0089:罪人 ◆QGtS.0RtWo
裁いてあげるわ――
そうよ。生きてちゃいけないのよ――
振り降ろす――振り降ろす――
私は見てしまった。
本当はただの好奇心。
自分に対して与えられた二つの支給品…
一本のビデオテープと――自分の世界では全く見た事の無い、謎の構造をしていて謎の動力で動く、
折りたたみ式のテレビのような物を無人の民家の中で並べて細かくチェックしながら、どうしたものかと考える。
これらは完全にセット扱いの物のようで、テレビを付けてチャンネルを変えてみても…一切何の番組も映らない。砂嵐が耳障りなだけ。
このビデオを見るためだけの用途にしか使えないようだ。
何かの突破口になるかも…との淡い期待と好奇心から、テープを入れる場所と見て取れる所にそれを差し入れる。
――機械音を響かせて中へとテープが飲み込まれたのを確認すると、再生ボタンらしき物へと手を伸ばす――
振り降ろす――振り降ろす――
――画面には、信じられない光景が映された。
それは、ニンゲンという生き物の――最も醜い姿の記録の数々――
人が人を笑いながら殺す映像。
殺された女性のすぐ横で、小さな少女が泣き叫ぶ。
殺されるために列を作る子供たち。
ゴミのように転がる、ウジ虫だらけの死体の数々。
生きたまま体をぶつ切りにされていく者たち。
それを、笑顔で眺める人間。
振り降ろす――振り降ろす――
気が付くと、私は住宅街を歩いていた。
本来ならたくさんの様々な家族たちが様々な団らんや幸せを営む場所。
しかし…全てのニンゲンが神隠しにあったかのように、ここには誰もいない。
静まり返る住宅街――
そうよね。これが――本来あるべき、正しい姿なのよ。
ヒトなんて、存在してはいけないのよ。
振り降ろす―――
だって、そこに在ってはいけない存在を見つけてしまったから。
――手を止める。
目の前には、紅い水溜まり。
それは――通りがかった私に対して何かを話しかけてきたその少女の……
いや、少女と呼ばれた物の――なれの果て。
両手で抱えていた真っ赤に染まったブロック石を、ゴトリとアスファルトの上に落とす。
見る。じっと見る。
グチャグチャにひしゃげた頭部。物言わぬ奇妙なオブジェへと姿を変えた、目の前のその元ニンゲンを。
……そうよ。私の職業は警察官。
だから、裁いたのよ。罪人を。
これは正しい事。正義の裁き。
ヒトなんて、生きてるだけで罪なのよ。
だから……消してしまおう。この世界から、全てのニンゲンを。
――私もニンゲン。
自ら命を絶つ。
でも――それは、この世界を在るべき正しい姿に変えてから。
さあ、行きましょう。
罪を償うために――
【大阪府/早朝】
【野上冴子@CITY HUNTER】
[状態]人間に絶望(難しいが説得は一応可能?)
[装備]毒牙の鎖@ダイの大冒険(一かすりしただけでも死に至る猛毒が回るアクセサリー型武器)
[道具]支給品一式、食料二人分
[思考]人間を全て殺す。
食料類と毒牙の鎖以外のリンの荷物はその場に放置
[黒の章@幽遊白書]は住宅街の民家の中で[霊界TV@幽遊白書]からずっと放映中。音も垂れ流しです。
【リン@北斗の拳 死亡確認】
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最終更新:2023年12月14日 23:14