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見渡す限り砂、砂、砂。 「あつー……喉渇いたー……ご主人様? ……いないのー?」 ここはいったいどこなのだろうか。 「うー……水ー」 口に出してみてもオアシスは現れない。 「ここどこ……お腹も空いた……」 とりあえず歩き始めてみたが、砂がまとわりついて歩きにくい。 「むー……」 と、不意に体が軽くなる。 「おー、言ってみるものかもー」 てくてくてく……違和感。どうとは言えないのに何かが足りない違和感。 「……うそ」 見下ろすとそこには見慣れた二つの果実はなく、ただただ虚空。 「お、おお、お胸があああ!?」 「ハッ!!」 目が覚める。見慣れた天井。いつもの家。 「はぁ、はぁ、はぁ……はぁ……はぁ……ゆ、夢?」 起き上がり、胸を見る。 「……よ、よかったぁ~~」 両手からあふれることも気にせず、しっかりと大きさを確認する。考えてみれば馬鹿馬鹿しい夢だった。 「……そもそもドールは汗かかないし、ね」 頭ではありえないと分かっていても、胸から手を離すことができなかった。
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