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抱っこ流浪人 - (2007/01/16 (火) 10:23:53) の1つ前との変更点

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  電気石は抱っこされるのが好きだ。 「お姉様ー」 「……んー」   まるで猫のように蛋白石の胸にすり寄っている電気石。   普段はよく分からない子だけど、こうして甘えている姿を見るとやはりまだ子供なのかなって思う。   それにしても可愛いなぁ。可愛がられている猫と飼い主みたいにも見えるけど。 「あ、今日は金ちゃんに用事があるんだった。お姉様、ごめんね」   膝の上に乗せていた電気石を降ろし、身支度を始める蛋白石。   その姿を、やっぱり電気石は猫みたいな感じで名残惜しそうに見つめている。 「帰ってきたらまた遊ぼうね。それじゃあいってきまーす」 「うん、いってらっしゃい。あまり寄り道しちゃダメだよ」 「拾い食いもいけませんよ」 「そんなことしないよぉー」   そんなやりとりをしながら、電気石は玄関へ。そしてドアの閉まる音。 「用事って何なんだろうね」 「あの子と金剛石のことですから、特訓か何かではないのでしょうか……あら、電気石?」 「……だっこ♪」   今度は殺生石に抱っこをしてもらう。   先ほどと変わらず、蛋白石と同じように殺生石の胸にすり寄っている。 「ふふ、甘えん坊ですね」 「んー……」   殺生石に撫でられ、実に気持ちよさそうな顔。   ホント、小動物みたいだなぁ。 「さてと、僕ちょっと部屋で課題すませてくるよ」 「分かりました。後でお茶を持っていきます」   殺生石に礼を言って、居間を出て行く。   電気石が僕の背中に視線を送ってきていたような気もするけど、まぁ殺生石が相手してくれるから問題ないと思う。   殺生石がお茶を持ってきてくれた後、僕は黙々と机で紙やら本やらとにらめっこをしている。   こういうときは静かな方が集中力できる。だから電気石と殺生石しかいない今はとても勉強がしやすい。   蛋白石には悪いけど、あの子の声は集中力途切れるんだよね。あはは……。 「マスター……」   予想外の声。電気石が僕の部屋に入ってきていた。   気配もなかったので少しビックリ……。 「どうしたの?」 「……殺生石、お出かけ」   そう言えば少ししたら出かけるみたいなこと言ってたっけ。   居間に一人となっては、僕の部屋に来るのも仕方ないか。 「……おべんきょ?」   僕の隣に立って、机の上を眺める。 「うん。ごめんね、これが終わったら遊んであげるよ」 「……だっこ」 「んー、抱っこかぁ……今はちょっとなぁ」 「……だっこ」   これだけは譲れない、そんな感じのおねだり。   うぅむ……こういう顔されると弱いんだよなぁ、僕。 「……はい、これでいい?」   電気石を抱き上げ、膝の上に乗せる。   蛋白石や殺生石と同じ体勢だけど、僕の方が大きいので電気石が普段より小さく感じる。 「だっこ♪」   そして電気石は先ほどと同じく、胸に頬擦りをしてくる。   ……少し、くすぐったい。体と心が。 「本当に甘えん坊だね」 「ん……ダメ?」 「ううん、甘えたっていいんだよ」 「ぐりーんだよー」   久々に聞いたような気がする、そのフレーズ。   でも本当に好きなんだなぁ……グリーンダヨーも甘えるのも。 「マスターのだっこ……貴重?」 「そ、そうなの?」 「ん……」   貴重っていうことは……あまりしてあげていないってことだよなぁ。   僕ってそんなに家では急がしそうにしてたのかな。   自分ではよく分からないな、そういうところって。 「……んー」   そんな僕の抱っこが嬉しいのか、先ほどから頬擦りをやめる様子がない。   これじゃあ課題が……。 「マスター……あったかい」   ……ま、いいか。課題なら夜やればいいだろうし。   今は電気石を満足させてあげる方が、重要なのかもしれない。   鉛筆から手を離し、電気石の頭を撫でる。   綺麗で手触りのいい金髪と、人形のそれとは違う温もり。   こうしてゆったりとしたときに頭を撫でると、普段では伝わらないものも伝わってくるような気がする。   ……静かだなぁ。     ◇    ◇    ◇    ◇ 「ただいま戻りました……あら」   帰宅のご挨拶をと思い、主様の部屋を覗く。   忙しく勉学に励んでいらっしゃるのかと思っていましたが、そこには電気石と二人で昼寝をしている姿。   静かな寝息……ふふ、どちらも愛らしい寝顔ですね。 「……お休みなさいませ」 ----
  電気石は抱っこされるのが好きだ。 「お姉様ー」 「……んー」 #ref(http://obsidian.no.land.to/jm/f/jm0851.jpg)   まるで猫のように蛋白石の胸にすり寄っている電気石。   普段はよく分からない子だけど、こうして甘えている姿を見るとやはりまだ子供なのかなって思う。   それにしても可愛いなぁ。可愛がられている猫と飼い主みたいにも見えるけど。 「あ、今日は金ちゃんに用事があるんだった。お姉様、ごめんね」   膝の上に乗せていた電気石を降ろし、身支度を始める蛋白石。   その姿を、やっぱり電気石は猫みたいな感じで名残惜しそうに見つめている。 「帰ってきたらまた遊ぼうね。それじゃあいってきまーす」 「うん、いってらっしゃい。あまり寄り道しちゃダメだよ」 「拾い食いもいけませんよ」 「そんなことしないよぉー」   そんなやりとりをしながら、電気石は玄関へ。そしてドアの閉まる音。 「用事って何なんだろうね」 「あの子と金剛石のことですから、特訓か何かではないのでしょうか……あら、電気石?」 「……だっこ♪」   今度は殺生石に抱っこをしてもらう。   先ほどと変わらず、蛋白石と同じように殺生石の胸にすり寄っている。 「ふふ、甘えん坊ですね」 「んー……」   殺生石に撫でられ、実に気持ちよさそうな顔。   ホント、小動物みたいだなぁ。 「さてと、僕ちょっと部屋で課題すませてくるよ」 「分かりました。後でお茶を持っていきます」   殺生石に礼を言って、居間を出て行く。   電気石が僕の背中に視線を送ってきていたような気もするけど、まぁ殺生石が相手してくれるから問題ないと思う。   殺生石がお茶を持ってきてくれた後、僕は黙々と机で紙やら本やらとにらめっこをしている。   こういうときは静かな方が集中力できる。だから電気石と殺生石しかいない今はとても勉強がしやすい。   蛋白石には悪いけど、あの子の声は集中力途切れるんだよね。あはは……。 「マスター……」   予想外の声。電気石が僕の部屋に入ってきていた。   気配もなかったので少しビックリ……。 「どうしたの?」 「……殺生石、お出かけ」   そう言えば少ししたら出かけるみたいなこと言ってたっけ。   居間に一人となっては、僕の部屋に来るのも仕方ないか。 「……おべんきょ?」   僕の隣に立って、机の上を眺める。 「うん。ごめんね、これが終わったら遊んであげるよ」 「……だっこ」 「んー、抱っこかぁ……今はちょっとなぁ」 「……だっこ」   これだけは譲れない、そんな感じのおねだり。   うぅむ……こういう顔されると弱いんだよなぁ、僕。 「……はい、これでいい?」   電気石を抱き上げ、膝の上に乗せる。   蛋白石や殺生石と同じ体勢だけど、僕の方が大きいので電気石が普段より小さく感じる。 「だっこ♪」   そして電気石は先ほどと同じく、胸に頬擦りをしてくる。   ……少し、くすぐったい。体と心が。 「本当に甘えん坊だね」 「ん……ダメ?」 「ううん、甘えたっていいんだよ」 「ぐりーんだよー」   久々に聞いたような気がする、そのフレーズ。   でも本当に好きなんだなぁ……グリーンダヨーも甘えるのも。 「マスターのだっこ……貴重?」 「そ、そうなの?」 「ん……」   貴重っていうことは……あまりしてあげていないってことだよなぁ。   僕ってそんなに家では急がしそうにしてたのかな。   自分ではよく分からないな、そういうところって。 「……んー」   そんな僕の抱っこが嬉しいのか、先ほどから頬擦りをやめる様子がない。   これじゃあ課題が……。 「マスター……あったかい」   ……ま、いいか。課題なら夜やればいいだろうし。   今は電気石を満足させてあげる方が、重要なのかもしれない。   鉛筆から手を離し、電気石の頭を撫でる。   綺麗で手触りのいい金髪と、人形のそれとは違う温もり。   こうしてゆったりとしたときに頭を撫でると、普段では伝わらないものも伝わってくるような気がする。   ……静かだなぁ。     ◇    ◇    ◇    ◇ 「ただいま戻りました……あら」   帰宅のご挨拶をと思い、主様の部屋を覗く。   忙しく勉学に励んでいらっしゃるのかと思っていましたが、そこには電気石と二人で昼寝をしている姿。   静かな寝息……ふふ、どちらも愛らしい寝顔ですね。 「……お休みなさいませ」 ----

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