0090:15少年 ◆Wv7hRKzBHM





「あ~あ、一体なんなんだってばよ」
いつの間にか妙なことに巻き込まれ、気がついたら山の中にいた。
菜っ葉だかほうれん草だかと呼ばれていたハゲの大男が一瞬で殺された時は、さすがにナルトも戦慄したが、
会ったばかりの3人組にいきなり殺し合えと言われても、いまいちピンとこないのである。
とりあえず腹ごしらえをとデイパックを漁るが、入っていた食料は少なかった。
「ちぇっ、これっぽちかよ。それならせめてカップラーメンでも入れてくれればいいのに」
と、そこまで言ったところで、街に行けば食料があるかもしれないと思い立った。
食料二日分のうち半分をあっという間に平らげると、ナルトは街に向かい始めた。

街へと歩きながら、参加者名簿に目を通すナルト。
そこには「春野サクラ」「奈良シカマル」という見知った二人。
そして「大蛇丸」の名前があった。
「大蛇丸……あの野郎も来てやがんのか!…サスケは、サスケはいないのか?」
参加者名簿を何度も見直し、ひっくり返し、さかさまにしてみても「うちはサスケ」の名は無い。
「…そうか、サスケはいないのか……本当にこれが殺し合いだって言うなら、喜んだ方が良いんだろうな」
とりあえず一息つくナルト。
「そうだ、サクラちゃん…とシカマル!とりあえず二人と合流しないとな。
 サクラちゃんはぜってー守らなきゃなんねーし、シカマルのヤツは頭が良いからあの3人組を倒す良い知恵があるかもしれねーし」
とは言ったものの二人がどこにいるのか分からない。
と、ここでナルトは支給武器を見てみることにした。
もしかしたら、なにか役に立つアイテムが入ってるかも知れない。
「なにかな~…って、なんだこりゃ?金と銀の羽か?……こ、これだけ?」
説明書きによると、金の羽は呪文の威力を高めるもの。
銀の羽はMPを回復させるもの、とある。
「じゅもん?MP?わけがわからないってばよ!」
本当にこれだけなのかとデイパックを逆さまにして振ったりしてみるが、なにもない。
仕方がないので、諦めて再び街を目指す。

「あ~~っ!!ハラへったってばよ~!」
ナルトは町外れにあった家に忍び込んでみたが、食べ物はおろか水すら手に入らなかった。
判ったことは、家の外観こそ微妙に違うが家具などは木の葉の里と似たようなものだということのみ。
つまり収穫ゼロである。
よく探せば雑貨の類は手に入ったのだが、ナルトにそこまで求めるのは酷である。
「……誰だ?」
前方からした声に、ナルトは足を止めた。
目を凝らすと、自分と大して歳の変わらない(と思われる)少年が二人、こっちを見ていた。
しばし、無言で対峙する3人。
案の定、最初に耐えられなくなったのはナルトだった。
「お前らそこで何してるんだってばよ!まさか、あの変な3人組の言うことを聞くつもりなのか!?」
「それはこっちが聞こうと思っていたことだ。お前は乗るつもりなのか?」
目の前にいた少年が逆に尋ねてきた。
堂々として落ち着いた雰囲気のその少年からは、殺気は感じられない。
「…俺は別にあんな奴らの言うことを聞くつもりはないってばよ」
「ではどうするつもりだ?」
畳み込むように質問してくる。
「ど、どうするって言われても…とりあえずは仲間を探して…
 シカマルって頭の良いヤツがいるから、そいつならあの3人を倒す良い方法が有るんじゃないかと」
「ハーデスを…あの3人を倒すつもりなんだな?」
少年はナルトの方へ近づく。
その迫力に押され、逆に一歩下がるナルト。
「あ、あぁ。サクラちゃんまで巻き込みやがって、許せねーってばよ」
「……そうか。ならば共に行こう」
「…へ? あ、あぁ。お前も、あいつらを倒すつもりなんだよな?」
「俺一人ではハーデスを相手にしてる間に他の二人にやられる可能性がある。仲間は多いほうが良い」
答えになってるのかなってないのか、少年はそんな答えを返した。
そして少年は、もう一人の少年の方を振り返った。
「お前はどうするつもりなんだ?」


跡部は置いてけぼりを食らったような気がしていた。
一輝は突然現れた金髪の少年と短い会話を交わすと、同行を申し出たのだ。
(俺様を無視して後から現れたヤツと話し込むとはな…!)
多少ムカついたが、金髪少年の情報を得るためにも様子見が肝心だと判断し、口を出さなかった。
「お前はどうするつもりなんだ?」
不意に一輝が振り返り、そう問いかけてきた。
予定では、とりあえず情報と武器を手に入れてから今後の行動を決めるつもりだったが…
「てめぇが勝手に話を進めたのは気にいらねぇ。気にいらねぇが、だからどうするってワケでもねぇしな…」
「ハーデスを倒すつもりがないならそれでも構わん。ただし、俺と敵対すると言うなら話は別だ」
「……敵になるなら容赦しねぇってか?」
正直言って勝てる気がしない。
この一輝という男は、明らかに殺し合いの経験がある…!
この男と比べたら、自分は所詮ちょっとテニスが上手いだけの学生にすぎない。
「…わかった。とりあえずてめぇらに同行しよう。いろいろ情報が欲しいんでな」
「別に良いってばよ、なぁ?」
「……まぁ、いいだろう」
こうして3人はそれぞれに名を名乗ると、街の中へと消えていった。
ただし彼らの目的はバラバラ。いつまで一緒にいることやら…





【福岡県(都心部外れ)/黎明~早朝】

【跡部景吾@テニスの王子様】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】荷物一式(少量の水を消費済み)、アバンのしるし@ダイの大冒険
【思考】1.情報交換
     2.身を守る武器を手に入れる
     3.乾と越前を捜す

【一輝@聖闘士星矢】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式(支給品は不明だが、本人は確認済み)
【思考】1.情報交換
    2.ハーデスを倒す

【うずまきナルト@NARUTO】
【状態】健康、ただし空腹
【装備】無し
【道具】支給品一式(1日分の食料と水を消費済み)
     ゴールドフェザー&シルバーフェザー(各5本ずつ)@ダイの大冒険
【思考】1.情報交換。そして可能なら食欲を満たす
     2.サクラ、シカマルを探す
     3.主催者をやっつける


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最終更新:2023年11月19日 13:34