0118:papillon / magicien ◆HKNE1iTG9I
……うむ、一つ…余から忠告をしてやろう。
どうやら、大なり小なりパーティーを組んでいる者も多いようだが……
脱落者の中には、その『仲間』に裏切られて命を落とした者もいるのだぞ?
寝首をかかれないように、せいぜい気を付ける事だな…
(仲間に裏切られて……だと?主催者どもは何故こんなことを知っている?)
朝靄の中、一人沈思黙考するは蝶々仮面(パピヨンマスク)の男、
蝶野攻爵。ここは福岡の市街地の外周部分。
剣八との戦闘後、とりあえずヒソカの負った傷に応急処置を施すという名目でここに身を隠してから、数時間の時がたっていた。
(今、手持ちの情報で推測できる可能性としては…以下の三つか。
1.何らかの映像装置によって、舞台全域が監視されている。
2.首輪に盗聴装置がついていて、参加者の行動を把握できる。
3.1と2の複合作用。首輪に位置を特定する機能が仕組まれていて、その位置のみ監視機能が働く。
まず、この舞台の広さから考えて、映像管理に手間がかかる上に、死角が出来てしまう1の映像装置は無いだろう。
同様に、3も映像の送信機が見当たらないことから、除外しても良いかもしれないな。
監視衛星という手もあるが…これは保留だな……現実的に考えるなら、2が一番妥当か……)
と、そこまで考えてから頭を振る。どうにも、今は不確定な情報が多すぎる。それに。不安要素はもう一つある。
(残る問題はこいつだな)
自分の能力、黒色火薬の武装錬金『ニアデスハピネス』。
(一度、火薬を使い切ってしまうと補充に三日はかかる…威力の減衰はあまり感じないが、補充、総量がかなり制限されているな。
すべて使い切って、全方位爆破一回分ぐらいか……これでは、とても飛行などで無駄使いするわけにもいかない。
できるだけ温存したいが、状況がどうでるか)
パピヨンは思索に耽る。朝靄の中、一人思索に耽る。
パピヨンは思索に耽る。天才と謳われた、その広大な頭脳を駆使して。
パピヨンは思索に耽る。パピヨンは思索に耽る。パピヨンは思索に耽る。
「おはよう、パピヨン」
―――そして。思索は、一つの声によって遮られた。
……うむ、一つ…余から忠告をしてやろう。
どうやら、大なり小なりパーティーを組んでいる者も多いようだが……
脱落者の中には、その『仲間』に裏切られて命を落とした者もいるのだぞ?
寝首をかかれないように、せいぜい気を付ける事だな…
(ゴン、キルア、クロロ、更木……全員まだ生きているみたいだね。悪くない)
仄暗い建物の中、一人そこに在るは奇術師、ヒソカ。ここは福岡の市街地の外周部分。
剣八との戦闘後、とりあえず自分が負った傷に応急処置を施すという名目でここに身を隠してから、数時間の時がたっていた。
(仲間の裏切りか……それも悪くない。パピヨンとの闘い。状況が許せば、是非やってみたいね。
う~ん、悪くない。悪くないね。昨日のバトルも楽しかったし。このゲーム、気には喰わないけど、退屈はしない。
身体が疼くよ。早く、鎮めたいな――)
と、そこまで考えてから頭を振る。どうにも、自分の興奮を御し難い。思考はさらに進んでいく。
(更木は、念が使えるとしたら強化系かな?)
昨日の戦闘は、素晴らしかった。一晩明けた今でも、昂ぶる自分を抑えきれない。
(自在に操作できる火薬を創りだす能力か。パピヨンは、具現化系か操作系だろうね。性格柄、特質系かもしれないけど。
他にどんな能力者がいるのか、楽しみだ。想像しただけで欲情してきちゃうよ)
ヒソカは昂ぶる。仄暗い建物の中、一人昂ぶる。
ヒソカは昂ぶる。顔も知らない強者との血沸き肉踊る血闘を想像して。
ヒソカは昂ぶる。ヒソカは昂ぶる。ヒソカは昂ぶる。
「おはよう、パピヨン」
―――そして。昂ぶりのまま、自分の同行者に声を投げかける。
――共に朝食をとった後、しばらくして――
「それで、これからどうするんだい?」
「俺に考えがある」
(声を出さずに返答しろ)
パピヨンの火薬が宙を舞い、虚空に文字を織り出していく。
ヒソカは薄く笑うと、薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)によって投影した文字で返答する。
静かな空間の中、二つの意思と二つの言葉が混ざり合う。しめやかに、高らかに。
「このままじゃ埒が明きそうに無い」
(どうやら、俺たちは首輪によって監視、もしくは盗聴されている)
「へぇ……じゃ、どうするんだい?」
(放送を聞く限り、そうみたいだね)
「これだけ参加者が居るんだ、今度はこちらから積極的に狩りに出る」
(盗聴か、監視かによってこちらの出方も変わる。だから、どいつかから首輪の現物を入手して調べてみたい)
「狩り……か。支給品や食料でも狙うのかい?」
(首輪を奪う……か。その場合、標的の生死は勿論…)
空気が変わる。それは、生粋の狩猟者のみが持ちうる、殺気。
一瞬、禍々しいオーラがヒソカの体から放たれ、狭い空間を荒れ狂う。
その様子を一瞥すると、パピヨンは片頬を歪め、空に踊る火薬は新たな文字列を造りだす。
「それもある。それに、こちらが消耗している隙に、生き残っていたヤツに後ろから殴りかかられたら堪らないからな」
(問わない。必要なら、首輪を傷つけることもアリだ。断片的な情報やジャンクから、原型を再現するのは俺の得意分野だ。まかせろ)
「いいね、それ。丁度、身体の火照りも鎮めたいと思っていたところだし」
(それは頼もしい。じゃぁ、早速―――)
「――話は纏まったな」
「そうだね」
奇術師ヒソカ。人造人間(ホムンクルス)パピヨン。二人の怪人は、朝日と共に、歩みだす。彼らが何をもたらすのかは―――
誰も知らない。
【福岡県 福岡市北部外周/朝】
【パピヨン@武装錬金】
[状態]:健康
[装備]:核鉄LXX@武装錬金(ニアデスハピネス少量消費)
[道具]:荷物一式(食糧二食分消費)
[思考]:1.首輪を手に入れる。手段は問わない
2.知り合いとの合流、ヒソカと行動
【ヒソカ@HUNTER×HUNTER】
[状態]:健康、全身に軽い打撲、裂傷(処置済み)
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(食糧一食分消費)
[思考]:1.武器を手に入れ、万全の状態となったあとで剣八と再戦
2.知り合いとの合流、パピヨンと行動
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最終更新:2023年12月08日 07:06