とはいえしばらくは安心できない。
 なにせ自他共に認める悪魔の六つ子どもだ。
 気を抜いていたら全てがバレておじゃん――なんてことになる可能性は向こう数日間は捨てきれない。


 去っていく弟の後ろ姿を見送りつつ胸を撫で下ろすと、おそ松は本来の目的地へと足を進め始めた。


 ――裏路地の一角だ。そこには、手に粗末な袋を携えた美少女が待っていた。


 下手をすれば儲け話のことより、彼女と一緒にいる姿を見られる方がまずいかもしれない。
 それほどに美しく、可愛らしい少女だ。
 服のセンスはトランプ柄と壊滅的だったが、それを引いてもお釣りが来る。

「どうだい、首尾は」
「ランサーを一騎、アサシンを一騎。同盟関係にあったようですが、両方仕留めました」
「よっしゃ~! 順調じゃん! 流石シャッフリンちゃん!」

 くぅ~! と子どものように喜ぶおそ松の姿は、小学生かと疑いたくなるほど幼稚だ。
 万人が可哀想なものを見るような顔をしてきたそんな有様を前にしても、シャッフリンと呼ばれた少女は表情を崩さない。
 終始一貫した無表情。クールビューティというやつだと、おそ松は勝手にテンションを上げていたが。
 大袈裟なほどに褒められても、彼女は何も変わらない。
 ただ、彼女は確かにおそ松の部下である。正しくは、その一人――というべきか。

 サーヴァント・シャッフリン――クラスはアサシン。
 宝具は五十二体の自分と瓜二つの人造魔法少女を生み出し、展開させるというもの。
 そのどれもが目の前の彼女と同じレベルの美少女なのだからおそ松にとってはたまらない。
 また、彼女達はただ可愛いだけではなく、このイベントでおそ松の道を塞ぐライバルを蹴落とす役目も果たしている。
 最高の仲間に巡り会えたとおそ松は無邪気に喜んでいた。
 これなら、聖杯も夢ではない。
 聖杯を手に入れたら、とにかくありったけの――ハタ坊さえ目じゃないくらいの富と名声を手に入れて、弟達に差をつけることにしよう。やりたいことは数えきれないほどある。

「ありがとう、シャッフリンちゃん。俺達、必ず聖杯を取ろうな!」
「了解しました」

 首をこくりと首肯するシャッフリン――『ジョーカー』は、語らない。

 彼の勘違いのことを。
 彼が知らない、この『イベント』――聖杯戦争の真実を。
 これは彼が思うほど平和的な催しではない。
 命のやり取りが当たり前に交わされ、負けた者は消える潰し合いだ。
 そしてシャッフリンはこれまで、既に何人もの競争相手を蹴落とし――もとい、首を刎ねて殺してきた。
 遠からず、彼もそれを知る時が来るだろう。

 聖杯戦争――松野おそ松。彼はまだ、その恐ろしさを知らない。



【クラス】
アサシン

【真名】
シャッフリン@魔法少女育成計画JOKERS

【パラメーター】
ジョーカー     筋力D 耐久D 敏捷D 魔力C 幸運E 宝具E
スペード(エース) 筋力A 耐久A 敏捷A 魔力E 幸運E 宝具E
スペード      筋力D 耐久D 敏捷D 魔力E 幸運E 宝具E
クローバー     筋力D 耐久E 敏捷E 魔力E 幸運E 宝具E
ハート       筋力E 耐久A 敏捷E 魔力E 幸運E 宝具E
ダイヤ       筋力E 耐久E 敏捷E 魔力E 幸運E 宝具E

【属性】
秩序・中庸

【クラススキル】
気配遮断:E(ハート、ダイヤ、スペード)/D(ジョーカー)/C(クローバー)
サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。

【保有スキル】
人造魔法少女:D(全員共通)
「数」で戦うことを目的として設計された人造魔法少女。
数で敵を蹴散らし、強力な魔法少女と行動することがコンセプトの大前提になっている。

軍略:D(ジョーカー)
一対一の戦闘ではなく、多人数を動員した戦場における戦術的直感力。
自らの対軍宝具の行使や、逆に相手の対軍宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。

頑健:A(ハート)/B(スペードのエース)
頑健スキルは対毒を含み、耐久力も向上させる。

戦闘続行:A(スペードのエース)
往生際が悪い。
瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。

対魔力:C(スペードのエース)
第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。

破壊工作:E(ダイヤ)
戦闘を行う前、準備段階で相手の戦力をそぎ落とす才能。

道具作成:E(ダイヤ)
魔術的な道具を作成する技能。

罠看破:B(ダイヤ)
仕掛けられた罠を看破し、処理する技能。

【宝具】
『マークや数字によって能力が変わるよ』
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
五十二のトランプ兵隊(シャッフリン)を展開する。
本体であるシャッフリン=ジョーカー以外は意識が分散・希釈されており、単純な思考をすることしか出来ない。
トランプの衣装が表す柄と数値によって能力、強弱が異なり、数値の強さは降順に2~K、その上にA(エース)となる。
彼女達は一体一体が紛れもないサーヴァントだが、スペード以外の戦闘能力は決して高くなく、更に言えばシャッフリンごとの記憶の共有もできず、ジョーカー以外は交渉事ではさっぱり役に立たない。

◯スペード:
 戦闘特化。武器として穂先がスペードの形をした槍を用いる。
 中でもスペードのエースはシャッフリン中最強の戦闘能力を持ち、武闘派トップクラスの魔法少女五人を同時に相手取って拮抗出来るだけの戦闘能力を持つ。
 エースのみは「頑健:B」「戦闘続行:A」「対魔力:C」スキルを保有。

◯クローバー:
 隠形特化。棍棒を用いる。
 戦闘能力を有するが、スペード程ではない。
 「気配遮断」のランクが最も高いCランク。

◯ハート:
 気が弱く、攻撃行動はとても出来ないが異常な耐久力を有する肉壁。
 その堅さたるやスペード全員を殺害出来るだけの攻撃を、ハートの上位ナンバーで防御し阻むことが可能なほど。
 知能が低く臆病だが、上位ナンバーになっていくにつれて勇敢さが増していく。
 「頑健:A」のスキルを有する。

◯ダイヤ:
 技術力と知識を有し、作戦行動では敵の罠を機械的・魔法的問わず見破る。
 「破壊工作:E」「道具作成:E」「罠看破:B」のスキルを有する。

◯ジョーカー:
 本体。武器については後述。保有スキル項目に記した内容はこのジョーカーに該当する。
 ジョーカーが死亡した場合、シャッフリンは完全消滅する。
 どんなものでも収納できる四次元構造の「魔法の袋」を持ち、普段はこれに他のシャッフリン達を収納している。

『汝女王の采配を知らず(クビヲハネヨ)』
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:1~5 最大捕捉:1人
シャッフリン=ジョーカーが担う鎌。
特別殺傷力が高いわけでもなければ、持ち主の力を増強するわけでもない武装だが、これによって英霊を殺傷した場合、その魂を奪い取り、五十二体のシャッフリン全てを再補充することが出来る。
補充された場合、行動不能となっているシャッフリンらは消滅、新たにジョーカーから生み出されることとなる。

【weapon】
個別

【人物背景】
「魔法の国」三賢人の現身である超高級魔法少女「グリムハート」に仕えていた人造魔法少女。


【マスター】
松野おそ松@おそ松さん

【マスターとしての願い】
豪遊生活! 酒池肉林!

【weapon】
なし。

【能力・技能】
メンタルが小学六年生。

【人物背景】
松野家が抱える六つ子のニート達の長男。
メンタルが小学六年生のまま成長した奇跡のバカ。
言動は知性が足りなかったりクズだったりするが、思いやりも忘れない、憎めない素直な表裏のない人物。

【方針】
そもそも聖杯戦争のことを正しく理解していない。
殺し合い、ということすら大袈裟な冗談だと思っている。
彼の中での聖杯戦争のイメージはポケット◯ンスター。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2015年12月09日 18:46