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「ペリドットって、なんか母の日祝ってもらえそうな感じだよな」  日曜日。隣で本を読んでいるペリドットに一言。 「まぁ。では、旦那さんはマスターですか?」 「っ……べ、別にそういう訳じゃ……ただ雰囲気でそう思っただけだっ」  やたらと明るい笑みを浮かべるペリドット。  あんな顔されたら、目を合わせることなんて……。 「それでは、今日1日私がマスターのお母さんになりましょうか?」 「ば、馬鹿っ……ど、どうしてそうなるんだよ」 「そうですねぇ……私、年の離れた妹たちは相手にするのですが、子供を 持ったことはありませんから」 「それはまぁ、そうだろうけど」  ペリドットと子供を……か。  悲しい話だが、養子でももらわないとそれは叶わぬ夢なのだろう。  例え紙面上の結婚という定義を無視して、互いが永遠の愛を誓ったとしても……。  ……ってぇ、何俺は真剣に考えてるんだ。 「やはりここは、マスターが私の子供になってもらいたいですね」 「だぁからどうして話がそこに飛ぶんだよ!」 「では、やはり旦那さんですか?」 「うっ……」  正直に言えばそちらの方が……じゃない! 「ところで、マスターはお母様に何か贈り物をしたのですか?」 「え? ん、まぁ……な」  ペリドットに母の日の話題を振ったのも、実は事前に母の日を思い出したから。  きっと向こうは気持ち悪いとか思うかも知れないが、一応日ごろの感謝って奴で 贈る物はちゃんと贈っておいた。 「そうですか。ふふふ」  まるで自分のことのように喜んでいる、そんな笑顔のペリドット。 「な、なんでお前が嬉しそうなんだよ」 「ええ、マスターが思いやりのある優しい方だと、再認識出来ましたから」  それは謙遜だ。  母の日を思い出したきっかけだって……。 「ただ、少し羨ましいかも知れません。マスターのお母様が」  ――ペリドットって、なんか母の日祝ってもらえそうな感じだよな。  1週間前、俺のために夕食を作ってくれていたペリドットの後ろ姿。  そのときに浮かんだ言葉。それがきっかけなのだから。  ……ペリドットには、感謝すべきことが多すぎる、か。 「……そんなに羨ましいなら、今度ごちそうでもしようか?」 「え?」  唐突な一言に、ペリドットが目を丸くする。  感謝すべき、もう一人の相手。  普段は恥ずかしくて言えないが……ありがとう、ペリドット。 「……で、では、今度のお休みに……デートを」 「お、遠慮しないなんて珍しいな。それじゃあ来週は空けておく」 「……はい」  母親のような、ペリドットの優しい笑顔。 ----
「ペリドットって、なんか母の日祝ってもらえそうな感じだよな」   日曜日。隣で本を読んでいるペリドットに一言。 「まぁ。では、旦那さんはマスターですか?」 「っ……べ、別にそういう訳じゃ……ただ雰囲気でそう思っただけだっ」   やたらと明るい笑みを浮かべるペリドット。   あんな顔されたら、目を合わせることなんて……。 「それでは、今日1日私がマスターのお母さんになりましょうか?」 「ば、馬鹿っ……ど、どうしてそうなるんだよ」 「そうですねぇ……私、年の離れた妹たちは相手にするのですが、子供を持ったことはありませんから」 「それはまぁ、そうだろうけど」   ペリドットと子供を……か。   悲しい話だが、養子でももらわないとそれは叶わぬ夢なのだろう。   例え紙面上の結婚という定義を無視して、互いが永遠の愛を誓ったとしても……。   ……ってぇ、何俺は真剣に考えてるんだ。 「やはりここは、マスターが私の子供になってもらいたいですね」 「だぁからどうして話がそこに飛ぶんだよ!」 「では、やはり旦那さんですか?」 「うっ……」   正直に言えばそちらの方が……じゃない! 「ところで、マスターはお母様に何か贈り物をしたのですか?」 「え? ん、まぁ……な」   ペリドットに母の日の話題を振ったのも、実は事前に母の日を思い出したから。   きっと向こうは気持ち悪いとか思うかも知れないが、一応日ごろの感謝って奴で贈る物はちゃんと贈っておいた。 「そうですか。ふふふ」   まるで自分のことのように喜んでいる、そんな笑顔のペリドット。 「な、なんでお前が嬉しそうなんだよ」 「ええ、マスターが思いやりのある優しい方だと、再認識出来ましたから」   それは謙遜だ。   母の日を思い出したきっかけだって……。 「ただ、少し羨ましいかも知れません。マスターのお母様が」   ――ペリドットって、なんか母の日祝ってもらえそうな感じだよな。   1週間前、俺のために夕食を作ってくれていたペリドットの後ろ姿。   そのときに浮かんだ言葉。それがきっかけなのだから。   ……ペリドットには、感謝すべきことが多すぎる、か。 「……そんなに羨ましいなら、今度ごちそうでもしようか?」 「え?」   唐突な一言に、ペリドットが目を丸くする。   感謝すべき、もう一人の相手。   普段は恥ずかしくて言えないが……ありがとう、ペリドット。 「……で、では、今度のお休みに……デートを」 「お、遠慮しないなんて珍しいな。それじゃあ来週は空けておく」 「……はい」   母親のような、ペリドットの優しい笑顔。 ----

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