宝石乙女まとめwiki

だってせくしぃなんだもん

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
「た、蛋白石っ」
「ご主人様……なんだか……顔、怖いですよ?」
「そ、そ……そんなことはぁ…………蛋白石ぃーっ」
「きゃーっ!」

「うわあぁぁっ!」
  なんだなんだなんだぁ!?
  ……って、夢か。ふぅ……。
  新年早々僕はなんて夢見てるんだか。というか初夢かぁ……。
  でもそれが、その……蛋白石を襲う夢っていうのは、どうなんだろう。
  そりゃまぁ、蛋白石とはそういうことしたいって思うし……うぅ。
「ご、ご主人様っ、大丈夫ですか!?」
  と、今一番顔を合わせたくない相手がさっそく来てしまう。あー、大声出さなきゃよかった。
「すごい声でしたよ。もしかして悪い夢でも見ちゃいましたか?」
「う、うん、ちょっとね……は、ははは」
「? どうしてこっち向いてくれないんですか?」
「……ほ、ほっぺたに枕の跡がついてるんだよっ」
  蛋白石の顔、まともに見てられない。
  やっぱり欲求不満なのかなぁ……。

「ご主人様、あーんしてください♪」
「いいってば。自分で食べるから……」
「えー」
  まぁ、なんというか、クリスマスの一件以来、蛋白石とはこんな感じなわけで。
  周りの視線も気にしない蛋白石の甘えっぷりには、嬉しいやら恥ずかしいやら。
  でも拒めないあたり、僕って意志が弱いね……。
「相変わらずですね……電気石、今日は妾とどこかに出かけましょうか」
「お年玉……おもちゃ、買う♪」
  殺生石の視線が、とっても痛い。
  って、このままじゃ二人きりに……先の夢以降、もちろん僕は蛋白石がそばにいるだけで妙な気分になってしまう。
  今蛋白石と二人きりになったら、自制が効かなくなったりして……駄目だ駄目だ駄目だぁっ! こうなったら無の境地にでも入って……。
  そうだ、みんなででかければ問題ないっ。そうだ、そうし……。
「それじゃあ、今日はご主人様とお留守番してるね」
  ……あーあ。
「……おみやげ、いる?」

  殺生石と電気石、本当に出かけてしまった……。
「ご主人様ー♪」
  で、ここは僕の部屋。
  蛋白石はというと腕に抱きついてくる始末。うぅ、胸が当たる。
「た、蛋白石、留守番って言っても別に僕たちだって出かけたっていいんだよ?」
「いいえっ、今日はご主人様と二人っきりになりたいです。えへへ」
  ……こんな風に言われたら、断れないよ。
  でもさすがに離れてもらわないとやはり変な気分になってしまう。
  さて、どうするか。
「……あ、そうだっ。ちょっと整理しないといけない物があるんだった」
「お手伝いしますよ?」
「学校の課題だから、僕だけでじゅうぶ……う」
  蛋白石がしょんぼりと……そっか、こんなに甘えん坊だったんだ。
  これじゃあ無下に突き放せないよ。
「……じゃあ、手伝ってもらうかな」
「はいっ。任せて下さい♪」
  とまぁ、結局こうなるのか。
  うぅ、無の境地無の境地……。
「そういえばご主人様は学校で何の勉強してるんですか?」
「ん、動物のことだけど」
「犬とか猫とか、ですか?」
「いや、いちおう動物全般」
「わぁ。ご主人様、すごいですねーっ」
  謙遜気味に言ってみたものの、こうして素直に感動されるのは嫌な気分ではない。
「だからご主人様の部屋って、難しそうな動物の本が置いてあるんですねー」
「慣れればそんなに難しくないよ。あ、そうだ、そこの本棚にある赤い本取ってくれないかな?」
「はーいっ。えっと、赤いのは……」
  僕から離れ、本棚の前で本を探す蛋白石。
  さて、自分から言いだしたことだし、真面目に課題を……。
「これですねぇ。んしょ……あれ?」
  えーと、確かこれとこれと……あぁ、これもか。
「んー……よしっ」
  じゃあ本はこれだけじゃないか。他のも用意しないと……。
「ねぇ蛋白石、そこのピンク色の本も取って」
「はいっ……とりゃあっ!」
  ……とりゃあぁ?
「あうっ、あわわわっ!」
「ねぇ蛋白石、さっきから何……うわあぁぁ!?」
  振り返ってみると、手近にあったいくつかの本で作った足場から足を滑らしていた。
  きっと身長が足りなかったんだろうなぁ……って、のんきに考えてる暇じゃない!!
「危なぐあっ!」
「ひゃうっ」
  蛋白石が頭をぶつける寸前のところで抱き抱える。
  ……つもりだったんだけど、タイミングを間違えて身体が蛋白石の下敷きに……。
「いたた……ご、ご主人様っ、ごめんなさい!」
  ……これ、蛋白石の胸かな。顔に当たってるの。
  うん、そうだね。いつも腕に当ててくる胸の柔らかさだよ、これ。
  暖かいし柔らかいし……ってぇ!!
「とと、トイレ!!」
「えっ、ごしゅじ……ひゃうっ」
  蛋白石には悪いけど、払い除けてトイレへと全速力。
  そりゃあもういろいろ用事がありますとも……うぅ、情けない。

「ごめんなさいっ、また私ドジしちゃって……」
「ううん、気にしてないから。そんな深々と頭下げなくていいんだよ」
  むしろ謝らなきゃならないのは僕も一緒だし……細かくは言わないけど。
「……えへへ、ご主人様はやっぱり優しいですね」
  と、僕に抱きついてくる。胸がまた当たる。
  ……さっきから蛋白石の胸ばかりに意識が集中してしまうよ。
「と、とにかくっ、早く課題をすまさないと。蛋白石、お茶淹れてきてくれない?」
「はいっ、任せて下さい♪」
  僕から離れ、台所へと向かう蛋白石。
  その後ろ姿を見送る……ふぅ。
「……柔らかいなぁ、やっぱり」
  結局、一日中蛋白石の胸ばかりが頭に浮かんで悶々と過ごす羽目になってしまった。
  あぁ……情けない。課題もちゃんと進まなかったし。


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