0078:偶然が生む力 ◆rJs90Nf2Bk
「あ~っもう うっとぉしいな、チクショウ」
彼――
トレイン・ハートネットは、福島の山中を彷徨っていた。
参加者リストを確認し、支給品を装備して、とりあえず人を探そうと小一時間ほど歩き続けていたのである。
首にかかる金属の感触だけは、どうしても馴染めずにいた。
普段から常にチョーカーを身に着けている彼にとって、
突然二つ目の異質な感触が首に生まれるのは我慢がならなかった。
自分を縛れるのは自分だけ――そんな意味が彼のチョーカーにあったからだ。
「ったく…猫は、自由に生きるもんだぜ」
そう呟いて歩みを進めようとしたその時、前方から真っ直ぐ飛んでくる何かを目撃する。
(何だ? 光っている……いやこれは!)
「くっ!」
ガキイイッ!
間一髪左手に装備していた鉄甲で受け止めるものの、それは粉々に砕けてしまった。
(あっぶねぇー!
…敵か? あの光弾みたいなやつの速度からして相当距離はあるな、向こうにバレてる状況でどう近づいたもんか…)
「むー いつもの半分以下ってとこかぁ? 1発分使ってでも試し撃ちしといてよかったな」
闇に向かって霊丸を撃った幽助は、いつもより二回りほども小さかったそれに嘆くとその場に腰を降ろす。
(どうせこう暗くちゃよく見えん、こいつを持って移動するのも疲れそうだし 今は霊力を貯めとくのが得策だな)
そう思い精神統一を始めてしばらくたった頃、張り詰めた気は高速で動く何かを察知する。
(早い! こっちに来る!?)
夜間をものともしない黒猫の目は、正確に標的を捉える。
バゴッ!
戦闘態勢を整える前に背後から脳天を殴られてしまった。
「ってぇ~!! てめぇ、俺に向かって不意打ちたぁいい度胸だな」
「あり?」
予想外にすんなり殴れたコトに、トレインは呆気に取られた表情を見せる。
「あり? じゃねぇよ! 殺し合いなんてしたくはねぇが、てめぇがその気なら容赦しねぇぜ」
「ちょ、ちょっと待てって! 俺だってそんな気はねーよ!」
「あぁ? じゃあなんでいきなり俺を殴るんだよ」
「こっちの方から飛んで来た光弾を食らったんでな、お前がそうかと思って仕掛けたんだよ …悪かったな」
「光弾? ひょっとして俺の霊丸のコトか?」
「霊丸だぁ? ちょっと見せてみろよ」
「いや、一日に4発しか撃てないんでな なるべく無駄撃ちはしたくねぇんだ。
さっきのはどうもこの世界に来て霊力が弱まってる気がしたから試し撃ちを…とにかく、偶然とは言え悪かった」
「うんにゃ、故意じゃないなら責めはしねぇよ。
それより、一日4発で思い出したんだが…」
「ん?」
「それ、お前さえよかったらこの鉄甲と交換しねぇか?」
指差した先には、彼が見覚えのある重兵器が木に立て掛けられていた。
「これか? まぁ持ち歩くのも大変そうだし、
俺には扱いきれそうにねぇから別に構わねぇが…アンタ、銃火器を扱えるのか?」
「おぉう、人並以上にな。
それに…もしかしたらこいつはとんでもねぇ
切り札になるかもしれねぇ」
人間の特異能力が制限されたこの世界で、
本来の世界より数倍以上の相乗効果を持ったそれが生み出すのは――圧倒的破壊力。
【福島県 山中/黎明】
【トレイン・ハートネット@BLACK CAT】
[状態]:左腕に軽傷
[装備]:ウルスラグナ@BLACK CAT(バズーカ砲 残弾2発)
[道具]:荷物一式
[思考]:1.スヴェン、イヴ、リンスを探す
2.幽助に協力する
3.ゲームからの脱出
【浦飯幽助@幽遊白書】
[状態]:頭部に軽度のダメージ
[装備]:新・無敵鉄甲@るろうに剣心(右腕用のみ)
[道具]:荷物一式
[思考]:1.桑原、飛影を探す
2.トレインに協力する
3.ゲームからの脱出
レールキャノン(呼称)については1発撃つと
ウルスラグナは壊れてしまうというコトでお願いいたします。
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GAME START |
トレイン・ハートネット |
144:迷走の交錯 |
GAME START |
浦飯幽助 |
144:迷走の交錯 |
最終更新:2024年08月16日 20:42