沖縄(琉球)と台湾。海を隔てたこの二つの地域は、古来、交易や文化交流を通じて深い絆で結ばれてきました。そして、その海の道を共に渡ってきた信仰があります。それが——媽祖信仰です。
今回は、この歴史的に重要な女神、「天妃媽祖娘娘」(媽祖 置物)を、日本では珍しい台湾ヒノキの彫刻としてご紹介します。
■ 海の守護神、媽祖とは?
媽祖は、10世紀ごろの中国に実在した女性、林黙娘が神格化されたものです。その慈悲深く勇敢な行いから、航海の安全を守る神様として信仰されるようになりました。漁師や船乗りたちは、大海原に漕ぎ出す時、必ず媽祖に無事を祈ったといいます。
やがてその信仰は交易路を通じて広まり、台湾では最も重要な民間信仰の一つとして根付きました。そして、琉球王国を通じて日本にも伝えられ、沖縄では「媽伽(マーメー) 木彫仏像」として親しまれ、多くの御嶽(うたき)で祀られています。
■ なぜ、台湾ヒノキなのか?
この像を特別なものにしているのは、その素材にあります。
台湾ヒノキは、その強靭さ、防虫・防腐効果の高さ、そして美しい木目と芳醇な香りから「森の王者」とも称される高級木材です。神社仏閣の建築にも使われるほど、神聖さと耐久性を兼ね備えています。
つまり、神々しい媽祖様を表現するのに、これ以上ない素材なのです。匠の手により、一枚のヒノキから彫り出される柔和な表情、流れるような衣のひだ——。(マッサージコーム)この工芸品は、信仰の対象であると同時に、台湾が誇る木工技術の結晶なのです。
■ 現代における媽祖像の意味
グローバル化が進む現代、媽祖はもはや航海の安全だけを守る神様ではありません。そのご利益は「あらゆる困難からの救済」へと広がり、ビジネスの成功や家族の健康、人生の道しるべを求める多くの人々の心の支えとなっています。
家やオフィスに媽祖像を祀ることは、単なる習慣ではなく、激動の人生という”海”を無事に渡り切るための、ひとつの”羅針盤” を置くことに似ています。
■ 工芸品コレクター、文化に興味のある方へ
この媽祖像は、以下のような方に特におすすめです。
その背景にある物語や歴史的価値に思いを馳せることができるアイテムを探している。
大量生産品ではなく、一点一点に魂の込もったハンドメイド作品を大切にしたい。
