デマを検証:【ペトカウ効果=低線量のほうが人体に与える影響が大きい】というのは誤解
肥田舜太郎医師とその支持者である竹野内真理氏らは、このベトカウ効果を誤解(もしくはミスリード)して「低線量の被ばくは危険だ」と結論づけていますが、実はこの【低線量のほうが人体に影響与える】というのは誤解なので、ここで説明したいと思います。
肥田氏の言うベトカウ効果「低線量のほうが人体に与える影響が大きい」の誤解
「低線量での効果」のはずが、年あたりにすると「30万mSv」だった。
(引用)いいな氏「7mSv/12分、つまり、35mSv/hを、肥田さんは低線量と呼んでいる。年間にすると、306Sv/y。つまり、肥田さんは、年間に300Sv浴びたら危険だと言っている。」
肥田医師は「つまり、低レベルの長時間にわたる放射線の場合…」と説明してますが、実際には(年間に換算すると)300Sv/年という線量率です。なじみのあるmSv(ミリシーベルト)というものに換算すれば30万mSv/年です。
つまり、一般に低線量と言われる領域の実験ではないのに「低線量での影響」※一般に低線量と言われるのは年間100~200mSv以下とされています。線量(率)の桁が全く違ってくるのです。
長期被曝(慢性被曝)と瞬間的な被曝では体に与える影響がかなり違うということが分かっています。これは人間の体には放射線によって傷つけられたDNAを修復する働きがあるからと考えられているからです。
放射線の生物学的効果は、同一の吸収線量であっても放射線の種類や線量率によって異なる。高線量率で短時間に照射したときに得られる生物効果に比べて、線量率を下げて時間をかけて照射すると生物効果は減弱する。これを線量率効果という。
※(余談)肥田氏の怪しい知識
上記のTogetterまとめを是非読んでみてください。肥田医師は放射線防護の基礎知識も怪しいことがわかります。私(管理人)でさえ、ビックリするような事を言っています。つまり、放射線防護のことなんて全くわかってないのです。
本当のペトカウ効果と言えるもの
管理人が素人なりに、上記ブログ内容を引用しながらもうちょっとわかりやすく説明してみようと思います。
ペトカウ効果というのは、「0.001 rad/min~1 rad/minの範囲で放射線が膜に照射された」ことから導き出されたもので、「低線量とは言いつつも,現在首都圏で測定されている空間放射線量の1000倍以上高い領域での話」です。
この領域の「照射線量と膜の持続時間の間には対数軸で比例関係があること」という部分(論文中の式はy=55.3x^-0.36)を利用して、推測しているに過ぎません。
つまり、(前述した)全然線量率が低くない実験で「線量を増大させることにより膜の持続時間は短くなるが,照射線量と膜の持続時間の間には対数軸で比例関係がある。」という仮の式を導き出し、それに実験もしていない値(実験範囲から遠くはなれた値)を入れて「ほーら、この式にあてはめると、低線量のほうが危ないんだよ」と、推測しているにすぎない。ということです。
実験範囲から遠くはなれた領域に、実験範囲の式(対数軸で比例関係)を適用し主張するのは無理がある。ということです。
上記の表現、説明に間違いがありましたら、掲示板に遠慮無く指摘お願いします。